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吉原  稔 エコノミー症候群は飛行機だけとは限らない
廣島 敦隆 憲法ソングのCDはいかが?
黒岩 哲彦 教育基本法改悪は新たな段階に
《九月一一日に全国活動者会議を開催》
坂 勇一郎 日弁連アンケート(パブコメ)・国会請願署名に取り組もう
〜弁護士報酬の敗訴者負担




エコノミー症候群は

飛行機だけとは限らない

滋賀支部  吉 原  稔

 五月集会が成功裏に終わり、地元支部としてもほっとしています。特に一泊旅行、半日旅行には、参加した皆様に喜んで頂き、ありがとうございました。最近では、団の長老先輩から直接話を聞き、懇談する機会は一泊旅行しかありませんので、これからも一泊旅行には、若い団員は参加されるようお願いします。
 さて、私は先日二週間、脳梗塞で入院しました。幸い後遺症もなく復帰しましたが、健康で今まで入院したことがないことを誇り、かつ健康にも配慮していたつもりの私としては、自分の健康を考えるよい機会でした。
 教訓の第一は、日曜の朝四時に目を覚まし、トイレに行ったところ、左半身が不自由であることが分かり、しばらく寝た後七時にホームドクターに電話して、すぐ救急車で入院するよういわれ、一〇分後に入院し、幸い早朝であったため他の患者がなく、各科の医師の診断を矢継ぎ早やに受けられたことです。六時間以内に治療が必要とのことで「救急車を必ずつかう」「安静を保つ」ことが必要です。
 第二は、発病の前日、会議を午前一〇時から午後六時までし、その後夜八時から一一時迄映画を見て、この間水を余り飲まなかったことから、血液が凝固してギトギトになり、一種のエコノミー症候群になり、それが脳梗塞の原因となったと考えられます。ですから、会議中はもちろん、一日に数回ペットボトルを間近に置いて、水(ポカリスエットが望ましい)を飲むことで、血管をサラサラにする(食事ではタマネギが有効)ことです。
 団の常幹の会議のように、狭い身動きできない一室で、水を飲まずに議論を闘わせていれば、エコノミー症候群(脳梗塞)になり、そのうち団が安全配慮義務違反を問われることになりかねません。夏に向けて団員各位も十分にご注意下さい。



憲法ソングのCDはいかが?

広島支部 廣 島 敦 隆

 広島の憲法集会が講演と憲法ミュージカルという構成になってから今年で十一回目になりました。今回は小森陽一東大教授の講演と「漱石二一世紀を夢見るー不安大国日本」というミュージカルでいずれも会場一杯の観客から大好評をえました。
ところで一回のミュージカルで一〇曲前後のオリジナルの歌を作るため昨年まで一〇年間で一〇〇曲前後の曲ができていました。これらの曲を一年で歌い捨てるのはいかにももったいないので精選してCDを作ることを思いつきました。
そこでシナリオと歌詞を担当してきた私(広島東竜)とほとんどの作曲を担当した山ノ木竹志さんとで二一曲を選びその内四曲はライブを使い、残りの一七曲は改めて録音することにしました。録音は、ほとんどがCD作りは初めてのミュージカルに参加した老若男女四〇名が、一泊二日の会場で果てしなく歌い直しをさせられなんとかやりとげました。その録音の結果をパソコンにすべて組み入れ修整を施しCDを完成しました。
内容は毎回のテーマソング(例えば子どもの人権をテーマにしたときは「ライツオブチャイルド」など)が多いのですがその外に子どもの気持ちを歌った「傷つきたくない子のワルツ」、労働法制の改悪を嘆いた「破壊節」、消費者を騙す「セールストークあなたは特別」、官官接待をからかった「官官接待音頭」、小規模業者を励ました「スモールイズビューティフル」などなど多彩な内容になっています。
今迄聴いた人の反応は、このセチガライ世の中で若い人達の歌声に心が洗われる。落ち込んだ時「大往生」「私の人生」を聴こうと思う。期待していなかったが聴けば聴くほど面白くなるなど好意的な反応が多いです。
 歌は憲法の心を広げる上で大きな力になってくれます。団員の方でご希望があれば一枚二千円(別途送料二〇〇円)でお送りしますので電話かFAXでお知らせください。お待ちしています。

廣島敦隆法律事務所
TEL 〇八二−二二三−四八〇〇
FAX 〇八二−二二三−四八三四



教育基本法改悪は新たな段階に

《九月一一日に全国活動者会議を開催》

東京支部  黒 岩 哲 彦

 教育基本法改悪の動きは、六月一六日に与党中間報告が公表され、また、地方議会において改悪促進決議を求める動きが強まるなど、次期通常国会への法案提出に向けて、新たな段階を迎えました。切迫した情勢を迎えて、団は九月一一日に全国活動者会議を開催します。

