第1799号 1/21

カテゴリ:団通信

【今号の内容】

●ウーバーイーツユニオン都労委事件勝利命令のご報告  鈴木 創大

●鶴川高校事件の中労委和解――常勤講師の雇止めを 撤回させ専任教諭で復職  志田 なや子

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コロナ禍に負けない!貧困と社会保障問題に取り組みたたかう団員シリーズ ⑲(継続連載企画)

 ●生活保護廃止決定処分取消請求事件  山本  直

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●『壊憲』阻止へオンライン署名を広げてください!  平井 哲史

●種子法廃止・違憲無効確認訴訟、オンライン署名への賛同をお願いします!!  田井  勝

●木村団員の質問への回答  今村 幸次郎

●追悼・渡辺京二−歴史の解釈と体験  松島  暁

●平和な正月にニュースを読む  永尾 広久

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【京都総会報告(その7)】

◆事務局次長就任のご挨拶    坪田  優(東京支部)

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 ■トランスジェンダーについて考える学習会のご案内  永 田  亮

■第8回「先輩に聞く~労働事件をどうたたかってきたのか、これからどうたたかうのか~」開催のお知らせ  髙 橋  寛

■「共生」について考える連続企画 開催のお知らせ~このまま続けていいの?技能実習制度~

■敵基地攻撃能力保有の閣議決定に反対する集会のご案内


 

ウーバーイーツユニオン都労委事件勝利命令のご報告

東京支部  鈴 木 創 大

1 はじめに
 2022年11月25日、東京都労働委員会は、Uber Japan株式会社(以下「ウーバージャパン」といいます)、Uber Eats Japan合同会社 (以下「ウーバーイーツジャパン」といい、両社をあわせて「会社ら」といいます)が、同社らが運営する「ウーバーイーツ」の配達員によって構成されるウーバーイーツユニオンとの団体交渉を拒否したことは不当労働行為にあたるとして、救済命令を交付しました(以下「本命令」といいます)。
 本命令は、いわゆる「デジタルプラットフォーム」のもとで働く者の、労働組合法上の労働者性を日本で初めて認めた命令になります。
2 ウーバーイーツ事業の概要
 ウーバーイーツは、①飲食店と、②飲食物を注文する注文者と、③配達員とをアプリ上で結び付け、飲食店が提供する飲食物を注文者に届けるサービスを提供する事業です。
 ウーバーイーツ事業では、アプリで注文者が飲食店に飲食物を発注し、飲食店が注文に応ずると配達員に配達リクエストが送信され、マッチングが行われます。そして、配達員が配達に応じられる旨を通知すると、配達員は飲食店に移動して飲食物を受け取り、注文者に配達することになります。
3 申立に至る経緯
 2016年9月、日本でウーバーイーツ事業が開始され、以降、配達員の数は急速に増加していったところ、配達員の得られる報酬計算に疑義が生じる、配達中の事故に対して適切なサポートがなされないなどの問題が配達員の間で共有されていきました。
 そのため、配達員らは、その労働環境を改善するために、2019年10月3日、ウーバーイーツユニオンを結成し、同年10月8日及び年11月25日に、事故に対する補償や距離計算の誤り等を議題とする団体交渉を申し入れました。
 しかし、会社らは、配達員は労働組合法上の「労働者」ではない等として、いずれの団体交渉も拒否しました。そのため、ウーバーイーツユニオンが、2020年3月16日、東京都労働委員会に対し、ウーバージャパン及びウーバーポルティエジャパン(現ウーバーイーツジャパン)への団体交渉応諾命令等を求めて救済を申し立てたのが本件です。
4 本命令について
⑴ 本命令は、配達員が労組法上の労働者に当たるか否かについては、会社らと配達員との間の関係において、労務供給関係と評価できる実態があるかという点も含めて検討し、①事業組織への組入れ、②契約内容の一方的・定型的決定、③報酬の労務対価性、④業務の依頼に応ずべき関係、⑤広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束、⑥顕著な事業者性等の諸事情があるか否かを総合的に考慮して判断すべき、という判断枠組みを採用しました。
⑵ 事業組織への組み入れ
 本命令は、ウーバーイーツ事業を成立させ収益を上げるためには、多くの配達員を確保する必要があり、会社らが、評価制度やアカウント停止措置等により、配達員の行動を統制し、配達業務の円滑かつ安定的な遂行を維持していること等を認定し、これらの事情からすると、ウーバーイーツ事業は、配達員の労務提供なしには機能せず、配達員は、会社らの事業の遂行に不可欠な労働力として確保され、事業組織に組み入れられていたというべきである、との判断を示しました。
⑶ 契約内容の一方的・定型的決定
 本命令は、契約書の内容や配送料について会社らが一方的に決定していること等の事情から、契約内容の決定及び変更のいずれにおいても、対等な関係性は認められず、会社らが一方的・定型的に決定しているとの判断を示しました。
⑷ 報酬の労務対価性
 本命令は、配達員に支払う配送料(配送基本料及びインセンテイプと称する追加報酬)はいずれも、配達員が自ら行う労務の提供に対する対価としての性格を有するものであるということができるとの判断を示しました。
⑸ 業務の依頼に応ずべき関係
 本命令は、配達員は、アプリをオンラインとするか否か、どの時間帯で、どの場所で配達業務を行うかは自由であり、配達リクエストを拒否しても、具体的な不利益を受ける旨の定めは特になく、業務の依頼に応ずべき関係にあったとまではいうことができないとしました。
 しかし、本命令は、組合員である配達員が、配達リクエストを拒否すれば、配達リクエストの送付件数が減るなどの不利益を受ける可能性があるとの認識を持っていたことは否定できない等として、場合によっては、配達員の認識として、配達リクエストを拒否しづらい状況に置かれるような事情もあったことがうかがわれる、との判断を示しました。
⑹ 広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束
 本命令は、配達員は、業務を希望する時間帯に希望する場所でアプリをオンラインにすることができ、どの時間帯にどの場所で業務を行うかは全くの自由であることからすると、配達員は、少なくともどの時間帯にどの場所で業務を行うかについて、会社らからの拘束を受けているということはできないとしました。
 しかし、本命令は、「配達パートナーガイド」(配達員のマニュアル)によって、配達の基本的な流れ、配達中のトラブル対応等の配達業務の手順に加え、求められるマナーや挨拶の仕方等配達員の心構えや接客態度等についても、詳細な指示を受けていることから、広い意味で会社らの指揮監督下に置かれて、配達業務を遂行していると判断しました。
⑺ 顕著な事業者性
 本命令は、配達員は、バイクや自転車等の配達手段を自ら保有しているものの、独自に固有の顧客を獲得したり、他人労働力を利用することはできず、自己の才覚で利得する機会はほとんどないし、配送事業のリスクを負っているともいえないことから、配達員が顕著な事業者性を有しているということはできないとの判断を示しました。
⑻ 結論
 本命令は、これらの事情を総合的に勘案すれば、本件における配達員は、会社らとの関係において労組法上の労働者に当たると解するのが相当であると結論付けました。
5 おわりに
 本命令に対しては、2022年12月7日付けで、会社らにより、中央労働委員会に再審査申し立てがされており、団体交渉は未だ実現できておりません。
 団体交渉の実現に向けて、引き続き尽力していきたいと思います。
※編集担当より:東京支部ニュースと共有させて頂きます。

 

