<<目次へ 【決 議】自由法曹団
アジア・太平洋戦争が終結して半世紀が過ぎた。
この戦争によって大きな被害を被ったのは、中国の民衆であった。
しかし、今日に至るも被害の実態が事実に基づき、十分に明らかにされたとは言えない状況にある。
このことは、「従軍慰安婦」や「強制連行」によって人間を奴隷として扱い、人間の尊厳を踏みにじったこと、「南京虐殺事件」や「七三一部隊」において人間の生命と尊厳を奪い冒涜したことなど、典型的な事例だけみても明白である。
長野県の「強制連行・強制労働」は、北海道に次ぐほどの規模でありながら、これら中国人戦争被害者の謝罪や賠償を求める具体的な要求は、今日までさまざまな問題にはばまれてきた。
一九九七年一二月二二日、長野県内に「強制連行・強制労働」された中国人被害者七人が日本政府と加害企業四社を被告とし、謝罪と賠償を求める訴えを長野地方裁判所に起こした。
私たちは、謝罪と賠償を求める被害者の心情を理解するとともに、戦争責任を認めることが、日本国と日本人自身の国際的責務であると受け止め、この訴訟を支える市民らとともに被害者の要求実現に向けて奮闘することを決意する。
また、政府と加害企業が直ちに戦争責任を認め、戦後補償を自主的に行うことを求めるとともに、裁判所が被害者の要求を認め、政府と加害企業の責任を明確にすることを求めるものである。
一九九八年一〇月二六日
自由法曹団一九九八年長野総会