<<目次へ 【決 議】自由法曹団
来る二月八日、沖縄県名護市の市長選挙の投票が行われる。
この選挙は、名護市のキャンプシュワブ沖で米軍の海上基地を建設しようとする日米両政府の策動を許さないたたかいとなる。
政府は、海上基地の建設について地元の意見を尊重する旨再三表明してきた。それにもかかわらず、昨年一二月二一日に行われた住民投票に際して、「海上ヘリ基地が建設できなければ普天間基地の返還は白紙に戻る」と脅迫的言辞を弄したり、現地の「振興策」とからめた露骨な利益誘導を行うなど目に余る干渉・介入を行ってきた。大量の防衛施設庁職員や自衛官を動員し、基地建設に賛成するよう勧誘させた。さらに、業界ぐるみの締め付けや買収・供応など、なりふりかまわない違法・不当な行為が繰り返された。
このような政府等の干渉・介入に対して、名護市民は海上基地反対の意思を断固として示した。
ところが、政府は、住民の意思を尊重するどころか、比嘉市長が不当にもこれを無視して基地受け入れを表明し辞任するや、今度は、「市長選挙の結果を見守る」と言い出している。そして、基地建設を進めるため、大田知事への説得に全力を挙げるというのである。私たちは、民主主義を踏みにじるこのような政府の策動に断固抗議するとともに、大田知事に対しても、すみやかに明確な海上基地反対の態度を表明するよう求めるものである。
そもそも、海上基地建設の問題は、政府が、米軍基地の撤去・縮小を求める沖縄県民の声を無視して、普天間基地「返還」の条件として沖縄県内に代替施設を建設することを米政府に約束したことに原因がある。二一世紀に向けて米軍基地を固定化・強化しようとする日米安保共同宣言や新ガイドラインを強行しようとすること自体が問題なのである。
沖縄の本土復帰後二五年間、沖縄では新たな米軍基地建設は行われてこなかったのであり、いま、国際保護動物であるジュゴンも住むサンゴ礁の海に、激しい騒音問題や生態系の破壊、著しい環境汚染を発生させる海上基地をあらたに建設するというのは、誰が考えても無謀といわざるをえないのである。
自由法曹団は、このような海上基地建設に反対する住民の立場にたつ市長が誕生するよう名護市長選挙を全力で支援する。
また、今回の選挙では、基地建設を推進する勢力によって、利益誘導や供応などの違法な活動が予想される。団は、民主主義の根本を否定するこのような攻撃をはねのけ、公正な選挙を実現するために、断固たたかう。
問題を解決するうえで重要なのは、海上基地建設に反対する住民の意思にもとづき、日米両政府が建設を断念し、普天間基地の無条件返還を実現することである。自由法曹団は、そのために全力を挙げる決意である。
右決議する。
一九九八年一月一七日
自由法曹団全国拡大幹事会