<<目次へ 団通信1361号(11月1日)
菊池 紘 | 愛媛・松山総会での団長挨拶 |
杉本 周平 | 議員定数削減と政治主導の矛盾 〜議員の数が多いなら、まずは自分の議席から〜 |
松村 文夫 | 賃金体系変更無効 東京高裁でも勝訴 |
笹本 潤 | 米軍基地を撤去したフィリピンの闘いと現在の闘い |
安部 千春 | 仙谷官房長官のことなど |
吉川 基道 | 団通信がとりわけ面白いと思う時 |
煖エ 右京 | 弁護士から世界に向けて、情報を発信しよう 〜市民メディア「NPJ」活動報告 |
今泉 義竜 | 新六四期向け四団体 合同事務所説明会へ是非ご参加を |
神田 高 | 反戦と反貧困の詩人・山之口貘さん |
坂本 福子 | 新刊紹介定価の訂正 |
団長 菊 池 紘
全国からお見えになった団員のみなさん、事務員のみなさん、ごくろうさまです。遠いところからお越しいただいた来賓のみなさん、ありがとうございます。
この街には「坂の上の雲のまち」ののぼりが林立し、秋山兄弟と正岡子規の青春の物語が一二月五日から放映されることが伝えられています。司馬遼太郎による明治の若者の志を示す「坂の上の雲」です。しかし、日清戦争、そして秋山兄弟が陸と海でたたかった日露戦争はじつはそのまま、韓国併合と大逆事件に結びついているのです。
不来方の城跡の草に寝転んで「空に吸われし十五の心」を歌った石川啄木は、韓国併合の詔勅(天皇の文書)を知ると、地図の上で朝鮮国を黒々と墨で塗りつぶし、朝鮮の人々の嘆きを理解して、怒りを顕わにしました。そして数日で「時代閉塞の現状」を書き、抑圧された明治の女性、大学を卒業しても職がなく下宿にごろごろしている多くの若者、教育を受ける権利を奪われている青年の嘆きを訴え、戦争と侵略さらには言論抑圧の強権を批判し告発しました。そのうえで時代閉塞の現状に宣戦しなければならないとしたのです。
それから一〇〇年、いま改めて時代の閉塞が言われています。普天間をめぐる無法な強権、派遣切りと貧困、若者の問題から高齢者の問題まで、この社会の閉塞が言われます。私たちはこの時代の閉塞にあらがい、穴をうがち、新しい時代への転換を求めて、広く人々とともにたたかいたいと思います。
私たちは、この一年、沖縄と普天間基地そして辺野古の海の問題を追ってきました。一月の常任幹事会を那覇市でもち、名護市長選挙を前に稲嶺すすむさんを激励しました。四月の九万人集会にも多数の団員が参加し、沖縄の怒りを肌で感じてきました。現行の日米安保五〇年の今年、その中での沖縄の歴史を学び知るほどに、ひと月後に迫った知事選挙の持つ意味がかつてなく大きいことを考えます。私たちは「普天間基地の早期閉鎖・返還、在沖海兵隊の撤退を掲げる」の伊波洋一さんを支持し、支援します。普天間と辺野古の問題は私たちの問題であり、日米安保の問題ということを考えそれぞれの地元で普天間返還の行動をひろげましょう。自由法曹団はこの知事選挙を、普天間基地撤去を求め、沖縄県内への新基地建設を断念させ、基地のない平和な日本の未来を切り拓く歴史的たたかいとして支援し行動します。
菅首相は一貫して衆議院定数削減を主張しています。たしかに議会の構成は単純でなく、この問題の先行きは当面不透明に見えます。しかし問題は議会の構成にあるのではありません。定数削減は、日本を支配する大企業の切実な強い要求からでています。そして政権党が公約し、くりかえし削減を言っているのです。仮にも定数削減へ多数が形成され国会に出されるときは、一瀉千里にという事態になります。国会に出させない、出せない状況をつくることが求められています。私たちのやりかたで反対の動きをつくりましょう。徹底した討論と理論的解明、そして人々とともに行動を広げる。どのような問題があるのか解明しその内容を訴え、幅広い人々とともにたたかいましょう。この総会ではその方向を明らかにし、たたかう方針を固めたいと思います。よろしくお願いします。
神戸で労働者の争議を支援する中から自由法曹団が結成されたのは一九二一年のことです。来年の秋には東京で九〇年記念の集まりを持ちます。この総会では、普天間基地撤去の流れ、定数是正を国会に出させない世論の形成、そして派遣法はじめ国民の自由と権利を守る大きな動きをつくるため、この一年の私たちの方針について徹底した討議をお願いします。
