<<目次へ 団通信1105号(9月21日)
東京支部 大 八 木 葉 子
長引く不況の中、妊娠を理由に解雇される女性が増えている。女性週刊誌(「女性自身」二〇〇三年七月一日号)でも、「会社に赤ちゃんを殺される 緊急レポート 働く女性を襲う『妊娠リストラ』実態」という特集が組まれ、妊娠を理由に解雇された女性達や解雇を怖れてやむなく中絶した女性達について報告されていた。
私も、菊池紘弁護士とともに、妊娠を理由として解雇された女性の事件を担当し、先日(七月四日)、会社との間で和解を成立させることができた。
Mさんは、ホームセンターのパート社員としてレジや商品に陳列を行ってきた女性である。昨年六月三〇日、自宅で出血し、病院に行くと、切迫流産の危険があり一、二週間の緊急入院が必要ということであった。直ちに勤務先の店長に電話し、妊娠したことと、緊急入院のために一、二週間の休みが必要であることを伝えると、店長からは「休業ではなく、退職扱いになる」と説明された。
店長に「退職扱いになる」と信じ込まされたMさんは、退院後、早速、勤務先を訪ね、退職届用紙を置いてきた(ただし、当日、店長が不在であったため、Mさんは、店長に退職以外に方法がないのか、復職就労はできないのかを店長と協議をする意味で、退職理由も退職希望日も空欄にしておいた)。
その後、店長は、Mさんに何ら確認することなく、敢えてMさんが空欄にしていた部分を書き込み、退職届を本社に提出してしまった。
店長の対応に納得できないMさんは、店長らに退職届用紙の返還を求めると、逆に店長から「仕事中に何かあって、おなかの中の子どもが死んじゃったら、周囲から変な噂がたって店の印象が壊されるからそういうのを防ぎたいんだよ。妊婦さんがいると店のイメージも違っちゃうし、妊婦さんがいるとコミュニケーションが壊れるんだよ。妊娠している人に仕事をさせることはできない」と言われ、精神的に傷ついてしまった。
Mさんは、労働基準監督署に相談し、労働基準監督署を通して会社と話し合いをしたが、会社はMさんの言い分を認めず、本件訴訟の提起となった。訴訟では、Mさんの地位確認、賃金及び慰謝料の支払いを求めた。
訴訟では、会社はあくまでMさんは自発的に退職したものにすぎないと主張した。
しかし、店長に対する菊池弁護士の反対尋問で、会社はMさんが退職届を持参する以前に、Mさんに代わるパート社員の募集、面接をしていたことが明らかになった。店長は、Mさんが空欄にしていた退職届用紙の退職希望日の欄に、新しいパート社員が出勤する前日の日付を記入して本社に提出していたのであった。また、店長は、Mさんを傷つけた「おなかの中の子どもが死んじゃったら」との発言についても、表現には配慮したというものの、その旨の発言があったことを認めた。
訴訟中に、Mさんが勤務していたホームセンターは閉店してしまい、他店での勤務は困難であったことから、Mさんが復職就労することは困難となった。
結局、和解では、Mさんが産休期間を除いて和解成立時点まで働いたと仮定した賃金分に慰謝料分を加えた和解金を会社が支払うことになった。さらに、「会社が法規を遵守し、妊産婦の働き続ける意向を尊重し、その働きやすい職場環境の維持・改善に努めるものとする」との条項も入れられた。
Mさんは、店長の発言等に傷つきながらも、諦めることなく、戦い続け、元気な赤ちゃんを出産し、そして、本件の和解に至ることができた。
しかし、現実的には、労働基準監督署や弁護士等に相談することもなく、泣き寝入りしている女性が多いと思われる。上記週刊誌の報告にもあったが、妊娠・出産を理由とする解雇の態様はより陰湿化しているということである。微力ながら、これからも労働者、殊に女性労働者の働きやすい職場環境の維持・改善のために努めていきたいと思っている。
福岡支部 東 敦 子
二〇〇三年三月二五日、「被告(麻生渡・福岡県知事)は、福岡県に対し、金一億五万五一二八円・・を支払え。」という判決が出ました。関連訴訟でも、金八七〇四万五九五円分の勝訴判決をもらいましたので、合計で約一億八千万円にも上る勝訴判決をもらったことになります。
