自由法曹団通信:1592号      

<<目次へ 団通信1592号(4月1日)


加 藤 健 次 情勢を切り拓く活発な討論を!
群馬・磯部温泉でお会いしましょう
〜二〇一七年五月集会へのお誘い
野 上 真 彦 五月集会へのお誘い
小 林   勝 一泊旅行・半日旅行のご案内
  五月集会日程のあらまし
岩 村 智 文 より危険になった共謀罪
漆 原 由 香 共謀罪より怖い!?家庭教育支援法案を阻止しなければならない理由(上)
中 島   哲 北海道労働委員会労働者委員獲得に向けたたたかいの軌跡(二)
大久保 賢 一 「核兵器禁止条約」交渉の開始にあたっての覚書(下)



情勢を切り拓く活発な討論を!

群馬・磯部温泉でお会いしましょう

〜二〇一七年五月集会へのお誘い

幹事長  加 藤 健 次

一、今年の五月集会は、五月二〇日(土)〜五月二二日(月)(二〇日はプレ企画)、群馬磯部温泉で行います。国会に上程された共謀罪法案の成立を阻止し、廃案に追い込む運動がヤマ場を迎える時期にあたります。私たちが取り組んでいる様々な課題について、議論を深め、実践に打って出る集会にしましょう。多くの団員、事務局の皆さんの参加を心から呼びかけます。
二、昨年の参議院選挙では、戦争法反対の運動の蓄積を生かして、全国三二の一人区で野党共闘が成立し、一一の選挙区で勝利をおさめました。この流れを今度の総選挙で発展させ、諸課題での運動とあいまって、安倍政権打倒の大きなうねりを作っていくことが求められています。
 安倍政権は、戦争法の具体化として「駆けつけ警護」などの新任務を付与した自衛隊を南スーダンPKOに派遣しましたが、停戦合意が崩壊している現地の情勢を無視できなくなり、五月末を目処に自衛隊を撤収することを発表しました。同時に、現地で「戦闘」が行われていることを記載した「日報」を自衛隊が隠蔽していたことが発覚し、稲田防衛相の責任が問われています。共謀罪の論戦では、法案提出の前から「テロ」対策という「看板に偽りあり」ということが明らかになり、金田法務相が度々答弁不能に陥りました。そして、森友学園をめぐる疑惑では、教育勅語を礼賛する勢力と安倍首相との密接な関係が浮き彫りになっています。
 このように、「一強」と呼ばれた安倍政権に大きなほころびが目立つようになりました。いま、それぞれの課題について認識を深め、運動を発展させていくこと、そして「アベ政治」の転換を運動の共通の展望として打ち出していく時期にさしかかっているのではないでしょうか。
三、米国ではトランプ新大統領が就任し、世界で覇権主義的な動きや排外主義の傾向が強まっています。今年の自民党大会では、憲法審査会で改憲の発議を行うことが方針として書き込まれました。このような情勢の中で、憲法九条の意義と可能性をいま一度確信にして、戦争法廃止の運動を発展させていかなければなりません。また、安倍政権は「オール沖縄」の総意を無視し、「問答無用」とばかりに辺野古新基地の建設を強行し、裁判所がこれに追随するという深刻な事態となっています。この状況を変えていくための全国的な運動の強化が必要です。
 また、アベノミクスのもと、大企業が史上空前の利益を上げる一方、非正規労働者は約四割にまで増え、賃金は下がる一方です。五兆円を超える軍事費の一方で、社会保障に対する切り捨てが進んでいます。これに対し、安倍政権は「働き方改革」を打ち出して、労働者・国民の不満をかわそうとしています。安倍「働き方改革」を的確に批判しつつ、労働者の権利擁護と国民生活の向上につながる真の改革の方法を打ち出すことが求められています。
 安倍政権が国会に提出した共謀罪は、言論・表現の自由や思想良心の自由を侵害し、監視・密告社会をもたらします。秘密保護法、戦争法とともに「戦争をする国」づくりを進めるものです。この間の国会論戦と運動で、次第にその本質が明らかになりつつあります。団の総力を挙げて成立を阻止し、廃案に追い込んでいかなければなりません。
 安倍政権は、多数の国民の声を無視して、原発の再稼働を強行しようとしています。これに対して、再稼働の差止を命じる判決が出され、前橋地裁では三月一七日に原発事故に対する国の責任を認める判決が言い渡されました。原発事故に対する損害賠償訴訟が大詰めを迎えようとしているいま、全国の裁判の状況を交流するとともに、「原発ゼロ」を実現する運動を強化していきましょう。
四、五月集会では、こうした課題について、理解を深めるとともに、全国の運動の経験を交流し、今後の活動に生かしていきたいと考えています。
 集会一日目(二〇日)の全体会では、君島東彦氏(立命館大学教授)に、戦後の世界政治、東アジア政治のもとでの憲法九条の意義と今日的課題について記念講演をしていただきます。
 分科会は、(1)憲法・平和、(2)共謀罪、(3)労働・格差・貧困、(4)原発の四つを企画しました。特別企画として、給費制復活関連企画・女性部企画も準備されています。
 プレ企画(二一日)は、(1)新人学習会、(2)事務局交流会を予定しています。
 詳細は次号に掲載します。プレ企画も含め、ぜひ、多くの団員、事務局の皆さんに参加していただき、今後の諸活動の活力を得る場にしていただきたいと思います。
 例年どおり、半日旅行、一泊旅行も予定しています。詳しくは、後掲の案内をご覧ください。
 五月二〇日〜二二日、群馬・磯部温泉でお会いしましょう。


