自由法曹団通信:1628号      

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加藤 健次 九条改憲阻止の闘いを広げ、安倍政権打倒へ!
〜二〇一八年鳥取・米子五月集会へのお誘い
高橋 敬幸 新緑の五月は海に湯が湧く米子の皆生へおいでください
〜五月一九日、二〇日の五月集会へのお誘い
  五月集会日程のあらまし
松島 暁 *改憲阻止・特集*
専守防衛論とどう向き合うか
―護憲的改憲論批判・再論(下)
大久保 賢一 南北首脳会談はあってはならないことなのか
―毎日新聞社説に対する批判―
谷 真介 内閣官房機密費・情報公開訴訟最高裁判決と開示された文書



九条改憲阻止の闘いを広げ、安倍政権打倒へ!

〜二〇一八年鳥取・米子五月集会へのお誘い

幹事長  加 藤 健 次

一 今年の五月集会は、五月一九日(土)〜五月二一日(月)(一九日はプレ企画)、米子・皆生温泉で行います。
 安倍九条改憲を阻止し、安倍政権を退陣に追い込む運動が大きなヤマ場を迎える時期にあたります。私たちが取り組んでいる課題について、議論を深め、経験を交流し、確信と実践を強める集会にしましょう。多くの団員、事務局の皆さんの参加を心から呼びかけます。
二 裁量労働制の拡大に関する労働時間データの捏造、森友問題に関する財務省文書の改ざんの発覚を契機に、安倍政権に対する批判が大きく広がり、内閣支持率が急落しています。その背景には、国民の声に耳を傾けない強権政治と政治と行政の私物化に対する怒りがあります。まさに、安倍政権の腐敗、劣化を象徴するできごとといえます。国会では、立憲民主党、共産党、社民党、自由党に加え、民進党、希望の党も含めた野党六党が結束して安倍政権と対峙しています。国会周辺では、連日、市民の行動が繰り広げられています。
 この間、安倍政権は、北朝鮮の核開発とミサイル発射実験に対し、「対話のための対話は意味がない」として、トランプ米大統領とともに軍事的対応を強調し、軍拡を進めてきました。そして、国民の不安をあおり、その不安に乗じて、憲法九条の改悪を強行しようとしています。さらに、被爆国の首相でありながら、核兵器禁止条約に一貫して敵対してきました。しかし、対話と外交による解決を求める国際的な世論のもとで、南北首脳会談、さらには米朝首脳会談が開催される見通しとなりました。安倍政権は、国際的にも孤立を深めています。
 このような情勢の激変にもかかわらず、安倍政権は、年内に改憲発議を行う姿勢を変えていません。「安倍九条改憲NO!全国市民アクション」が三〇〇〇万人署名をはじめ、九条改憲反対の声を全国の津々浦々に響かせることによって、改憲案の国会提出を断念させ、安倍政権を退陣に追い込む運動の強化が求められています。
 この間の情勢の変化をどうみるのか。「安倍九条改憲NO!」をどのように訴え、共感を広げていくのか。大いに運動の経験を交流し、議論を深めましょう。
三 沖縄では、安倍政権が民意を無視して辺野古新基地建設を強行しようとすることに対し、粘り強い反対運動が続けられています。今年一月の名護市長選挙では、基地反対を貫いてきた稲嶺市長が敗れるという残念な結果となりました。しかし、闘いはまだこれからです。今秋の沖縄知事選挙で「オール沖縄」の勝利をかちとり、引き続き普天間基地の無条件撤去と新基地建設反対の運動を進めていきましょう。
四 安倍政権は、今国会の「目玉」として、「働き方改革」一括法案を国会に提出しようとしました。しかし、法案は、「定額働かせ放題」法案、過労死促進法案ともいえるものです。また、安倍政権が掲げる「同一労働同一賃金」は、実際には、格差を容認し、さらに拡大させる危険性があります。「看板に偽りあり」というほかありません。さらには、「雇用によらない働き方」と称して、労働法制の規制と保護の及ばない労働者を大量に産み出すことも狙っています。
 安倍政権は、データ捏造問題を受け、裁量労働制の拡大を法案から削除することを決定しました。安倍政権を追いつめた運動に確信をもち、法案全体の国会提出を断念させるために、奮闘しましょう。
 アベノミクスの五年間で、大企業が史上空前の利益を上げる一方、非正規労働者は約四割にまで増え、賃金は下がる一方です。五兆円を超える軍事費の一方で、社会保障に対する切り捨てが進んでいます。この間、多くの団員が生活保護や最低賃金制、年金切り下げの問題など社会保障の課題に取り組んでいます。人間らしい労働と生活を実現するための課題についても、大いに議論し、実践していきましょう。
五 安倍政権は、多数の国民の声を無視して、原発の再稼働を強行し、原発輸出を経済戦略として位置づけています。福島第一原発事故の原因究明すら行われていないのに、あたかも事故がなかったかのように、被害者の救済切り捨ての政策を進めています。これに対して、原発再稼働の差止を命じる訴訟、被害の完全な賠償を求める訴訟が全国で提起され、多くの団員が奮闘しています。原発ゼロをめざす運動では、野党が共同して、「原発ゼロ」法案が提出されました。
 差し止め訴訟では、「逆流」といわれる不当判決が出される一方で、広島高裁では昨年一二月に差し止めの仮処分決定が出されました。損害賠償請求訴訟では、昨年の前橋地裁、千葉地裁、福島地裁に続き、今年三月には、京都地裁、東京地裁、福島地裁いわき支部で判決が言い渡されました。この間の闘いで、事故に対する東電と国の責任を認める大きな流れが作られました。そして、賠償に関する「中間指針」が対象地域においても、賠償額においても、不十分であることも明らかになりつつあります。
 五月集会では、全国の裁判闘争の到達点と課題を確認し、裁判闘争の発展を図るための議論を深めるとともに、「原発ゼロ」を実現する運動を強化していきましょう。
六 このほかにも、団員が取り組んでいる課題は多岐にわたっています。
 昨年の国会では、共謀罪阻止のために全力で取り組みました。法律は強行成立させられましたが、共謀罪の廃止をめざす運動が粘り強く取り組まれ、共謀罪対策弁護団の活動も行われています。
 教育の分野では、道徳教育、家庭教育支援法案など、国家主義、歴史修正主義との闘いが重要な局面を迎えています。また、成人年齢の引き下げを口実とする少年法の適用年齢の一八歳への引き下げに反対する運動を広げていくことも大切な課題です。
 人権を守る団員の活動が広がっているもと、今年は、性をめぐってLGBTの問題を取り上げたいという問題提起があり、分科会を開催することになりました。新しい課題にも積極的に取り組み、深めて行きたいと思います。
七 集会一日目(二〇日)の全体会では、改憲阻止の課題について議論を深めたいと思います。
 分科会は、@憲法・平和、A労働、B貧困・社会保障、C原発、D教育、ELGBTの六つを企画しました。特別企画として、給費制復活関連企画・女性部特別企画「ゆるカフェ」も準備されています。
 プレ企画(一九日)は、新人学習会、事務局交流会に加え、久しぶりに支部代表者会議を開催します。支部代表者会議では、前半で当面する九条改憲阻止の課題を議論し、後半では新人団員の獲得と定着、団事務所の発展について、率直な意見交換を行う予定です。集会の内容の詳細は、次号の団通信でお知らせします。
 尚、本五月集会では、九条改憲をめぐる重大な情勢に照らして、若手団員と事務局に積極的に参加してもらうため、団本部財政から一人一万円の参加費補助をすることにしました。ぜひ、各事務所から、積極的に送り出してください。多くの団員、事務局の皆さんの参加で、今後の諸活動の活力を得る場としましょう。例年どおり、半日旅行、一泊旅行も予定しています。詳しくは、後掲の案内をご覧ください。
 五月一九日〜二一日、米子・皆生温泉でお会いしましょう。