鶴川高校事件の中労委和解――常勤講師の雇止めを撤回させ専任教諭で復職

神奈川支部  志 田 な や 子

(はじめに)
 鶴川高校教職員組合(以下、組合という)が、常勤講師組合員Aさんの雇止めと専任教諭組合員Bさんの定年退職後の再雇用拒否、専任教諭組合員5名の担当教科授業時間数の大幅削減について、東京都労働委員会に不当労働行為であるとして救済申立をしていたところ、2021年12月に全面勝利命令がなされた。学園が再審査請求を行い中央労働委員会において係争中であったが、2022年11月28日に和解協定が成立した。この事件について報告する。
(事件の概要)
 Aさんは、1991年から鶴川高校で1年契約の常勤講師として専任教諭とまったく同じ仕事をしてきた。組合の一員として、常勤講師の専任教諭化など組合活動の中心的な役割をになってきた。Aさんと学園との雇用契約は26回にわたって更新されていたが、学園は2018年3月末をもってAさんを雇止めにした。
 この雇止めはAさんが常勤講師の賃金差別是正を求める裁判を提訴したことなどに対する報復であり、不当労働行為にほかならない。常勤講師の基本給は1998年度まで専任教諭と同じ給料表にもとづき毎年定期昇給されていたが、学園は1999年度から一方的にこれを打切った。2001年以降、専任教諭に対しても基本給定期昇給を一方的に打切った。専任教諭組合員は東京地方裁判所八王子支部に提訴し、裁判所は毎年給料表に従って定期昇給するとの労使慣行が成立していたと判断し、専任教諭組合員の請求を認める判決がなされた。Aさんは、2016年8月に常勤講師に対する定期昇給打切りを是正しないのは賃金差別であるとして、東京地裁に提訴した。2019年3月、この賃金差別について、裁判所は、常勤講師の基本給についても毎年定期昇給をすると労使慣行が成立していると判断し、勝訴判決をなした。学園はこの賃金差別裁判中の2018年3月末にAさんを雇止めにしたのである。
 2019年2月19日、組合員Bさんは誕生日定年をむかえ、定年後再雇用の希望申出を行ったが、学園はこれを拒否した。学園は、Bさんの再雇用を拒否することにより、組合員を職場から排除しようとしたのである。
 2019年4月、同年度の授業時間の割当てが行われたが、学園は組合員5名、C、D、E、F、Gさんの担当教科の授業時間を大幅に削減した。
(都労委命令)
 組合は都労委に、Aさんの雇止め、Bさんの再雇用拒否、組合員5名の教科の授業時間時間大幅削減について、不当労働行為に該当するとして、救済申立を行った。
 さらに、Aさんに対する雇止めについて、東京地裁に雇用関係存在確認等請求訴訟を提訴した。雇止めには客観的合理的な理由がなく労働契約法違反であり、組合員であるAさんを無期転換権の行使前に学園から排除することを目的とする不当労働行為であると主張した。2021年3月、東京地裁はこの主張を認め、雇用関係の存在を確認し、基本給の定期昇給がなされたものとして算出した未払い賃金の請求を認める全面勝訴の判決をなした。
 2021年12月、都労委は、①Aさんの雇止めを不当労働行為であると認め、2018年4月1日以降、更新したものとして取扱い、原職相当職へ復帰させ、賃金相当額を支払わなければならない、②Bさんの再雇用拒否を不当労働行為であると認め、2019年2月20日付で再雇用し雇用契約を更新したものとして取扱い、同人を復帰させるとともに、賃金相当額を支払わなければならない、③組合員5名の2019年度の担当教科を大幅に削減したのは不当労働行為であると認め、非組合員と差別的な取扱いをすることにより、不利益に取り扱い組合の運営に支配介入してはならない、④学園に対しポストノーティスを命ずる、との勝利命令をなした。
(中労委和解)
 学園はこの都労委命令に対し、2021年12月に再審査請求を行った。また、学園はAさん勝訴の東京地裁判決に対して控訴していたが、東京高裁は2022年6月に学園の主張を退ける判決をなしていた。
 この間、2021年に学園理事長が変わり、2022年6月の東京高裁判決後、労使紛争の解決に向けて、頻繁に団体交渉が行われるようになった。組合は学園との団体交渉を積み重ね合意に達し、2022年11月28日、中労委で和解協定が成立した。Aさんは2023年4月から職場復帰し、しかも専任教諭になることが合意された。組合は結成時から常勤講師の専任教諭化を要求して活動してきたから、長年の努力がようやくみのったのである。Bさんについては、学園は再雇用し契約更新したものとして取り扱うが、任意退職をすることで合意した。学園は、組合員5名に対する教科の授業時間の大幅削減を不当労働行為と認め、今後、組合員に対する差別的取扱いを行わないと合意した。
(その他の都労委事件)
 組合は、上記都労委事件の他に、2019年に都労委に不誠実団交等の不当労働行為の救済申立を行い、係争中である。
 学園は、2020年度中に誕生日定年をむかえた3人の組合員(C、D、E)の再雇用を拒否し、2022年度早々に組合員Fさんの再雇用を拒否している。職場に残った組合員はGさん一人になり、学園はまさに職場から組合員を排除し、組合を壊滅させようとしていたのである。2020年に再雇用を拒否された3人について、組合は都労委に救済申立を行い、組合員3名は東京地裁に雇用関係存在確認等請求訴訟を提訴し、係争中である。現在、定年後再雇用を拒否された鶴川高校教組の教員4人の争議がまだ解決されないまま係争中である。都労委での解決をめざし、組合と学園との間で団体交渉が行なわれる予定であり、解決の最終段階をむかえている。
 不当労働行為事件を担当したのは、江森民夫団員、斉藤豊団員、中野直樹団員、私である。Aさんの雇用関係存在確認等請求事件を担当したのは、江森団員、中野麻美団員、中野団員、齋藤園生団員、川合きり恵団員、私である。
※編集担当より:東京支部ニュースと共有させて頂きます。

 

コロナ禍にまけない!貧困と社会保障問題に取り組みたたかう団員シリーズ ⑲(継続連載企画)

 

生活保護廃止決定処分取消請求事件

山口県支部  山 本  直

【事 件 名】生活保護廃止決定処分取消請求事件
【事件番号】山口地方裁判所判決 平成30年(行ウ) 第16号
【判決日付】令和4年10月19日
【判示事項】生活保護を受給していた原告が、世帯員(未成年)の収入につき、収入申告するよう指導指示を受けたものの、再び世帯員の収入を申告しなかったため、指導指示違反を理由に生活保護廃止の処分を受けたところ、裁量権の逸脱又は濫用があったとして、同処分が取り消された事例
【参照条文】生活保護法27条1項、62条1項、3項