五月集会へのお誘い

群馬支部  事務局長 野 上 真 彦

 二〇一七年の五月集会が、五月二〇日(土)から二二日(月)まで群馬県で開催されます。群馬県での開催は、約二〇年前の総会以来となるそうです。
 会場は、安中市の磯部温泉、おとぎ話・童謡歌で有名な「舌切り雀」の発祥の地とされている“雀のお宿” です。磯部温泉は、あまり馴染みのないところだと思いますが、その歴史は古く、万治四年(一六六一年)の絵図に磯部温泉を示す記号として、最古の温泉記号(♨)が描かれていたことから、その発祥の地として知られています。そして、高崎駅からJR信越本線で約二〇分の磯部駅より徒歩五分と非常にアクセスが良いところにあります。世界文化遺産に登録された富岡製糸場への観光にも便利です。
 群馬県は、上毛三山と呼ばれる赤城山、榛名山、妙義山をはじめ、風光明媚、景勝地がたくさんあります。ちょうど五月は、新緑若葉の季節、その勢いを感じて欲しいです。また、草津、水上、伊香保を始め、たくさんの温泉があり、美味しい料理やお酒もたくさんあります。普段の忙しさや疲れを癒やすのも良いと思います。是非足を伸ばして観光にも参加して下さい。
 全国各地で闘われている安倍内閣の憲法に反する戦争法、自衛隊員の南スーダンにおける危機的状況、社会保障と税の一体改革と称する年金及び生活保護基準の引き下げ、沖縄の辺野古基地問題など、我々に突きつけられた課題は沢山あります。
 新人学習会では、新入団員や若手団員に対し、憲法二一条の国民の政治的表現の自由の闘いである街宣活動に対する警察権力の介入をテーマとします。今日的、また極めて重大な要因を含み実践的課題でもあります。
 これらに対して、どのように闘い発展させるのか、各地の取り組み、経験を集めて意見を交換し、今後の活動に活かせる研究討論会にしていきたいと考えています。
 群馬支部の団員は全国の団員のみなさんとの語らいを心から歓迎します。全国の多くの団員、事務職員、ご家族のみなさまの出席参加をお待ちしております。


一泊旅行・半日旅行のご案内

群馬支部  支部長 小 林   勝

 今年の一泊旅行は、安中公害事件(煙突からの重金属汚染、工場排水の放出により、周辺の人の健康や田畑に被害をもたらした)で、訴訟終了後、現地住民と東邦亜鉛精錬所との間で交わされた協定に基づき、いまなお、年一度に工場の立ち入り調査が続けられている場所を見ていただきます。
 裁判の終了した三五年後の現在も、田畑の客土を行うことなどが話し合われています。
 群馬における地元自由法曹団員はもとより、当時は全国の青年法律家協会会員の活動の共通みなもととされた事件です。
 当時から中心的役割を果たされている団員により、解説が行われます。
 次に、三年前に“世界遺産”に登録された富岡製糸場の見学を観光ガイド付で行います。
 明治期、国は、富国強兵、外国の先進国へ、「追いつけ、追い越せ」のスローガンで、蚕の“まゆ”から絹糸を紡ぐ作業を“手作業”から画期的な大量生産、機械化したものです。
 政府はフランスから技師を招き入れ、精励しました。いくつものレンガ造りの工場建物と寮を設備し、沢山の女工を雇い入れたものです。製糸場の説明では、八時間労働の交代制で、この時代ではめずらしく働く女性の権利が守られていたと言いますが、“女工哀史”的側面を指摘する著作物もあります。
 ここで半日旅行の人は終わり、高崎駅(新幹線)へ送らせていただきます。一泊旅行組は、宿泊は日本を代表する“草津温泉”です。“草津良いとこ、一度はおいで”と歌われた、熱くて豊富な湯量による入浴を是非お愉しみ下さい。また、夜はライトアップされた温泉街や湯畑を散策されることをお勧めします。更に、綺麗な街並みを見ながら飲食される方にも、ご満悦いただけるものと思われます。
 翌日は、午前中にハンセン病施設「国立療養所草津栗生楽泉園」の見学を予定しています。歴史資料館で一目すれば、戦前から棄民扱いされ、戦後も「らい予防法」により、更にひどい扱いが恒久化されたことが判ります。
 故郷を奪われ、親兄弟の血筋さえ抹殺され、罪人の扱いをされたハンセン病患者の闘い(裁判)にも思いを巡らせて下さい。
 最後に、美しい吾妻渓谷を潰して、東京首都圏の“水がめ”を確保しようと工事が再開となった二〇世紀の負の遺産、八ッ場ダムを見ていただきます。
 一九五二年の計画から六五年経っても、完成の目途がたたず、税金の無駄遣いが続く八ッ場ダム。
 川原湯温泉地域の住民の移転や、ダム湖周辺の安全性も危惧される中、建設工事が進む現状をご覧いただき、これまでの反対運動の歴史について説明を受けていただきます。
 建設予算は当初に比べ、二一一〇億円から二・五倍の五三二〇億円にも膨れに膨れあがり、個人的には「ダム(・・)はムダ(・・)」と言いたくなるものです。
 多数の皆様のご参加をお待ちしています。


