<<目次へ 【声 明】自由法曹団
新ガイドライン関連法案が、本日、衆議院で採決されたことに、激しい怒りを禁じ得ない。法案を推進してきた自民・自由・公明の各党に対し、断固抗議する。
この法案の性格は、法律家団体であるわが自由法曹団が繰り返し解明し、訴えてきたように、平和憲法を持つわが国を「戦争をする国」に衣替えする戦争法案であり、明白に憲法に違反するものだ。安保条約の枠組みをこえた参戦態勢をつくり、地方自治体や国民を総動員して戦争へかりたてるものだ。だからこそ、安保条約についての意見の違いを超えて、大きな不安や反対の国民世論が渦巻いているのだ。いかなる修正を施しても、この法案の本質はかわらない。
このように日本の進路にかかわる重大法案であるにもかかわらず、国会での審議は、小渕首相の訪米土産のために「まず採決ありき」であった。私たちの祖国は、アメリカの属国ではないはずだ。訪米前採決のために、修正案も示されないままに採決の日程が決まるという密室での談合政治は、国民から付託されたわが国の民主主義を蹂躙する暴挙以外の何物でもない。
いま、政府・自自連立与党および同調する野党は、ルビコン河を渡りはじめた。しかし新ガイドライン関連法案に反対する声はますます大きくなっている。とりわけ昨日、陸海空の交通運輸関係の二〇労組の国会前行動に共産党委員長と社民党党首がそろって参加し、また市民・宗教・労働の二七〇団体が「立場の違いを越えて反対の意思を表明し廃案を要求する」との共同声明を発表するなど、これまでにない広範な反対運動の発展がつくられつつある。
悲惨な戦争を再びくりかえしてはならない。アメリカに参戦してアジア諸国民を軍靴で踏みにじってはならないのだ。憲法の歴史の重みに眼をみひらこう。そして、二一世紀の日本とアジアの子々孫々のために、法案に反対するすべての人々と協力・共同して参議院での廃案をめざして闘いぬこうではないか。
一九九九年四月二七日
自由法曹団 団長 豊 田 誠