2022年10月24日、沖縄県民の意思を尊重し、辺野古新基地建設の撤回と、「基地のない平和な沖縄」を目指すことを求める決議

カテゴリ:決議,米軍・自衛隊

PDFはこちら


 

沖縄県民の意思を尊重し、辺野古新基地建設の撤回と、
「基地のない平和な沖縄」を目指すことを求める決議

 

1 本年9月11日投開票の沖縄県知事選挙において、現職の玉城デニー知事が、辺野古新基地建設推進を掲げた対立候補に6万票以上の大差をつけて圧勝した。政府は、この4年間、沖縄県への交付金を削減しており、対立候補は「政府とのパイプ」を掲げて勝利を目指したが、辺野古に新基地はつくらせないとするデニー知事の明確な姿勢とともに、「誰一人取り残さない沖縄」を目指した在任中の諸施策が評価をされ、勝利をしたものと言える。
 2014年11月に実施された沖縄県知事選挙で「あらゆる手法を駆使して、辺野古に新基地はつくらせない。」を掲げた故翁長雄志氏が当選したのを皮切りに、沖縄県民は選挙のたびに新基地建設に反対する意思を明確に示してきた。翁長氏が亡くなった後の2018年の県知事選では、同氏を後継した玉城デニー氏が勝利し、2019年2月の県民投票では、7割を超える県民が建設反対の意思を表明した。そして、本年7月に実施された参議院議員選挙でも、オール沖縄勢力が担いだ新基地建設反対を訴える候補が当選し、続く県知事選で現職の玉城デニー知事が再選を果たしたことの意味は極めて大きいと言うべきである。

2 沖縄は戦後、米軍の軍事占領下におかれ、生存の基礎たる財産権を侵害され、少なくない住民の生命が奪われた。かかる状況からの脱却を求めて沖縄住民は、「核も基地もない平和な沖縄」、「日本国憲法下での基本的人権の保障」を求めて祖国復帰闘争を不屈に闘い、1972年5月15日に復帰を勝ち取った。
 しかし、復帰によって、沖縄にも日米安保条約が適用されることになった結果、在沖米軍基地は基本的にそのまま維持存続することになり、国土面積の0.6パーセントにすぎない沖縄に在日米軍基地の専用施設の70パーセント以上が集中することになった。基地の負担と住民の苦難は継続し、一部米兵による犯罪行為も今なお続いている。沖縄県民の復帰に託した願いは、日米安保条約によって蹂躙されたといわざるをえない。

3 1995年9月の米兵による少女暴行事件をきっかけに大きく盛り上がった日米地位協定の見直しと米軍基地の整理・縮小を求める沖縄県民の運動は、日米両政府をして同協定の運用に若干の変化をもたらし、1996年4月の普天間基地返還合意に結びついた。しかし、この合意は代替施設として辺野古地域に新基地を建設することとセットになったものであり、基地の縮小になるものでは一切なく、かえって新機能を備えた基地を米軍に提供するものであった。
 この日米両政府の合意は、沖縄県民の復帰以前からの切なる願いを踏みにじるものであり、辺野古新基地建設の阻止のために抗議行動を続ける沖縄県民の怒りは当然のものである。したがって、「あらゆる手法を駆使する」とした故翁長元知事の言葉に沿って裁判闘争を続ける沖縄県の抵抗もまた道理のあるものである。
 ところが国は、民意を無視して、2017年4月に辺野古地域の埋立て海域の外周護岸工事を開始し、2018年12月には土砂投入を強行した。2019年には埋め立て予定区域の海底に広範囲にわたって軟弱地盤が見つかったにもかかわらず、設計変更により何としても海域の埋め立てと新基地建設を強行しようとしている。しかも、これから投入が予定されている土砂の約7割は、沖縄戦戦没者の遺骨が混入している可能性が高い沖縄本島南部地域の土砂であり、まさに人道に反する暴挙だといわざるを得ない。

4 日米両政府が当初計画した「2014年までの完成」目標から既に8年が経過しており、埋め立て工事の進捗率は1割に過ぎない。そして選挙のたびに示されてきた沖縄県民の辺野古新基地建設反対の意思は揺るぎないものである。このことは、この辺野古新基地建設に道理がなく、沖縄県民の抵抗とこれを支援する全国の世論の大きさを示すものである。日米両政府はこれ以上、沖縄県民に米軍基地の負担を強いることはやめるべきである。
 自由法曹団は、日米両政府に対し、この改めて示された沖縄県民のゆるぎない意思を尊重し、辺野古新基地建設を撤回し、普天間基地の無条件返還を進めることを強く求める。

 

  2022年10月24日

自由法曹団2022年京都総会

TOP