五月集会日程のあらまし

●五月二〇日(土)
【プレ企画】
いずれも午後二時〜六時(予定)

1 新人弁護士学習会
※新人弁護士に限らず、ふるってご参加ください。

・群馬支部企画
【講師 下山 順団員 群馬支部】
五月集会開催地の群馬支部の活動として群馬の森追悼碑訴訟と、警察による街頭宣伝の規制妨害の状況とそれに対する市民団体の取組について報告していただきます。

・本部企画
【講師 今村 核団員 東京支部】
「冤罪弁護士の活動」(仮)

2 法律事務所事務局員交流会

(1)全体会
講演を二つ準備しています。是非ご参加下さい。
「私たちのたたかいが、いかに団事務所事務局に支えられているか〜『生業を返せ、地域を返せ!』福島原発訴訟からのメッセージ〜」
東京支部 久保木 亮介 団員
「団事務所での経験と活動、地域での活動について」
弁護士法人名古屋北法律事務所
事務局 長尾 忠昭 さん

(2)交流会
「新人事務局交流会」、「活動交流会」、「業務に関する交流会」の交流会を準備しています。
詳細については次回の団通信に掲載する予定です。ご参照下さい。

●五月二一日(日)
午後一時一五分〜午後五時四五分(予定)
★(注)プレ企画の日と開始時間が変わります
全体会(午後一時一五分〜三時三〇分)

(1)団長挨拶・来賓挨拶
(2)幹事長基調報告
(3)記念講演
【講師 君島東彦氏(立命館大学国際関係研究科教授)】

分科会 一日目(午後三時四五分〜五時四五分)

(1)憲法・平和分科会(一日目)
明文改憲をめぐる攻防の現段階、戦争法、スーダンPKO派遣、 日本をめぐる安全保障環境の状況、新基地建設を中心とした沖縄 の現状などについての報告と経験交流

(2)共謀罪分科会(一日目)
(1)講演
『「戦争をする国」づくり・治安強化の中での共謀罪の役割と位 置づけ』(仮)
講師 纐纈厚さん(山口大学名誉教授、二〇一六年参院選の山口 県選挙区統一候補)
(2)共謀罪法案に関する問題提起

(3)労働・格差・貧困分科会
講演「格差・貧困を克服するには
〜労働法制と社会保障解体をふまえて」(仮)
講師 後藤道夫・都留文科大学名誉教授
その他討論

(4)原発分科会(一日目)
情勢報告
講演「今、福島で暮らすこと、これからも福島で生きること」
講師 生業訴訟原告団事務局長 服部浩幸さん ほか数名
その他討論

特別企画(午後九時〜予定)
夕食懇親会後に二つ開催されます。
事前申し込みは不要です。

*給費制特別企画
(1)裁判所法改正をめぐる政治情勢・到達点
(2)給費制訴訟に取り組んできた団員からの訴訟経過報告
(3)貸与制下での現状についての各地の報告と討議
(4)今後の取組みについての討議

*女性部特別企画
女性弁護士の働き方について〜ゆるカフェ
女性部は来年五〇周年になります。先輩の女性弁護士にご参加いただいて女性弁護士の働き方についてみんなで話をしませんか。男性団員もぜひご参加下さい。

●五月二二日(月)
午前九時〇〇分〜午後一二時三〇分(予定)

分科会 二日目
(午前九時〇〇分〜一一時〇〇分)

(1)憲法・平和分科会(二日目)
一日目の続き

(2)共謀罪分科会(二日目)
共謀罪法案に反対する取り組みについての報告、討議

(3)労働分科会
安倍働き方「改革」と労働法改悪に向けたたたかいと全国各地  の裁判闘争の報告、験交流

(4)貧困・社会保障分科会
・生活保護行政とのたたかい
・社会保障改悪とのたたかい
・報告、経験交流

(5)原発分科会(二日目)
各地の弁護団・原告団の訴訟・運動等についての経験交流
みなさま奮ってご参加ください。

全体会(午前一一時一〇分〜一二時三〇分)
*各地・各分野からのたたかいの報告

会場・宿泊先
  磯部ガーデン
  〒379-0127 群馬県安中市磯部一の一二の五
  電話 027-385-0085 FAX 027-385-0055
 

●交通のご案内
*別紙、各地からの交通案内をご参照下さい。

問い合わせ先
富士国際旅行社(担当 小野寺さん・谷藤さん)
電 話 03―3357―3377
FAX 03―3357―3317

★ 五月集会参加費用 ★
●会議・宿泊費
全て事前のお振り込みとなります。
当日、現金での受付はいたしませんのでご了承願います。
(1) プレ企画・研究討論集会参加費(全日参加) 四二、〇〇〇円(二〇日〜二二日の会議、二泊、二夕・二朝食付)
(2) プレ企画参加費                   二一、五〇〇円 (二〇日の会議、一泊、一夕・一朝食付)
(3) 研究討論集会参加費               二一、五〇〇円
(二一・二二日の会議、一泊、一夕・一朝食付)
(4) プレ企画会議のみ参加(夕食なし・宿泊なし) 五、〇〇〇円
(5) 研究討論集会のみ参加(夕食なし・宿泊なし) 五、〇〇〇円
((1)〜(3)のプレ企画・研究討論集会とも、参加費には会場費、資料代、会場設営費等すべてを含みます。(4)(5)の会議のみの参加については、プレ企画と研究討論集会に分けてあります。会議のみ両日参加の場合は、合計一〇、〇〇〇円となります。)

