<<目次へ 【決 議】自由法曹団


米軍普天間飛行場の沖縄県内移設に反対する決議

 在日米軍基地の専用施設の七五パーセントが集中する沖縄県において、米軍基地の撤去・縮小は沖縄県民の圧倒的な多数の意思であり、その実現こそ、沖縄県における県政の最大の課題である。なかでも沖縄本島中部・宜野湾市の市街地の中央部に位置し航空機騒音を撒き散らし、市民生活に多大な危険をもたらし、地域振興の大きな妨げとなっている普天間飛行場の撤去は、市民・県民の切実な願いである。
 一九九五年九月に起きた米軍人による少女に対する残虐非道な行為に端を発し、米軍基地の撤去を求める声はかつてない高まりとなった。日米両政府は、県内外のこの世論の高まりを鎮静化するため、九六年四月にいわゆるSACOの中間報告を発表し、普天間飛行場を「五年乃至七年以内に十分な代替施設が完成した後返還する」ことを明らかにした。そして同年九月のSACOの現状報告では、代替施設の具体案として@嘉手納飛行場への集約、Aキャンプ・シュワーブ中での建設、B海上基地建設、の三案を検討することとし、さらに同年一二月二日、最終報告で沖縄本島東海岸への建設等を追求することとなった。そして政府は、九七年一一月五日、キャンプ・シュワーブ沖水域への「普天間飛行場代替海上ヘリポート基本案」を沖縄県や名護市に指示した。
 このようなSACO合意や政府の方針は、沖縄県内に代替施設と称する新たな米軍基地を建設するものであり、県民の求める基地の撤去・縮小に寄与するものではなく、逆に、代替施設となるヘリポートへの最新鋭のMV22オスプレーの配備計画でも明らかなように、米軍基地の機能を強化する以外のなにものでもない。さらに言えば、これは東アジアに一〇万人規模の米軍を配備し、これを無期限に維持することを強調するアメリカの新アジア戦略報告の構想に沿う以外のなにものでもない。
 いま、普天間飛行場の返還を求める世論を逆手にとって、米軍の勝手気ままな侵略戦争にも自動的に参加させられる新ガイドライン体制を確保するため新たな軍事施設が沖縄県内で建設される策動が動き出している。
 稲嶺保守県政は、来年開かれる沖縄サミットを直前に控えて、今年中に普天間飛行場の代替地先を決定する意向を表明し、沖縄県内に新たな米軍基地を建設する立場を明確にした。これは、沖縄県民の長年にわたるたたかいによって押し進められている米軍基地の撤去・縮小への道に逆行するものである。
 私たちは、米軍沖縄基地の県内・国内へのたらい回しを策動する日米両政府に強く抗議し、これにつながる普天間飛行場の沖縄県内移設に強く反対することを決議する。

一九九九年一〇月二五日
自由法曹団一九九九年総会