県教委は、長年にわたって、一〇人以上の現職の教諭を「県同教」(福岡県同和教育研究協議会)に派遣し、県同教の運営をさせ、その活動を担わせていました。単なる一民間団体にすぎない県同教に教諭を派遣し、その給与を県が丸抱えしているのですから、異常な事態です。県同教は部落解放同盟の運動方針を教育現場で実践する団体で、学校現場に歪んだ同和教育(狭山裁判教育や同和地区の人以外の人はみんな「差別者だ」とする教育)を持ち込んで、長年、子どもたちや現場の教師たちを苦しめてきました。
しかし、県教委としては、解放同盟との癒着を断ち切る勇気もなく、触らぬ神にたたりなしということで、この異常事態を放置してきました。この怠慢により、福岡県は県同教に派遣された年間一億円にも上る教諭の給与を負担してきたのです。この問題については、県議会などでも追及されてきましたが、県及び県教委の態度は変わりませんでした。県教委は「県同教は重要な団体であり、育成している。教諭の派遣は長期研修規則に基づく研修で何ら問題ない」と詭弁を弄していました。
私たちはこの異常事態を断ち切るべく、平成一二年に第一次訴訟を提訴。それから、毎年、二次、三次と提訴し、三次訴訟には県教委委員長も被告としました。歴史的な同和問題解決の状況や、歪んだ同和教育が与える悪影響、そして、被告側証人(同和教育課長や派遣教諭)への尋問を通じて、県同教への派遣がいかに悪質で、法的根拠も何もない派遣であるかを立証してきました。その結果、勝訴判決を勝ち得たのです。
被告は、控訴をしながらも、第一審の判決後、県同教への教諭派遣を中止しました。被告によれば、控訴審で勝訴しても派遣は復活しないそうです。・・・それなら、控訴などして何の意味があるのでしょうか?早速、私たちたち原告団は控訴審の一回目で求釈明を行いました。「同和教育が大切なのに、一審で負けたくらいで派遣をやめてもいいんですか?」という意地悪い質問です。控訴審の争点は、県教委委員長に公金の不正支出に関する責任が問えるかという点です。というのも給与支出という予算執行を行うのは県知事だからです。この点についても私たちは十分自信を持って、控訴審を闘っていきます。再び勝訴判決が維持されたという判決の報告を書きたいと思います。
最後になりましたが、福岡はとっても楽しいところです。総会でたくさんの皆様にお会いできることを楽しみにしております!!(県同教弁護団・原告団は楽しいのでその自慢もしたいと思っています)。
東京支部 萩 尾 健 太
はじめに
昨年以来、東京高等裁判所で、労働基本権を否定する異常な判決が相次いでいる。
言うまでもなく、労働基本権は、使用者に比べて弱い立場にある労働者が人たるに値する生存をなす権利(憲法二五条)を確保するため団結して使用者に対抗していく権利であり、憲法二八条が保障する基本的人権である。これを否定する判決の続出は、司法による実質的改憲とも言うべきものである。
1 前章 整理解雇の四要件の緩和
一九九九年秋から二〇〇〇年春にかけて、東京地裁労働部では、整理解雇を規制する四要件を緩和したり、この要件の適用を排除したりして、地位確認を求める労働者を敗訴させる判決・決定が相次いだ。
その背景にあったのは、新自由主義に立った政府による規制緩和・リストラ促進政策の推進である。一九九八年一月、政府に行政改革推進本部規制改革委員会が設置され、雇用の規制緩和を推進し、解雇規制法理を攻撃する見解を発表した。九九年には産業再生法、民事再生法が制定された。さらに、在日米国商工会議所も、九九年版貿易白書で解雇規制法理と日本労働法を攻撃した。上記の裁判の流れは、これらの影響であることは明らかである。
しかし、それらの反動判決に、労働者は黙ってはいなかった。争議団・労働組合の一致した行動が組まれ、二〇〇〇年一二月七日のヒューマンチェーンなどで労働者の怒りを示した。また、ILO条約、勧告も援用しての理論的解明もなされた。