新緑の五月は海に湯が湧く米子の皆生へおいでください

〜五月一九日、二〇日の五月集会へのお誘い

鳥取県支部 支部長 高 橋 敬 幸

 今年の五月集会は、五月二〇日、二一日に鳥取県米子市の皆生温泉(かいけおんせん)を会場として行われます。一九九九年の団総会と同じ会場です。
 前日の五月一九日にプレ企画、新人学習会、事務局交流会があります。
 五月二一日の午後には半日旅行、そして翌二二日にまたがる恒例の一泊旅行もあります。
 皆さんの手帳に「五月一九日から二二日までは米子」と予定を入れて頂き、是非米子の皆生へお出かけください。
一 米子市及び皆生温泉のご案内
 米子市は鳥取県の中で最も西に位置し、その西隣りは島根県安来市です。鮭の遡上の西限且つ南限の地でもあります。
 鳥取県の東に位置する県庁所在地の鳥取市とは日本海沿いにある国道九号線と一部開通の山陰自動車道を車で一時間四〇分の距離です。米子は独自の文化圏・経済圏を形成しています。
 米子は日本海と中海(汽水)に面し、車で二〇分も走れば国立公園大山に行き着きます。大山は冬の国体開催の南限の山です。春は新緑・山菜採り、夏は登山・キャンプ、秋は紅葉・黄葉、冬はスキー・スノボーです。
 米子は海と山とを同時に楽しむことのできるところです。
 会場となる皆生温泉は「海に湯が湧く米子の皆生」と歌われ、一九〇〇年頃に地元の漁師が海底から湯が湧いているのを発見したのが始まりです。目の前に日本海が広がる温泉に浸かりながら「塩の湯」で無意識のタラソテラピーです。温泉の海岸からは新緑の国立公園大山を望むことができます。北には出雲風土記に登場する島根半島が緩やかに伸びています。
 国内屈指の漁港である境港は、皆生温泉から車で二〇分の所にあります(その途中に航空自衛隊基地を共用している米子鬼太郎空港があります。東京便とソウル便が発着しています。)。ついさっきまで日本海を泳いでいた新鮮な魚介類を楽しむことができます。
二 支部の活動などについて
 鳥取県支部の団員は三名です。鳥取市の松本光寿団員(二三期)、米子市の私の事務所(高橋敬幸法律事務所)の高橋真一団員(新六三期)、そして私(三一期)です。
 三名ですので、団としてのまとまった活動はあまりありませんが、古くはスモン訴訟、じん肺訴訟、男女教員退職勧奨差別事件、労働委員会・中労委事件などに取り組んできました。現在も、労働事件、過労死事件、医療過誤訴訟、住民訴訟、行政事件、行政相手の損害賠償請求訴訟などに積極的に取り組んでいます。
 地域の憲法運動、市民運動などにも取り組み、安保法制や現在の安倍改憲問題では多くの講演会の講師をしています。
 私の事務所にはいくつかの事務局が置かれています。市民オンブズ鳥取の事務局、米子九条の会の事務局、鳥取県医療問題弁護団の事務局(共同代表は高橋真一団員と鳥取市の大田原弁護士)、全国B型肝炎訴訟山陰弁護団の事務局などです。私自身も、いくつかの団体の代表をしているほか、弁護士・社会福祉士・司法書士・精神保健福祉士・行政書士・税理士など異業種・多業種の社員で構成する高齢者・障がい者の権利擁護法人の理事長をしています。
 弁護士である以上は弁護士会活動をするのは当然ですので、松本団員はこれまでに鳥取県弁護士会会長、日弁連副会長を、私は鳥取県弁護士会会長を三回、高橋真一団員は現在、刑事弁護センター委員長など二つの委員長と日弁連では労働法制委員会委員など二つの委員をしています。
 米子やその周辺は遺跡の宝庫です。太古の昔から人が営々と暮らしてきた歴史があります。近年は農水省が進めた中海の淡水化を阻止した住民運動があり、現在は、米子の水を守るために、国立公園大山の麓に産業廃棄物処理場を作らせない運動、米子から三〇キロの所にある島根原発(島根県松江市。三号機を建設中)に対する運動などがあります。