1 事案の概要
 本件は、生活保護を受給していた原告が、世帯員(未成年)の収入を申告しなかったため、処分行政庁が生活保護法(以下「法」という。)27条1項に基づき収入申告するよう指導指示を行ったものの、原告が再び世帯員の収入を申告しなかったため、処分行政庁が指導指示違反を理由に法62条3項に基づき生活保護廃止の処分(以下「本件処分」という。)をしたところ、裁量権の逸脱又は濫用があったとして、本件処分が取り消された事案である。
2 本件判決の判断
 本件の争点は、①裁量権の逸脱又は濫用の有無、②書面による指導指示違反(法62条3項)の有無、③報告義務違反(法28条5項)の有無、④本件処分の理由不備の有無である。
 本件判決は、基本的には社会観念審査を軸とする裁量濫用型審査を採用しているが、本件処分が生活保護が憲法に由来する重大な権利を剥奪する処分であり、被保護者が要保護状態にある場合は保護が優先されることから、指導指示違反の重大性等だけでなく、将来において指導指示事項が履行される可能性、保護の「停止」を経ることなく直ちに保護を「廃止」する必要性・緊急性、保護の廃止がもたらす被保護世帯の生活の困窮の程度等も総合考慮し、本件処分は社会通念に照らし著しく妥当を欠いていたとして、裁量権の逸脱又は濫用を認め、本件処分を取り消した。
 なお、その他の争点については、原告の主位的主張(裁量権の逸脱又は濫用)が認められたため、判断されていない。
3 評価
 本件訴訟の主たる争点は、世帯主たる原告が二男の収入を認識していたかであった。本件判決は、親権者だからといって当然に二男の収入を知っていたとは認められないとして、本件訴訟で現れた様々な事情を詳細に検討し、原告の認識を否定した。社会観念審査の場合、社会観念(社会通念)から著しく乖離した場合に裁量権の逸脱又は濫用が認められるため、司法審査の密度は低くなりがちであるが、本件判決は、生活保護の廃止が重要な権利の剥奪であることから、処分行政庁の判断を尊重する立場を取らず、かなり踏み込んだ判断を行い、実質的に判断代置型審査を行っている。世帯主が世帯員の収入を認識していなかったと認定された事例は珍しいと思われ、今後の実務上参考になると思われる。
 本件判決は、処分結果だけでなく、被告の意思決定の過程も詳細に検討している。無差別平等の原則(法2条)からすれば、指導指示違反を理由とする保護の廃止は、あくまでも指導指示違反の再発を防止して適正な保護行政を実現する限度で認められる。しかし、本件処分の当時、原告宅は二男が転出し、今後は指導指示違反(世帯員の就労収入の無申告)が発生する可能性がなかったから、もはや保護を廃止する必要性は消滅していた。仮に何らかの処分が必要でも、まずは保護の停止を試み、それでも効果が見込めない場合に保護の廃止を検討すべきだが、原告において直ちに保護を廃止する必要性・緊急性はなかった。また、原告は生活保護以外に収入を得る見込みがなかったから、保護が廃止されれば、直ちに深刻な困窮に陥るが、被告の担当職員らが保護廃止後の原告の生活状況について慎重に検討した形跡はない。このように、処分結果だけでなく、被告の判断過程にも問題があった。
 本件訴訟では、世帯主の認識が指導指示違反の主観的要件となるか争われた。世帯主の認識を要求する立場(要件説)によれば、本件判決が原告の認識を否定した時点で処分要件が欠けるので、直ちに違法となろう。しかし、本件判決は、世帯主の認識が主観的要件となるか明言せず、原告に認識がなかった事実を裁量権の逸脱又は濫用を基礎づける一要素として考慮するに止めている(要素説)。世帯員の収入を世帯主が認識していたことは、指導指示違反の主観的要件となるのか、裁量権の逸脱又は濫用を判断する一要素に過ぎないのか、今後の課題となろう。
 本件訴訟では、被告が保護廃止の処分理由として報告義務違反(法28条5項)を追加したため、その有無も争点となった。保護が廃止された事案において、処分理由の追加が認められるかは、これまで明確に論じられていないようであり、今後の課題となろう。
 本件判決は、報告義務違反の有無を原告の予備的主張と位置づけたが、正確には原告の請求原因ではなく、被告の抗弁となるから、たとえ原告の主位的主張を認めても、本件処分を取り消すに当たって、処分理由の追加が認められないことを説示するか、報告義務違反の不存在を認定する必要があったように思われる。

 

『壊憲』阻止へオンライン署名を広げてください!

事務局長 平 井 哲 史

 昨年12月に岸田内閣は「安保3文書」を改定し、「専守防衛」すら踏み越える「敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有」をうたい、「5年で43兆円」を注ぎ込む大軍拡路線に乗り出しました。そして、財源づくりのために通常国会では増税提案を出してくる見込みです。
 安倍政権の下で集団的自衛権の行使容認に踏み切ったうえで、今度は装備も体制も整えようという岸田政権のこの方針は、文字通り「壊憲」の道をひた走るものとなります。そして、12月5日付団長声明でも指摘しているように、安全保障面からも、財政面からも国民に危機をもたらす危険な路線と言えます。本気で「いざとなったら戦争をする」構えです。
 それだけに、これまで以上に本気で止めにかかる必要があります。工夫のしようはいろいろあるかと思いますが、手をこまねいて立ち止まっているわけにはいきません。すでに各地で街頭宣伝や学習会などの取り組みが始まっていることと思いますが、団本部では、3つのことをやることとしました!
 ①知恵の結集=1・28憲法討論集会@全労連会館
 ②世論の喚起と集約=敵基地攻撃能力の保有と防衛費倍増・防衛増税に反対するオンライン署名
 ③発信の強化=一般視聴用の短編解説動画の配信(計画中)
※すでに神奈川支部で始めておられますが、本部でも計画中です。
 昨年の国葬反対のネット署名は短期間に12万人の方の賛同をいただき同趣旨の署名キャンペーンをおこなった方々とともにchange.orgの年間大賞を受賞しました。その勢いをかって、今回も岸田政権による壊憲の動きを止める大きな世論づくりのツールとしたいと思います。
<全国の皆様に呼びかけます>
 是非とも、オンライン署名を成功させ、岸田政権の暴挙を止めましょう。
① まずは自ら下記のURLから「一押し」を。
https://chng.it/2Hqrf2Ng
② このオンライン署名の拡散をお願いします。
※ 所内、家族、付き合いのある団体・個人への呼びかけのほか、ご自身のブログやtwitterでの拡散も大歓迎です。
【初めてオンライン署名を利用される方へ】
オンライン署名(change.org)を利用されたことのない方は、以下の操作で賛同できます。
①上記リンクをクリックする
※ 団通信を冊子でお読みの方は、団のHPにアクセスしていただき、トップページの「お知らせ」のところの『専守防衛を空洞化する敵基地攻撃能力の保有に反対します!』オンライン署名・・・をクリックすると、「オンライン署名を開始しました」という案内ページに飛ぶので、そのページの左上にある「オンライン署名サイトはこちら」をクリックいただくと署名サイトにたどりつけます。
②ページ右側の姓・名・Eメールアドレスを入力する
③Eメールアドレスの国・居住地(市区町村のみでOK)・郵便番号を記載する
④「賛同した際、自分のアカウント名およびコメントを表示させる」のチェックはどちらでもOK
⑤賛同するをクリック
⑥クリック後、入力したメールアドレスに
<change@a.change.org>からメールが届くので、認証をクリック
⇒以上で賛同は完了です。以下は支援・拡散のやり方となります
⑦ ⑥の操作後、「●円でこのキャンペーンを応援し、賛同を増やすお手伝いをしませんか?」と出てきます。
これは、キャンペーンを立ち上げた人に入るわけではなく、支援する料金によって広告の表示回数を増やすものとなります。
支援しない方は、「支援はせず、シェアして広める」をクリック、支援をする方は、応援するをクリックして支援する金額を選択してください。
⑧ ⑦の操作後はSNSへのシェアとなります。FacebookやTwitter等アカウントをお持ちの方は、シェアをぜひおねがいします。
◎オンライン署名は1月17日に1200を超えました。団本部HPのお知らせ欄に、諸団体へのオンライン署名のしかたを解説した案内用のチラシを貼り付けましたので、ご活用ください。
◎似たようなオンライン署名を複数の団員が参加する「平和を求め 軍拡を許さない女たちの会」さんが取り組んでいますので、こちらもどうぞ。
https://bit.ly/3QLsMUc

 

種子法廃止・違憲無効確認訴訟、オンライン署名への賛同をお願いします!!