●ご家族、お子様の参加費用
(1)家族(会議へ参加されない場合)
参加費 一泊につき、一六、八〇〇円(夕一朝食付)
(2)子供(子ども用食事、個室チャージ、ベッド等の有無により料金が変動します。個別対応となりますので、富士国際旅行社宛、お問い合わせ下さい。)
●ツインご希望の場合
部屋数に限りがあります。先着順となりますので、富士国際旅行社へ確認を取ったうえでお申し込み下さい。

参加申し込み方法
○同封の「五月集会参加申込書」にご記入の上、四月二八日(金)までにお申し込みください。(一人につき一枚のご記入をお願いします。)
○参加費の振り込みについても四月二八日までにお願いします。
○プレ企画について 参加される会議を必ずご記入下さい。
○分科会希望について 一日目、二日目とも必ずご記入下さい。
○キャンセルの場合、宿泊の五日前からキャンセル料が発生しますのでご了承ください。
○精算につきましては、集会終了後となります。

★参加申込の送り先・参加費の振込先は、ともに富士国際旅行社宛にお願いします。
  三菱東京UFJ銀行 新宿通支店
  普通 2580145(株)富士国際旅行社

 お振り込みの際には弁護士の肩書きはつけずにお振り込みください。(字数の関係で記帳印字が途中で切れてしまい、送金者の確認ができなくなってしまいます。)
 また事務所で一括入金される場合は、別途内訳一覧表についてもFAXにて富士国際旅行社宛にお送り下さい。

★各地からの配布資料
 五月集会・プレ企画参加者に配布する資料・報告書等は、今のところ四五〇部を予定していますが、部数は参加状況により変動します。配布ご予定の方は、五月連休明けに団本部事務局に部数をご確認下さい。
 配布資料はについては、五月一九日(金)までに「磯部ガーデン」宛お送りください。
 お送り頂く際には送付伝票備考欄に、必ず「自由法曹団」宛と記載し、「プレ企画○○資料」、「全体会資料」、「○○分科会資料」、「販売書籍」等、荷物の内容がわかる様に明記して下さい。

●現地にて、配布用資料の袋詰め作業を行います。資料についてはA4サイズが基準となりますので、A3・B4サイズの場合はあらかじめ半分に折って頂き、すぐに袋詰め作業が出来る状態でお送り下さい。
●送付する資料は、整理・管理の必要上、事前に文書にて団本部までFAXにてご一報下さい。
●五月一九日(金)に間に合わない資料は、お手数ですが必要配布部数を印刷の上、直接会場までご持参下さい。

●当日持参される場合は、一日目全体会終了後、各分科会会場入口に置くかたちでの配布となりますのでご了承下さい。

♪ 書籍販売
 販売用書籍については、京都のかもがわ出版にお願いしました。
 委託販売ご希望の方は、左記宛にお問い合わせ下さい。
 かもがわ出版 担当・営業・三井さん
 TEL 075-432-2868  FAX 075-432-2869
 email takashi@kamogawa.co.jp

♪ 保育所の設置について
 今年もご希望があれば保育所を設置する予定です。
 ご希望の方は参加申し込み欄にご記入の上、保育士さんの手配の関係上なるべくお早めにお申し込み下さい。
 締め切り日以降のお申し込みの場合は、設置を見送らせていただく場合もありますのでご了承下さい。
 詳細は、後日申し込みのあった方々にご連絡します。
 保育料については、利用者の方の負担額は、利用される参加者一人当たり三千円(宿泊数・お子様の人数が増えても変わりません。)とし、差額については団本部で負担します。

♪ 一泊旅行・半日旅行について
 別紙「オプショナルツアーのご案内」をご覧ください。
 参加ご希望の方は、五月集会申込書に○印をご記入のうえ、集会参加費用と共に、富士国際旅行社宛代金をお振り込み下さい。


より危険になった共謀罪

神奈川支部  岩 村 智 文

 去る三月二一日、「共謀罪の創設に反対する百人委員会」第二回院内集会で、基調報告をする機会を得ました。そこで述べたものの草案を以下に紹介します。紹介の意図は、共謀罪への「テロリズム集団その他の」文言追加によって、共謀罪の本質に変化がないとの見解には間違いはないが、安倍政権のねらいは、実はそれ以上のものがあるのではないか(転んでもただでは起きない)ということを考えたからです。

