2023年10月23日、辺野古新基地建設に伴う軟弱地盤改良工事のための設計変更を承認する代執行に向けた国の提訴に抗議するとともに、これに応訴する沖縄県を支持し、新基地建設工事強行に断固反対する決議
辺野古新基地建設に伴う軟弱地盤改良工事のための設計変更を承認する代執行に向けた国の提訴に抗議するとともに、これに応訴する沖縄県を支持し、新基地建設工事強行に断固反対する決議
1 国土交通大臣は、2023年10月5日、辺野古新基地建設に伴う軟弱地盤改良工事のための設計変更の承認を求める同大臣の指示に対して、玉城デニー沖縄県知事が「期限までに承認することは困難である」と回答したことから、その代執行に向けて、知事に承認を命じる判決を求める訴訟を福岡高裁那覇支部に提訴した。
2 辺野古新基地建設の設計変更を不承認とした沖縄県知事の処分をめぐる訴訟で、沖縄県は、最大で水面下90メートルにおよぶ軟弱地盤の存在等により新基地完成の見通しがたっていないことや環境に甚大な影響が及ぶことなど不承認処分の適法性を主張したが、2023年9月4日、最高裁は、設計変更の内容・問題点等について一切触れることなく、不承認処分が法令に違反してなされたものであるかどうかを審査せずに、「行政庁がした裁決(国土交通大臣が行った不承認処分を取り消す旨の裁決)は関係行政庁を拘束する」との形式論理のみに基づき、設計変更を承認せよという是正指示を適法として、県の上告を棄却した。
行政権の濫用をチェックするという司法の役割を放棄したうえで、憲法が保障する地方自治の本旨を無視して、ただひたすら国の政策判断を追認する不当判決であり、101人にも上る(10月5日時点)行政法学者から批判的意見が表明され、県民などからも様々な意見が寄せられていることを踏まえ、これを分析する必要があるため期限内の承認は困難とした県知事の判断は極めて適切、妥当なものである。
3 にもかかわらず、国は、県との対話を一切行うことなく、代執行に向けての手続を一方的に強行しているが、このような姿勢は、厳しく批判されなければならない。
国による代執行訴訟の提起を受けて、玉城デニー知事は、2023年10月11日、訴状の内容を精査したうえで、沖縄防衛局の設計変更申請につき承認することを求める国側の請求には「承服できない」として応訴することを表明した。同知事は、あわせて、福岡高裁那覇支部で行われる口頭弁論には、自身が法廷に立ち、県民の辺野古埋立に対する反対の民意や過重な基地負担の問題など県の主張を述べる意向も示している。自由法曹団は、県の応訴と県民の民意を反映した玉城知事の姿勢を全面的に支持する。国は直ちに訴訟を取り下げて、沖縄県との対話によって紛争の解決を図るべきである。また裁判所は、この裁判をおこなうのであれば、沖縄県の主張について実質審理を行って、公正公平な判断を下すべきである。
4 自由法曹団は、国による代執行訴訟の強行に強く抗議するとともに、今後も、沖縄の人々と力をあわせて、沖縄の基地負担軽減、普天間基地の閉鎖撤去、辺野古新基地建設の即時中止・断念を求めて全力で取り組むものである。
2023年10月23日
自由法曹団2023年大阪総会