2024年9月5日、「常陸大宮市教育委員会による自由社版歴史・公民教科書の採択に抗議する」声明を発表しました

カテゴリ:声明,子ども・教育,教科書問題

常陸大宮市教育委員会による自由社版歴史・公民教科書の採択に抗議する

2024年9月5日

常陸大宮市教育委員会 御中

自  由  法  曹  団
団 長  岩 田 研二郎
自  由  法  曹  団  茨  城  支  部
支部長  谷 萩 陽 一

 常陸大宮市教育委員会は、本年9月2日、市立中学校で2025年度から4年間使用する歴史及び公民教科書に自由社版教科書を採択したことを明らかにした。
 自由社版歴史教科書は、「自虐史観」からの脱却を唱え、日本の引き起こしたアジア太平洋戦争が、アジア諸国を欧米の植民地支配から解放することを目的としていたかのように教え、日本の加害責任については曖昧な記述しかしていない。
 また、同社版公民教科書は、権利よりも前に公共の福祉による人権制限を説明するなど、基本的人権の原則と例外を逆転させ、日本国憲法及び平和主義を連合国から押し付けられたものであって「改正」すべきものであるかのように教え、専守防衛の見直しにまで言及する内容となっている。
 自由社版教科書は、日本の戦争加害責任や憲法に対する見方があまりにも一面的で、教育基本法や学習指導要領に照らしても問題がある。
 今回の教科書採択は、かかる問題点を全く無視して行われたものである。
 採択された教科書で教育を受けることになる中学生は、人格的成長の途上の重要な時期にあり、上記のような自由社版教科書による一面的で偏った教育を受けることにより、生徒に回復しがたい重大な悪影響を及ぼすことが強く危惧される。本日時点で、今回の教科書採択結果を明らかにしている全国の教育委員会のうち、自由社版教科書を採択した教育委員会は他にはない。常陸大宮市教育委員会が今回の教科書採択において、あえて問題の多い教科書を採択したことは、生徒の学習権を保障する立場に立ったとは到底評価し得ず、極めて遺憾である。
 中学生に、日本の侵略戦争の事実を否定し、国際問題の平和的な解決を軽視する教科書による学習を強いることは、日本の将来にとっても重大な問題であり、国内だけでなく国際社会からも厳しい批判を受けることは確実である。
 私たち自由法曹団は、常陸大宮市教育委員会の今回の歴史・公民教科書の採択に対し抗議するとともに、改めて採択をやり直し、自由社版教科書を採択しないよう求めるものである。

以 上

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