2023年12月11日、「杉田水脈衆議院議員の差別的発言に断固抗議し、速やかな議員辞職とともに、差別のない社会を目指すよう求める声明」を発表しました
杉田水脈衆議院議員の差別的発言に断固抗議し、速やかな議員辞職とともに、
差別のない社会を目指すよう求める声明
1 自民党杉田水脈衆議院議員が2016年にブログやSNSに投稿したアイヌ民族や在日コリアンに対する差別的発言等について、札幌法務局は2023年9月、大阪法務局は同年10月、それぞれ人権侵犯と認定した。ところが杉田議員は、同発言が人権侵犯と認定されたことについて、SNSへの投稿や動画の中で不服を顕わにし、前記差別的発言について自己を正当化する言動を繰り返している。
2 問題の差別的発言は、2016年2月にジュネーブで開催された国連女性差別撤廃委員会の会合に杉田議員が参加した際、同会合に出席していたアイヌ民族や在日コリアンの女性たちについて「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります。」「こんな人たちと同じ空気は吸いたくない。」「存在だけで日本国の恥さらし」等と記す内容のものであった。
これらの投稿は、民族衣装を着たアイヌ民族や在日コリアンの女性を著しく侮蔑し、彼女らを排斥する意図を示すものであって、差別感情や排除を煽る不当な差別的言動にあたることは明らかである。各法務局の認定は同議員に猛省を迫る適切なものであると評価できる。
3 それにもかかわらず、同議員は、自身が出演する動画において、自身の差別的発言についての問題性を認めず、自己の立場を正当化する言動を繰り返すだけでなく、「差別にかかわる特権は、実際には存在します」とSNSに投稿したり、アイヌ関係団体について「公金チューチュー」と言及して公金を不正利用しているかのようにレッテル張りをしたり、出演者がアイヌ民族を「詐欺まがいの連中」等と中傷する動画をSNSで拡散するなど、差別を煽る発言・行動を続けているのである。
加えて、同議員は、これまでにも、同性カップルについて「生産性がない」と発言したり、性暴力被害の相談事業について語るなかで「女性はいくらでも嘘をつけますから」と述べたりするなど、人種差別だけでなく、性的マイノリティや性暴力の被害女性に対する差別的発言も繰り返してきた。これらの発言にも鑑みれば、同議員にもはや議員の資質はないものというほかない。
公人の立場で行うヘイトスピーチは社会に与える影響が極めて大きい。近年、2021年8月の「ウトロ放火事件」等、ヘイトスピーチの影響を受けたヘイトクライムが頻発していることを考えればヘイトスピーチの根絶は急務であり、まして影響力の大きい公人によるヘイトスピーチは断じて許してはならない。
4 自由法曹団は、2013年7月27日付「ヘイトスピーチを断固として糾弾し,その中止を求める声明」を発出して以降、ヘイトスピーチ、そして差別を許容しない旨を宣言する声明を多数発出し、あらゆるマイノリティへの差別が存在する社会から脱し、全ての人を包摂する社会を目指すことを宣言している。
我々は、少数者の人権を著しく毀損した杉田議員による各発言に強く抗議し、同議員の速やかな辞職を求めるとともに、自民党及び国会に対し同議員に対する辞職勧告を含めた厳粛な対応を求め、差別のない個人の人格を尊重した社会の実現のため、今後とも取り組んでいくことを決意するものである。
以上
2023年12月11日
自 由 法 曹 団
団長 岩田研二郎