第一 地方議会の動きの発信源は自民党安部幹事長の通達

 自民党安部幹事長は五月一八日に「教育基本法の早期改正を求める意見書採択の推進について」と題する通達を都道府県連支部連合会会長・幹事長に対して出しました。通達は「教育基本法の改正にあたっては、改正に向けた世論の喚起が不可欠です。現在、都道府県及び市区町村議会において「教育基本法の早期改正を求める意見書」採択の動きが全国的に広がりつつあります(五月一〇日現在で一七県議会、四七市区町村議会で議決)。つきましては、各都道府県において、上記の趣旨をふまえ都道府県並びに市区町村議会において意見書採択を積極的に推進してくださるようご協力をお願いします。」としています。

 この通達を受けて、京都府では、自民党京都支部連合会政務調査会長が五月一九日付けで各議員宛に「別紙の通りに、党本部より、各議会での「教育基本法の早期改正を求める意見書」の採択の推進について、協力要請がありました。つきましては、何卒、各議会においても、ご協力賜りますよう、お願い申し上げます」との通達を出しています。また、高知県では、自民党高知県連会長・幹事長・政務調査会長の連名で高知県各市町村議会議長宛に「三月定例議会においては、「教育基本法の改正を求める意見書」の議案が採択されました。何卒貴議会におかれましても同意見書の採択をして頂きたく要望お願い申し上げる次第です。」との文章を出しています。

第二 地方議会の動向

 自民党本部幹事長の指示や日本会議の方針に基づき、六月議会では改悪促進意見書を求める動きが急増しました。
(1) 富山県議会及び市町村 県議会に「改正」請願が出る予定。三四市町村のうち現在いくつもの自治体で「改正」請願が採択された。
(2) 島根県議会 自民党安倍幹事長の通知に従い「早期改正」の意見書の提案を六月一六日に自民党議員が提出。一七日に教育民生常任委員会で採決の予定。「守り生かす」請願は、ずっと継続になっている。
(3) 三重県伊勢市議会 改正派の請願が出される予定です。市議会は市長選の関係で六月三〇日から。
(4) 宮城県議会 六月一五日、「改正」の意見書を自民系議員から提出の意向。次回は二三日に協議の予定。
(5) 名古屋市議会 自民党市民クラブから「早期改正」の提案。議員提案は今までは全会派一致の原則がある。
(6) 香川県高松市議会 「改正」を求める請願が出される。
(7) 神奈川県川崎市議会 東京都元参議院議員が代表の川崎の教育を考える会から請願提出。
(8) 京都府 自民党府連から全府的に指示文書が出される。京都府議会には出されませんでした。市町村議会は動向を注視している。
(9) 東京都日野市 文教委員会で「教育を考える東京都民の会代表 加瀬秀明」(日本会議東京議長)から出された請願を採択。
(10) 宮崎県清武町議会 「改正」を求める請願が出されました。全県的な動きの一貫ということ。
(2) 新潟県議会 「改正」を求める請願が総務文教委員会に多数の署名を添えて出される。
(12) 兵庫県議会 委員会で「早期改正」を採択。しかし、意見書は全会一致の原則で出されないことになる。
(13) 岐阜県ほぼ全市 約二〇の市議会に日本会議県本部から一斉に要請文が送付される。
(14) 熊本県八代市議会 請願提出との報告が寄せられた。

二 東京都議会での改悪促進意見書の強行

 自民党の本格的な動きを象徴しているのが東京都議会での改悪促進意見書の強行です。

1 全会一致原則など議会のルールを踏みにじる

 都議会では国への意見書は全会一致が原則です。文教委員会では、日本共産党の「堅持」意見書と自民・公明の「改正促進意見書」が出され、「調整がつかず」で廃案にすることになっていました。ところが、都議会定例会最終日である一六日の前日の一五日の議会運営委員会理事会で、自民党、公明党が意見書を本会議に上程することを提案し、日本共産党の反対を押し切って強行しました。一六日の本会議で、自民党、公明党、民主党の全議員が賛成して「教育基本法の改正を求める意見書」が採択されました(反対は日本共産党、生活者ネットワークなど)。

2 内容が最悪

 同意見書の結論は「東京都議会は、国会及び政府に対して、日本の教育改革の実現のため、一切の聖域を設けることなく徹底論議を行い、教育基本法の改正を実現するよう強く要請する。」としています。「一切の聖域を設けることなく」としたのはこの意見書が初めてです。

三 自由法曹団支部の取り組み

 団支部では、改悪勢力の動向に対して、団独自での請願・弁護士有志での請願など、各地域での実情にあわせて、迅速な対応が行われています。山梨県支部では、甲府市議会への改悪勢力の請願に対抗して、団支部で請願を提出し(ほかに、高教組、新婦人)、「継続審議」に持ち込みました。兵庫県支部では、弁護士有志で請願を出し、改悪促進請願は採択されたが、改悪促進意見書は阻止しました。岐阜支部では、団支部として対策をとっています。

