<<目次へ 【声 明】自由法曹団


オウム真理教に対する破防法の適用棄却に関する声明

  本日、公安審査委員会は、オウム真理教に対する破防法・解散指定の適用 を棄却する旨の決定を発表した。
二 自由法曹団は、今回の破防法の適用を認めるか否かは、わが国の自由と民 主主義の将来に対し、きわめて重大な影響を持つものであるとの認識に立って、 反対運動を行ってきた。 公安審査委員会が、結論として、適用請求を棄却した ことは当然とはいえ、審査委員会の委員諸氏が法の厳格な適用として正しい結論 に達したことを評価するものである。 同時に、違憲の破防法を、なにが何でも 適用すべく、申請を強行した村山前首相、法務省及び公安調査庁の責任が厳しく 問われなければならない。
三 破防法の適用を許さなかった要因として、第一に、破防法制定時の反対運 動の大きな盛り上がりによって、適用条件が厳格に制限されていたことがあげら れる。 第二に、わが国の民主主義の成熟により、その政治的立場にかかわらず 、公安審査委員が、厳格に要件を検証しその適否を判断した結果であること。 第三に、何よりも、オウム真理教による様々な犯罪の存在にかかわらず、自由法 曹団をはじめとした多くの個人・団体による署名・集会・申し入れ等の地道な運 動の成果である。
四 今回の決定で「団体性」や「政治目的」が肯定されていることは大きな問 題である。これらは安易な拡大解釈であって、とりわけ「政治目的あり」とした ことは、戦前の治安維持法裁判の歴史的な教訓に背を向けるものである。 また 、公安審査委員会の本来の職責を超えて、オウム真理教に対する今後の監視を容 認したことは重大である。 これらの弱点は、委員会の審議が公開されず、また 公安調査官の作成した調書が主要な証拠として採用されるなどの手続上の問題と 固く結びついているが、憲法違反の破防法の存在そのものにその根源がある。 自由法曹団は、今後、破防法ならびにこれに根拠を持つ公安調査庁の廃止を強く 要求するとともに、再び破防法発動を許さないたたかいを継続することを決意す る。
  一九九七年一月三一日 自 由 法 曹 団