神奈川支部  田 井  勝

1 全国の農家・一般消費者合計1533名が原告となり、国を被告として東京地裁で争っていた種子法廃止違憲無効確認訴訟は、昨年10月7日に結審しました。そして、本年3月24日に判決が予定されています。
 今回、皆様に公正判決を求めるオンライン署名の紹介と賛同のお願いをさせていただきます。
2 種子法は、米、麦、大豆などの主要農作物の種子を都道府県の管理下で開発・清算し、優良な品種を安定供給するために制定された法律です。第二次大戦後の1952年に法制定されました。
 この法律に基づき、各都道府県の農業試験場にて、種子の元となる原原種・原種が生産され続けてきました。そして、その原種から種農家が種子を生産し、一般の農家に良好かつ安全な種子が提供され続けてきました。また、種子法に基づき、地域の風土に合った優良な品種(コシヒカリなど)が開発・育成され、奨励品種として指定されてきました。
3 ところが、平成30年3月31日、この法律がわが国の種子生産への民間の参入を阻害しているとして、国会で廃止されるに至りました。
 種子法が廃止された結果、都道府県が、種子生産に関わらなくなり、かつ、新たな品種開発を続けられなくなることが懸念されます。種・農作物の品質が低下したり、あるいは種・農作物の価格が高騰することが懸念されます。
 また、種子法廃止により、多国籍大企業が種子生産市場を独占・寡占し、これらの企業による「海外産の遺伝子組み換え農作物」が増える恐れがあります。
4 裁判では、種子法の廃止が私たちの「食料への権利」を侵害していると訴えてきました。原告としては、この「食料への権利」について、すべての人が十分な量と質の食料を得る権利であるとし、憲法上明記されていないものの、わが国が批准している世界人権宣言や国際規約(A規約)にも明記されており、生命、健康、文化に関わる人権としてとらえるべきと主張しました。そしてこの権利が憲法25条・13条等で保障されると主張してきました。
 期日では、原告が制作したDVDの法廷上映が実施されたり、1日かけての証拠調べも実施されるなどしました。
 結審から判決まで5カ月以上もの期間をかけて検討がされることになっており、原告団・弁護団は、裁判所が厳格に検討してくれることを期待しています。
5 この度、インターネットのChange.orgのサイトで、「裁判官殿!「食料への権利」を認めてください!! 種子法廃止は違憲であることを確認して下さい!!!」とのサイトを立ち上げ、オンライン署名を集めております。
 裁判所に対し、「食料への権利」を認めるとともに、種子法廃止が違憲であることを確認する判決を求める内容となります。コメなどの主要農作物の自給を守ることは、国の主権を守るために必要不可欠です。種子法は復活させるべきです。
 既に1万人以上の方の賛同署名を戴きましたが、もっともっと多くの方に賛同いただきたいです。
 よろしくお願いします。
※サイトは、以下となります。
https://www.change.org/p/%E5%85%A8%E3%81%A6%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%8C%E5%AE%89%E5%BF%83%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%94%E9%A3%AF%E3%82%92%E9%A3%9F%E3%81%B9%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81-%E7%A8%AE%E5%AD%90%E6%B3%95%E3%82%92%E5%AE%88%E3%82%8D%E3%81%86?recruited_by_id=99fee770-0f16-11ed-8105-1d04d10aa2d6

 

木村団員の質問への回答

幹事長  今 村 幸 次 郎

 団通信1797号で木村晋介団員(東京支部)から質問をいただきましたので、以下、その回答として私見を述べます。
1 質問1について
 2022年議案書「第1章」「Ⅰ」「第1」(本項)中の「ウクライナ戦争は、アメリカを中心としたNATOとロシアとの戦争であることをはっきり示したものといえる」(本項1頁右側11行目)、「ウクライナが(中略)NATO加盟で力を得ようとしたことがロシア側の警戒を高め侵攻を決断する要因となったこと(中略)が明らかである」(3頁右側33行目)との評価(本件評価部分)について、総会で執行部提案のとおり承認されたのかどうかというお尋ねですが、総会では、議案書に対する反対意見はなく、議案書は全体として承認されました。
 ただ、その承認手続において、本件評価部分に限っての賛否が確認されたわけではなく、総会前からの議論状況等に照らせば、本件評価部分も含めて議案書に賛成した団員もいれば、本件評価部分には異論ないし疑問を持ちつつ全体としての議案書には賛成した団員もいたのではないかと思料します。
 一般に、議案書の採択にあたって団員が重視するのは、そこに示された活動方針への賛否であって、情勢認識やその評価それ自体に対する正否の判定ではないように思われます。
 繰り返しになりますが、本項中の活動方針にかかる部分は、①ロシアに即時、無条件に軍事行動をやめさせ、国連憲章を守ることを求めることが何より重要である(1頁左側12行目)、②我々の目指すべきは、核抑止力への依存でなく、核兵器削減による信頼の醸成であり、核のない世界の実現でなければならない(4頁左側23行目)、③(ロシアの軍事侵攻の衝撃は大きく、世論が激しく動揺したが)この状態は一気に「戦争する国」に突き進むための軍拡と改憲が推し進められる危険を持つものであり、我々は強い危機感と緊張感をもって立ち向かう必要がある(5頁左側21行目)、④我々はここ(9条の浸透、定着)に確信を持ち、抑止の限界と危険性を訴え、それに代わり得る対案を示すことを追求すべきである(5頁左側34行目)というもの(本件方針部分)であったと理解しております。
 なお、ロシアのウクライナ侵攻に関する自由法曹団の見解は、2022年5月23日付決議(本件決議)に示されておりますので、ご参照ください。 
2 質問2について
 本項に関し、総会で承認された活動方針は本件方針部分のとおりであり、また、ロシアのウクライナ侵攻に関する団の見解は本件決議のとおりであると理解しておりますので、ご指摘のような行動(アメリカを中心とするNATOに対して戦争を中止するよう求める行動)をとることは考えておりません。
3 質問3について
 前回の私の論稿は、情勢認識について、「学術的な分析や確定」の問題と「具体的取組を進めるうえで重要な情勢認識」の問題とに分けて論じたものではありません。
 活動方針を策定するに際して、情勢に関する討議をして認識を深める趣旨・目的は、それについて「学術的な分析や確定」をすることにあるのではなく、「時宜にかなった適切な方針を作る」点にあるのではないかということを述べたものです。
4 質問4について
 本件評価部分は、ウクライナ戦争の背景や原因について様々ある見方のうちの一つを示したものであると考えております。
 本項は、ウクライナ戦争の背景や原因について一つの切り口を示したうえで、結論として、
 「ロシアの軍事侵攻の衝撃は大きく、世論は激しく動揺している」が、「我々は、憲法9条の浸透、定着に確信を持ち、抑止の限界と危険性を訴え、それに代わり得る対案を示すことを追求すべきである」旨を述べたものと理解しています。
 なお、この点に関しては、
 ウクライナ戦争の歴史的な背景については無数の論争が交わされているが、大別すれば、「ロシア帝国の再現を夢想するプーチンの野望の現れ」とする見方と「侵略は批判しながらも米国主導の『NATOの東方拡大』がプーチンを追い込んだ」とする二つの見方がある、おそらく現実は、これら二つの要素が複雑に交錯して戦争が展開されているのであろう、しかし、こうした専門的な見地を離れて捉え直してみるならば、この戦争から引き出されるべき最大の教訓は、「今こそ、国連『軍縮アジェンダ』を正面に掲げ、核兵器の禁止を含む全面的な軍縮に踏み出すべき時である」ということである、「ウクライナの衝撃から軍拡の緊要性を引き出す」のは根本的な間違いである、
 とする豊下楢彦氏(元関西学院大学教授)の論稿「荒唐無稽な『敵基地攻撃』論」(団改憲阻止ML・No04119豊川義明団員の投稿参照)が重要な示唆を与えてくれていると思います。
 私たちは、ウクライナ戦争を奇貨として進められている敵基地攻撃能力保有・防衛費倍増・防衛増税計画を許さないたたかいに全力で取り組んでいかなければならないと考えています。