滋賀支部 杉 本 周 平
「ムダの削減」をスローガンに国会議員の定数削減を主張している政党や国会議員は、併せて「政治主導」「脱官僚」なるキーワードをも声高に叫んでいる。しかし、「政治主導」「脱官僚」を推し進め、重要な政策判断を官僚機構ではなく議院内閣に行わせるというのであれば、様々な分野の専門知識を持った議員を国会に多数集結させ、国会の権能をもっと充実させていく必要がある。
ところが、「政治主導」「脱官僚」の名の下に官僚機構をスリム化させ、なおかつ、「ムダの削減」というスローガンの下に国会までもスリム化した挙げ句、その貴重な議席を芝居だけ達者なタレント議員に分配するということになれば、この国はオツムもスリムな無能国家となってしまう。比例定数削減に反対する私たちは、この矛盾をもっとアピールして、逆風の中で世論を説得していかなければならない。
そもそも、「猫の手も借りたい」「身体がもうひとつほしい」と忙しく活動している議員であれば、定数の増加を主張することはあっても、定数削減を主張することなど考えないはずである。議員が定数を削減せよと主張することは、十分な仕事をしていないムダな存在であると自ら認めるに等しい。
それならば、ムダな存在であると自ら認めている議員に、まずは潔く自分の議席を削ってもらおうではないか。……このような切り口で、議員定数削減を主張する候補者たちの落選を求める運動を作っていくことも、比例定数削減を阻止するためには必要でないかしらんと思う。
長野県支部 松 村 文 夫
一 今年三月二六日長野地裁で勝訴し、団通信一三四二号で報告しましたが、一〇月一九日東京高裁第四民事部で言渡された判決でも勝訴しました。
二 この事案は、今からちょうど一〇年前の二〇〇〇年四月、賛育会(本部東京、病院・特養老経営)で国家公務員俸給表に準じた旧給与体系を職能給導入の新賃金体系に変更しました。
豊野病院労組はこれに反対し、長年労働委員会で闘い救済命令をかちとりましたが、解決しないために、労組員三名が代表選手になって新旧賃金の差額を求めて、提訴しました。
一審判決は、賃金体系の不利益性を認め(合理性を認めず)、原告の請求を認めました。
高裁では、法人側があいも変らず、賃金体系変更による減額を隠そうとする主張をくり返すだけでしたし、裁判所も法人申請の証人尋問を認めなかったことから、二回の弁論で結審してしまいました(しかし、判決が近くなるにつれもっと慎重にやれば良かったという思いが強くなりました)。
三 高裁判決は、極めて明快で、「旧賃金より新賃金の方が減額となり、しかも、その減額幅は年々拡大すると認められることから賃金体系変更は無効」と認定しました。
法人側が控訴審でも、「能力制度(新賃金体系)における昇格制度を拒否する労働者に対しても、旧賃金制度である年功序列制による昇給を補償しなければならないのは不当である」と主張したのに対して、判決では、「かかる非難は、原判決を正解せず、当を得ないものである」と一蹴しました。
四 新体系は、賃金減額とともに職能給導入という問題があります。
職能給は、医療・福祉現場のチームワークを破壊するとして労組は強く反対しましたが、一審判決は、職能給導入自体の必要性を肯定していました。
しかしながら、新体系への変更が無効となったことから、職能給も吹っ飛んでしまいました。
法人側が、労組員が目標設定も昇格試験受験もしないことから賃金が低くなっていると主張したのに対しても、高裁判決は、「旧賃金額と実際に支給を受けた賃金との差額の支払を請求しうるのであって、本件就業規則変更後の被控訴人らの人事評価はこのことになんら影響しない」と判示しています。
目標設定、上司の査定・昇格などに苦しんでいる他労組員より、査定も受けず、昇格もしない当労組員の給与が多くなることになりました。
五 導入して一〇年、多くの他労組員は争わず、定着したとみられる新賃金体系が、判決によって維持できなくなりました。
