<<目次へ 団通信1190号(2月1日)
村松 いづみ | 「最新労使紛争マニュアル」のご案内 |
萩尾 健太 | 国家的不当労働行為戦略に一矢報いた9・15鉄建公団訴訟判決 |
杉山 茂雅 | 拡声器規制条例 |
後藤 富士子 | 警察拘禁の法制化 ―未決拘禁制度「改革」の焦点― |
向 武男 | 第20回東京弁護士会人権賞が横浜事件第3次再審請求弁護団に授与された |
柴田 五郎 | 事務(局)員からの表彰状 |
大久保 賢一 | 「改憲論議」と日弁連の立場 |
大崎 潤一 | 共同センター・第3回全国交流集会について |
阪田 勝彦 | 2月17日改憲問題全国活動者会議へのお誘い |
今村 幸次郎 | 3月の拡大常任幹事会は神奈川(横須賀)で開催されます |
京都支部 村 松 い づ み
個別労使紛争解決のため、これまでの裁判制度のほかに、新たに二〇〇六年四月から労働審判制度が始まることとなり、各地の弁護士会などでは、現在、それに向けての研修が精力的に行われています。京都支部では、定期的に、労働者を対象とした労働相談活動を行ってきましたが、とりわけバブル経済崩壊後は、「リストラ」「合理化」の名のもとに、不当な首切りや労働条件の切り下げあるいは「いじめ」とも言うべき扱いが横行し、それに関わる労働相談が激増しています。ところが、それらの職場には、労働者を援助してくれる労働組合がないところが大半で、多くの労働者は頼るところもなく、一人で悩み、泣き寝入りを強いられています。そこで、支部では、労働審判制を含む個別労使紛争手続きに関し、このような未組織の労働者にとってもわかりやすい解説書を作ろうと、昨年初めから計画し、労働法制プロジェクトのメンバーが夏期休暇も一部返上して作成発行したのが、本書「守ります!!働く人の権利―労働審判制度解説付き最新労使紛争解決マニュアル―」です。
本書の特徴
本書は三部構成となっています。第一部で典型的な労働相談事例を解説し、第二部では新しい制度である労働審判制度の概要を紹介するとともに、第三部では従前からある個別労使紛争解決手段についても、その内容をわかりやすく解説しています。
第一部では、解雇から残業代不払い、セクハラ、労災など典型的な労働相談事例をQ&Aで解説しています。皆さん、解雇予告をされた場合に「解雇理由証明書」を請求できることはご存知ですか?使用者の労働時間の適正な把握義務の通達(二〇〇一年)の内容はご存知ですか?第一部では、労働相談事例を、できるだけコンパクトに、しかし最新の労働関係法の内容で解説しています。
第二部は、これだけ読めば労働審判制の概要がすぐに理解できる!という内容になっています。労働審判申立書記載例も掲載し、また、「労働審判制の公務員への適用について」も触れています。
第三部は、従前からある個別労使紛争解決手段の解説です。四月から労働審判制が開始されるものの、現在のところ代理人は原則として弁護士に限られ、しかも三回以内の期日での審理終結が原則とされている(一五条)ため、事案によっては、これまでから存在する裁判内外の他の制度の方が使いやすいという場合があります。従って、ここでは、内容証明郵便の書き方から労働局の紛争調整委員会のあっせん制度、そして労働仮処分などの裁判手続きなど個別労使紛争解決手段のすべてを網羅してわかりやすく解説し、しかも、それらの手段のメリット・デメリットにも触れています。
このように本書は、弁護士が実際の事件で培ったノウハウもふんだんに盛り込んでいるほか、書式も多数掲載しています。今後も増えると思われる個別労使紛争に対応するため、あるいは未組織労働者を組織化するためなど、一般の労働者から実務家まで最適の1冊となると自信を持ってお勧めします。
お値段はワンコイン!
