<<目次へ 【決 議】自由法曹団
中央教育審議会は2002年9月13日、20日に基本問題部会、30日に総会に総会を開き、「中間報告柱立て案」に基づき中間報告の作成を急いでいる。文部科学省と中教審は年内には中教審の最終答申、次期の通常国会に「改正」案を提出する予定と言われている。その内容の柱は、 「政府・財界にとって必要な人材づくり」「教育財政の圧縮」「教育産業への門戸開放」という視点からのものと予測されている。
いま教育改革に必要なことは、なによりも、子どもたちの学習し成長する権利を中心におきながら、子ども一人一人の人格の全面的発達をどう実現するかという教育基本法、子どもの権利条約に立ち返ることである。
一人一人の子どもの学習権を含めた人権を学校内で尊重すること、一人一人の子ども自身がその自律性と人格が大切にされ、成長する力に期待を寄せられていると認識をもち、学校生活の中で自己肯定感を得られることが何よりも大切である。子どもたちの自律性と人格、そして学習し成長する権利を中心とした人権がどれだけ大切にされているかという視点が、貫かれるべきである。このような視点はまさに教育基本法や子どもの権利条約の理念・視点であって、今こそ教育基本法を教育現場に生かすことこそ必要なのである。
子どもたちは、主としてクラス集団の中で、学習し社会性を身につけていくものである。少人数学級の実現によって、いきとどいた教育を実現することは、子どもたちのおかれている困難を克服するために、緊急不可欠な課題である。そのために国は、少人数学級実現のための財政措置をすみやかにとるべきであり、地方自治体まかせなどという無責任な対応は許されない。
教師が生徒を見る目は管理でなく、成長についての限りない信頼でなければならない。そのために、教師にはゆとりと創造性、教育の自由を保障しなければならない。学校と教師への管理強化は、管理的で競争的な子ども観を蔓延させ、子どものストレスを一層蓄積させる危険性が大きい。
政府によって進められている「教育改革」と教育基本法の「改正」は、子どもたちがおかれている困難な状況を改善するものでなく、逆に多くの子どもを一層深刻な事態に追いやるものである。私たちは、今回の教育基本法「改正」に強く反対するものである。
2002年10月28日
自由法曹団2002年総会