こうした反撃の前に、上記の労働者敗訴事件は、本訴や高裁の場でほとんどが逆転勝訴や和解を勝ち取り、東京地裁労働部は、整理解雇四要件の緩和・不適用を止めた。労働者側が流れを押し返したかに見えた。
2 東京高裁の反動判決
だが、権力は狡猾であった。整理解雇の四要件は、不当労働行為的な解雇を規制する面があるが、形式的には勤労の権利(憲法二七条)、ほとんどの労働者に直接関係する労働条件法理の問題である。他方、団結権などの労働基本権(憲法二八条)や表現の自由などの「闘う権利」は、労働者の組織率が年々低下しているもとで、多くの労働者には実感しにくい。だが、これを攻撃すれば、勤労の権利をさらに掘り崩すことは容易となる。
そこで、(筆者の推測だが)裁判所は、後者への直接の攻撃に集中し、前者については、労働基準法の改悪など、政府・国会の場で行うという役割分担をなす形となったのではないか。そのあらわれが、以下の一連の東京高裁の反動判決である。
二〇〇二年九月二四日、東京高等裁判所第八民事部(村上裁判長)は、日経新聞記者がホームページでマスコミの慣行を批判したことに関する懲戒処分事件について以下のように判示した。
「取材源を秘匿することが控訴人の指摘するようにマスコミの悪しき慣行であるとしても、取材源や具体的な取材の過程を公表することにより、実際問題として被控訴人の今後の円滑な取材活動が妨げられるなど、被控訴人の業務に支障が出るおそれがある以上、その公表は、雇用者である被控訴人の判断に委ねられるべきであり、控訴人が一般論として被控訴人の悪しき慣行を批判することは言論の自由として許されるとしても、従業員である控訴人の一方的判断で、控訴人が、被控訴人の新聞記者として行った具体的な取材の過程や取材源を被控訴人の了解もなく個人的に公表することが許されないのは明らかである。」
これは、会社の悪慣行の改善を求めてそれを告発することは許されないとし、言論の自由よりも、使用者の判断の方が優先するとした、労働者に社畜化を迫る判決であった。
その一ヶ月後の一〇月二四日、同じ東京高等裁判所第八民事部(村上裁判長)は、全動労採用差別事件について以下のように判示した。
「国鉄の分割民営化そのものに一貫して反対して、違法な争議行為やワッペン着用闘争等の職場規律に反する行為を繰り返し、分割民営化後も想定して国鉄当局が提案した「現場協議に関する協約」の改定、余剰人員調整対策、労使共同宣言の締結、広域異動の募集、企業人教育にことごとく反対するなどの行動は、国鉄再建のために、国鉄を分割民営化し、職場規律等を確立するとともに、民間企業並みの生産性や効率性を実現することが必要であるという国鉄改革の方針に相反し、いわば国是としての国鉄の再建を担わされた承継法人の職場の秩序や規律を乱し、再建の妨げとなるものといわざるを得ず、このような行動をとってきた職員は、国鉄改革に賛成し、これを積極的に受け入れようとした職員と比較して、たとえ業務知識、技能、経験、実績等の面においては遜色のない評価を受け、又は受けるべきであったとしても、承継法人の職員としてふさわしい者か否かという観点からは、劣位に評価されたとしてもやむを得ないものといわざるを得ない。」
事実上、国鉄分割民営化による労働条件低下・雇用切り捨てに反対して行動するという労働基本権の行使そのものを不採用の理由とすることを肯定した憲法否定判決である。
さらに、同年一一月二六日、東京高等裁判所第七民事部(奥山裁判長)は、日本ヒルトンホテル地位確認事件について、以下のように判示し、証拠調べは一切行わないまま労働者側が勝訴した一審判決を取り消し逆転敗訴させた。
「(労働条件変更についての異議留保付き承諾の)意思表示をしている一審原告らの雇用継続の期待権を保護するため一審被告に対し一審原告らとの日々雇用契約の締結を義務づけるのは、今後も継続的に会社経営の合理化や経費削減を図ってゆかなければならない一審被告にとって酷であること等の事情によれば、本件雇い止めには社会通念上相当と認められる合理的な理由が認められる」