別に戌年にちなんだわけではありませんが、一冊ワンコイン五〇〇円です。類書はたくさん発行されていますが、どれもかなり高額なこともあり、本書は労働者自身が求めやすい値段にしました。そのため、京都で毎月発行されている「ネットワーク京都」という雑誌の一一月号をこの特集号にしていただくということで一冊五〇〇円に抑えることができました。「二〇〇五年一一月号」にはなっていますが、中身は「永久保存版」(!?)ですので。 昨年の徳島総会で販売したところ、持参した約二〇〇冊はすぐに完売しました。是非、全国の皆さん、ふるってお買い求め下さい。なお、送料は、一冊につき六〇円です。
取り扱い先
自由法曹団 京都支部 電 話〇七五ー二五六ー一八八一
一 自民党結党五〇年と国家的不当労働行為戦略
自民党は昨年の結党五〇年を史上最大の衆院議席占有率で迎え、増長極に達している。
国正武重(政治評論家)「八二年に中曽根内閣が発足します。中曽根さんは『戦後政治の総決算』を掲げたわけですが、私が驚いたのは中曽根さんが『五五年体制崩壊への布石は自分の時に打った』と指摘されていることです。」
中曽根「国鉄民営化は、国鉄労組を崩壊させました。国鉄労組の崩壊は総評の崩壊、つまり社会党の崩壊につながります。だから国鉄改革は、日本の基盤に大きな変化を与えたんですよ。もちろん私はそれを認識して実行に移しました。私が三木内閣の幹事長をしていた時、国鉄労組が八日間のゼネストをやった。私は徹底的に戦ってストを破った。そして二〇二億円の損害賠償を要求して以後、法廷闘争となった。その時以来、国鉄の民営化と総評・国鉄労組の壊滅を狙っていたのです。」
国正「森さんは今の郵政改革もそれだけの重みがあるとお思いですか」
森(前首相)「あるんですよ。全逓(現JPU)、全郵政に関わることですから。民主党を支える組織というのは連合でしょ。その連合の左系中心勢力は日教組と自治労の二つです。この二つがつぶれたら民主党は大きく変化せざるを得ません。」
以上は雑誌『文藝春秋』一二月号に載った「結党五〇年自民党十大事件」という座談会で語られたものである。
中曽根は、同じ言葉を毎日新聞一一月二〇日「自民党結党五〇年特集」でも同日のNHKインタビューでも語っている。
一国の元首相が、労働組合を潰すために国鉄を民営化したと語り、別の元首相が、郵政民営化もそのため、今後は日教組と自治労を潰すと述べて、国家的不当労働行為の実行を露骨に公言する、この発言に私は憤りを押さえられないとともに、このような発言を許している日本の現状を憂えずにいられない。
敵は我々よりもはるかに確固とした階級的見地を持って戦略を実行している。今日の公務員攻撃は、その戦略の一環である。全労連もまた、自治労連、全教、国公労連など官公労が大きな比重を占めていることは言うまでもない。
二 国鉄闘争と鉄建公団訴訟判決の意義
この国家的不当労働行為戦略と闘い続けてきたのが国鉄闘争である。労働委員会に不当労働行為救済を申立て、地労委は連戦連勝であった。しかし、東京地裁で逆転敗訴判決を承け、その後の国労本部の動揺の中で、二〇〇三年一二月二二日、最高裁敗訴判決で苦汁をなめた。
一九九八年東京地裁判決当日、運輸省の黒野匡彦事務次官は、記者会見で「この問題で運輸省はJRと同じ立場であり、中労委命令の取消しの判決を歓迎する」、「JRを設立する際に、いろいろなやり方があっただろうが……ベストな方法として国会でご承認いただいた。不備があったとは思わない。(不採用)問題にのみスポットを当てて二三条の趣旨を云々するべきではない」「(改革法は)一〇〇年後も二〇〇年後も正義であり続ける。」などと勝ち誇った。
九・一一郵政民営化選挙での小泉自民党圧勝の直後に、この「正義」が偽りであったことを明らかにし、「改革」に一矢を報いたのが九・一五鉄建公団訴訟判決である。
一九八七年の国鉄分割・民営化の際に差別されてJRに採用されなかった国労闘争団員と遺族ら二九七名が、国鉄清算事業団を承継した鉄道建設公団(現・独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)に対して、解雇無効確認、賃金相当損害金、慰謝料、名誉回復措置を請求した「鉄建公団訴訟」で、東京地裁民事三六部(難波裁判長)は九月一五日、原告団の請求を一定程度認める判決を言い渡した。
この判決は、不当な面がありつつも、意義も大きい。
1 裁判所として初めて採用差別の不当労働行為を認定した。このことによって、原告らが不当労働行為の被害者であったことが明らかとなった。これは「JR不適格者」と中傷されてきた原告らの名誉回復の一助になるものである。
2 「所属労働組合による差別があってはならない」と橋本運輸大臣も答弁し、同旨の参議院附帯決議もなされていたが、それらに違反する事実があったことが認められ、政府・国会が責任を取らなければいけないことが明らかになった。
3 民営化とリストラの問題が重大な事態になっているときに、その原点である国鉄分割・民営化に「不備」があり「正義」でなかったことを司法が初めて認定した意義は、非常に大きい。
4 判決は、二〇〇三年一二月二二日の最高裁判決時が「時効消滅の起算点である」として、被告がずっと主張してきた時効を退け、原告らが差別されたこと自体による苦痛と、正当な評価を受けてJRに採用されるという期待権の侵害があったとして、期待権としては比較的高額な慰謝料一人五〇〇万円の支払いを命じた。これには利息が付いて八八六万円に上っている。額は少なくとも、賠償を命じさせたこと自体が重要である。