 

追悼・渡辺京二−歴史の解釈と体験

東京支部  松 島  暁

 昨年12月25日、敬愛する渡辺京二さんが92歳で亡くなった。熊本在住の在野の近代史家・思想家としてその一生を全うされた。宮崎滔天や北一輝の評伝、『逝きし世の面影』『黒船前夜』『バテレンの世紀』など日本近代形成についての作品、他にも多くの評論に健筆を振るわれた。渡辺さんは、近代の暴力に晒され翻弄される名もなき人々を見つめ書き残すとともに、日本の共同体について考え抜いた人でもあった。
 正月休みにいくつかの作品を読み返したが、以下は、その中の1つ「西南戦争とはなにか」の一説である。
 「私たちはまず、この時代の士族とは少なくともそれが無為徒食の惰性にあまんぜず、何ごとかなそうとする頭脳と気力のもちぬしであるかぎり、第一義的に当時の日本に存在した唯一の政治的知識層、すなわち志士であることに気づかねばならない。政府の担い手たる士族と反乱の担い手たる士族は、階級的利害ではなく、何よりもまず新日本の建設の方向において、すなわち思想において、志士として対立したのである。つまりこれは、維新革命を実現した革命派陣営のなかに生じた、思想の分裂であった。反乱を提起し、推進したものたちは、何よりもまず、維新革命者としての自覚の継続のうえに、簒奪された革命の成果をわが手に奪還しようとしたのである。
 左翼アカデミズムは西南戦争を、あるいは不平士族の妄動と呼び、あるいは下級士族の軍事独裁をめざした反乱と規定し、あるいは征韓派士族の連合戦線と見る。彼らがたしかに反乱の一面をとらえながら、いわば剥製のようにしかその全姿を示しえないのはなぜか。彼らはその反乱のとき、自分が一実行者として選択を迫られたならどうしたかという問いを、一度も自分に課したことがないのだ。歴史を解釈しようとするものと、歴史を体験しようとするものはここでわかれる。明治十年に存在するのは、権力を弄して国民を威圧し天皇と大地主と政商の天国を樹立しようとする政府大官と、さまざまな動機はあれ、剣をとって有司専制を打破しようとする反乱者の対立である。汝、いずれにくみするや。政府大官に膝を屈し、権力の一端にあずかってわが経綸を布こうとするか。あるいは宮崎八郎のように、西郷党の諸矛盾を知りながら、あえて反乱を革命戦争に転化しようとするか。反乱の頂点に立つのは、政府大官の栄華を見て、かくては維新の死者に申訳なしと泣いたあの西郷である。
 むろんすぐれた認識者は、おろかな権力にも、おろかな反乱者にもくみする必要はない。福沢諭吉も中江兆民もそれゆえに中立をまもった。しかし彼らがおろかな反乱者を、どのような気もちで見殺したかということは考えてみてもよかろう。福沢は西郷を弁護する一書を書いて、ながく笥底に秘めた。中江は後年、愛弟子幸徳秋水に、西郷を擁して天下を計ろうとしたかつてのおのれの夢を語った。」(『渡辺京二評論集成Ⅰ日本近代の逆説』より)
 以上、長々と引用したのは、渡辺氏に対する敬意の表れなのではあるのだが、同時に、2023年という歴史の転換期においてわれわれの覚悟が問われていると思うからである。
 私たちが、無為徒食の惰性にあまんぜず、何ごとかをなそうとする頭脳と気力を持つ団員弁護士であるかぎり、状況を解釈しようとするのか状況に参入しようとするかが問われていると思う。
 米日の挑発や台湾の独立がない限り大陸からの軍事侵攻はありえないと現実の脅威に目を閉ざすのか、外交の要諦は最も力の強い国に付き従うことだ(兼原信克)としてアメリカともに対中軍事対決路線に突き進むのか、自国に戦禍の及ばないことこそが最大の価値だとして民主化を勝ち取った台湾民衆を見殺しにするのか。「汝、いずれにくみするや」が問われているのだ。

 

