5月27日付、「日米両政府に対して辺野古新基地建設の断念を求める決議」を採択しました。
日米両政府に対して辺野古新基地建設の断念を求める決議
1 本年2月24日に行われた辺野古新基地建設の是非を問う沖縄県民投票において、埋め立て「反対」に投票総数の71.74%にあたる43万4273票が投じられた。昨年9月に行われた沖縄県知事選挙で、辺野古新基地建設反対を掲げ、「オール沖縄」の支援を受けた玉城デニー現沖縄県知事が、8万票以上の圧倒的大差をつけて勝利したことに続き、単一争点に絞り込んで国策の是非を問うた沖縄県民投票においても、上記のとおり反対票が7割を超えたことで、辺野古新基地建設反対が圧倒的多数の沖縄県民の意思であることが誰の目にも明らかとなった。
しかし、日本政府は、沖縄県民投票後の本年3月25日、昨年12月14日の辺野古崎南側のN3、K4、N5護岸で囲まれた一角への土砂投入に続き、K1、K2、K3、K4、N5護岸で囲まれた浅瀬部分に新たな土砂投入を強行するという暴挙に出た。この日本政府の暴挙は、沖縄県知事選挙と沖縄県民投票で示された沖縄県民の意思を真っ向から踏みにじるものであり、断じて許されない。
2 現在、日本政府が強行している上記の埋め立て工事が完了したとしても、それは埋立予定地全体の4分の1にすぎず、その余の埋立を行うには大浦湾側の海域に新たな護岸を設置しなければならないが、同海域には、地盤の強さを示すN値がゼロという“マヨネーズ 並み”の軟弱地盤が存在し、本年1月、日本政府もその存在を認めざるをえなくなった。この軟弱地盤は最も深いところで水深90メートル(海面から海底まで30メートル+地中60メートル)に達するところ、水深90メートルの地盤改良は、これまで世界的にも例が無く、技術的におよそ不可能との専門家の指摘もなされている。また、地盤改良を行う際に必要な砂杭の数は7万6699本、使用する砂の量は東京ドーム5.25杯分(約650万㎡)にもなり、これだけの砂を用意すること自体、現実的でない。加えて、軟弱地盤の改良には、公有水面埋立法に基づき沖縄県に届け出ている設計概要の変更申請と沖縄県知事の承認が必要であり、かかる承認がなければ日本政府は大浦湾側での埋め立て工事を進めていくことはできないが、玉城デニー沖縄県知事が、県民の民意に反した申請を承認するはずがない。このように、辺野古新基地建設は、技術的にも法的にもおよそ実現不可能である。
3 それにもかかわらず、日本政府は、土砂投入により、埋め立てを既成事実化し、新基地建設に反対する沖縄県民の諦めを狙ったのである。そして、日本政府と自公与党は、「オール沖縄」の体制を崩すため、本年4月21日の衆議院沖縄3区補選において、辺野古新基地建設の推進を明言する元沖縄北方担当相の島尻安伊子氏を自民党公認で擁立し、「オール沖縄」の支援を受けた屋良朝博氏との一騎打ちに臨んだ。
しかし、結果は屋良氏が島尻氏に17,728票差をつけて圧勝し、あらためて新基地建設反対の民意がより明確に示されたのであり、これ以上、沖縄県民の意思を踏みにじって辺野古新基地建設を進めることは許されない。
自由法曹団は、日米両政府に対して、三度にわたって示された沖縄県民の辺野古新基地建設反対の声を真摯に受け止め、民主主義の精神に立脚して辺野古新基地建設を直ちに断念するよう強く求めるものである。
2019年5月27日
自由法曹団
2019年石川県・能登5月研究討論集会