はじめに
 昨年来、共謀罪を「テロ等準備罪」とその呼び名をかえて提示していた政府に対し、テロ対策を詐称するものだ、条文のどこにもテロ対策という文言がない、といった批判が浴びせられていた。
 それに対し、今回閣議決定した法律案には、その法の第六条の二の表題や条文中四カ所に「テロリズム集団その他の」との文言が付け加えられている。これを加えたことと七〇〇近くもあった対象犯罪を二七七に絞ったことで、政府は、名実ともに法律案が共謀罪法案からテロ等準備罪に変わった、と主張したいのだろう。
共謀罪としての構造に変化な
 私たちがすべき批判の第一は、批判されてきた昨年八月の法案と法の構造がまったく変わっていないということ。したがって、今回の政府案でも、犯罪を計画すなわち共謀しただけで犯罪が成立するという法案の本質は同じである。計画だけで犯罪が成立し、警察が捜査ができるようになる。
 批判の第二は、対象犯罪の数が減ったというまやかしについて。 二七七に絞ったというが、ここに入っている犯罪を見てみよう。組織犯罪も含めて、市民にも関わる犯罪をあげれば次のとおり。殺人、逮捕及び監禁、強要、威力業務妨害、詐欺、恐喝、建造物損壊、贈賄、収賄、傷害、窃盗、強盗、背任、横領などなど。これまで市民団体などの活動に適用されかねないと例示されてきたものがすべて残っている。危険性はまったく変わっていない。
 批判の第三は、数を減らしても構造が変わっていないということは、盗聴法の対象犯罪と同じく、今後いつでも対象犯罪を増やせる仕組みになっているということ。
批判の第四は、法律そのものの名称は前のままの「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」。
国連条約に基づくとの主張の破綻
 政府は、この法案はテロ対策のもので、オリンピック、パラリンピックに必須とし、これがなければオリンピックが開けない、と主張していた。
 安倍首相は、五輪招致のさい、「世界有数の安全都市、東京」などと演説した。だが、この法律がなければ日本はオリンピックが開けないというのだから、演説はうそを述べたのか。
 かつての国会における共謀罪の審議のなかで政府は、この法案は「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」を批准するためのもので、長期四年以上の刑を定めたすべての犯罪を対象にしなければならない、と言い張っていた。今回対象犯罪をおおよそ七〇〇から二七七に絞った。ということは、これまでの主張はうそだった、ということになる。
条約違反の法律案
 条約二条は、金銭的または物質的犯罪集団を対象とする、としている。また、立法ガイドでも宗教的・政治的テロは除外するとなっている。それなのにテロ対策法にするとはどういうことか。条約違反。
政府も条約がテロ対策のためのものでないことは十分に承知していた。自公政府は、二〇〇三年一二月に「犯罪に強い社会の実現のための行動計画・・・世界一安全な国日本を目指して」、続いて二〇〇八年一二月にも同じ同じ表題の計画を策定。安倍内閣発足後の二〇一三年一二月「『世界一安全な国』創造戦略について」を閣議決定している。ところが、これらのなかでこの法律案をテロ対策として位置づけていない。昨年四月の自民党政務調査会の「テロ対策強化提言」にもこの法律について触れていない。
にもかかわらず、安倍政権は、はあえて「テロリズム集団その他の」文言を加えるといった「修正」をした。今回の「修正」によって、この法律案は、条約に基づくものでなくなった。ここに「修正」の真のねらいが秘められているのではないか。
変質し危険性を増した法律案
 法律案は「テロリズム集団」との文言を使用したことによって政治的な目的を持ったものに変質した。法律案のなかにはテロリズムの定義がない。秘密保護法には定義があるが、ここにはない。イギリスのチャールズ・タウンゼント教授(キール大学歴史学部)は「テロリズムを理解しようとする政治的試みも学問的な作業も、テロの定義で何度も躓いてきた」「なぜ定義付けが難しいのか?一言で言えばテロリズムがラベリングだからだ。いかなる人物、集団も自らを「テロリスト」だと名乗るようなことはなかった。それは、他人によって、何よりもその「テロリスト」を排斥する政府によって命名されるものである。国家は暴力的な敵対者にこのレッテルを貼りたがり、その用語に非人道的、犯罪性を付与する」「非国家アクターによるあらゆる暴力行使が、たとえ形式上非合法でも正当化できないかどうかは別問題」と述べている。ここに今回この共謀罪に「テロリズム集団」という文言が入った危険性が表れている。沖縄平和センターの山城議長のこと、ひとつとってもよく分かる。彼は政府から見れば「暴力的な敵対者」となる。彼の所属する団体は、テロリズム集団と政府からレッテルを貼られかねない。
 国連の条約が予定していた金銭的物質的利益を追求する集団でなく、「テロリズム集団」対策をこの法律の根幹に据えたことによって、この法律は質的転換を遂げた。この法律は、政治的に政府によって、警察によって利用されるものになってしまった。市民団体がねらわれるのではないか、とこれまで鋭く指摘されてきたが、「テロリズム集団」との文言が入ったことによって、その危険性はいやが上にも増した、ということができる。政府、警察がテロリスト、あるいは予備軍、あるいは将来一変しかねない集団と見れば、どんな市民団体も狙い撃ちされる。
 それとともに、テロ対策としてもっとも重要なものといえばそれは、正確な情報を得るためのスパイの潜入と監視による諜報活動といわれている。政府は、先に述べた創造戦略で、これからの捜査手法として「仮装身分捜査」を取り入れるとしている。政府のねらいはまさにそこにある。より一層の監視社会、身の回りに警察官が入り込む社会が近づいている。
 この法律は、「テロリズム集団」という文言を入れることによって、危険性をいやが上にも増したことを訴えていこう。
 以上です。