5 「JRに法的責任なし」を前提とする「四党合意」では、解決水準は「0+α」(四党協議・甘利座長発言)、八〇万円だとうわさされていたが、実にその水準の一一倍であり、屈服の「四党合意」をはねのけて闘い続けた路線の正しさが証明された。
ところが、難波判決は採用差別を認めながらも、解雇無効を認めず、地位確認を否定した。これは、解雇についても金銭解決を打ち出している労働契約法制の動きと軌を一にし、それを促進しかねない極めて危険なものである。さらに、不当労働行為があったと認めたにもかかわらず、差別がなければ全員がJRに採用されたとは認められないとして、賃金・退職金・年金相当損害金の請求を認めなかった。そのため、賠償金は五〇〇万円という大変少ないものにとどまってしまった。五名の原告についてはそれさえ否定された。これは不当判決であり、到底原告らの一八年間の苦難の償いになるものではない。
三 訴訟団の勝利へ向けた闘い
この判決を承けて、原告団は現地オルグによる意思統一を経て言い渡しから一二日後に控訴したが、被告鉄道運輸機構は判決翌日に控訴し、徹底的に争う意思を明確にした。
昨年末一二月二六日には一審原告は東京高裁に控訴理由書を提出し、今年いよいよ控訴審が本格的に展開されることになる。
東京高裁は現在最も反動的な裁判所と言われている。地裁で労働者が勝利判決を得ても高裁で僅かな審理で逆転敗訴を喫する例が後を絶たない。毛ほどの油断も許されない。我が鉄建公団訴訟団は、さらに法的主張を磨き上げるとともに、大衆的裁判闘争を一層発展させ、高裁での勝利判決を目指す。
地裁で進行している、全動労争議団、国労第二次原告団、動労千葉争議団の各鉄道運輸機構訴訟も重要である。これらの裁判は、何れも今年結審ないし判決を迎える。そこで九・一五判決の不当部分を逆転させ、真の勝利判決を勝ち取り、解決を迫っていく必要がある。
九・一五判決後、国労内の情勢も変化した。国労第二次訴訟原告が北海道エリア本部委員長となり、原告となったがために権利停止処分とされていた者が国労闘争団全国連絡会議の副議長、事務局長を占めるに至った。連絡会議は現在、提訴に向けて国労本部を突き上げている。
思えば、地裁での判決までに、国労、全労協、全労連いずれの支援も得られないにもかかわらず、被解雇者国労原告団、全動労争議団、動労千葉争議団の団結の力で、二度にわたり日比谷野音を満員にする集会を開き、約二五万筆署名を集めた。近時、このような裁判闘争が他にあっただろうか。九・一五判決後の情勢の変化で、ようやく、国労、全労協、全労連などのこの裁判闘争への連帯の兆しが生じている。今年は、本格的な「闘争勝利のための大同団結」でさらに闘争を発展させ、勝利を勝ち取る年としたい。
その組合・党派を超えた団結の力で、敵の国家的不当労働行為戦略を打ち破り、敵の大目標である労働法制改悪・憲法改悪を阻止するまで、訴訟団は闘う決意である。
自由法曹団においても、一層のご支援をお願いします。
追記 二月一六日に、鉄道運輸機構訴訟を闘っている四つの原告団(鉄建公団訴訟原告団、国労闘争団鉄道運輸機構訴訟原告団、全動労争議団・鉄道運輸機構訴訟原告団、動労千葉争議団・鉄道運輸機構原告団)と未訴訟者を含む国労闘争団全国連絡会議の五団体の共催で「JR採用差別事件の勝利解決を目指す一〇四七名闘争団、争議団、原告団二・一六総決起集会」が日本教育会館で開催されることになりました。是非、ご参加・ご協力下さい。
一九九一年一二月、宮城県において拡声器の使用による暴騒音の規制に関する条例(拡声器規制条例)が制定された。この規制条例の規制内容は、一〇メートルはなれた地点で八五デシベルを超える音を発することを禁止し、これに反するときには、警察官が停止命令を発することができ、この停止命令に従わないものには六月以下の懲役又は二〇万円以下の罰金を科すというものであった。さらに、拡声器のある場所への立ち入り等ができるとされていた。
この条例の制定の動きが明らかとなったとき、自由法曹団宮城県支部は、県内の民主団体等とともに拡声器規制条例反対宮城県連絡会を結成し、反対運動を繰り広げた。騒音測定器を購入し、街頭においては八五デシベルの音量では拡声器からの声が聞き取りにくくなることを明らかにし、街頭宣伝の自由を奪うものであることを明らかにしていった。
それから一四年が経過した。この間、拡声器規制条例によって、市民団体等が規制されることはなかった。これまでに九件の停止命令がなされただけとのことであった。
ところが、突如として宮城県にこの条例改悪の動きが出てきた。改悪のポイントは、一〇メートル離れた地点での騒音測定であったものを「一〇メートル未満の地点においても測定できる」とすることにある。これを一〇メートルの地点に換算して八五デシベルを超えると停止命令を発することができるようにしようというのである。これでは、警察官が測定器を拡声器の間近に持ち出して音量を測定できることになる。街頭宣伝を行う市民団体にとって、大きな圧迫が加えられることになる。
さらに、他人に拡声器の使用を要求するもの等に対して、条例の規定を遵守させるようにする努力義務を新に課そうとしている。また、違反行為を繰り返すものに対しては、警察署長が二四時間を越えない範囲内で、時間を指定して拡声器の使用の停止等の命令を罰則付きで出せる規定を新設しようとしている。