三 団恒例の半日旅行、一泊旅行
 総会終了後の半日旅行では、新緑真っ盛りの国立公園大山を訪れます。大山には奈良時代開山の大山寺があり、今年は大山開山一三〇〇年祭が行われています。
 半日旅行、一泊旅行は、このような歴史や自然にふれる旅を予定しています。
 国の重要文化財の阿弥陀堂、阿弥陀三尊像などをご覧頂くほか、大山自然歴史館の専門の解説員から大山の成り立ちとその自然について解説を受け、西日本随一のブナ林の新緑を抜けて、雄大にそびえ立つ大山を五感で体験して頂きます。産廃処理場建設に反対する人たちからの話しも聞く予定です。
 一泊旅行では、これに加えて、アメリカの日本庭園専門誌が行っている日本庭園ランキングの初回二〇〇三年から毎年連続で庭園日本一に選出されている足立美術館(横山大観の日本画などを所蔵)、第二次世界大戦で片腕を失い平和を訴え続けた水木しげるさんの出身地境港の水木しげるロード、一七〇体以上の妖怪ブロンズ像、水木しげる記念館を訪れます。また、加納莞蕾の絵画作品やその運動が展示してある加納美術館にも足をのばします。加納莞蕾は、平和を願い続け、フィリピンの当時のキリノ大統領などに日本人戦犯の助命を嘆願し続け、第二次世界大戦で日本軍に妻子を殺されたキリノ大統領が日本人戦犯一〇八名全員を恩赦して一九五三年に日本に帰しました。館長さんの解説で館内を廻ります。
 一泊旅行は、山陰(兵庫の北・鳥取・島根)の真ん中に位置する米子とその周辺を団の視点で回り尽くす旅です。これまで一泊旅行を「常連年寄り団員の旅行」「自分には関係ない」と一蹴していた団員、「なんとなく参加しにくい」と敬遠していた若い団員の皆さん。騙されたと思って参加してください。ご自身の人生を豊かにするはずです。
 全国の団員の皆さん、事務局の皆さん、御家族の皆さん、米子での五月集会へ是非足を運んで下さい。そして半日旅行・一泊旅行にも。
 心よりお待ちしています。


五月集会日程のあらまし

●五月一九日(土)
【プレ企画】
いずれも午後一時〜五時(予定)

1 新人弁護士学習会
※新人弁護士に限らず、ふるってご参加ください。

◎講師
・岡邑祐樹団員(岡山支部)六三期
「倉敷民商弾圧事件報告〜未曾有の弾圧事件に弁護士はどう対処すべきか〜」
・竹村和也団員(東京支部)六五期
「労働組合とともに取り組む労働事件〜日本航空の一連の弁護団事件を担当して〜」
・高木野衣団員(京都支部)六六期
「原発避難者京都訴訟〜私たちが大切にしてきたもの〜」
◎パネルディスカッション
・今回の講師である三人の若手団員が、新入団員からの団活動に関する質問に答えます。

2 支部代表者会議・将来

 入団者の確保、各事務所の経営と人材育成を中心に、現状の問題の認識を共有し、今後の対策を検討します。

3 法律事務所事務局員交流会

@ 全体会(午後一時〜三時)
 事務局交流会は、全国の団事務所の事務局の方々と一同にお会いできる年一回の貴重な機会です。また、今年の五月集会は戦後最大の憲法の危機が叫ばれる中で行われます。ぜひ多くの事務局の方にお集まり頂き、一緒に学び、交流したいと思います。。各事務所、諸事情等で事務局の参加が難しくなっていると聞いておりますが、五月集会に参加する意義を議論していただき、事務局の参加の確保をお願いします。
 事務局交流会の全体会では、東京支部の白神優理子団員(八王子合同法律事務所)に、「憲法の原点(基礎)と九条改憲でどうなるか?」と題してご講演頂きます。また、講演後には、同じく東京支部の舩尾遼団員と一緒に「九条改憲に関わる争点ごとにディベートをして学ぶ」と題してディベートを行っていただきます。