共謀罪より怖い!?家庭教育支援法案を阻止しなければならない理由(上)

岐阜支部  漆 原 由 香

一 法案の目的
 家庭教育を「支援」するといっても、学費の無料化、給付型奨学金の拡充、保育体制の充実などのインフラ整備によって、親が子どもを教育しやすい環境を整えようというものではない。
 自民党が今国会で提出を目指す家庭教育支援法案(仮称)*1二条二項は、「家庭教育支援は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、社会の基礎的な集団である家族が共同生活を営む場である家庭において、父母その他の保護者が子に社会との関わりを自覚させ、子の人格形成の基礎を培い、子に国家及び社会の形成者として必要な資質が備わるようにすることができるよう環境の整備を図ることを旨として行わなければならない」と定める(取消線部分は、二〇一七年二月一四日付け報道による)。けっして、子どもが個人として尊重され、自分らしく生きていけるようにすることを目的とした法律でないことがわかる。
 誤解を恐れずいえば、これは、国のために役立つ子を育てるべく家庭教育に介入するという法案である。
二 経緯
 同法案一条に「教育基本法の精神にのっとり」とあるように、法案の系譜は、二〇〇六年制定の改正教育基本法一〇条が「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」と定めたのに遡る。
 同じ年に、「親としての学び」と「親になるための学び」を提唱する親学推進協会が設立された*2。その会長は、日本会議のメンバーでもある高橋史朗氏である。二〇一二年には、親学推進議員連盟(正式名称:家庭教育支援議員連盟)が発足したが、その設立時会長は安倍晋三氏である*3。つまり、家庭教育支援法の制定は、戦前回帰の復古主義的保守派議員が目指すものと言っても差し支えないだろう。
 「家庭教育支援」が親学の思想をベースにしているのは、岐阜県家庭教育支援条例が、「親としての学びを支援する学習の機会の提供」(同条例一一条)、「親になるための学びの推進」(同一二条)を定めていることからもうかがい知れる。
 そもそも法案のいうように、核家族化が進み、家族の絆や家族と地域社会の絆が希薄化しているのだろうか、立法事実の有無に異を唱える新聞記事もある*4。
三 岐阜県家庭教育支援条例
(1)熊本県を皮切りに、全国各地で家庭教育支援条例の制定が相 次いでおり、岐阜県でも、二〇一四年一二月二二日に岐阜県家 庭教育支援条例が制定され、翌年施行された。
 同条例は、家庭教育を、(1)基本的な生活習慣、(2)自立心、(3)自制心、(4)善悪の判断、(5)挨拶及び礼儀、(6)思いやり、(7)命の大切さ、(8)家族の大切さ、(9)社会のルールと定める(同条例二条)。ほんらい各家庭に委ねられるべきことがらについて県が口出しすることで、「家庭の教育力の低下」を防ごうという建前である。
 二〇一五年の一年間で、同条例に基づいて岐阜県が行った施策(既存の施策で、条例の目的に沿うものも含まれていると思われる)のうち、ごくわずかであるが主なものを挙げると、以下のとおりである*5。
・「家の人と学校での出来事について話をする児童生徒の割合一〇〇%」を目指す施策(なお、二〇一五年は、小学生が七九・〇%、中学生が七一・六%)
・家庭教育支援推進事業(県内のモデル地域に家庭教育支援員を配置し家庭教育支援体制の強化を図る)
・ライフプランを考える啓発プロジェクト事業
・「一家庭一ボランティア」運動を県民運動として展開
・幼児教育総合推進事業(県内の幼稚園・保育所・認定こども園において、「みんなで子育てII〜家庭教育プログラムIV(乳幼児編)〜」を活用した家庭教育学級の実施を支援する。また、県内の中学校・高等学校において、「家庭教育プログラム(次世代編)『みんなで子育てIV』」を活用し、自立やコミュニケーション、親子関係を考える家庭教育を行う)
・家庭教育プログラム(まもなく大人になる中学生や高校生を対象に、【大人になるため】【親になった時に】必要な自立やコミュニケーションについて考え、学ぶプログラムを作成)
・家庭教育学級リーダー研修事業(各学校、保育所、幼稚園等で行われる家庭教育学級を推進する人材を養成することを目的に、県内六地域ごとにリーダー研修会を実施する)
・地域における情報モラル指導力の向上(青少年育成支援者・PTA役員等が、身近な地域で勉強会の企画や家庭へのアドバイスができるよう、情報リテラシーを高める研修会等を実施し、地域の指導者を養成する)
・社会人権学習資料の作成(学校でどのような人権教育がなされているかを理解することで、家庭や地域において人権尊重の重要性、必要性について理解を深め、豊かな人権感覚を身につけていただくことを目的として、小中学校の教科書で取り上げられている人権に関する記述を冊子としてまとめて保護者等に配布)
・企業内家庭教育研修
・家庭教育推進専門職の設置
(2)特筆すべきは、家庭教育学級の設置や、家庭教育支援員、家庭教育リーダーの養成などを通じて、県が地域社会で家庭に「何か」を教え込み、練成しようとする体制が整えられようとしている点である。何かとはなにか。家庭や地域での道徳推進活動や、学校で行われている道徳教材の提供などの施策をみれば、条例二条に列挙したことがらについて、各家庭の自主性や価値観を尊重するのではなく、県が統一的な価値観を浸透させようとしているとみることができるだろう。(続く)