現在、ビラまき等に対して警察が不当な弾圧を加えてきており、裁判所でも有罪判決がなされている。このような状況の中で、このような条例の改正がなされると、街頭での拡声器を使用した宣伝行動に大きな制約が生じることになる。このような条例の改正を許してはならない。
ところが、上記のような条例の改悪は、すでに二〇以上の都県で行われているとのことである。ところが、反対運動が行われたとの報告はなされていない。このまま放置すれば、全国に拡声器の規制が広がって行くおそれがある。
宮城県では、今回の条例改正に対して、拡声器規制条例反対宮城県連絡会を再開して、反対運動に立ち上がった。
全国的に拡声器規制条例の改悪の動きに注目することが必要であろう。
一 未決拘禁の現状―警察拘禁が九八%
二〇〇六年一月一四日朝日新聞夕刊は、「代用監獄、当面存続へ/有識者会議方向性確認/視察委設置で透明化」という見出しで、法務省と警察庁がつくる「未決拘禁者の処遇等に関する有識者会議」(座長=南博方・一橋大名誉教授)が「代用監獄制度の存続を前提に、運営の改善や透明化を進めるべきだとの意見が大勢を占めた」と報道した。
同記事によると、〇四年の一日平均収容人員では、拘置所が九六人(一・七%)に対し、警察留置場は五四四四人(九八・三%)であり、留置場に収容されている者の五七%は被告人で、起訴前の被疑者は四二%だという。つまり、取調の対象とならない被告人の方が多く警察留置場に収容されているというのだから、「代用監獄問題」の事象と異なる局面にある。すなわち、刑事施設(刑務所、拘置所)も警察留置場も「過剰収容」が喫緊の大問題になり、打開策として、警察署に附属しない独立の「大規模留置場」が次々に建設されている。
この独立留置場には取調施設が附属しており、各警察署の取調官が留置場に来て取調べる点で拘置所と異なるところがないのに、所轄・管理が法務省ではなく警察である点に違いがある。すなわち、「代用監獄」というより「監獄もどき」というべきものであり、「代用監獄の弊害」(=身柄を取調に利用すること)という以上に、未決拘禁事務を所掌する国家機関の変更という重大問題が伏在している。
換言すると、「有識者会議」の議論は、「代用監獄の存続」ではなく、未決拘禁を警察に所掌させる「警察拘禁の法制化」を企図するものである。
二 未決拘禁制度を誰が所掌するかを論ぜよ
「身柄拘束を取調に利用する弊害」を究極的理由にして、「代用監獄の漸減・廃止」が監獄法改正問題の焦点とされてきた。
しかしながら、現在立法化されようとしているのは、そんなことではなく、もっと根本的で、国家権力のあり方に関わる原理的問題である。
現行法制は、未決拘禁業務を警察に授権していないどころか、警察法二条二項で権限外とされている。監獄法改正論議の中で主張された、「代用監獄」を認めた監獄法一条三項の規定によって代用監獄業務が警察に委任されていると解すべきという政府見解は、むしろこの規定以外に授権法がないことを自白している。また、国家行政組織法二条は、国家行政組織に「明確な範囲の所掌事務」を要求して、特定の権力の膨張・肥大化を規制している。
未決拘禁の九八%が警察留置場で行われているという現状は、現行法制から全く乖離しており、法治国家の態をなしていない。今般立法化されようとしているのは、この乖離を解消させるための、現状追認法である。しかしながら、近代立憲主義の未決拘禁制度で、警察にその権限を与えているものを、私は知らない。そのような制度は国際人権法に反することは自明である。今般の未決拘禁制度に関する「改正法」は、とどのつまり「留置施設法」である。
翻って、未決拘禁は刑事手続上の強制処分の執行であり、本来、裁判所の管理下におかれるべきものである。現に、明治五年一一月に公布された「監獄則並図式」(太政官布告第三七八号)が翌年四月に施行停止されて挫折したことを嘆いた小河滋次郎は、既決監と未決監とを区別し、未決監は裁判所の管轄下におくべしと主張していた(原和雄「未決勾留の諸問題」『司法研究一九』一八頁)。また、昭和二二年九月一一日の司法大臣宛答申で、監獄法改正調査委員会は、行刑法と未決拘禁法に二分すべきことや代用監獄廃止を提言している。したがって、これらを踏まえれば、未決拘禁に関する監獄法改正の目標は、むしろ「代用監獄廃止」を超えて「未決拘禁の司法管理化」というべきであった。
とはいえ、既に「刑事施設ニ於ケル刑事被告人ノ収容ニ関スル法律」(受刑者処遇法の附則一五条による受刑者以外の者に関する監獄法改正)が昨年成立しており、起訴後の未決拘禁は法務省が管轄する刑事施設で行われるものとされている。したがって、「未決拘禁施設を裁判所の管轄下に」という、あるべき改革はもはや不可能である。しかし、起訴前被疑者に係る未決拘禁制度は、今まさに警察拘禁制度として法制化されようとしている。このような法制化は、断じて許してはならない。
二〇〇六年一月一〇日行われた東京弁護士会新年式に際し、横浜事件第三次再審請求弁護団に対し、東京弁護士会人権賞が授与された。
当日、人権賞選考委員会を代表して、東京外国語大学西立野園子教授が、推薦理由を述べられ、最後に「この再審開始決定は、再審事由としての免訴を言い渡すべき場合に、刑の実質的な失効も含むとした点、再審制度の人権保障機能をより確実に拡大せしめた点に画期的な法的意義を持つものというべきである」と述べられた。