A 交流会(午後三時一五分〜五時)
 「新人交流会」、「活動交流会」を準備しています。
 詳細については次回の団通信に掲載する予定です。

●五月二〇日(日)
 午後一時〜午後五時四五分(予定)

全体会(午後一時〜三時)

(1)団長挨拶・来賓挨拶
(2)幹事長基調報告
(3)討論(憲法改悪阻止に向けた取り組みを中心に)

分科会 一日目(午後三時一五分〜五時一五分)

(1)憲法・平和分科会(一日目)
憲法改悪阻止についての団の活動、全国の団員の活動の報告
今後の団・団員の取り組みについて

(2)労働・格差・貧困分科会
講演「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」
〜貧困に苦しむ人たちの実態とその背景(仮)
講師 藤田和恵氏(ジャーナリスト)(予定)
質疑応答、討論

(3)原発分科会(一日目)
福島第一原発事故の各損害賠償請求訴訟の結果の報告と今後の損害論充実のための討論
講師:吉村良一教授 原発事故の避難者数名

(4)教育分科会
・報告「少年事件の現場から」(家裁調査官を予定)
・少年法適用年齢引き下げを巡る法制審の議論状況についての報告と今後の取り組みについての討論

特別企画(午後九時〜予定)
夕食懇親会後に二つ開催されます。
事前申し込みは不要です。

*給費制特別企画
 本年七月から給費制廃止第一期である新六五期の貸与金の返済がスタートするなど、給費制問題の状況が変わってきています。現状認識を共有したうえで、今後の運動について各地の団員で自由に議論をします。

*女性部特別企画 ゆるカフェ
「ワーク・ライフ・バランス」 
〜家庭と仕事を両立についておしゃべりしましょう。

 五月集会五月二〇日の夜、創立五〇周年を迎える女性部が恒例のゆるカフェを企画します。
 みなさん、お仕事忙しいですよね。でも、家庭も大切にしたいですよね。
 妊娠、出産、育児、介護とか、色々な問題ありますよね。先輩達はどうやって対応してきたんでしょうか。みんなで意見交換をしませんか?
 女性部員に限らず、団員のみなさま、自由にご参加ください。
お食事の後、まったりと飲みながらお話ししましょう。

●五月二二日(月)
 午前九時〇〇分〜午後〇時三〇分(予定)

分科会 二日目
 (午前九時〇〇分〜一一時〇〇分)

(1)憲法・平和分科会(二日目)
一日目の続き

(2)労働分科会
 以下のテーマについての討論を行います。
・労働法制改悪(データ改ざん問題・高度プロフェッショナル制度)に関する情勢と改悪阻止に向けたたたかい
・二〇一八年雇止め問題
・全国各地の裁判闘争勝利に向けた闘い

(3)貧困・社会保障分科会
 生活保護基準の引き下げ、利用者を追い詰める運用等についての取り組み
 貧困・社会保障をめぐる取り組み等の報告と行動提起

(4)原発分科会(二日目)
 一日目の続き

(5)LGBT分科会
 公的制度の活用、職場、婚姻等におけるLGBT(L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシャル、T=トランスジェンダー)への差別的取り扱いの実態についての事例報告及び差別解消に向けた今後の取り組みについての討論

全体会(午前一一時一〇分〜午後〇時三〇分)
*各地・各分野からのたたかいの報告

会場・宿泊先
 皆生グランドホテル天水
 〒683-0001 鳥取県米子市皆生温泉
 電話 0859-33-3531 FAX 0859-33-3607

●交通のご案内
*別紙、各地からの交通案内をご参照下さい。

問い合わせ先
富士国際旅行社(担当 小野寺さん・谷藤さん)
電 話 03―3357―3377
FAX 03―3357―3317

★ 五月集会参加費用 ★
●会議・宿泊費
 全て事前のお振り込みとなります。
 当日、現金での受付はいたしませんのでご了承願います。
@ プレ企画・研究討論集会参加費(全日参加) 四六、五〇〇円
   (一九日〜二一日の会議、二泊、二夕・二朝食付)
A プレ企画参加費              二四、〇〇〇円
(一九日の会議、一泊、一夕・一朝食付)
B 研究討論集会参加費            二四、〇〇〇円
(二〇・二一日の会議、一泊、一夕・一朝食付)
C プレ企画会議のみ参加(夕食なし・宿泊なし) 五、〇〇〇円
D 研究討論集会のみ参加(夕食なし・宿泊なし) 五、〇〇〇円
(@〜Bのプレ企画・研究討論集会とも、参加費には会場費、資料代、会場設営費等すべてを含みます。CDの会議のみの参加については、プレ企画と研究討論集会に分けてあります。会議のみ両日参加の場合は、合計一〇、〇〇〇円となります。)
(本5月集会に限り、新人団員(六九期・七〇期)及び事務局については、団本部から一人一〇、〇〇〇円援助いたしますので、多数のご参加お待ちしております。)

