<<目次へ 【声 明】自由法曹団


アメリカのイラク戦争および
日本政府のこれに対する支持・加担に対する抗議声明

 ブッシュ米大統領は、昨日、イラクへの先制攻撃にむけた最後通告を行い、20日にも国連決議なしでのイラク攻撃を開始するという。
 しかし、国連決議なしでのイラク攻撃は国連憲章に明白に違反する。国連憲章は、加盟国の武力行使を原則として禁止し、加盟国に紛争の平和的解決を義務づけている。例外的な武力行使は、自衛権行使(51条)と安全保障理事会の決定による軍事的措置(42条)の場合に限定される。大統領は、「自分たちの安全を守るため」と説明しているけれども、現時点ではイラクによる「平和に対する脅威」は存在しない。米国の先制攻撃は、自衛権行使とおよそ無縁であり無法な戦争である。
 米ブッシュ政権は、フセイン政権を打倒するとともに、米国の圧倒的な軍事力をもって世界を制圧することを目的としている。そのような邪悪な目的のために、無法な戦争を強行し、イラクの子どもたちをはじめ罪のない人たちを無差別かつ大量に虐殺することは、歴史的な蛮行であり絶対に許すことができない。

 日本政府は、米国の国連決議なしでのイラク攻撃をも支持するという。
しかし、米国が開始しようとしている戦争は、国連憲章違反の無法な戦争である。だからこそ、米国の同盟国であるフランス、ドイツを含めた圧倒的多数の国連加盟国が、査察の継続・強化による平和的解決を求めているのである。日本政府のいう「日米同盟」は、米国の無法な戦争を支持する理由には全くならない。政府の戦争支持・加担は、国際紛争解決の手段として一切の戦争を放棄した日本国憲法(前文・9条)の精神に真っ向から反するものである。

 自由法曹団は、米国のイラク攻撃及び日本政府のこれに対する支持・加担に断固反対し、米国のイラク攻撃を阻止するため、平和を求める全世界の人々とともに最後までたたかう。

2003年3月19日
自 由 法 曹 団

団 長  宇賀神   直