弁護団から、団長森川金寿弁護士が、杖をつきながら壇上から謝意を述べ、当事者は、すべて死亡されたと、一九八六年七月の第一次請求から共に苦労したことを感慨深げに語られた。
昨年は、いろいろ良いことがあった。
一つ目は、三〇余年弁護にかかわってきた布川事件について再審決定があったことである(検察の不当な抗告により舞台を東京高裁に移して闘いは続いているが・・)。
二つ目は、徳島の自由法曹団総会で、古希の表彰をうけたことである。
そして三つ目は、暮れの一二月二八日、仕事納め・忘年会の席上、全く思いがけずに事務(局)員から「表彰」を受けたことである。 全国千人余の団員中、古希の表彰を受ける人、全国二万人余の弁護士のうち叙勲を受ける人は、それぞれ毎年十指に余ると仄聞するが、事務(局)員から表彰を受ける者は珍しかろうと、あえて自慢しながらご披露する次第。
わが事務所(澁谷共同法律)は一九七六年春、一一期の坂本福子(東京支部)、二五期の白垣政幸(当時東京支部・現福岡支部)、一六期の私(東京支部)の三弁護士と二名の事務(局)員で発足した。その後弁護士・事務(局)員ともに出入りがあったが、現在は弁護士一〇名(一一期〜五七期)、事務(局)員六名(所歴三〇年〜二年)の構成で、多くの依頼者や先輩・同僚弁護士のご支援のお陰様で、今年三〇周年を迎えようとしている。また私が長年ライフワークとしてきた布川事件についても、前記のように守る会や日弁連を始めとする皆様のご支援により、昨秋水戸地裁土浦支部で再審開始決定を勝ち取る事が出来(検察の即時抗告により東京高裁で係争中)、更には私の古希が重なったこともあって、事務(局)員からの表彰となったようだ。
表彰状に曰く「独特の対応で逃げた顧客もいたとは思うが、何倍もの顧客の心をつなぎとめ・・・」。
初見の相談者の心を掴み、これをつなぎとめて顧客にするにはどうしたら良いのか、弁護士歴四〇余年にして改めて悩むところである。電話にせよ来訪にせよ、まずは最初に接する事務(局)員の対応で初戦(?)は決まる。次いで相談となるが、見通しは厳しすぎても甘すぎてもいけない。楽観的にも悲観的にも過ぎない的確な判断・見通しと、加えて相談者の心に寄り添って一緒に問題を解決していこうとする姿勢が、基本だろうか。
表彰状に曰く「事務員になんでこんなに厳しいのかと思うこともあった・・・」
経済的待遇の事かと聞いたら、それだけではない、仕事に対する執念・姿勢のことだと言う。何業にせよ「引き受けた仕事を引き受けた日時までにやり遂げる」ことは、基本動作である。加えてわれわれの仕事は、時効や上訴期間など、一日の間違いが命取りになることもある。誤りを防ぎ、期日までに適正な仕事を仕上げるためには、事務(局)員と共働して(否助けられながら)事件の解決に当たるこが肝要である。特に老齢・若手の弁護士にとっては、ベテラン事務(局)員の常識・感覚・感性なども含んだ補助・フオローは、不可欠である。
副賞として、年相応(?)の朱色のマフラーと茶の手袋を貰った。今年の冬は、寒さに負けずに快適に、仕事に励むとしよう。
事務(局)員の皆さん、有り難う。
一 「改憲論議」への危惧
日弁連の人権擁護大会「立憲主義の堅持と日本国憲法の基本原理の尊重を求める宣言」(二〇〇五年一一月一一日)は、「改憲論議の中には、憲法を権力制限規範にとどめず国民の行動規範にしようとするもの、憲法改正の発議要件緩和や国民投票を不要とするもの、国民の責任の義務や責任の自覚あるいは公益や公の秩序への協力を憲法に明記しようと強調するもの、軍事裁判所の設置を求めるものなどがあり、これらは、日本国憲法の理念や基本原理を後退させることにつながると危惧せざるを得ない。」としている。ここでいわれている「改憲論議」とは、自民党・民主党などの政党、日本経団連などの財界、読売新聞社などの改憲論を意味している。これらの「改憲論議」に共通している特徴がここに整理されているのである。この特徴は、現在公表されている自民党「新憲法草案」にも妥当するものである。日弁連は、これらの「改憲論議」に対して「危惧」を表明していることは文理上明白である。「危惧」とは「あやぶみおそれること。不安心。気がかり。」を意味している(広辞苑)。日弁連は、現在の「改憲論議」を気がかりなものとしてみているのであり、そこには賛同の意思など毛頭認められない。この宣言から「日弁連が改憲論を容認した。」と読み取ることは通常の読解力を備える人にはできないであろう。日弁連は、改憲反対と声高にいってはいないとしても、改憲論を容認するなどはしていないのである。日弁連が改憲容認の立場になったという言い方は、単に不正確であるというだけではなく、誤解や偏見を誘導する役割を果たすことになるであろう。
二 危惧の内容
ところで、宣言がいう危惧の内容は、「日本国憲法の理念や基本原理を後退させることにつながる」というものである。この理念や基本原理とは、立憲主義、国民主権・基本的人権の尊重、恒久平和主義などである。
