<<目次へ 【声 明】自由法曹団
高知県は、非核港湾条例を制定しようとしている。
この条例は、県港湾施設管理条例を改正して、核兵器を積載した外国艦船による高知県の港湾施設の使用を規制することとし、使用許可にあたっては県から非核証明書の提出を要請するというものである。この条例制定は、「県内すべての港で非核三原則を順守し、平和な港としなければならない」という九七年一二月の高地県議会での全会一致の決議にもとづくものである。そもそも、核兵器を「作らず、持たず、持ち込ませず」という非核三原則は、わが国の基本政策である。高知県の非核港湾条例は、この非核三原則を徹底させようとするものであって、積極的な意義を有するものである。
ところが、外務省は、一九九八年一二月二八日付けで、高知県知事に対し、「港湾管理者としての地位に基づく機能の範囲を逸脱しているものであって、地方公共団体の事務としては、許されないものである」とする文書回答を行った。
しかし、港湾法は、港湾の管理権は地方自治体にあることを規定している(二条一項)。そして、地方自治法も、地方自治体の事務として「ドック、防波堤、波止場、倉庫、上屋その他の海上または陸上輸送に必要な施設を設置し若しくは管理し、又はこれらを使用する権利を規制すること」をあげている(二条三項四号)。高知県に対する政府の態度は、このような自治体の港湾管理権を否定することになる。のみならず、すでに前記決議で表明されている県議会の意思すら無視するものであって、団体自治と住民自治を定めている憲法の「地方自治の本旨」(九二条)を踏みにじるものであり、さらには、地方自治法で明記している地方自治体の基本任務、すなわち「住民・・・の安全、健康及び福祉を保持すること」(二条三項一号)にも反するものである。
しかも、今回の高知県に対する政府の姿勢は、現在国会で継続審議となっている新ガイドライン法案に関して、自治体の意思を無視して、軍事活動に対する自治体の協力を義務づけることにつながる。
自由法曹団は、非核港湾条例の制定を積極的に支持するとともに、地方自治を否定する政府の介入に断固抗議するものである。
一九九九年二月二〇日
自 由 法 曹 団
高知県知事 橋本 大二郎 殿
内閣総理大臣 小 渕 恵 三 殿