●ご家族、お子様の参加費用
@家族(会議へ参加されない場合)
参加費 一泊につき、一八、四〇〇円(夕一朝食付)
A子供(子ども用食事、個室チャージ、ベッド等の有無により料金が変動します。個別対応となりますので、富士国際旅行社宛、お問い合わせ下さい。)
●ツインご希望の場合
部屋数に限りがあります。先着順となりますので、富士国際旅行社へ確認を取ったうえでお申し込み下さい。
●ルームチャージについて
二名様一室の場合 一室一〇、八〇〇円

参加申し込み方法
○同封の「五月集会参加申込書」にご記入の上、四月二七日(金)までにお申し込みください。(一人につき一枚のご記入をお願いします。)
○参加費の振り込みについても四月二七日までにお願いします。
○プレ企画について 参加される会議を必ずご記入下さい。
○分科会希望について 一日目、二日目とも必ずご記入下さい。
○キャンセルの場合、宿泊の七日前からキャンセル料が発生しますのでご了承ください(航空券に関しては、三〇日前から発生いたしますので、ご了承ください。)。
○キャンセルに伴う精算につきましては、集会終了後となります。

★参加申込の送り先・参加費の振込先は、ともに富士国際旅行社宛にお願いします。
 三菱UFJ銀行 新宿通支店
 普通 2580145(株)富士国際旅行社
※四月一日より銀行名が変更となっております。

 お振り込みの際には弁護士の肩書きはつけずにお振り込みください。(字数の関係で記帳印字が途中で切れてしまい、送金者の確認ができなくなってしまいます。)
 また事務所で一括入金される場合は、別途内訳一覧表についてもFAXにて富士国際旅行社宛にお送り下さい。

★各地からの配布資料
 五月集会・プレ企画参加者に配布する資料・報告書等は、今のところ四五〇部を予定していますが、部数は参加状況により変動します。配布ご予定の方は、五月連休明けに団本部事務局に部数をご確認下さい。
 配布資料はについては、五月一九日(金)までに「皆生グランドホテル天水」宛にお送りください。
 お送り頂く際には送付伝票備考欄に、必ず「自由法曹団」宛と記載し、「プレ企画○○資料」、「全体会資料」、「○○分科会資料」、「販売書籍」等、荷物の内容がわかる様に明記して下さい。

●現地にて、配布用資料の袋詰め作業を行います。資料についてはA4サイズが基準となりますので、A3・B4サイズの場合はあらかじめ半分に折って頂き、すぐに袋詰め作業が出来る状態でお送り下さい。
●送付する資料は、整理・管理の必要上、事前に文書にて団本部までFAXにてご一報下さい。
●五月一九日(金)に間に合わない資料は、お手数ですが必要配布部数を印刷の上、直接会場までご持参下さい。
●当日持参される場合は、一日目全体会終了後、各分科会会場入口に置くかたちでの配布となりますのでご了承下さい。

♪ 書籍販売
 販売用書籍については、京都のかもがわ出版にお願いしました。
 委託販売ご希望の方は、左記宛にお問い合わせ下さい。
 かもがわ出版 担当・営業・三井さん
 TEL 075-432-2868  FAX 075-432-2869
 email takashi@kamogawa.co.jp

♪ 保育所の設置について
 今年もご希望があれば保育所を設置する予定です。
 ご希望の方は参加申し込み欄にご記入の上、保育士さんの手配の関係上なるべくお早めにお申し込み下さい。
 締め切り日以降のお申し込みの場合は、設置を見送らせていただく場合もありますのでご了承下さい。
 詳細は、後日申し込みのあった方々にご連絡します。
 保育料については、利用者の方の負担額は、利用される参加者一人当たり三千円(宿泊数・お子様の人数が増えても変わりません。)とし、差額については団本部で負担します。

♪ 一泊旅行・半日旅行について
 別紙「オプショナルツアーのご案内」をご覧ください。
 参加ご希望の方は、五月集会申込書に○印をご記入のうえ、集会参加費用と共に、富士国際旅行社宛代金をお振り込み下さい。

※みなさまのご参加をお待ちしております!


*改憲阻止・特集*

専守防衛論とどう向き合うか

―護憲的改憲論批判・再論(下)