使用者の措置に対して意義を留保する労働者を雇うことは使用者にとって酷であるとの判決であるが、これでは争議権はおろか、意義留保という思想・良心の自由すら認められなくなる。
二〇〇三年二月二五日、またしても東京高等裁判所第八民事部(村上裁判長)は、反リストラ産経労松沢博委員長の不当労働行為救済申し立て中の懲戒解雇と言う前代未聞の事件について、以下のように判示し、僅か三回の審理で労働者側が勝訴した一審判決を取り消し、逆転敗訴とした。
「確かに、被控訴人が千葉支局長としての業務を拒否したのは、被控訴人が反リストラ産経労を申立人として救済命令の申立をしたことや、同事件において、被控訴人が使用者である控訴人の利益代表者である旨の主張がされたことが背景にあったものと考えられるが」(そうした問題は)「東京都地方労働委員会における審理、あるいはその後の訴訟の場において決せられるべきものであり、千葉支局長としての業務にとどまらず、控訴人の従業員として行うべき最低限の業務をも放棄したことを正当化しうるものでないことは明らかである。」
団交応諾を求める不当労働行為救済申立ての結論が出ていない以上、使用者が団交を拒否していても、労働者は団交開催を待たずに業務指示に従わなければ懲戒解雇となるという、労働者の争議権を否定し、不当労働行為救済制度を無意味化する反動判決である。
さらに、カジマリノベイト事件判決では、「原告の不穏当な言動は・・・」と判示して原告の言動を悪とし、解雇を有効とした。
加えて、私教連平和学園解雇事件判決では、「上記の四要件がすべて具備されなければ、整理解雇が解雇権の濫用になると解すべき根拠はない」と敢えて整理解雇の四要件の緩和を言うに至ったのである。
これらの判決に共通するのは、従来の不当労働行為法理、解雇法理をうち捨て、闘う労働者への敵意に満ち、労働者の闘いそのものを攻撃する反憲法性である。その背景にあるのは、政府が「構造改革」を号令する下での裁判所の露骨な使用者への肩入れである。ヒルトンホテル事件判決からもわかるように、これは決して村上裁判官の個性によるものではなく、司法全体の政策的意図に基づくものと考えられる。また、「裁判官は社会常識がない」との司法改革を求める声に対する、「使用者側の常識は身につけました」という裁判所の反動的回答であると思われる。
このままでは、労働者の権利は剥奪され、労働者は脳味噌の随まで使用者に屈従することを強いられる。それは日本の多くの労働者の生活破壊、そして支配者の意図に反して経済の破綻をいっそう押し進めるものとなるのである。
3 僅かな審理で逆転敗訴
判断の内容とともに、訴訟進行も問題である。じっくりと審理した結果出された地裁判決を、高裁は極めて僅かな審理で簡単にひっくり返してしまう。それは、地裁の審理を無意味化する拙速審理といえ、現在の裁判迅速化法制定の動きとも符合するものである。以下は、解雇の事例ではないが、労働災害に関わる事件で労働者側逆転敗訴を言い渡した例である。
二〇〇三年五月二七日、米軍横須賀基地の元日本人従業員と遺族らが石綿じん肺被害による損害賠償を国に求めた訴訟で、東京高裁(鬼頭季郎裁判長)は、原告勝訴の一審判決を取り消し、国の時効の主張を認めて原告の請求を棄却した。「国が提訴を妨害するなどの特別な事情がなければ、時効を主張できる」とするもので、国の時効援用が権利濫用となる範囲を従来の判例にないほどに限定するものである。
二〇〇二年一〇月に一審判決が出されてから、極めて僅かな期間での逆転敗訴判決であった。
その翌日、五月二八日には、横浜市立知的障害児通園施設さざんか学園職員の公務災害不認定処分取消訴訟で、東京高裁(石川善則裁判長)は、原告勝訴の一審判決を取り消し、原告の請求を棄却した。判決は、業務と疾病との「対応関係」「関連性」を否定し、「それぞれの家庭事情」「本人の性格」などをもちだし、当事者の発言を「直ちに信用することは出来ない」とするものであった。
これも一審の横浜地裁では現地検証を含め五年に渉る審理を重ねたにもかかわらず、東京高裁は僅か二回の審理で終結したのである。
