自由法曹団通信:1596号      

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永田  亮 〜共謀罪反対特集(3)〜
神奈川における共謀罪成立阻止の取組み
守川 幸男 共謀罪の廃案を求める歴代会長アピールのご報告
種田 和敏 許すな!!過労死と格差容認の実行計画 安倍「働き方改悪」に反対し、働くルールの確立を求める四・二六決起集会のご報告
田井  勝 安倍「働き方改悪」に反対する四・二六決起集会の感想



〜共謀罪反対特集(3)〜
神奈川における共謀罪成立阻止の取組み

神奈川支部  永 田   亮

一 はじめに
 国会での議論や各メディアにおいて共謀罪の危険性が協調されていながらも、安倍政権はあくまでテロ対策との虚偽の主張を続け、ゴールデンウィーク明けから五月中旬にかけて、共謀罪の法案の衆議院通過、そして六月一八日までに成立との話も噂されるようになりました。
 まさに現代の治安維持法というべき共謀罪の成立をなんとしても阻止しなければならない中で、自由法曹団の各支部でも積極的な取組みがなされているところですが、本稿では神奈川支部の取組みについて簡単に紹介させて頂きます。
二 横断幕とのぼり旗の作成とデモの参加
 街宣などを行っていても、共謀罪に関する市民の反応が鈍いと感じることが多いことから、憲法PTで議論をした結果、見た目から訴えかけるものとして、共謀罪反対をテーマとした横断幕とのぼり旗を作成することとしました。神奈川支部として実施している街宣活動に使用するのみならず、本年五月三日の憲法集会後のデモ行進でも使用することを予定しています。
 なお、五月三日のデモにおいては、通行者にアピールをして、少しでも関心を持ってもられるよう、風船の配布も準備しています。
三 意見書の提出
 また、神奈川支部として、政治にも直接訴えていく必要があると考えたことから、五月二日に、自民党を中心とした議員周りを行い、横浜と川崎それぞれで共謀罪についての意見書を提出することとしています。
四 各地の街宣活動
 神奈川においては、神奈川県弁護士会も共謀罪廃止に向けた取組みを続けており、また総掛かり行動も街宣活動に取り組んでいることから、神奈川支部もこれに共同して、街宣活動を行っています。四月から五月にかけての街宣活動は以下のとおりです。
 四月二七日午前八時〜@日本大通りと川崎で街宣
 五月一日のメーデー@沢渡公園
 五月三日午前一一時〜@桜木町駅前
 五月八日午後五時〜@幹事会前の街宣
 五月一二日午後五時〜@川崎前街宣
 五月一三日午前一一時半〜@横浜駅西口
五 その他企画等
 また、個々の団体もデモやイベント等を計画しており、神奈川支部としてそれらの取組みにも結集していく予定です。
 五月一三日午後二時〜:デモ@川崎稲毛公園
 五月一九日及び二〇日:憲法劇
 五月三〇日:弁護士会主催の共謀罪をテーマとする集会(海渡雄一弁護士による講演)
六 おわりに
 上記のスケジュールの他にも、各団員は学習会などで共謀罪の危険性を訴え続けています。一つ一つの取組みを通じて、必ず共謀罪を廃案とできるよう、神奈川支部全体で努力していきます。

以上


共謀罪の廃案を求める歴代会長アピールのご報告

千葉支部  守 川 幸 男

 存命の歴代会長三四名中二八名の賛同のもと、「いわゆる共謀罪の廃案を求める歴代会長アピール」を確定して四月二八日に記者会見した。朝、毎、読のいわゆる三大紙への掲載はならず、東京新聞(千葉版)に写真入りで、また、千葉日報、しんぶん赤旗(全国版)にそれぞれ掲載された。
 二年前「安全保障」関連法案のときも同様のアピール運動を行って、三〇名が賛同した。いずれもすべての方と連絡が取れ、賛同率は高いが、今回は少し減った。二年前は二〇数単位会の中で同様の取り組みが行われ、世論にも影響を与えたと思う。
 少し教訓もある。二年前も同様であったが、本来なら、何人かに声をかけて集まってご相談のうえ、というのが正しいのだが、急いで出したいので、進め方には課題を残した。また、公職の関係や立場上やむなく賛同できなかった方や、「歴代会長」としてのアピールに権威主義を感じるとか、もう会長だったことは忘れたいという、配慮すべき意見もあった。もちろん共謀罪に賛成、という方はいなかった。各地で取り組む際の参考にしていただければ幸いである。