平和な正月にニュースを読む

福岡支部  永 尾 広 久

ポカポカ陽気の平和な正月
 今年の正月はいい天気でした。午後からいつものように庭の手入れをしました。スコップで土を掘り上げると、冬眠(爆睡)中の小さなミドリカエルが出てきて驚きました。慌てて埋め戻しましたが、ビクともしないままでした(ゴメンナサイ)。
 チッ、チッと声がするので見上げると、すぐ近くにジョウビタキがやってきて、「何してんの?」とのぞき込んでいます。こちらは、いつものことなので、「久しぶりだね、元気?」と挨拶を返しました。
 いま、庭にはローバイの黄色い花くらいしか咲いていませんが、3月半ばからは300本以上のチューリップが次から次に咲いてくれるはずです。すでに、チューリップは地上に芽を少しのぞかせています。
 昼少し前、郵便局に年賀郵便を受けとりに行きました。窓口の混雑を心配していたのですが、案に相違して行列どころではなく、いつもより少なく、まったく心配無用でした。長い長い行列ができていたときもあったのです。
 ウクライナで戦争が続いているのに、こんなに平和でいいのだろうかと、ふと思いました。この平和がいいのです。一刻も早くロシアの戦争を止めさせましょう。
 「今年が最後の年賀状にします」というのを5通ほど見かけました。高齢になったからではない理由も書いてあって驚かされます。
 自宅と事務所を往復する途中の商店街にも住宅街にも日の丸の旗は一本を見かけません。岸田政権の安保三文書は国家総動員体制の構築を強調していますが、国民の関心がそこにないことは明らかです。今は「戦前になりつつある」(タモリ)のではないかという心配をしながら、新春ニュースを読みすすめていきました。
「あらくさ」(名古屋友の会ニュース)
 冒頭の「ノリノリ憲法!」が楽しく読めて分かりやすいですね。今回は憲法って何かという基本的なことをおさらいしています。戦前の日本の治安維持法や香港の国家保安維持法も紹介して、自民党の改憲の動きの危険性を問題形式で解明していて、出色です。
 長崎で被爆した木戸季市さん(日本被団協事務局長)を樽井直樹さんがインタビューしています。被爆者の生と死を分けた3つの条件とは、①身体を休めるところがあったか、②食べ物があったか、③治療を受けられたか、でした。核戦争になったとき、核シェルターに入って、自分と家族だけが生き残るなんてことは不可能なのです。ましてや原発大国の日本です。一つでも原発がミサイルなどで攻撃されたら、「3、11」以上に手のうちようがありません。
 松本篤周さんが50年ぶりに舞台に立ったことを報告しています。松本さんは、なんと学生時代には演劇部に所属して舞台に立っていたとのこと。50年ぶりというのもすごいことです。劇は「ほうせん花2022朝鮮女子勤労挺身隊」。これは慰安婦ではなく勤労動員させられ、日本の工場で働かされていた少女たちをテーマとしています。
NEWS(神戸花くま)
 ニュースの巻頭言は難しいです。たいてい世の中のひどい状況を、むずかしい漢字ばかりをつかって、固く堅く無署名の社説調で書いてあります。ちっとも読む気がしません。単なる風景の写真の添えものとして、一読もされず、文字どおり読み飛ばされてしまいます(読んでも心をうたれることなく、印象にも残りません)。ところが、坂本知可さんの「新年のごあいさつ」は読ませました。やさしい言葉で語りかけているからです。見習いたい文章だと私は思いました。
 中を開いて目に飛び込んできた大見出しが「生きているだけで丸儲け」です。ニコニコ笑顔の若者の顔写真に似合いません。ええっ、誰のこと、聞いた話なの・・・、と思ったら、本人の体験が語られていました。自宅で心臓麻痺を起こし、救急車で運ばれたものの、17分間も心停止していたというのです。しかも5日間も眠り続けて、6日目に目を覚まし、今では何の後遺症もないとのこと。いやはや、これはとんでもない「強運」ですね。良かった、よかった。「これから先は生きているだけで丸儲け」、本当ですね。無理なく、がんばってくださいね。
 佐伯雄三さんは、最近の選挙での投票率が50%とあまりにも低いことを問題としています。首長選挙では3割台というのも珍しくありません。国民主権なら、せめて70%ほどにならないといけない。私もまったく同感です。どうせ投票に行っても変わらないというあきらめ感が社会にみちみちていて、マスコミも野党のだらしなさを強調するばかりで拍車をかけているのも許せません。私は選挙制度を大きく変える必要があると考えています。小選挙区制をやめて、元の中選挙区制に戻すか、大選挙区一本にする。また、戸別訪問を解禁して自由にやれるようにする。ぜひ、すぐに変えてもらいたいです。
「たより」(東京)
 今や時の人です。憲法記念日翌日に東京新聞の1面トップで大きく紹介されたそうです。そうです、ご存知「四谷姉妹」です。岸松江さんと青龍美和子さんのコンビは、大々的に売り出し中で、私の身近な熊本県民テレビの夕方の情報番組にも生出演したとのこと。コントのネタもどんどん増えているようです。「ジェンダー」、「生活保護申請」、「非正規あるある」・・・。もちろん、私もユーチューブでみています。世論調査で4割もいる憲法改正の是非について「わからない」、「どちらとも言えない」という人々に訴える工夫が今、本当に求められていると思います。
 岸朋弘さんと加部歩人さんとが共同で作成した憲法動画が自由法曹団のコンテストで入賞(企画賞)したとのこと。こんな企画もいいですね。みんなで、知恵を出して競いあいたいものです。
「くらしの法律」(富山中央)
 春山然浩さんが、訴訟でないルートでプロバイダにインターネットの投稿者を特定させるために開示させる制度(発信者情報開示制度)が昨年10月に施行されていることを紹介しています。すでに2件も申立したとのことです。
 これまで、半年近くもかかっていたのが、新しい制度だと、申立から第1回期日まで1ヶ月未満、期日が1回で終われば早期に命令が出るので、早ければ申立から2ヶ月で開示されそうだとのこと。うれしいニュースです。ただし、消去禁止とセットだと、その審理が先行するので、それだけ時間がかかるというので、消去禁止が不要なら、開示申立だけしたらよいそうです。
 神保壽之さんは、俳句評論の分野で入賞し、俳文学会の会員でもあるとのこと。そして、新年の季語に「御降(おさがり)」というのがあると紹介しています。元日ないし三が日に振る雨や雪を、五穀豊穣をもたらす恵みと捉えた言葉だそうです。正岡子規に、「御降りの雪にならぬも面白き」という句があるというのを知りました。
相続した土地の管理が大変・・・(黒崎合同)
 田辺匡彦さんが所有者不明の土地を解消するため法律が改正され、この4月から順次施行されていくことを要領よく紹介しています。
 まず、所有者不明土地管理制度が創設されました。草刈りや建物の管理を管理人が行います。裁判所の許可を得れば、売却などもできます。次に、管理不全土地の管理制度が創設されました。所有者は判明しているけれど、適切に管理されていないため、近隣に悪影響や危険を及ぼしている、または及ぼすおそれがあるとき、利害関係人は裁判所に申請して管理人を選んでもらうという制度です。管理人が選任されると、擁壁の補修工事やゴミの撤去・害虫駆除ができることになります。ただし、不動産を売却するには、所有者の同意をとったうえで裁判所に許可してもらう必要があります。
 このほか、相続登記が義務化されました。また、住所の変更なども義務化されました。単独で相続人である登記を申請できます。相続土地の国庫帰属制度が創設され、一定の条件で不要な土地を国に買いとってもらうことが可能になりました。私の事務所でも第1号を目ざして申請を準備中です。分割しないまま放置すると、法定相続分にしたがって画一的に分割するという制度も始まります。いろいろの法改正がなされましたので、うかうかしておれません。
「味噌なめたか」(横浜法律)
 小島周一さんは、気ままに無計画な車中泊をする旅を50代から楽しんでいるとのこと。新潟県南魚沼市の県道で「味噌なめたか」という看板を見つけました。戦国時代に上杉と北条の争いに巻き込まれた寺が焼かれたとき、大切な経典を味噌桶に突っ込んで戦火から守ったという故事から、経典を守った有難い味噌として人々が買い求めて今日に至っているそうです。
 日弁連副会長をつとめている芳野直子さんは、事務所の応接セットをめぐる変遷を紹介しています。和文タイプの時代は、それが出来あがるまで弁護士はソファーで待っていました。私にも経験があります。やがてワープロが導入されても、しばらくはゆっくりでした。たとえば、ワープロにはいろんな機種があって、初めは相互乗り入れができなかったので、大変でした。ベータとVHSの違いのようなものです(といっても、今どきの人には理解不能かな)。今や、弁護士はみなパソコンをこなし、裁判所への書面提出もファックスも使うようになって、待ち時間ゼロとなりました。ソファーは、仕事に疲れた弁護士の休憩のためのもの。IT化のなかで、完全ペーパーレス化へ進んでいるなか、ソファーはなくなり、スツールに変わってしまいました。「のんびり寝ても座ってもいられない時代がやってきた」と宣告されています。となると、私のようなパソコンを扱えない弁護士は、もう廃業・引退するしかありません。トホホ・・・。
 佐藤正知さんは、ローカル線を守れと主張しています。私も大賛成です。北海道だけはなく、九州でも次々に切り捨てが進んでいます。新幹線のホームに駅員が置かれなくなって久しく、安全は無視されるばかり。JR各社は公共交通機関としての使命を忘れて、金もうけだけしか念頭になく、リニア新幹線など、莫大なムダづかいに狂奔しています。