*1 2016年10月20日時点のもの
*2 一般財団法人親学推進協会ウェブサイトより(http://www.oyagaku.org/
*3 ウィキペディア(親学推進議員連盟)
*4 毎日新聞2017年3月1日東京夕刊「特集ワイド「家庭教育支援法」成立目指す自民「伝統的家族」なる幻想 家族の絆弱まり、家庭の教育力低下――!?」
*5 「家庭教育の支援に関して講じた施策に関する報告について 平成27年度」岐阜県(平成28年9月)


北海道労働委員会労働者委員獲得に向けたたたかいの軌跡(二)

北海道支部  中 島   哲

四 第三九期任命訴訟(続き)
 三たび挑んだ第三九期訴訟は、二〇一〇年一二月一日付けの労働者委員七名の任命(任期二年)について、道労連、その傘下の北海道勤医労、建交労北海道本部、札幌地区労連・ローカルユニオン結の三単組、及びこれらから推薦を受けた組合役員三名を原告として、二〇一一年六月二日付けで札幌地裁に提訴しました。
 この訴訟は、札幌地裁民事第一部(千葉和則裁判長)に係属し、第八回期日まで開催しました。また、この訴訟では、二〇一〇年四月から神奈川県労働委員会の第三八期労働者委員(四一期まで再任中)として任命された神奈川県労働組合総連合の水谷正人議長(当時)のご協力を得て、陳述書を提出することができました。
 第三九期は、北海道の雇用労政課長と原告の尋問を行ったうえで、二〇一二年一〇月一五日に結審し、同年一二月二六日に請求棄却の判決が言い渡されました。もっとも、請求棄却の理由は、任命処分の取消請求について原告適格を認めず、国家賠償法上の損害賠償請求について原告らに法律上保護されるべき利益がなく、損害が発生していないことを理由とするものです。
 同判決は、北海道知事が行った任命処分の適法性そのものについては、「第三七期判決の説示を踏まえてこれを考慮した形跡がいささかも見受けられないことや、これまで相当期間継続している連合系候補による労働者委員の独占状態を併せて鑑みれば、本件各処分は、再任を含めた候補の適格性判断の実質に乏しく、結局労働者委員の経験の有無を重視し、現職の連合系労働組合推薦に係る労働者委員を再任する意図の下に行われたものであると評価されてもやむを得ない状況にあるといえる。そうすると、知事は、原告らについて、形式的には審査の対象としながらも実質的には全く審査をせず、連合北海道に属する推薦組合にかかる候補者のみを再任する本件各処分に及んだもので、本件各処分は、労組法の推薦制度の趣旨を没却するものとして、裁量権の逸脱・濫用にあたるといわなければならない。」と判示し、違法性を認めました。
 原告らにとっては実質的な勝利判決でした。原告らは控訴せず、また、判決主文としては請求全部の却下及び棄却であるため被告には控訴の利益がなく、この地裁判決が確定しました。
 この判示が弁護団の第二の武器となりました。
五 第四〇期任命訴訟
 1 たたかいの新たなステージへ
  第四〇期訴訟は、二〇一二年一二月一日付けの労働者委員七名の任命(任期二年)について、道労連、その傘下の北海道勤医労、道東勤医労、建交労北海道本部、札幌地区労連・ローカルユニオン結の四単組、及びこれらから推薦を受けた組合役員四名を原告として、二〇一三年四月三〇日付けで札幌地裁に提訴しました。この訴訟は、札幌地裁民事第一部(内野俊夫裁判長)に係属し、第九回期日まで開催しました。
  労働委員会委員の任命にあたっては、道庁内部において決定書が作成され、それが内部的決裁を経て最終的には知事の決裁印が押された形で、毎回訴訟における被告側証拠として提出されます。
  第三九期までの決定書は、候補者名簿等の資料のほかは、労働者委員の選任過程については、「候補について、所属労働組合・役職、労働組合関係の経歴、所属労働組合の規模及び地域、産業分野、加盟上級団体などを総合的に勘案した結果、次の○名を選任することとする。」などと分かったような分からないようなことが記載されているだけで、実際に何をどのように検討した結果、候補者の中から委員が任命されたのかがまったくわからず、選任過程がブラックボックスとなっていました。
  しかし、第三九期判決を受けて、北海道側もこのままではまずいと思ったのか、第四〇期では選任過程らしきものを決定書に記載するようになりました。北海道の総労働組合員について、産業分野別の人数比と地域別の人数比を組み合わせた表を作成し、その人数比との兼ね合いで委員を選任したような体裁になったのです。その結果、決定書は第三九期までのものとは内容が大きく異なるものとなりました。
  選任過程が決定書に書かれるということは、そこに書かれている内容について、訴訟において検討し、争うことができるようになったということです。
  これまでの訴訟では二〇年以上に及ぶ連合独占といういわば状況証拠のみで闘うしかなかったので、選任過程という内容面について主張立証を闘わせることができるようなったということは大きな前進でした。
  二〇〇七年五月にはじめの第三七期訴訟を提起してから、二〇一三年四月に第四〇期訴訟を提起するまで約六年かかりましたが、ここにきて、北海道労働委員会の労働者委員任命訴訟は新たなステージに立つことができました。
 2 選考過程の内容審理へ
  第四〇期労働者委員の選任について、北海道は具体的な選任過程らしいことを決定書に書き、また、訴訟においてももっともらしいことを主張していましたが、結局のところ、労働者委員の連合独占という結論先にありきで、後付けの理由をこじつけているわけですから、突き詰めていくと、どこかで絶対に論理が破綻し、無理が生じることになります。
  一例を挙げると、笑い話のような話ですが、北海道は、当時六七歳の元道労連議長を「高齢過ぎる」という理由で排除し、三七歳の道労連事務局長を「若すぎる」という理由で排除したと主張しました。付け加えると、尋問では、「過去の任命で六七歳以上の委員はいなかったのか」という問いに対し、「調べていないのでわからない」と回答しています。
 3 第四〇期判決
  第四〇期は、北海道の雇用労政課長と原告の尋問を行ったうえで、二〇一四年一〇月二一日に結審し、同年一二月一六日に請求棄却の判決が言い渡されました。
  もっとも、請求棄却の理由は、三九期訴訟と同様、原告適格と法律上の利益の不存在を理由とするものであり、北海道知事が行った任命処分の適法性そのものについては、裁量権の逸脱・濫用があるとし、任命処分の違法性を認めました。
  そのうえで、さらに、同判決は、「仮に本件任命処分の取消しの訴えが原告適格を有する者によって提起された適法な訴えであったならば、…(中略)…本件任命処分を取り消すべきものである。」と処分取消にまで言及しました。この判決について原告らは控訴せず、確定しました。
  ここで、弁護団は第三の武器を手に入れたことになります。