千葉県弁護士会 歴代会長アピール
 ―いわゆる共謀罪の廃案を求める―

 千葉県弁護士会所属の皆さん、千葉県民の皆さん
 今日本がどこに向かおうとしているのか、私たちはとても憂慮しています。
 今国会にいわゆる共謀罪が上程され、審議が始まっています。この法案は、テロを名目にして、組織的犯罪集団を取り締まると説明されていますが、計画(法律的には「共謀」)の段階で犯罪が成立し、その集団の一人が、それ自体としては日常的にありふれた準備行為を行っただけで集団の全員を一網打尽にできるものです。これは刑事法の大原則を大きく変更させるもので、捜査段階での濫用が指摘されています。テロ防止というなら、すでに多くの陰謀、予備、準備罪などの法律が整備されています。また、一般国民には適用しないとも説明されていますが、いったん成立した法律が、立法者の説明とは異なって適用が拡大されたり法律「改正」が行われて、戦争に反対する国民までその適用が拡大されていった歴史もあります。現に、国会審議の中で、一般人が対象となることを認める答弁もされています。
 この数年、特定秘密保護法、平和安全保障法制整備法、通信傍受法の適用範囲の拡大と郵政職員の立会い制度の廃止、引き込み型の冤罪のおそれのある司法取引などが、次々と成立したり導入されました。最近では、報道の自由に対する規制や教育勅語の礼賛などを通じて物言わぬ国民づくりが進行しています。憲法をないがしろにして軍事一辺倒の勇ましい意見が声高に呼ばれています。
 このような情勢のもとで、いわゆる共謀罪が成立すれば、国民に対する日常的な監視が強まり、言論、表現の自由や通信の秘密などが侵されて、憲法をないがしろにする日本になることが危惧されます。また、国民の中に、萎縮や自己規制の雰囲気がさらに醸成されていき、政府に対して物言わぬ傾向が強まることになるのではないでしょうか。私たちはこのような日本を決して望みません。
 多くの皆さんが、主権者としてよく考え行動されるよう心から呼びかけます。
 二〇一七年四月二八日

千葉県弁護士会
歴代会長有志二八名
(立場上氏名を公表できない一名を含む)


許すな!!過労死と格差容認の実行計画 安倍「働き方改悪」に反対し、働くルールの確立を求める四・二六決起集会のご報告

事務局次長  種 田 和 敏

 二〇一七年四月二六日、全労連会館二階ホールにて、全労連、自由法曹団、労働法制中央連絡会の主催で、「許すな!!過労死と格差容認の実行計画 安倍「働き方改悪」に反対し、働くルールの確立を求める四・二六決起集会」が開催されました。この集会は、主催三団体が二〇一七年一月から三月まで毎月開催した全三回の安倍「働き方改革」共同批判検討会の総括として位置づけられた集会でした。集会には、各団体を中心に一一八名の参加者で会場がほぼ満席となり、各種報告や討論、決意表明で大いに盛り上がり、安倍「働き方改革」に反対する決意を確認する機会となりました。
 集会では、上田月子団員と国公労連の豊田勝利中央執行委員が司会を務め、冒頭で、労働法制中央連絡会代表委員で婦団連の柴田真佐子会長が、「安倍働き方改革では、長時間労働は是正できず、女性が活躍できる社会にはならない。安倍「働き方改革」に反対し、人間らしい労働、暮らしを実現させよう。」と主催者あいさつを行いました。また、全国過労死を考える家族の会の寺西笑子会長から、「過労死をなくすには長時間労働をなくすことが大切で、その観点から安倍「働き方改革」の議論を見守ってきたが、抜け道の例外規定を設け、残業の濫用がされても違法にならない、むしろ過労死する働き方にお墨付きを与えるようなものになってしまった。これでは過労死するまで働けというに等しく、絶対に賛成することはできない。」と訴え、安倍「働き方改革」に反対し、過労死ゼロを目指し、共に活動していくと連帯のあいさつがありました。
 その後、全労連の伊藤圭一雇用・労働法制局長から、「働き方改革」実行計画の内容や労働政策審議会の動きを踏まえ、「この状況はピンチだが、政府の大々的な宣伝の結果、働き方に関心が集まる今だからこそ、労働者の要求に沿った働くルールの確立に向けた行動を起こすチャンスだ。」として大運動の呼びかけを含む情勢報告がありました。また、今村幸次郎団員から、「過労死ラインの残業を認める実行計画」と題して、「安倍「働き方改革」をつくったメンバーを見れば、生産者、使用者、企業経営者ばかりで、誰のための改革かは明らかで、労働者から見れば、改悪というしかない実行計画が出てくるのは必然だった。」と政府案についての批判的検討の結果が報告されました。さらに、神奈川労連のメンバーから、ヤマト運輸の時間外労働について、マスコミも巻き込んでの行動が大企業を動かした事例についての報告が行われ、会場を大いに活気づけました。
 加えて、青龍美和子団員から、正規・非正規の格差を固定化する安倍「働き方改革」実行計画の批判に合わせて、二○一七年三月に判決が出たメトロコマース事件の東京地裁判決がさらに差別を助長する内容であるとの報告がありました。また、メトロコマース事件の原告も登壇して、差別的な待遇の実態と東京高裁での闘いの支援を訴えました。報告の最後として、女性の活躍と介護に焦点をあてて、婦団連の伍淑子副会長から安倍「働き方改革」に対する批判が行われました。
 集会の後半には、討論と決意表明が行われ、まず長時間労働の実態について、日本医労連やJMITU、自治労連から報告がありました。次に同一労働同一賃金について、郵政ユニオンから労契法二〇条裁判の取り組みの紹介や中村和雄団員から政府の「同一労働同一賃金ガイドライン案」に対する批判的報告がありました。続けて、生協労連から介護現場の不安定労働、自交総連からライドシェアの問題、建交労からトラック運転手の過酷労働、全労働から労基署業務の民間委託について報告がなされました。
 集会の終盤には、鷲見賢一郎団員から、安倍「働き方改革」のねらいと私たちの要求と題して総括的な報告があり、集会アピールの確認が行われ、安倍「働き方改革」の時間外労働の上限規制では不十分極まりないことを示すために、「過労死ラインの上限規制NO!」と書かれたプラカードを集会参加者全員が掲げた様子を撮影し、最後に、全労連の岩橋祐治副議長から、行動提起を兼ねた閉会のあいさつが行われました。
 もちろん、加藤健次幹事長から、完成したばかりのリーフの紹介を含め共謀罪阻止の訴えも行われ、労働組合の弾圧に利用されるおそれが高い共謀罪阻止に向けても団結と大運動の確認ができました。