4 逆流にこうして
こうした流れをはね返すために、各争議団、労働者がそれぞれ闘うとともに、再び、整理解雇四要件緩和をはね返した時のような共同の行動が求められる。とくに、この流れに影響を与えてきた国鉄闘争の動向は重大であろう。
労働基準法改悪法案に対しては、それぞれのナショナルセンターの闘いとともに、その枠を超えた共同行動も行われ、そうした取り組みの中で、金銭支払いでの不当解雇正当化の撤回、使用者の解雇権限を認める文言の削除などの部分修正を勝ち取った。未だ、未払い残業を合法化する裁量労働や有期雇用の拡大などの問題は解消されないが、労働基準法改悪阻止闘争は僅かながら成果を上げたと言える。
七月一四日には、「首切り自由を許さない!実行委員会」の呼びかけで、前記の東京高裁に苦しめられてきた労働者・争議団・市民団体など五〇〇名が集い、「怒りの最高裁包囲デモ」が行われた。
そうした方向にこそ展望がある。私も微力ながら、ともに闘う決意である。
東京支部 山 本 真 一
アメリカの法律家団体ナショナル・ロイヤーズ・ギルド(NLG)のメンバーが九月末に北朝鮮を訪問する予定です。その中の一人、エリック・シロトキン氏が北朝鮮へ向かう途中、九月二五日〜二七日まで東京に立ち寄られます。
シロトキン氏は、NLG国際委員会に属し、五年前には日米労働問題シンポジウムで来日され、各地で交流を深めました。
彼は、南アフリカのアパルトヘイトの後遺症を治癒する試みである「真実と和解」委員会を支援してきた経験を生かし、「ウブント」(共生=協同を意味するスワヒリ語)の精神で朝鮮半島の平和創出のために今回の北朝鮮訪問を企画しました。
シロトキン氏の来日を機に、朝鮮半島問題をはじめ、アメリカの平和運動の課題と展望、大統領選挙などについて交流会を持ちます。どなたでも、お気軽にぜひご参加ください。
日 時 九月二六日(金)六時〜八時三〇分 会議終了後懇親会
会 場 弘済会館(千代田区麹町五ー一)一階会議室「葵」
幹事長 島 田 修 一
イラク侵略に続き朝鮮半島での軍事衝突が憂慮されるなか、危機回避へ向け、韓国と中国の積極外交は八月下旬、六ケ国会議開催に辿りつきました。しかし、ブッシュ政権と北朝鮮の対峙は依然解消されず、次回会議も未定の状況にあります。また、小泉内閣は有事三法を強行採決して米国の北朝鮮攻撃への軍事攻撃に加担しようとし、国内社会でも北朝鮮「制裁」の世論作りが進行しています。他方、イラク侵略と軍事占領への批判は世界中に広がり、「武力によらない平和」が国際社会の強い要求となっていることも確かなことです。こうしたなか、朝鮮半島危機の構造を解析し、半島の平和確立ひいては東北アジア平和共同体への展望を切り開くことは、世界平和実現へ向けての極めて重要な課題となっています。
そこで、日本の法律家五団体は東北アジア四ケ国の研究者と法律家をお招きし、共同シンポジウムを開くこととしました。標記テーマをめぐる考え方、取り組み方を相互に理解するとともに、私たちに何が求められているか、何をすべきか、などを追求するシンポです。団は八月二三日に君島東彦教授をお呼びして団内討議をし、一〇月の定期総会でも議論の柱にしていますが、近隣諸国との共同討議であり、韓国民弁からは二名の弁護士も来日されますので、団員の皆さんの奮ってのご参加を期待いたします。実施要領は以下のとおりです。
日 時 一〇月四日(土)午後一時から五時
場 所 東京四谷駅前「プラザエフ」(旧主婦会館)七階会議室「カトレア」
パネラー 金熙徳教授(中国社会科学院)、高演義教授(朝鮮大学校)、民主社会のための弁護士集団(韓国)、豊下楢彦教授(関西学院大学教授)
進 行 パネラーの発言(二時間)に続き、「半島危機解決の方向」「日朝平壌宣言の意味と課題」「東北アジアの平和構築の展望」「国家と市民の役割」などについて討論。
主 催 日本国際法律家協会、日本民主法律家協会、日本反核法律家協会、青年法律家協会弁護士学者合同部会、自由法曹団