1 ここで立憲主義とは、「憲法は、すべての人々が個人として尊重されるために、最高規範として国家権力を制限し、人権保障をはかるためにある。」ということを含意している。日弁連は、「改憲論議」のなかに「憲法を権力制限規範にとどめず、国民の行動規範にしようとするもの」があると指摘した上で、それは立憲主義の観点から危惧に値するものであり、それに対抗する形で立憲主義の堅持を宣言したのである。ここには「改憲論議」との対決姿勢を見て取ることはできるが、「改憲論議」に同調する姿勢などを見出すことはできない。「改憲論議」の最大の特徴が、個人よりも国家を優先する「国柄」造りにあるとすれば、日弁連はそれと対抗することを公然と表明したのである。個人と国家の関係をどのように位置づけるかという問題は、憲法の役割(憲法は何のために、誰のためにあるのか)を考える上で基底となるテーマである。日弁連はそのテーマで「個人の尊重」を選択したのである。この選択は、この国の現状(日弁連の現状も含む)に照らしたとき、決して容易かつ安直にできるものではないであろう。
2 更に宣言は、「憲法は、戦争が最大の人権侵害であることに照らし、恒久平和主義に立脚すべきこと。」を基本原理の一つとし、「九条の戦争を放棄し、戦力を保持しないという徹底した平和主義は、平和への指針として世界に誇りうる先駆的意義を有するものである。」と評価し、「二一世紀を日本国憲法前文が謳う『全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利』が保障される輝かしい人権の世紀とするため、世界の人々と協調して人権擁護の諸活動に取り組む決意である。」と結語している。ここでは、戦争が最大の人権侵害であること、九条が先駆的「平和への指針」であることが語られ、全世界の国民の「平和的生存権」の実現への決意が表明されているのである。確かに、この文章では九条二項への直接的言及はない。けれども文理的にも内容的にも九条二項が排除されていると読むこともできないであろう。少なくも、この宣言から、日弁連が九条二項の削除に賛成しているあるいは反対していないと結論することは無理である。
三 危惧の表明から実践へ
日弁連が「改憲容認」の立場になったとか、九条二項の削除に反対していないなどという主張は明らかな誤謬である。そのような言説がまことしやかに語られることを看過することはできない。日弁連は、「改憲論議」のもつ問題点を「個人の尊重」という原理的価値観から対抗的に指摘し、九条の徹底した平和主義も高く評価しているのである。「改憲阻止」を本気で考えるならば、この宣言の積極的側面を見落としてはならないであろう。
日弁連は、この宣言を今後の憲法論議の出発点としたいとして、憲法委員会の目的と任務を「・・・憲法問題につき、調査・研究し、会長が諮問した事項について答申することを目的とする。」から、「・・・調査、研究、啓発及び具体的方策の立案をなし、これに基づき、会長の承認を得て、適切な措置をとることを目的とする。」と改正し、委員会構成を四〇名以内から五〇名以内に増員する体制をとった。危惧の表明から実践への道に踏み出したのである。
今、われわれに求められていることの一つは、日弁連の「改憲論議」へのスタンスを正確に理解し、その主張の精緻化と行動の強化に協力することではないだろうか。
一 昨年の一二月二三日に、憲法改悪阻止共同センターが「憲法闘争の発展をめざす第三回交流集会」を行ないました。表題にもありますように、この交流集会は一昨年に第一回を開いて以後今回で三回目になるものです。
私は三回の交流集会すべてに参加してきましたが、いずれの集会でも多数の参加者が集まって、各地の実践が報告されました。今回の交流集会は全国から一九一名が参加し、発言者は二七名にも上りました。
私は、この交流集会で国民投票法案に関する報告を行なったのですが、その関係もあって、交流集会の模様について報告したいと思います。
二 交流集会は、まず全商連の国分稔会長の主催者あいさつで始まりました。
続いて、日本共産党の笠井亮衆議院議員から連帯のあいさつがされました。笠井議員はヨーロッパへ他党の議員とともに国民投票についての視察に参加されており、そこでの見分の結果も交えて話をされました。視察した先の国では国民投票の運動への規制やマスコミの規制などは行なわれていないことが明らかになったと述べられました。
次に『九条の会』の事務局長である小森陽一東京大学教授が『九条の会の運動』と題して講演を行ないました。小森教授の講演は共同センターのホームページにも掲載されていますが、長文でもあり、私がその話を聞いて印象に残ったところを中心に報告をしたいと思います。
三 小森教授は講演の冒頭、「九条の会」はいろいろな指示を出すところではないけれども、二年目の運動に入り大事な教訓もいくつも生まれているので、その中で五点を話したいと言われ、話を始められました。
第一の点は、仕込みと仕掛けが広がりを作るということです。九条の会は全国で三八〇〇を超え(昨年一一月二七日現在。なお、今年一月五日の段階では四〇〇〇を突破しています)、地域や職場、領域、分野にどんどん九条の会が生まれています。そこでは「九条の会」結成に至るまでの仕込みと仕掛けが非常に重要です。思想信条や政治党派を超え、本当に従来の運動のつながりではないところまで足を運び、仕込みと仕掛けの段階で広げたところでは量的にも質的にも今までになかった運動になっていると思います。しかも本当に『九条の会』のアピールと運動の意義を理解して運動に参加していただいたところでは今までにない大きな運動の流れが持続しています。呼びかけの段階での力を出し惜しみしないというのが成功の秘訣であるようです。
