<<目次へ 【声 明】自由法曹団
沖縄県議会は、本年三月三〇日「県の外郭団体などあらゆる県の機関から『一坪地主など』を役員から排除すべき件」の陳情を、自民党、県民の会、新進沖縄の賛成多数での採決を強行した。
右の陳情書は、「一坪反戦地主の土地の所有の目的は、…国の政策を妨害するためのものであるから、憲法第十二条違反である。」とか、「『反戦平和』とは…民衆に暴動を起こさせ、日本を破滅に陥れようとする考えと同じである。」とか、「県政のリコールを企てたり、少なくとも県政を危うくし、県政の恥となるような行動、言動を繰り返して、てんとして恥じない『一坪地主』などを有用し、県民の税金を無駄遣いすべきでない」としている。
しかし、これは、米軍基地用地の撤去を求め、軍用地を生活と生産の場に取り返そうとして活動している一坪反戦地主に対して、事実に反する不当な中傷と差別に他ならない。そして激しい基地被害に苦しみ、名護での基地建設に反対し、平和を求める沖縄県民および国民の声の広がりに対してこれを押しつぶそうとする悪質な意図によるものであることは明らかである。
しかるに、沖縄県議会は、こともあろうに充分の審議も尽くさないまま県政与党の数の暴力でもって県議会最終日に採択を強行した。このような陳情を県政を代表する県議会において採択したことは、平和を求め基地撤去を切望する沖縄県民の願いに真っ向から反するものである。また、そもそも議会によるこうした陳情の採択は憲法の定める「思想良心の自由」「表現の自由」「政治活動の自由」「集会結社の自由」「公務員の選定罷免権」「個人の尊厳の尊重」などあらゆる権利を侵害するものであるのみならず、地方自治の原則を無視し、「憲法の尊重擁護義務」(憲法九九条)に背反するものであって断じて許されない。
自由法曹団は沖縄県議会がかかる憲法違反の陳情を採択したことに対し、厳重に抗議するとともに沖縄県議会本会議自らこの採択を撤回することを強く求めるものである。
二〇〇〇年四月三日
自 由 法 曹 団
団 長 豊田 誠
沖縄県議会 御中