<<目次へ 団通信1174号(8月21日)
倉内 節子 | 女性部部長に就任して | |
西田 雅年 | 兵庫県における街頭宣伝活動に対する干渉妨害行為について | |
大久保 賢一 | アフガニスタンに民主的女性弁護士を!! RAWA育英基金の呼びかけ |
東京支部 倉 内 節 子
私は去る七月三日韓国で行われた女性部総会で部長に選任されました。
戦後六〇年という節目に当たり、「改憲」の動きが急ピッチで進められています。八月二日の新聞で自民党の「改憲条文案」が大きく取り上げられました。まさに、憲法九条の全面改悪を狙っています。第二章「戦争放棄」という文言が削除され、「安全保障」というタイトルになりました。第九条二項も「戦力不保持、交戦権の否認」が削除されています。逆に「自衛軍を保持する」「海外派兵」を明文をもって容認するなど現行憲法九条を根底から変質させ、日本を戦争する国に改造するものです。この国家改造を中軸として、国民の権利についても公の秩序の名のもとに制約することも狙っています。軍事裁判所「設置」も明記しようとしています。
憲法二四条についても、本文は変えないが、タイトルを現行の「家族生活における個人の尊厳と両性の平等」を「婚姻及び家族に関する基本原則」に変えています。
憲法をめぐるこの重大な情勢のなかで、「改憲ノー」の運動を強める一角を女性部として担うことが求められています。七月三〇日東京・有明で開催された「九条の会」の講演会には、全国津々浦々から老若男女を問わず、実に九五〇〇人が一堂に結集しました。講演者の大江健三郎氏は現行憲法の下での個人の自由と権利について、「公共の福祉」のもとでの制約を強調していました。自民党の改憲路線では大前提が「戦争する国」においての「公共の福祉」「公の秩序」であり、国民の基本的人権は国家目的によって大きく変質させられてしまいます。更に、井上ひさし氏の講演では昭和二〇年の日本人の平均寿命が男二三・七歳、女三二・三歳という数字、戦死者や被爆者の数を上げ、「愛国心」の名の下に再びこういう時代に国民を引き込むこもうとしていると、「改憲論者」を鋭く批判しました。ひとりひとりの憲法改悪をさせないエネルギーで新しい風を吹かせ、運動を大きく発展させること、また、そのような変化をもたらすことができることを私は確信しました。婦団連の元会長故櫛田ふきさんは「平和の綱引きで負けてはならない」「沈黙は共犯」といっていました。広島、長崎の被爆は決して過去の出来事ではなく、今もその被害は進行していることを思えば、私たちはなんとしても「戦争する国」へ転換させてはならないと考えて、女性部として、あらゆる知恵をしぼり、憲法改悪を食い止める活動を旺盛に展開したいものです。
兵庫県支部 西 田 雅 年
一 兵庫県では、最近、労働組合や民主団体が行ったビラ配布などの街頭宣伝活動に対して、干渉妨害行為が連続して発生した。その大半が、神戸元町大丸前、三宮センター街といった、神戸でも有名な繁華街で、従前から頻繁に街頭宣伝活動を行ってきた場所である。
その主な内容は、一般市民が「警察の許可はとっているのか」とか「許可なしではできない」と言ってきたもの。特に、大丸前では、商店街の役員が「ここは宣伝活動禁止地域になった」とする地図を示して、ビラ配布をやめるよう求めてきて、「それはおかしい」と抗議すると、警察を呼ぶという事件が続発した。しかも県知事選挙の法定ビラ配布に対してまで干渉され、実質ビラ配布ができなくなるという事態もおきてきた。
従前からこれらの地域では干渉や妨害が多いが、今回の特徴は、図面を示したことや「ここでは宣伝ができなくなった」と断定していることである。
以下、取り敢えずの顛末を報告する。
二 当初相談を受けた団支部では、意味が全く分からなかった。街頭宣伝活動を実質禁止するような法令や条例の改正という情報も無いにもかかわらず、警察官ではない一般市民が許可なしにビラ配布できないと断定しているからである。その後入手した地図には確かに「募金・ビラ配布禁止地域」という文言が記載され、その禁止された地域に斜線が入っていた。しかし、これがどこから配布されたものか、その法令上の根拠は何か依然分からなかった。
そこで、県会議員に何らかの条例等の改正が無かったのか確認を求める一方、警察の許可が必要であるということから推測して、道交法上の問題であると判断した。取り敢えず有楽町ビラ配布事件等の判決をコピーして、宣伝する際には、この判例の趣旨で行える旨アドバイスをした。他方国民救援会は、東京でのあいつぐ弾圧事件からみても、県警が地域住民や商店街などに「ビラ配布者を見たら通報」を指導している可能性が強く、警戒を要するとアナウンスした。