東京支部  松 島   暁

究極の専守防衛戦争=ベトナム戦争
 ある意味、究極の「専守防衛戦」を戦ったのは、ベトナム戦争である。フランスやアメリカからの武力攻撃(武力介入)に対し、「独立と自由ほど尊いものはない(ホー・チ・ミン)」として、自国の領土内で武力を持って戦い抜いたのがベトナム戦争である。このホー・チ・ミンの言葉について、『改憲的護憲論』は、「独立」や「自由」という言葉はあっても「平和」が使われていないことに注意せよ、としたうえで、「平和が一番尊いなら、独立戦争をしないという選択肢もあった。(しかし、それは)アメリカの支配を受け入れる平和、いわゆる『奴隷の平和』という選択肢」だという。
 反面、ホー・チ・ミンらの選択は、日高六郎のいう「ベトナム民族玉砕の悲劇」につながりかねなかった決断でもある(もちろん日高は「私はベトナム民族の指導者達が、戦争継続よりも、民族玉砕の危険を回避する道をさぐるべきだったと考えるのではない。私が強く言いたいのは、このようにも残虐な戦争をベトナム民族に強要したアメリカ国家の責任を問いたいということである」と続けているのであるが)。
問題は専守防衛論者の覚悟
 『改憲的護憲論』がベトナム戦争を評価するのは、先述のA愛国心ないしナショナリズムの心情によるものであろう。しかし、そこには日高のいう民族玉砕の危険やベトナム民衆が戦争中に受けた人的犠牲(三〇〇万人の戦死傷者)や物的被害、今も残る枯れ葉剤の後遺症などへの目配りはない。
 しかし、ここで私が問題にしたいのは、ベトナムの指導者達の選択が正しかったか否かではない。私が問いたいのは、沖縄戦や本土空襲同様の犠牲が想定されても、相手方が攻撃した場合にはじめて、領土内で戦うことを国民に強いる覚悟が、専守防衛論を主張する人々においてあるかである。
 領土・領海・領空での被害が発生するくらいなら、先制的に敵基地を攻撃し敵の武力を無力化する、敵地で武力行使することで国土内での被害発生を最小限にするという誘惑、国民的要望があってもこれを断ち切り、専守防衛に徹するという覚悟をもって、自らの主張を展開しているのかである。
「だれの 子どもも ころさせない」ただし
 「安保関連法に反対するママの会」の合い言葉は、「だれの 子どもも ころさせない」であるが、専守防衛論者からすると、この言葉については「だれの 子どもも ころさせない。ただし、領土内での防衛戦争の場合は除く」と言わなければならない。
 また、専守防衛論が正しいと主張する人々は、その防衛戦争のために、自分の子や孫が自衛部隊の一員となることも覚悟をしたうえで主張しているのだろうか。自分や自分の親しい身内は安全地帯に身を置き、それ以外の誰かが代わって、専守防衛戦争を担ってくれるはずだなどという無責任な主張が許されるわけはない。
 さらには、専守防衛戦争を遂行する部隊=自衛隊を肯定する以上、当然に、交戦規定や規律維持のための制度(『改憲的護憲論』はこれの必要性、軍法会議に変わる特殊な裁判を主張する)が必要となるし、その部隊を志願者によってのみでは充足できなければ強制的充足=徴兵制も視野に入れざるをえない。(国防論者からは、専守防衛に徹しようとすれば、現在の自衛隊二五万人体制ではとうてい足りないと主張されている。)
 自国領土が戦場となり、それに伴う多大な犠牲が生まれようとも、場合によっては民族玉砕の危険があろうとも、独立と自由のためには専守防衛戦争を戦い抜くのだ、そのためには自分自身、あるいは自らの子や孫を差し出すことをも厭わず、徴兵制の受け入れも含め自衛の部隊を組織するのだということを覚悟したうえで、それでも専守防衛を堅持するのだというのであれば、それは一つの傾聴すべき見解として、私は敬意を表する。しかし、そこまでの覚悟をもって専守防衛論を唱えたり護憲的改憲論を主張する論者に出会ったことがない。
誘惑にさらされる専守防衛論
 団通信一六二一号で、大阪の小林団員は、矢崎団員の提起を受けて、「『本気』が、『殺すくらいなら殺される、という凄まじい覚悟』というなら、僕にはそんな覚悟は全くない」と応じた。しかし、「覚悟」という点からは、専守防衛の立場において求められる覚悟も、非戦平和を唱える場合のそれも、さほど大きな違いはない。人的犠牲が確実に想定される分、前者の覚悟の方がより厳しいものであるかもしれない。
 「専守」防衛などと格好をつけず、普通の国の軍隊を容認し、軍事は自衛隊という他人に委ね、出来るだけ国土に被害が及ばないよう、先制的だろうが他国の領土だろうが、軍事合理性にしたがって適切な対処、有効な軍事行動を許すというのが、最も覚悟を要しないのかもしれない。その意味では、専守防衛論は、純粋国防論へ移行する誘惑(二極化の危険)に常にさらされている。
専守防衛の世論とどう向き合うか
 国民の大多数が、覚悟の要らない道を選択するというのであれば諦めるしかないのだが、この国の人々の平和意識は、まだ捨てたものではないと思う。そこで多数派=専守防衛論といかに向き合うかである。
 @の漠然とした不安感、Aのナショナリズムの心情、Cの横並び意識等に対しては、国家間の紛争を武力によって解決しようとすれば、仮に防衛戦であったとしても、双方に癒やしがたい戦禍を生むこと、逆に、防衛の必要性を第一義的に優先すれば、安心感を求めて先制攻撃や他国への侵略(かつての防衛圏構想)に踏み出す危険を訴え、防衛意識の自己増殖増大の危険を批判し極力その抑制を求めることになる。他方で、Bの正義感や道徳観、Dの戦後築き上げてきた他国からの信頼、Eの立憲主義こそが正しく堅持する価値であり政策であると激励しなければならない。
 そうだからこそ、私たちは、専守防衛という多数派の世論にこの身を埋没させてはならず、また、『改憲的護憲論』をはじめとする亜流改憲論者の発する耳触りの良い言説に惑わされることなく、非戦平和を堅持し、その立場から、専守防衛の国民世論に対し、「防衛論」への傾斜を戒め、その膨張の抑止を求めるとともに、「専守」の心情を励まし、非戦平和の陣営に加わることを求めていくべきである。(終)

