2024年10月9日、声明「改憲策動と大軍拡を阻止し、自民党政治を終わらせるために 総選挙での勝利に向けて全力で取り組もう」を発表しました

カテゴリ:声明,憲法・平和,明文改憲

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改憲策動と大軍拡を阻止し、自民党政治を終わらせるために
総選挙での勝利に向けて全力で取り組もう

2024年10月9日

自 由 法 曹 団
団長 岩田研二郎

1 本日、衆議院が解散され、10月15日公示、10月27日投開票で衆議院総選挙が施行される運びとなった。
 今回の総選挙では、改憲を阻止し、自公政権の下で行われてきた憲法の理念に反する政治から新しい政治へと日本の政治を転換し、日本に民主主義・立憲主義・平和主義を回復できるかどうかが問われている。

2 自民党政権は、安倍、菅、岸田と三代続いて政権を投げ出した。安部・菅政権は、アメリカに追従して日本を「戦争する国」にするために平和憲法を破壊し、民主主義も人権も蔑ろにしてきたが、岸田政権はこれらの悪政を引き継ぎ、安保三文書の閣議決定、敵基地攻撃能力の保有と大軍拡に突き進み、大企業の利益を優先し、国民の命と暮らし、尊厳を破壊する悪政を重ねてきた。さらに、政治資金パーティー券裏金事件において、真相究明に背を向け、企業・団体献金を温存し、金権腐敗政治をただす姿勢をまったく示さなかった。
 岸田政権は、こうした自民党政治に対する国民の怒りの声が広がる中で政権運営に行き詰まり、退陣へと追い込まれたのである 。

3 2024年10月1日、新たに石破茂自民党総裁が首相に就任した。石破首相は、国家安全保障基本法を制定し憲法9条2項(戦力不保持条項)を削除して自衛隊を国防軍にすることや徴兵制合憲論を持論としており、自民党が2012年に公表した日本国憲法改正草案において「国防軍」の創設を謳う9条の2を起草した人物である。あわせて、石破首相は、日米同盟の強化とともに、アジア版NATOを提唱し、NATOのような集団安全保障の本質は「義務」だと強調している。石破首相が主張する9条改憲とアジア版NATOのねらいは、海外でのアメリカの戦争を支援する集団的自衛権の行使を全面的に可能とすることにほかならない。岸田前首相は、安保三文書に基づく大軍拡を押し進め、改憲について憲政史上初の国民投票にかけるならばいわゆる「緊急事態条項」に加え「自衛隊の明記」も含めて国民の判断を仰ぐべきだとしたが、石破首相はこの路線を引き継ぎ、「戦争する国」づくりの障害となる憲法9条2項を無効化し、平和憲法を破壊し、日本を「戦争国家」にしようとしている。このことは、岩屋毅、中谷元、林芳正という防衛大臣経験者を3人も入閣させ、同じく防衛大臣経験者である小野寺五典を政調会長に就任させるなど、軍事色の強い人事からもうかがえる。
 他方、石破首相は、経済無策と批判された岸田政権の経済政策を継承する立場を表明し、アベノミクスへの反省も物価高騰や経済の低迷に対する具体的な対策も展望も打ち出せていない。
 さらには、岸田政権を退陣に追い込んだのは、統一協会と自民党議員の癒着や党派閥による政治資金パーティー券裏金問題に対する「国民の政治不信」であったが、石破首相は、統一協会と自民党との組織的関係を否定し、裏金事件の全容解明も拒否しており、金権腐敗政治の元凶である企業・団体献金の禁止にも背を向けるなど、「国民の政治不信」に誠実に応える姿勢も一切示していない。
 このような石破政権に、憲法の理念に沿って日本に民主主義・立憲主義・平和主義を回復する新たな政治への転換を行う能力も資格もないことは明らかである。

4 米中軍拡競争が激化する中、石破政権は、岸田政権に引き続き、アメリカに追従し、安保三文書に基づく大軍拡に邁進し、南西諸島の軍事要塞化を押し進める姿勢を示しているが、こうした動きは、東アジアにおける軍事的な緊張に拍車をかけ、日本を戦争に巻き込み、国土を戦場とするものにほかならない。
 日本に求められているのは、9条をはじめとする平和憲法を持つ国として対話と外交による地域の平和の確立へ向けた努力であって、安保三文書に基づく大軍拡や集団的自衛権の全面的な行使に道を開く9条改憲ではない。
 「戦争する国」づくりとそのための改憲を絶対に許してはならない。

5 改憲と大軍拡を阻止し、民主主義・立憲主義・平和主義を回復する新たな政治への転換を実現するためには、総選挙において、憲法の理念に立脚する勢力が勝利し、自民党政治を終わらせることが不可欠である。
 自由法曹団は、今回の総選挙に際して、憲法の理念に立脚する勢力と共同し、憲法が活きる新たな政治の実現のために全力を尽くす決意である。
 そして、全国の自由法曹団員と、憲法が活きる新たな政治を求めるすべての人々が、国政をめぐって政治的論議が活発に交わされるこの機会に、街頭宣伝や集会等を通じて憲法が掲げる民主主義・立憲主義・平和主義の擁護のために旺盛に活動することを心から呼び掛けるものである。

以上

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