安倍「働き方改悪」に反対する四・二六決起集会の感想

神奈川支部  田 井   勝

 四月二六日、全労連会館二階ホールでの労働の決起集会に参加しました。
 当日は一一八名も参加され、会場がほぼ満席となり、熱気に満ち溢れていました。
 今回の集会は、全労連・自由法曹団・労働法制中央連絡会の共同主催。安倍政権がすすめようとしている「働き方改革」を検討・分析して批判するための検討会がこれまで三回開かれ、その成果を発表、討論し、行動を決起していく集会として位置づけられました。
 婦団連、全国過労死を考える家族の会からのあいさつの後、全労連の伊藤圭一雇用・労働法制局長から、政府の進めている「働き方改革」実行計画の概要の説明と、すでに労働法制審議会が開かれている等の状況が伝えられるとともに、働き方に関する関心が集まっている今だからこそ、労働者の要求に沿った働くルールの確立を訴え、その行動を起こしていくチャンスである、との発言がありました。
 その後、今村幸次郎団員から、「働き方改革」において定められようとしている上限規制が過労死ラインの残業を認めるものであって、改悪としか言いようがない、このような上限規制について徹底的に批判していく必要があるとの報告がありました。
 また、青龍美和子団員から、本年三月に判決が出されたメトロコマース事件の判決内容の報告があり、正規・非正規の格差を固定化するようなこの判決を批判するとともに、何としても高裁で逆転したいとの決意が述べられました。青龍団員の報告を聞き、メトロコマースで、正規と契約社員の待遇格差がかなり酷いものであること、このような格差を容認した判決が極めて悪質であること、全国で苦しんでいる非正規の格差の是正のためにもこの判決が維持されてはならないことを、改めて認識しました。
 また、神奈川労連の福田議長からヤマト運輸の残業代未払い事案の報告があり、また、郵政ユニオンの労契法二〇条裁判の取り組みの報告があり、そして、中村和雄団員から、政府の「同一労働同一賃金ガイドライン案」に対する批判的な報告がありました。
 そして、鷲見賢一郎団員から、今回の検討会の総括がありました。残業の上限規制は、過労死ラインを合法化するものであること、同一労働同一賃金は何ら実効性がなく、安倍首相が「非正規という言葉を無くす」というのは、実際は、正規社員を無くし、すべての労働者を非正規にすることを目指しているのではないか、と訴えられました。
 今回は、各団体から積極的な発言が続き、大変充実した集会だったと思います。
 政府の「働き方改革」は何ら実効性がありません。むしろ、「やらないほうがいい」とすら思います。そして、そのことについては、多くのメディアも国民も気づき始めています。この問題の根幹を、そして安倍政権が考えていることをもっと世論に訴え続ける必要があります。
 今回の集会や検討会に、大勢の若手団員が参加しています。今後も皆で、活発な討論を続けていければと思います。