(二〇一八年三月一一日記)


南北首脳会談はあってはならないことなのか

―毎日新聞社説に対する批判―

埼玉支部  大 久 保 賢 一

 毎日新聞二月一一日付社説は「平和攻勢に惑わされるな」と題されている。そこでは、金与正北朝鮮特使の南北首脳会談の提案は、「筋の悪いくせ球だ。独裁者のエゴを貫くために計算され尽くした甘い言葉に、惑わされてはいけない」、「南北の首脳会談を必要としているのは北朝鮮である。そこを見誤ると、核を温存したまま国際包囲網を突破しようとする北朝鮮に手を貸すことになってしまう」という主張が展開されている。要するに、韓国の文在寅大統領に、北朝鮮の金委員長と会談してはならないと釘を刺しているのである。
 この社説を読んだとき、毎日新聞は正気でこんな主張をするのかと目を疑ったしまった。
 分断国家の一方当事国が他方の当事国に首脳会談を呼び掛けていることに対して、口を極めて反対しているからである。この社説を素直に読めば、毎日新聞は、朝鮮半島の分断状態が平和的に解決されることに反対しているかのようである。南北朝鮮の対立が解消されることは、朝鮮半島に平和をもたらすことになるし、ひいては、北東アジアの平和と安定に寄与することになる。それは、単に北朝鮮にとってだけではなく、韓国や日本にとっても望ましいことであろう。そのために、南北朝鮮の首脳会談は必要不可欠なプロセスである。それに反対することは朝鮮半島の平和を望まないということであろう。「平和攻勢に惑わされるな」という主張は、「非平和的に振舞え」と扇動していることと同義である。結局、毎日新聞は、文大統領に首脳会談を拒否して、軍事的解決をしなさいと勧めているのである。なんともおぞましい社説である。
 今、私たちが絶対に避けなければならないのは、朝鮮戦争の再燃である。仮に、北朝鮮と米韓(プラス日本)の軍事衝突が発生すれば、北朝鮮は、アフガニスタンのタリバン政権やイラクのフセイン政権のように消滅するかもしれないけれど、韓国や日本にも深い傷跡を残すことになるであろう。加えて、核兵器が使用されれば、その影響は全地球的なものになるであろうし、将来世代にも負の遺産を継承させることになるであろう。社説にはこの視点が全く欠けているのである。
 社説は、北朝鮮がこのような呼びかけをしたのは、経済制裁の苦境を打開するためであり、米国による軍事的圧迫も負担になっており、軍に不満がたまれば、権力基盤にも影響が出かねない、このような閉塞状態を突破するために対話に前向きな文政権に狙いをつけたのだとしている。合わせて、北朝鮮は大規模な軍事パレードを行ったし、その中でICBMも登場させた。北朝鮮には、核の放棄などする意思はない、とも指摘している。
 北朝鮮が、国際社会による経済制裁や米韓日による軍事的圧迫によって、国力を疲弊させ貧困や社会不安を増大させていることは容易に推察できるところではある。そして、その打開策を講ずることは、独裁者が支配しているかどうかにかかわらず政府としては当然のことであろう。それを異常な行動と責める理由はない。北朝鮮にも人民大衆がいるからである。また、対話に積極的な文大統領の姿勢が責められなければならない理由もない。
 社説はその対話を優先する姿勢も気に食わないようである。ついでに言っておけば、軍事パレードなど自衛隊もやっているし、ICBMを持ってはいけないという国際法規範はない。
 ところで、社説は、朝鮮半島の非核化につながらない対話は意味がないなどともいうが、米国の核や日韓がその核の傘の下にあることについては何も触れていない。日米韓の核依存(核抑止・拡大核抑止)を放置したまま、北朝鮮に核の放棄を迫ったとしても説得力はない。休戦状態にある当事国の一方が他方に対して核武装制限を迫っているだけだからである。毎日新聞の万能川柳欄に「俺は持つきみは捨てろよ核兵器」という句が掲載されたことがある。その伝でいえば、社説は「俺は持つおまえは持つな核兵器」という論理が北朝鮮に通用すると考えているかのようである。
 毎日新聞が、本気で朝鮮半島の非核化を望むのであれば、米国の核による北朝鮮に対する威嚇を解消することも合わせて主張しなければ、核超大国米国寄りの不公正かつ不公平な議論にしかならないであろう。北朝鮮に核武装を強いているのは、米国の核であることを無視することは半可通な議論でしかない。しかもその米国は、核兵器禁止条約を敵視しているだけではなく、核使用の敷居を下げようとしているのである。そして、日本政府はその姿勢に何ら異議を唱えないどころか、高く評価するとしているのである。
 北朝鮮提案を「独裁者のエゴを貫くために計算され尽くした甘い言葉」などと切り捨て、その提案に誠意をもって応えようとする文大統領の姿勢を「成果を急ごうとする危うい態度」などと冷ややかに見ることは、朝鮮半島の非核化を遠ざけるだけではなく、日本も巻き込む核戦争への悲劇を誘導する役回りを果たすことになるであろう。
 毎日新聞のこの社説はいたずらに感情的で、好戦的なものであって、到底賛同することはできない。一読者として猛省を促す次第である。

(二〇一八年二月一二日記)