その後、条例等の改正は無かったこと、宣伝禁止を求めてきた市民が持っていた「条件書」なる文書から判断して、道交法七七条の道路の使用許可を意味することが判明した。
三 先日、県議会の警察常任委員会があり、日本共産党の毛利りん県会議員が、この問題について質問を行った。以下はその概要である(傍聴者のメモに基づくので留意されたい)。
毛利議員 最近、ビラ配布者に対して警察が「許可が必要だ」として規制をしているが。
警察 道交法七七条によりビラまきにも許可申請が必要だと考えている。
毛利 判例からみても、ビラ配布に警察の許可は必要ないことは明白ではないか。
警察 市民の安全、交通の円滑性からも、必要な条件を示すため許可をとってくださいとお願いをしている。
毛利 市民にわかってほしいとビラをまいているのであり、じゃまになったり、通行の妨害になることは本来ありえない。道交法、判例からも、許可が必要なときは、祭礼など一般交通に著しく支障のある場合と規定されている。通常のビラ配布には、許可は必要ないと思うが。
警察 許可をお願いしている。
毛利 大丸前では、警察から商店街の役員に、ビラ配りはだめだと指導しているのではないか。ビラを配布していた人が商店街の方から大丸前周辺に斜線をひいた「宣伝禁止地域の地図」と「条件書」をもらっているが、これは警察が渡しているのではないか。
警察 地図は、商店街の方から相談があったので、ここでビラまきはダメですよ、として作成したもの。ただし、誤解をまねくので今後は是正をしていきたい、その旨商店街の人にも指導していきたい。
毛利 条件書は、許可がいる場合の話。ビラまきには、許可は必要ない。すべてに、許可が必要だとの考えにたった指導があるのでは、道交法の正しい理解を、各警察署、交番に指導と教育をしてほしい。
警察 現場の警察官は、知らないと思うので、指導していきたい。
四 以上のとおり、県警はあくまでも「許可が前提」としているが、判例については認めており、そのため各警察官への指導、教育を約束した。また、大丸前での「禁止地域地図」についても、是正を約束した。その後、現在まで同様の干渉妨害行為の報告は無い。
今回は、地図や書類を示して一般市民が宣伝できないと断定するという前例の無い干渉妨害行為であり、現場では相当混乱していたと思われる。幸いなことに、県警から前記のような答弁を引き出したが、全国では十分に警戒されたい。
埼玉支部 大久保 賢 一
一 RAWA(アフガニスタン女性革命協会)という名を聞いたことがあるでしょうか。〇二年一月、団の調査団がパキスタンに行ったときに交流のあった団体です。女性の権利を承認しないタリバン政権下において、アフガニスタンにおける女性の権利を向上するために、まさに命をかけて戦っている団体です。匿名ながら、伊藤和子団員と実際に会って、彼女たちの戦いを伝えてくれたものでした。アメリカによってタリバン政権が打倒され、現在はカルザイ政権となっていますが、到底民主的な政権とはいえず、むしろイスラム原理主義の影響は強くなっているとのことです。彼女たちの戦いは継続しているのです。
二 そのRAWAの活動家が、弁護士資格を取りたいと希望しています。資格を取るためにはカブール大学に入る方法がありますが、原理主義の影響で彼女たちの入学は認められないとのことです。そこで、ロンドン大学と提携している大学の法学部で履修して資格をとる方法を選択したいと考えているようです。
三 彼女たちの想いは、女性の権利を否定する政権に抵抗しながら、アフガニスタン国内だけではなく、一五〇万人の難民が生活するパキスタン国内でも、民主的な法律家として活動したいということにあります。ぼく自身は、アフガニスタン民衆法廷に証人として参加した彼女たちの姿に接し、何とか彼女たちの思いを実現させてあげたいと思っています。
四 ところで、弁護士資格を取るための学資として三カ年計画で四万ドル(約四〇〇万円)が見込まれています。この育英資金募集の責任者は東京造形大学の前田朗教授がなっていますが、久保木亮介・神原元・田場暁生・土井香苗・成見暁子・萩尾健太団員なども呼びかけ人となっています。
五 多くの団員の皆さん。一口一〇〇〇円です。郵便為替口座〇〇一六〇ー〇ー六四八九一一 前田朗名義に多数口ご送金ください。個人名義になっていますが、RAWA基金専用口座です。
前田さんの連絡先は、電話〇四二六ー三七ー八八七二、
ファックス〇四二六ー四四ー三一四〇です。