第二 与党中間報告

 自民党と公明党は六月一六日に「教育基本法に盛り込むべき項目と内容について(中間報告)」を公表しました。基本方針は、(1)教育基本法の改正法案は、議員立法ではなく、政府提出法案であること、(2)改正方式については、一部改正ではなく、全部改正によること、(3)教育基本法は、教育の基本的な理念を示すものであって、具体的な内容については他の法令に委ねること、(4)簡潔明瞭で、格調高い法律を目指すこと、としています。
 与党中間報告は、「教育の目標」として「郷土と国を愛す」あるいは「郷土と国を大切に」を掲げて、「戦争する国づくり」を目ざすことを明らかにしています。また、一〇条の主語を「教育」から「教育行政」に変更して、教育の国家統制を貫く意図を明らかにしています。

第三 自由法曹団の運動の方向について

一 運動の基本的方向

1 憲法改悪と一体のものとして取り組む必要があります。
2 日の丸・君が代の強制、「つくる会」教科書問題などの取り組みと結合する取り組みが必要です。

二 自治体意見書について

 日本会議の作戦は、改悪促進請願を、締め切り直前に提出し、反対請願を封じ込めようとしています。
 そこで、「教育基本法を活かす請願」を攻勢的に提出することが必要です。

第四 自由法曹団全国活動者会議の開催

 以上の情勢を踏まえて、自由法曹団教育基本法改悪問題全国活動会議を開催することが六月常任幹事会で決定しました。
多くの団員の参加をお願いします。

 議題
 1 情勢討議
 2 地方議会での攻防の経験と教訓
 3 この間の運動の経験と教訓
 4 今後の運動の方針
  (1)憲法問題
  (2)教科書問題、日の丸・君が代問題
 5 九月議会対策
   「活かす決議」を攻勢的に提出することなど
 6 運動の共同の発展のために



日弁連アンケート(パブコメ)・

国会請願署名に取り組もう

〜弁護士報酬の敗訴者負担

担当事務局次長  坂  勇 一 郎

「合意論」のたくらみ

 「合意論」による敗訴者負担の導入を図る「民事訴訟費用等に関する法律を改正する法律案」が継続審議となり、秋の臨時国会にて審議される情勢となっている。この立法のねらいは次の二点にある。
 第一は、将来の「敗訴者負担」の本格導入のための足がかりとすることである。司法アクセス検討会委員であった西川元啓新日鐵常任顧問は「敗訴者負担の原則の第一歩となるのが現法案」と述べている(読売新聞六月二四日)。消費税のように、とにかく制度を導入してその後拡大を図ること、「小さく産んで大きく育てること」を目論んでいるのである。
 第二は、消費者契約・労働契約・中小企業契約等の契約に「敗訴者負担合意」を持ち込みやすくすることである。米国では、消費者契約・労働契約等力の格差のある当事者間の契約に、広く「敗訴者負担合意」が盛り込まれている実態が報告されている。この点、米国では個別法により片面的敗訴者負担制度が広く導入されていることから、契約上の「敗訴者負担合意」は効力が否定されている(ウィルソン・マシューテンプル大学ロースクール準教授)。しかし、片面的敗訴者負担制度のない日本では、私的契約に「敗訴者負担条項」が盛り込まれそれが有効とされることにより、提訴抑制に大きな威力を発揮することになってしまう。
 このような企みは、何としても阻止しなくてはならない。

日弁連アンケート(パブリックコメント)を集めよう

 日弁連は、敗訴者負担問題についてのアンケート(パブリックコメント)の募集を提起した。昨年夏の推進本部のパブリックコメントには多数の意見が寄せられ、原則導入という推進派の方針を大きく転換させる力となった。今年夏の日弁連のアンケート(パブリックコメント)も、多数の反対意見で埋め尽くすことにより、秋の臨時国会において最終的な成果を勝ち取る大きな力となし得る。
 募集期間は九月一〇日までである。団員はまず、自らアンケートを書いてほしい。そして事務局と家族にアンケート用紙を渡して書いてもらってほしい。是非、各事務所、各支部にて積極的に取り組まれたい。
 詳しくは、日弁連のHP上の呼びかけhttp://www.nichibenren.or.jp/jp/enq/index.htmを。

国会請願署名を集めよう

 「弁護士報酬の敗訴者負担に反対する全国連絡会」等の市民団体は、いかなる形の敗訴者負担の導入にも反対することを確認し、直接国会に導入反対の意思を届けるため国会請願署名を取り組んでいる。
国会請願署名は既に大阪連絡会で取り組みを進めている。全国連絡会の請願署名は大阪連絡会の請願署名と同文であり、大阪連絡会の署名用紙は全国連絡会のHPにアップされている。http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/4652/no.html
市民団体は、日弁連アンケート(パブリックコメント)と国会請願署名を二つの柱に取り組みを強めている。是非、積極的に取り組んで欲しい。