<<目次へ 【声 明】自由法曹団


抗 議 声 明

 自由法曹団は最近近畿公安調査局の1996年度の内部文書を入手しました。
 それによれば「(近畿)管内に存在する調査すべき反核・平和団体、人権・市民団体等約110団体・組織を8分野に分け、これを国内公安動向班が分担し、同班に集約した関連情報の整理・分析をする」とし、「法曹・救援、文化、教育関係」の冒頭に自由法曹団を掲げ、「左翼法曹団体」の「実態」・「動向」把握を重点解明目標とししています。そして、この目標を達成するためにとして、「大衆協力者網を拡充」、「大衆協力者の獲得」、「高位協力者の獲得」、「現存協力者の効果活用」などの言葉を用いて、スパイの獲得・活用を強調しています。法曹関係者については一名の協力者を獲得するという工作目標を示していることからもこのことの具体性は明らかです。同文書には、一部の組織について、「協力者」を組織内部で「格上げさせる」ことによって、「極秘資料」を入手したことを誇らしげに報告していることからみても、スパイの組織内潜入を当然視し、これを奨励していることが窺えます。また、調査の対象は自由法曹団に限らず、法曹・救援、文化、教育関係の諸団体にも及び、政治・選挙関係、経済労働関係、大衆、市民運動関係など広い範囲の民主的団体がその対象となっています。このことは公安調査庁が日本の民主主義運動全般を敵視し、日常的にその動向を探ることによって、その妨害者となろうとの意図をあらわにしたものであって、同庁が民主主義社会を根底から否定する民主主義破壊者であり、絶対に許すことができない存在であることをはっきりと示しています。
 自由法曹団は創立以来、民主主義と人権の擁護を国民の立場に立って一貫して押し進めてきた団体であり、公安調査庁の調査の対象となるような「暴力的破壊活動」とは全く無縁の団体です。調査の対象とされたほかの諸団体を見ても「暴力的破壊活動」とはなんの関係もない団体ばかりであり、公安調査庁の著しい越権行為は明らかです。わたしたちは「破壊活動防止法」自体が違憲の悪法であると考えるものですが、公安調査庁は国民の血税を湯水のごとく使って千数百人の人員を擁して「破壊活動防止法」にも反して違法・不当な調査活動を行っているのです。自由法曹団は公安調査庁の「破壊活動防止法」をも逸脱する違法な調査活動に厳重に抗議し、こうしたやり方に抗議の意思を示す諸団体と連携しながら公安調査庁の廃止をもとめ国民の基本的人権を守るため徹底的な闘いを始めます。

2000年1月19日
自 由 法 曹 団