(続く)


「核兵器禁止条約」交渉の開始にあたっての覚書(下)

埼玉支部  大久保 賢 一

◆核不拡散条約と「核兵器禁止条約」(続き)
一.核不拡散条約は、非核兵器国への核兵器の拡散を禁止する一方で核兵器国は核軍縮を約束するという構造になっている。核兵器国がその気にならなければ核軍縮は実現しないという不十分さはあるが、核軍縮を目的としている。この条約に加入せず核兵器を保有するイスラエル・インド・パキスタンなどの国家や、脱退して核兵器国になる北朝鮮のような国家も存在するけれど、核兵器の不拡散に寄与しているといえよう。
二.問題は、核兵器国が誠実に核軍縮交渉に取り組もうとしていないことである。一九九六年国際司法裁判所が、核不拡散条約六条を敷衍して、「核軍縮を目指す交渉を完結させる義務がある。」としているにもかかわらず、核兵器国は核軍縮のための多国間交渉を開始しようとしない。今回の決議は、この実情を踏まえたうえで、採択されているのである。
三.決議は、核兵器のない世界の達成と維持のために必要な法的措置や法的条項を練り上げる努力とあわせて、NPTの核軍縮・不拡散体制を補い強化するものでなければならないとしている。多国間交渉の場で議論されるのは、全く新しいテーマではなく、NPTも含め、これまでの核不拡散、核軍縮の取り組みを補い、強化すべきものと位置付けられているのである。
★何が議論されることになるのか
一.二〇一六年の公開作業部会(OEWG)の報告書は、(i)既存の核兵器に伴うリスクに関する透明化措置、(ii)事故、過誤、不許可または意図に基づく核兵器爆発のリスクを低減しかつ根絶するための措置、(iii)核兵器爆発によってももたされる幅広い人道上の帰結の複雑性と相互関連についての認識と理解を向上させる措置、(iv)多国間核軍縮交渉の前進に寄与し得るその他の措置について交渉しろとしている。ここでは、既存の核兵器の廃絶については触れられていない。しかしながら、核兵器爆発がもたらす幅広い人道上の帰結の複雑性と相互関連についての認識と理解の向上とは、核兵器の非人道性についての認識を深めることを意味している。核兵器は、単に危険であるだけではなく、人道と相容れないことが強調されているのである。ここに、核兵器国や核兵器依存国が同意できないポイントがある。核兵器が非人道的とされることは、核兵器使用の手が縛られるからである。
二.核兵器国が核兵器の禁止に同調し、法的枠組みの当事者にならなければ「核兵器のない世界」は実現しない。核兵器国がその気になるのを待っているだけではいつになっても核兵器禁止条約はできない。かといって、核兵器国が参加しない条約を作っても意味がない。核兵器国を参加させるために、どのような知恵を絞るのか、条約の案文の作成とは別の、私たちに課せられた重要な課題であろう。私たちには、日本政府の姿勢を「核兵器禁止条約」反対から積極推進に変えることと、核兵器国がその核依存政策を転換しなければならないような巨大な運動構築が求められているのである。核兵器廃絶国際署名は、その重要な構成部分であろう。

(二〇一七年三月一五日記)