愛知・西浦総会決議『日米両政府に対して辺野古新基地建設の断念と普天間基地の即時無条件撤去を求め、基地建設に反対する沖縄県民とともにたたかうことを表明する決議』
日米両政府に対して辺野古新基地建設の断念と普天間基地の即時無条件撤去を求め、基地建設に反対する沖縄県民とともにたたかうことを表明する決議
1 アメリカは東アジアにおける軍事的覇権を維持するために最新鋭の巨大米軍基地である辺野古新基地建設を求めており、日本政府も日米同盟強化の名のもとに新基地建設に固執し、沖縄県民の意思や法を無視した暴挙を繰り返している。
昨年12月14日に日本政府は辺野古崎のN3、K4、N5護岸で囲まれた一角(「(2)―1工区」)への土砂投入を強行し、それに続き、本年3月25日にも、K1、K2、K3、K4、N5護岸で囲まれた浅瀬部分(「(2)工区」)への新たな土砂投入を強行した。
また、沖縄防衛局は、国の機関であるにもかかわらず、一般私人救済を目的とした行政不服審査法を濫用して国土交通大臣への審査請求を行い、国土交通大臣は本年4月5日に裁決で沖縄県知事による辺野古埋立承認撤回を強引に取消した。
こうした日本政府の暴挙は、埋立てを既成事実化し、辺野古新基地建設に反対する沖縄県民が諦めるのを狙ったものであるが、沖縄の民意や怒りは強まることはあっても揺ぐことはない。
2 昨年9月の沖縄県知事選挙での玉城デニー氏の圧倒的大差による勝利に続き、本年2月24日の辺野古新基地建設の是非を問う沖縄県民投票では埋立て「反対」に投票総数の7割以上にあたる43万4273票が投じられた。本年4月21日の衆議院沖縄3区補選でも「オール沖縄」の支援を受けた屋良朝博氏が勝利し、本年7月21日の参議院選挙においても、辺野古新基地建設反対を掲げ、「オール沖縄」の支援を受けた高良鉄美氏が、自民党の候補者に6万票以上の大差をつけて当選した。
辺野古新基地建設反対が圧倒的多数の沖縄県民の意思であることは明白である。
3 また、上記の埋立工事はそれらが完了しても埋立予定地全体の4分の1にすぎない上、本年7月末時点での土砂投入の進捗状況は、「(2)―1工区」で約7割、「(2)工区」で1割以下であり(本年8月8日の岩屋毅防衛相(当時)の記者会見)、沖縄県の試算にあてはめると、埋立てに必要な総土量の約3%にすぎない。
さらに、その余の工区の埋立てを行うには、地盤の強さを示すN値がゼロという“マヨネーズ並み”の軟弱地盤が存在する大浦湾側の海域に新たな護岸を設置しなければならない。この軟弱地盤は最も深いところで水深90メートルに達し、そのような水深の地盤改良は、世界的にも例が無く、専門家から技術的におよそ不可能との指摘までなされている。地盤改良に必要な砂杭の数は7万6699本、使用する砂の量は東京ドーム5.25杯分(約650万㎡)に及び、これほど大量の砂を用意することも困難である。加えて、軟弱地盤を改良するには、公有水面埋立法に基づき沖縄県知事に届け出ている設計概要の変更申請と沖縄県知事の承認が必要であるが、玉城デニー知事が、県民の民意に反する変更申請を承認するはずがない。
このように、日本政府の強権的な姿勢とは裏腹に、辺野古新基地建設の計画は技術的にも法的にも行き詰まりに陥っているのであり、このことに確信を持つ必要がある。
4 辺野古新基地は、日米軍事同盟・在日米軍の機能を大幅に強化し、周辺諸国に新たな軍事的緊張をもたらし、日本と東アジアの平和を脅かすものである。また、その耐用年数は200年とも言われ、ひとたび基地が作られてしまうと、沖縄県民に永続的な米軍基地による負担・被害をもたらすものであり、絶対に許されない。
日本政府は、「沖縄の負担軽減」などと称して辺野古新基地建設が普天間基地の撤去の唯一の解決手段である旨の説明をしているが、それは全くの偽りである。基地のない平和な沖縄を実現するために必要なのは、普天間基地の即時無条件撤去と辺野古新基地建設の中止である。
1996年のSACO合意から今日まで辺野古新基地建設を阻止し、工事計画を技術的にも法的にも困難な状況に至らしめたのは、基地建設に反対する沖縄県民の粘り強いたたかいの成果にほかならない。
自由法曹団は、日米軍事同盟に反対し安保条約破棄を求める立場から、沖縄県民のたたかいに敬意を表し、ともにたたかうことを表明するとともに、日米両政府に対して辺野古新基地建設を直ちに断念し、普天間基地を即時無条件撤去するよう強く求める。
2019年10月21日
自由法曹団 愛知・西浦総会