 「国鉄分割民営化の意図は、社会党の支持母体である総評の中心だった国労を崩壊させる点にあった。ローカル線の存続など、眼中になかった」。中曽根康弘元首相は、このように公言していました。そして、国労だけでなく、日本の労働運動が「消滅」したのです。
 笠置裕亮さんが国の指定代理人による秘密録音について報告しています。これは和解協議のとき、退席した防衛省の職員がファイルの下に録音機を隠しておいていたのを、笠置さんが点滅しているのに気がついて発覚したもの。防衛省だから、スパイはお手のものかもしれないけれど、まったく許せないことです。
 藤塚雄大さんは、日本サッカー協会の仲介人資格をとったとのこと。サッカー選手がクラブと契約交渉するときに交渉の代理人になれるという資格です。趣味を仕事に結びつけるなんて、すばらしいことです。
「だより」(山口法律会計)
 東尚吾弁護士が相続放棄と遺産管理について、法改正があったことを紹介しています。知りませんでした。これまでは、相続放棄をしても、引き続き自己の財産におけるのと同一の注意をもって管理を継続しなければならないことになっていました。ところが、民法が改正され(本年4月から施行)、「その放棄の時に減に占有しているとき」だけ管理義務を負うことになりました。これで助かる人は多いと思います。
 山口昌之さんがベトナム人の技能実習生の不法残留事件の弁護人をつとめた体験を報告しています。私もスーパーでの万引事件でしたが、不法残留者でもあり、執行猶予の判決と同時に強制送還されました。ベトナムの青年たちは日本へ来るとき110万円もの手数料を支払いますが、ほとんど借金です。日本で働きながら借金を返済し、家族に仕送りをします。ところが、日本での仕事が大変で、長続きしないことも多いのです。山口さんの扱ったベトナム人は福岡県で建物解体業に従事していましたが、上司の暴言、暴力がひどく、また給料も月十数万円と安かったので、会社から逃げ出し、関西でもぐりの仕事をしていて、ある日、発覚したというわけです。
 夢が破れた彼は、もう日本に来ることはないと法廷で発言したそうですが、よく分かります。日本人も使い捨てする企業が多いので、ましてや外国人を安くこき使ってやろうという会社が少なくありません。残念な現実がまだまだ、たくさんあります。
 日弁連憲法問題対策本部で本部長代行をつとめ、がんばっている山口健一さんは、「だより」の冒頭に、「敵基地攻撃能力(反撃能力)って憲法違反」という、とてもスッキリ分かりやすい記事を書いています。そして、「いなか暮らしの思い出」として、鹿児島県薩摩川内市での60数年前の生活を振り返っています。山口さんと私は、ほとんど同世代ですが、マキで沸かす五右衛門風呂に入っていたというのに驚きました。
「ニュース」(城北)
 結城祐さんが公務員執行妨害事件で無罪を勝ちとったことを報告しています。すごいです。自転車で走行中、警察官からの職務質問を受けたが、急いでいたので走り去ろうとしたら警察官と言い争いになり、警察官の左頬を右拳で殴打したというものです。警察官は被告人が自転車から降りてすぐ殴りかかってきたと主張しましたが、いかにも不自然な話です。そして、警察官の供述は変遷しました。その結果、信用性が否定されて無罪になったのも当然です。
 私も「ネズミ捕り」事件で警察官を証人尋問したことがあります。そのとき、警察官は法廷で平気で嘘をつくものだと実感しました。問題は、多くの裁判官が警察官は嘘をつくはずがないと思い込んでいることです。ここを乗りこえないと無罪判決にたどり着くことはできません。あっぱれです。無罪、おめでとうございます。
生活支援の電話相談会(埼玉総合)
 猪股正さんが「幸福を願う」というタイトルで生活支援の取り組みを紹介しています。臨時電話回線を大会議室に設置して、全国一斉の電話相談会に取り組んだのです。コロナ禍で苦しんでいる人たちの訴えが計17回、累計1万5千件以上も弁護士だけでなく、労働、医療、こころ、生活支援の専門家など、のべ500人が参加しています。
 猪股さんは、毎回、12時間、電話に向かい続けました。すごいです。本当に頭が下がります。低年金や無年金で、生活が立ちゆかないという高齢の人からの相談が多いのです。
「仕事もなく、生きる目標もない。明日死んでもいい」
「餓死、孤独死が自分に近づいていると思う」
 「これで最後と思い、電話しました」 
 全国旅行支援(ゴー・ツー・トラベル)や年末年始のにぎわいとは隔絶した現実がそこにあります。
春告鳥(いわき総合)
 岩城穣さんは、これまで35回も海外旅行したとのこと。こりゃあ、すごーい。うらやましーい。韓国9回、ヨーロッパ8回、東南アジア6回、アメリカ4回、その他のアジア4回。私もフランスには5回、アメリカ3回、そして韓国とフィリピンに各2回、ベトナム、マレーシアなどに各1回は行きましたが・・・。フランスでは駅で切符を買えるし、ホテルもレストランも電話で予約できるというのが私の自慢です(毎年2回、仏検を受験しています。準1級の合格歴は2009年から10回。今年も受けます)。
 岩城さんは「過労死問題最前線」で業務上認定の件数は、300件だったのが半減している、脳・心臓疾患の認定基準が改定されたにもかかわらず、減少傾向に歯止めがかかっていません。厚労省の協議会に対して意見を述べたそうです。さすがですね。
「ニュース」(名古屋第一)
 愛知県弁護士会が2019年4月から初めている「よりそい弁護士」制度を田原裕之さんが紹介しています。刑事弁護人(少年付添人)としての活動が終了したあと、その人の社会復帰、再犯防止のための活動を弁護士会が支援する制度です。昨年(2022)は10月までに68件の利用があったとのこと。住所の確保、生活保護の手伝いなど、たしかに、これから社会でどうやって生活していくのか心配なケースは多いですよね。九州ではまだのようですが、大切な取り組みだと思いました。
 名古屋第一には31人の弁護士がいて、経営は大変じゃないかと余計な心配をしてしまいますが、YouTubeチャンネルを開設したとのこと。すでに3つの動画を配信したそうです。今は、こんな取り組みが求められるのですね。全国で、今すぐ見習いたいものです。
「請求の認諾」(大分共同)
 請求の認諾というのは、ほとんど経験がありません。私が経験したのは、払う意思がないのに認諾されてしまい、結局、一円も回収できませんでした。
 パワハラ自死事件で、パワハラの直接的な証拠がないという弱点をかかえた訴訟を提起したところ、会社はなんと、裁判所で請求を認諾したというのです。根岸秀世さんの報告です。労災認定を受けたあとの損害賠償請求裁判でした。これから、会社の責任を追及するぞ、真実を暴くぞと意気ごんでいた弁護士も両親もあっけにとられて言葉が出なかったそうです。
「弁護士不況」(みどり)(佐々木猛也)
 司法統計によると、1989(平成1)年と2021(令和3)年とを比較すると、刑事事件は171万件が半分の84万件に、少年事件は50万件が1割の5万件に。犯罪の大幅減は、文句なしに喜ばしい。
 そして、民事・行政事件のほうは、183万件が4分の1(25%)も減って137万件。ところが、離婚や相続などの家事事件は35万件が3倍以上の110万件になっています。私の事務所でも、借金関係の事件が大きく家事事件の比重が飛躍的に増えました(法テラスを利用するのが大半です)。
 そして、新人弁護士の登録状況は九州でいうと、各単位会の入会者は福岡25人、鹿児島6人のほかはゼロワンです。東京に一極集中し、企業法務や自治体法務に人気が集中しています。支部の弁護士の高齢化がすすんで、ゼロワン地区の急増が心配されている状況にあります。地方にも人権加害は山積しているし、やり甲斐もあって面白いことをぜひ若い人たちに伝えたいのですが…。
 「みどり」ニュースには、「知って得するシリーズ」があり、今回は、「保証人保護制度の拡大」です。4つの図をもとに解説されているので、とても分かりやすいです。
「速記官制度を守る会」ニュース
 最新号(61号)で木谷明弁護士がパソコン電源使用拒否事件を紹介しながら、書記官調書の危うさを指摘しています。
 2021年に横浜地裁で公判前整理手続において刑事弁護の第一人者である高野隆弁護士が自分のパソコンを取り出し机上の電源にコードを差し込もうとしたとき、裁判長が、電気は国のものだから、弁護人の私的な使用を認めるわけにはいかないと言って拒否したのです。もちろん、高野弁護士は抗議し、異議申立しました。裁判長が異議を棄却したので、即時に抗告を申立しています。憲法にも定められた弁護人の公的性格を無視した事件です。ところが、裁判長は、正式な公判前整理手続の開始前のことであって、電源の使用禁止処分はしていないし、異議を棄却したこともないと弁明しました。そして、これを高裁も最高裁も維持したのです。書記官調書には正式な手続が始まったあとだけで、肝心のやりとりについては何も書かれていなかったそうです。裁判長の主張にあわせたのでした。書記官は弱いのですね・・・。
 ところが、その後、三者協議の場で裁判長は、弁護人の訴訟活動でパソコンの使用が不可欠であることについて配慮が足りなかった、一律に禁止したことは率直に反省します、申し訳なかったと思いますと謝罪したとのこと。そして、電源の使用禁止処分を撤回したので、弁護人のほうも異議申立を撤回して一件落着になったそうです。
 私も、裁判官による法廷での理不尽な訴訟指揮を体験したことがあります。いかにも横柄な裁判官でしたが、その後も順調に出世しています。裁判官評価アンケートは大切なのです。地道な積み重ねで、裁判官を良いほうに変えていくしかありません。

