2025年3月17日、「速やかに企業・団体献金を禁止する政治資金規正法の改正を求める声明」を発表しました
速やかに企業・団体献金を禁止する政治資金規正法の改正を求める声明
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題への国民の怒りから、2024年10月の総選挙で、自民党・公明党の与党が過半数を割る結果となった。
しかし、組織的な裏金作りの真相や裏金の使途は未だに明らかにされておらず、これを防ぐ手立ても講じられていない。加えて、石破首相が10万円の商品券を党内の議員に配っていたことや、石破首相および側近が個人名を使い企業献金を受けたのではないかとの疑惑報道までされている。
企業・団体献金は、特定の企業ないし業界団体などのために政治・政策決定が歪められるおそれが大きいことから、1994年の政党助成法成立と引き換えに、献金先は政党および政党の指定する政治資金団体に限定されるようになった。
しかし、日本経済団体連合会(経団連)は会員企業に呼びかけて毎年多額の献金を自民党に行い、また「第2の献金」とも呼ばれるパーティー券も積極的に購入してきた。そして、毎年政策要求を出し、会員企業から審議会委員も出て、政府の政策決定に直接間接を問わず関与してきた。このもとで、自民党は法人税減税・消費税増税、社会保障費削減を始めとした大企業優遇のゆがんだ政治を長年にわたって行ってきた。
2022年4月12日に経団連が発表した「防衛計画の大綱に向けた提言」の後に、政府は同年12月16日付「安保三文書」で大軍拡路線をとることを公表した。このもとで、自民党に献金をした企業が政府から多額の防衛装備品の発注を受けている。一部の企業が政治をカネで買い、還流を受ける構造ができあがっており、企業・団体献金が、憲法違反の「戦争する国づくり」を推し進めている大きな要因の一つであると言っても過言ではない。
このような政治腐敗の根源である企業・団体献金は全面禁止が必要である。そしてパーティー券収入は「第二の企業・団体献金」となっていることから、ここにも禁止の網をかぶせる必要がある。
今国会では、政治資金規正法の再改正に関連し、企業・団体献金を温存する自民党案と、パーティー券購入も含めた企業・団体献金の原則禁止をうたう野党の法律案とが複数提出されている。しかし自民党案のように、政党に1000万円超を寄付した場合にのみ名称及び寄付額等を公開させるだけでは、政治腐敗根絶の実効性がないことは明らかである。上限規制をすればよいとの主張もあるが、企業・団体献金の存続を許すことはもはや許されない。
自由法曹団は、政治腐敗の即時かつ恒久的な根絶のため、そして、市民に公正な政治を取り戻すため、企業・団体献金をはっきり禁止する政治資金規正法の改正を求め、全力を尽くすものである。
2025年3月17日
自 由 法 曹 団
団長 岩田 研二郎