沖縄県による辺野古埋め立て承認撤回を断固支持し、
日米両政府に辺野古新基地建設中止を求める声明
本年8月8日に急逝された故翁長雄志沖縄県知事(故翁長知事)の遺志を継いで、謝花喜一郎沖縄県副知事は、8月31日、仲井眞弘多前沖縄県知事が行った辺野古米軍新基地建設に関する埋め立て承認を撤回した。この承認撤回は、平和を願い、辺野古新基地建設に反対する民意に沿うものであり、自由法曹団として、断固支持する。
辺野古新基地建設に伴う土砂投入を強行しようとする政府に対し、故翁長知事は、7月27日、辺野古埋め立て承認を撤回する手続を開始すると発表した。その記者会見において、故翁長知事が「朝鮮半島の非核化と緊張緩和に向けた米朝の努力は続けられています。このような中、20年以上も前に決定された辺野古新基地建設を見直すこともなく強引に押し進めようとする政府の姿勢は、到底容認できるものではありません。私としては平和を求める大きな流れからも取り残されているのではないかと危惧している」と述べたとおり、辺野古新基地の建設を進めることは、南北、米朝会談のような話し合いによる紛争の平和的解決を目指す流れに逆行して、東アジアの軍事的緊張を高めるものであり、絶対に許されない。
また、埋め立て承認後、辺野古新基地建設は、法律の要件を満たしていないという重大な問題があることが明らかとなっている。公有水面埋立法は、県知事が埋め立て免許を付与する要件の一つとして「其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」(4条1項4号)を定めているが、沖縄防衛局は、事前に行う予定であったサンゴなどの移植を行っておらず、「環境保全に配慮しない」まま工事を強行している。沖縄防衛局が開示した地質調査報告書「シュワブ(H25)地質調査その2」(2016年3月付)には、大浦湾内のC5護岸設計箇所の地盤強度が「マヨネーズ並み」とされる「N値0」、と明記されており、埋め立て予定区域に超軟弱地盤が存在することも明らかとなった。また、専門家により、活断層の存在も指摘されている。
さらに、辺野古新基地建設予定地の周辺にある国立沖縄工業高等専門学校(沖縄高専)の校舎が、米軍が定めている建造物の高さ制限に抵触しており、米軍ですら危険とする空間に沖縄高専の学生や職員が晒されることになることも明らかにされている。その他にも、米軍普天間基地の返還条件として、辺野古新基地だけでなく、緊急時における民間空港の利用も条件とされていた等、安倍政権が埋め立て承認時に隠していた重大な事実が次々と判明し、辺野古新基地建設の根拠は崩れ去ったのであり、承認撤回は当然の判断である。
自由法曹団は、辺野古新基地建設阻止のために最後まで文字どおり命をかけて闘い続けた故翁長知事の遺志を受け継いで承認撤回に踏み切った沖縄県の英断を断固支持するとともに、日米両政府に対して、辺野古新基地建設の中止を強く求めるものである。
2018年9月3日
団 長 船 尾 徹