<<目次へ 【声 明】自由法曹団
一九九九年七月三〇日、自民、自由、公明三党は、世論の反対を押し切って定期借家制度を導入するため、新たに「良質な賃貸住宅等の供給促進に関する特別措置法案」を衆議院に提出した。
既に一九九八年六月、定期借家制度導入を目的とした借地借家法「改正」案が提出され、法務委員会に付託されているが、定期借家制度は賃借人の居住と零細業者の営業の安定を破壊するものとして多くの反対があり、これまで一度も審議入りすることなく、継続審議となってきた。
今回提出された法案は、「良質な賃貸住宅」の供給促進のための措置をとるべき努力義務を国と自治体に負わせる旨の規定を置いてはいるものの、その目的は借地借家法を「改正」して定期借家制度を導入しようとするところにあり、既に提出されている借地借家法「改正」案と実質的に同一のものである。にもかかわらず、右三党があえて今回の法案提出を行ったのは、借地借家法「改正」案の審議入りが困難な法務委員会を回避し、建設委員会の審議により成立させることを狙ったものにほかならない。
元来、借地借家法は、法務委員会の所管事項とされてきたものであり、それゆえに既に提出されている借地借家法「改正」案は法務委員会に付託されているものである。
しかるに、今回、法務委員会に付託されているものと実質的に同一の法案を提出して建設委員会で審議させようというのは、国会のルールを無視する驚くべき暴挙というほかない。
右三党の法案提出は、国会のルールを無視して定期借家制度を導入し、賃借人の居住と零細業者の営業の安定を破壊しようとするものであり、自由法曹団は、この法案提出に対し、強く抗議する。
一九九九年八月三日
自 由 法 曹 団
団長 豊 田 誠