第二の点は、運動の原点はアピールの真髄を広げる個々人ということです。二年目になって改めて「九条の会」の運動の一番真髄のところが多くの人に受け止められ始めています。このアピールの中身と真髄を現在の情勢にあてはめながら伝えていくことがかぎとなっています。具体的な情勢の推移との関係で「九条の会」のアピールが毎日輝きを増しています。私たちの運動に自信を持つと同時にもう一度この「九条の会」のアピールをそれぞれの段階に、今起こっているさまざまな事象をはめ込んでみるとああなるほど状況はこうなっているとよくわかるんです。どんな新しい事態が起こってもこの事態はアピールの第何段落にはまるのかと入れてみると講演ができるようになる。「九条の会」のアピールは講演用にもなる認識枠組みでもあります。そして、もう一度「九条の会」の運動の原型を確認したいわけですが、それはあくまで個人としてこの「九条の会」のアピールに賛同された方がその賛同を担って周りの人に広めていただくことなのです。
第三の点は、生の疑問に答える学習会が元気や勇気につながるということです。本気で全戸訪問に踏み出した地域の方々の経験が運動の有り方を大きく変える役割を果たしています。さまざまな政治的立場の人たちと対話をしますとだれだれさんのところからこういう疑問が出たという形で生の声が会合のときに出てきます。すると生の声が出てきた地域の「九条の会」では学習会の質が変わってきます。また今まで積み重ねてきた宣伝も重要です。今行なわれている小泉一五秒コメント政治というのはきわめて危険な大衆的なマインドマネジメント(世論操作)で、それを私たちが押し返すことができるかが現場の運動のポイントだからです。やっぱり九条はなくしちゃいけないよね、ということに人々の考えを持っていけるかが運動のポイントだと思います。
第四の点は、「九条の会」の運動というのは、人間の信頼関係を再構築する運動だということです。この運動は極めて伝統的な日本社会の民衆の文化的な記憶に根ざした運動です。講という運動のあり方です。頼母子講とか無尽講とかいうものです。人間と人間との対面的な信頼関係を「九条の会」を作ることで再構築していく、私たちの運動が、今のぎすぎすしてバラバラにされている社会をもう一回人間らしいところで取り戻す、そういう運動です。そういう意味で私たちは本当の意味での人間のセーフティネットの運動を「九条の会」の運動を通して作っているということです。
最後に第五の点です。「九条の会」と共同センターとは車の両輪なのです。
「九条の会」の運動は個人の自発的な意思を元にして、それぞれが色々考えてやっていく運動です。
共同センターの運動は民主的な組織や団体がいろいろ集まって、その組織の全国と地方の組織の連携の中で運動の方針も提起できます。これが「九条の会」の運動と連携し、憲法改悪を止める車の両輪になって動き出したときに大きな力を発揮できる。これからも「九条の会」と共同センターとのスクラムをガッチリ組んでやっていきたいと思っています。
大要、小森教授はこのように述べられました。
四 基調報告は全労連の西川征矢副議長が行ないました。
一つ目として、改憲をめぐる情勢では、ちょうど交流集会の直前に自民、公明、民主の三党が国民投票法案の通常国会での成立に向け合意したとの報道を受け、国民投票法案阻止への運動の強化の呼びかけがされました。また在日米軍基地再編に自治体ぐるみの怒りと反対運動が広がっていることが強調されました。国民世論の関係では、毎日新聞の二〇〇五年一〇月五日付けの世論調査で「九条を変えるべき」が三〇%に対して「変えるべきでない」が六二%となっていることに注目すべきと報告されました。そして憲法をめぐるたたかいが人間らしく平和に暮らすことのできるもう一つの日本への転換軸となるということが述べられました。
二つ目として共同センターの特徴が報告されました。
共同センターは二〇〇四年九月一六日に結成され、地域での共同センター結成も広がり始めています。
各地の運動では、群馬が一一月三日に講演会を二三〇〇名の参加で成功させました。同地では四月に中曽根氏の講演会が行なわれましたが、その参加者は一五〇〇名であり、それを上回る規模でした。群馬は安保共闘を越える『九条の会』結成を目標にして取り組んでいます。
中央でも共同センター・国民大運動共催の一一・一九集会が三万三〇〇〇名の参加で大きく成功しました。
共同センターのホームページはアクセス数が五万を超え、各地の取り組み情報の掲載も二五〇〇に達しており、運動交流・情報のセンターとなっています。
署名も国会提出分だけで一〇月二七日現在二二三万にまでなっています。
三つ目として、共同センターの役割と情勢にあった機能を強化させることが述べられました。
共同センターは、第一に「九条の会」のアピールを広げること、第二に学習の推進、第三に運動の交流、第四に署名の推進、という四つの課題に取り組んでいく団体間の共闘の組織として発足をしたものです。
共同センターの今後の課題として通常国会での国民投票法案の上程阻止などの運動のイニシアチブ発揮が求められていると報告されました。
四つ目として、さらに運動を広げるためにとしていくつかの問題が提起されました。そのうちの四つを掲げます。