 

京都総会報告(その7)

 

事務局次長就任のご挨拶

坪 田  優(東京支部)

1 自己紹介
 東京支部所属(東京南部法律事務所)の72期の坪田優と申します。この度、本部事務局次長に就任いたしました。若輩者ではありますが、2年間どうぞよろしくお願いいたします。
2 就任の経緯
 昨年、平井哲史事務局長より本部事務局次長就任のお誘いをいただきました。正直なところ、本部事務局次長がどのようなことをやっているのか具体的には知らず(前年まで東京南部法律事務所に所属していた大住広太前次長が、いつも自席で長時間のZoom会議に参加していたことくらいしか知りませんでした)、かなり不安もありましたが、平井事務局長からのご説明や、船尾徹元団長からの「もっと広く世界を見ると、弁護士としての活動の幅がグッと広がるよ」(うろ覚え)というプッシュ、そして、日々の激務の中、数々の弁護団活動、そして団の活動を両立させていた大住前次長の姿に感銘を受け、是非挑戦をしてみたいと考えて事務局次長就任を決めました。
3 担当委員会
 事務局次長就任後、改憲阻止対策本部及び労働問題委員会・労働法制改悪阻止対策本部を担当することとなりました。昨年12月には岸田内閣によって安保関連三文書の改訂が閣議決定され、実質改憲・明文改憲阻止の運動も正念場を迎えていると思います。日本の軍拡路線を食い止めるべく、微力ながら、団としてできることを模索していきたいと考えています。
4 趣味
 私の趣味は、読書(積読)、映画鑑賞、音楽鑑賞などです。最近ではあまり長編を読まなくなってしまいましたが、大江健三郎(ベタですが、『静かな生活』や『万延元年のフットボール』等が好きです)、中上健次、古井由吉、高橋和己などの作家が好きでよく読んでいました。映画はジャンルを問わずなんでも観るのが好きなのですが、2021年に子供が生まれたということもあり、気が付いたら1年半ほど映画館に行けておらずショックでした。早く、子供と一緒に映画館に行きたいといつも考えています。
5 さいごに
 団務局次長に就任した、と人に言うと、「大変だね」とよく言われます。ただ、せっかく事務局次長になったのですから、2年間楽しんで活動をしたいと考えています。すでに、常任幹事会での団員の皆様の侃々諤々の議論や、団員のみなさまの幅広いご活躍を見聞きし、日々多くの刺激を受けています。弁護士としての活動の幅が「グッと広がる」予感がしています。

 

トランスジェンダーについて考える学習会のご案内

差別問題対策委員会 担当次長 永 田  亮

 2022年10月24日、京都で開催された自由法曹団総会において、「多様な性のあり方の尊重を求め、すべての人が平和に安心して生活できる社会の実現を求める決議」が採択されました。人々の様々な性のあり方において個人の尊厳が守られ、性のあり方によって個々人が差別されることなく、あらゆる人が安心して生活できる社会の実現は、私たちの急務といえます。当該総会においては、本決議について、さらなる議論が必要だなどの様々な意見が提起されました。
 そこで、今般、かような議論を踏まえ、自由法曹団内においても、性的マイノリティ、特にトランスジェンダーについての理解をより深めるため、トランスジェンダーについて考える学習会を企画しました。
 今回は、大谷大学非常勤講師の西田彩先生を講師にお招きして「トランスジェンダーについて」と題して、ジェンダーアイデンティティ(性自認)の成り立ちからトランスジェンダーの方々を取り巻く現状、性別移行のプロセス等についてご講演いただきます。
 従前は動画上映での学習会も計画しておりましたが、直接のご講演をいただけることとなりました。
 ご講演により同じ社会の中で暮らすトランスジェンダーについての理解を深め、「共生」しやすい社会作りにつなげていきたいと思います。
 皆様、奮ってご参加ください。
●日 時:2月1日(水)午後6時00分~
●会 場:団本部会議室+Zoom
●講 師:西田彩先生(大谷大学非常勤講師)
※講演はZoomです。

 

第8回「先輩に聞く~労働事件をどうたたかってきたのか、これからどうたたかうのか~」~開催のお知らせ~

労働問題委員会 担当次長 髙 橋  寛

 先輩に聞くシリーズ第8回は、長野支部の岩下智和団員にお願いしました。
 岩下団員は、長野県上田市で地域に根差した弁護士活動や労働弁護に携わってきました。岩下団員が手掛けた著名な事件の一つとして、労働契約法20条制定以前に正規社員と非正規社員との待遇格差を不法行為とした「丸子警報器事件」が挙げられます。
 今回、岩下団員には、東京(江戸川橋)の団本部事務所に来ていただいてお話をいただきます。
 新入団員の皆さん、ベテランの団員の皆さんの現地参加大歓迎です!(同時にZoomでも配信しますので、こちらの申込みもお待ちしています)。
【お話しいただく内容(予定)】
・労働運動とのかかわり
・丸子警報器事件の裁判経過
・地裁で画期的な判決を勝ち取ることができたポイント
・裁判内外での労働組合との協力
・いままでの経験を踏まえて新人・若手に伝えたいこと etc
●開催日時:2月27日(月)15:00~
(※いつもより早めの時間からスタートします)
●開催場所:自由法曹団本部会議室+ZOOM
●報  告:岩下智和団員(長野県支部・28期)
●参加方法:以下のいずれかの方法

 

「共生」について考える連続企画~このまま続けていいの?技能実習制度~
技能実習生に対する人権侵害・差別の現場から

●日時 2月4日(土)14:00~16:30(13:30会場)
●会場 主婦会館プラザエフ 会議室シャトレ+ZOOM
・JR四ツ谷駅 麹町口から徒歩1分
・丸の内線四ツ谷駅 1番出口から徒歩3分
●参加費 無料(どなたでもご参加下さい!)
【第1部】14:00〜15:00 講演
「技能実習生に対する差別の現場から」 
講師:斉藤善久さん
(神戸大学大学院国際協力研究科地域協力政策専攻准教授)
【第2部】15:15〜15:45 事件報告
(技能実習生問題弁護士連絡会)    
【第3部】15:45〜16:30 会場報告
(日本労働弁護団)・質疑応答
【主催】自由法曹団 (差別問題対策委員会/労働問題委員会/国際問題委員会
【共催】日本労働弁護団・技能実習生問題弁護士連絡会

 

敵基地攻撃能力保有の閣議決定に反対する集会のご案内 改憲問題対策法律家6団体連絡会

 安保3文書改訂の閣議決定に反対する大きな世論をつくる第一歩とするために、多数のご参加をお願いします。
◆日時:1月31日(火)18時開始~19時45分閉会
◆会場:衆議院第一議員会館1階 国際会議室
◆参加費無料(事前申込み不要)
会場参加は先着80名
【講師】布施祐仁氏(ジャーナリスト)
「誰のための敵基地攻撃能力?」
永山茂樹教授(東海大学)
「安保3文書改訂と憲法・私たちの生活はどう変わるのか」
猿田佐世弁護士(新外交イニシアティブ代表)
「戦争を回避せよ!外交なくして平和なし」
【共催】9条改憲NO!全国市民アクション

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