内閣官房機密費・情報公開訴訟最高裁判決と開示された文書

大阪支部  谷   真 介

一 内閣官房機密費情報公開訴訟とは
 内閣官房機密費(報償費)は、内閣官房長官の政治判断によって支出される経費として、国民の税金から毎年一〇億円以上が予算に計上され、国庫から月約一億円が継続的に内閣官房長官に支出されてきました。内閣官房長官は毎月約一億円の税金を使途を明らかにせず自由に使ってきたのです。
 内閣官房機密費は、二〇〇二年に日本共産党にもたらされた内部資料によって、初めて世の中で問題視されました。加藤紘一氏が官房長官だった時代の一九九一〜一九九二年の一四か月間の機密費の一部の使途を記したものでした。これには、党内対策や野党対策の流用、「パーティ券」等の事実上の政治献金としての党略的流用、「長官室手当」、「秘書官室手当」等の私的費用としての流用を疑われる内容が記載されていました。その他、野中広務氏や鈴木宗男氏などがマスコミのインタビューで、機密費が国会対策、選挙対策等で使用されてきた事実を告白するなど、常々不適切な使用が疑われていました。
 二〇〇六年一〇月、上脇博之教授(神戸学院大学)が、二〇〇五年四月から二〇〇六年九月までの細田・安倍の両官房長官時代の官房機密費の支出関係文書の情報公開請求を行いましたが、「内政外交等の事務の円滑効果的な遂行に重大な支障」、「他国との信頼関係が損なれ、交渉上不利益を被るおそれ」に該当するという理由で全面不開示決定がされ、二〇〇七年五月、大阪地裁に不開示決定処分の取消訴訟を提起(一次訴訟)しました。その後、二〇〇九年八月に衆議院総選挙で自民党が民主党に歴史的惨敗を喫して政権交代が実現した際、政権を明け渡すことが決まっているにもかかわらず自民党政権最後の河村官房長官が交代までの約一〇日間に二億五千万円もの官房機密費を請求したことが発覚し(通常は月一億円)、不正利用があったのではないかという疑いで別途情報公開請求、提訴しました(二次訴訟)。さらに、第二次安倍政権における菅官房長官が二〇一三年に支出した官房機密費の支出関連文書についても、別途情報公開請求、提訴しました(三次訴訟)。
二 分かれた高裁判決と最高裁判決
 裁判になってはじめて、官房機密費の支出が官房長官自体が出納管理をする「政策推進費」、事務取扱者にさせる「調査情報対策費」、「活動関係費」という三類型に分類されていること、また支出関係書類として、政策推進費受払簿、出納管理簿、支払決定書、報償費支払明細書という文書が存在することが判明しました。
 地裁での判決はいずれも、若干開示の範囲に差はありましたが、概ね支払相手方と具体的使途が判明しないものについて開示を命じる判決でした。これは一次・二次訴訟の高裁判決でも維持されました。ところが、三次訴訟の高裁判決では、一転、相手方や使途の記載が無い文書でも、そのときどきの情勢によって相当程度特定され内閣の事務の遂行に支障が生じるおそれがあるとの理由で実質全面不開示の逆転敗訴となりました。結論が分かれた高裁判決が最高裁で争われることになり、二〇一七年一二月に最高裁第二小法廷(山本庸幸裁判長)で弁論が開かれ、二〇一八年一月一九日に三件の最高裁判決が言い渡されました。結果は、一次訴訟・二次訴訟の大阪高裁判決より開示範囲を狭める一部開示ではあったものの、国側が抵抗を示していた官房機密費の本丸である政策推進費に関する文書を開示せよという内容でした。開示範囲を狭めたとはいえ、これまで一切開示しない態度を貫いていた国にとっては痛手であり、最高裁は最低限の仕事をしたと評価できます。
三 その後の国の対応と開示された文書
 最高裁判決後、菅官房長官は会見で「最高裁判決を重く受けとめ、適切に対応したい」と述べたにもかかわらず一向に開示されず、二か月が経ちついに一〇年越しで文書が開示されました。
 開示された文書からは、各官房長官が官房機密費を月一億円あまり支出していること(これまでは国庫からの入金しか明らかになっていませんでした)、そのうち約九割が官房長官自らが領収書無しに自由に使用できる「掴みガネ」「闇ガネ」の政策推進費として使用されていること、河村官房長官は民主党政権への交代直前のわずか六日間で二億五〇〇〇万円もの巨額の政策推進費を支出したこと、年度替わりや官房長官交代時には一度使い切り金庫をカラにしている実態等が判明しました。私たちは、これらの開示を受け、菅官房長官に対し、官房機密費の支出について記録を残すこと、政治家やマスコミ(世論誘導のおそれがあるため)への支出を禁止する内規を策定すること、五〜二五年後に使途も含めて開示し不正使用を抑止することを提言する要求書を提出しました。
 最高裁判決直後、私たちは「闇支出の一端に光」という勝訴の旗を出しました。税金使途に関する情報は本来は主権者たる国民のものです。「一端に光」を与えたこの最高裁判決をきっかけに、国民自身、そして国民の付託を受けた国会において、「官房機密費は本当に必要なのか」、「国民が監視できなくて良いのか」について真剣に議論されることを期待します。
(弁護団は阪口徳雄、徳井義幸、谷真介ほか)