その一は、明るく楽しく、創造的な学習・活動の重要性です。改憲の危険性だけを一面的に強調するのではなく、戦いの展望や未来を語ることの重要性です。
その二は、共同センターや「九条の会」を作ったがどんな運動をしていいかわからないという問題です。
その三は、は特定の人が仕事を背負い込み、その人が忙しくなると運動が止まるという問題。
その四は、権力が国民の不安をあおり、国民を個別化し、そのことで支配構造を確立しようとしていることです。この国民の間にある不安を個別化させず、職場や地域で今の日本と憲法について率直に語り合える場を持つこと、これが九条を守る連帯を作る最も重要な取り組みです。
そして基調報告では五つ目として、今後の運動の具体的な提起がありました。
1 「自民党新憲法草案」や国民投票法案などをテーマにした学習を行なう。共同センターはそのための新憲法リーフを作成し、大量活用をする。また今後具体化するものとして、改憲キャンペーンや若者などの憲法への素朴な疑問に答えるDVDの作成が挙げられました。
行動する前に必ずミニ学習を行なうこと、また庶民大増税、医療改悪、小さな政府論など国民や地域での強い関心や切実な要求と関連させながら改憲を語り合うことが述べられました。
2 地域・職場と国会をつないだ波状的な国会行動に取り組む。
その際、代表者は自分だけでなく職場・地域の署名、寄せ書きなど仲間の声を国会に持ちより、また国会行動の後は必ず報告集会を開催する。
3 二〜四月を国民投票法案を許さず、草の根からの宣伝と署名の推進月間とする。
4 五月を国民的な一大行動月間とする。
5 全自治体を網羅する九条の会の結成を目指す。
6 運動交流の促進をする。
を提起しました。
以上が基調報告の大要です。
五 参加者からの発言ですが、わが自由法曹団からは今村事務局長が発言に立ちました。
団の取り組みとしてはこの間、国際交流に力を入れており、このことが報告されました。韓国の弁護士団体(民弁)との連帯を深め、二〇〇四年の団総会にはその代表を日本に招き、また二〇〇五年にソウルで開かれたコラップには多くの団員が参加しました。団員の中には外国語学習に力をいれている人も少なくありません。世界に向けて九条の意義を訴える活動を展開している団員もいます。こうした世界との連帯を重視しています。
そして、国際活動に取り組む中で日本国内だけでなく、いわば外から見た日本や憲法九条というものについても考えることが重要であると訴えました。
このような九条と世界の関係に触れた発言は団のほかにはほとんど見られず、また弁護士が国際活動を語るということで会場の発言でも異彩を放っていたのではないでしょうか。
発言では弁護士という職業を活かした講師活動を積極的に行なっていきたいという決意も示されました。
そのほか会場から次々と発言がされ、共同センターの結成から一年を経過しての運動と組織の現状を出し合い、これからの取り組みの方向性が示されました。参加者の発言を聞く中でみんなが元気を出し合い、またもらい合ってたたかいの決意を固める場になりました。さらに二〇〇六年は国民投票法についての重大な決戦の年となることが予想されることから、それに対してたたかう意気を高めることになりました。
六 共同センターでは、これまでの三回の交流集会がいずれも大きく成功したことに自信を深めています。すでに第四回の交流集会を行なうことも検討されており、そこではさらに大きな運動の成果が報告されることでしょう。
私も、第四回の交流集会まで、ときにはこの世界が何もないところから誕生した遠い昔に思いをはせ、今も広がりつづけている現在の空間のさいはてを考えながら、憲法を守り生かす活動を続けていきたいと思っています。
既に団通信(一月一日号)でもお伝えしているところですが、自由法曹団は、緊張の高まる改憲問題に対して、全国の団員の力を結集するべく、改憲阻止活動者会議を開催することとしました。
改憲阻止活動者会議では、
(1) 九条の会及び共同センターなどでの取り組み、
(2) 学習会・講師活動の実践状況
(3) 弁護士の中での運動を広げる活動
(4) 国民投票法案への取り組み
などを中心に全国の団員の経験・情報を交流し合い、さらに大きな全市民的運動にまで広げていきたいと考えております。是非ともご参加ください。
★ 日 時 二〇〇六年二月一七日 午後一時三〇分〜午後六時
★ 場 所 文京区民センター三階(三A)会議室
東京都文京区本郷四ー一五ー一四
電話 〇三ー三八一四ー六七三一
ご参加いただける方につきましては、資料準備の関係がありますので事前にご連絡をいただければ助かります。一月二六日付改憲阻止対策本部FAXニュース六号をご参照下さい。参加確認の返信も兼ねております。
もちろん、届け出なしでの当日参加でも大歓迎です。
◎ 専従事務局からのお願い
本会議用の資料につきましては、印刷の関係上、二月一〇日(金)までにその原稿を団本部専従事務局(渡島)までお寄せ下されば、当日配布できるよう手配いたします。メール添付でもかまいません。よろしくおねがいいたします。
三月一八日(土)の常任幹事会は、神奈川(横須賀)で拡大して開催されることとなりました。常任幹事以外の方も是非ご参加下さい。午前中には、軍関係施設等の見学ツアーも予定されています。詳細は次号に掲載しますが、米軍再編協議が大詰めを迎える時期でもありますので、「横須賀」拡大常幹に是非とも、多数のご参加をお願いいたします。