少数組合ながら、労働委員会と訴訟で頑張り通し、一〇年にして成果を確実なものにできました。
まことに痛快です。
(弁護団は、内村 修 団員と私)
東京支部 笹 本 潤
九月一八、一九日にフィリピンのマニラで第五回アジア太平洋法律家会議(COLAP X)が開かれ、日本の参加者三五人も含め、二三ヵ国、二五〇人の法律家や市民が参加した。
「米軍基地と米軍の干渉」をテーマにした平和の分科会では、米軍基地の侵略的性質、平和的生存権を侵害することなどが指摘された。日本からは沖縄の新垣勉弁護士が普天間基地の問題を報告し、米軍基地の存在は、住民の人権と両立しないことを指摘し、沖縄の普天間基地問題がアジア太平洋地域の中でもとりわけ大きい問題であることを知らせることができた。
会議の宣言文書「マニラ宣言」にも、米軍基地の危険性と沖縄の基地撤去の重要性、アジア太平洋地域から米軍基地や米軍の駐留を許さない国際連帯の一つが築かれた。
COLAP Xの一週間後にフィリピンの弁護士アルニーフォハさんが来日し、「基地はなくせるか」をテーマにした集会を、新垣弁護士とともに、札幌、東京で開き、米軍基地撤去の重要性を訴えた。
フィリピンでは、一九九二年に米軍基地を撤去することに成功したが、撤去にいたる動きや市民運動は、日本の基地撤去運動にも参考になるのではないだろうか。
フィリピンに米軍基地の設置が決められたのは、第二次世界大戦の末期に遡る。アメリカが、当時のフィリピンの亡命政府に、フィリピンの独立を認める代わりに、戦後に米軍基地をつくることを約束させたところから始まる。アメリカが日本軍を追い出す代わりに、今度はアメリカがフィリピンを半占領状態に置くのである。
一九四七年三月一四日の米比軍事基地協定及びその後の改定で、米軍基地が一九九一年まで設置されることになった。ここで設置が決まったのは、当時アジア最大の米軍基地であったクラーク米空軍基地とスービック米海軍基地だった。米軍基地があるところでは、必ず凶悪犯罪が起こる。沖縄もフィリピンも同じである。米軍基地に反対する運動が起こっていた。
基地撤去に向けて転機になったのは、マルコス政権の崩壊だった。
一九八六年の大統領選では、マルコス大統領が、汚職や戒厳令などの強権政治を理由に退き、コーリーアキノ大統領が誕生する。現在のアキノ大統領の母親だ。アキノ大統領は、米軍基地撤去を大統領選の公約にして当選した。ピープルズ・パワーも盛り上がり、すっかり米軍基地の撤去の流れになったかに見えた。
しかし、アキノ大統領は当選後に、基地容認派にひるがえる。日本の鳩山前首相が選挙の時の公約を投げ捨てて、今年の五月にアメリカと新基地の合意をしたことと似ている。
そのため一九八七年にできた新憲法は、外国軍基地の撤去を直接定めることはしなくなった。ただ、新憲法一八条二五項の経過規定で、外国軍基地の存続を上院の決議に委ねるという形で、米軍基地撤去への手続的な足がかりをつくることができた。
当選後のアキノ大統領は、基地存続のための集会を呼びかけるようになる。基地存続の可否を審議をする上院は、基地存続派が多数だった。しかし、ピープルズ・パワーは負けていなかった。最初は小さい集会だったのが、日が経つに連れて大きくなっていく。
一九九一年六月には、米軍基地の近くのピナツボ火山が爆発して、クラーク、スービック基地に火山灰を積もらせる。このため米軍基地が使えなくなったのもピープルズ・パワーに味方した。
そして一九九一年九月一六日の上院での審議の日を迎える。一人ずつ米軍基地存続の賛否を演説し、採決。一二対一一の僅差で、米軍基地の延長は否決された。翌年、こうして米軍基地は撤去された。
背景には、冷戦が終結し東西の緊張緩和の時代だったこともある。 またフィリピンの米軍基地の場合、アメリカが基地設置の代わりに経済援助を行うという仕組みであり、アメリカにとっては財政負担が大きくなっていたという事情もあった。
しかし、国内での政権交代、新憲法成立というダイナミックな動きの中に市民のパワーが発揮され、歴史を動かしたのが一九九〇年代のフィリピンの経験である。日本の政権交代が本物かどうかはまだわからないが、これからの市民の運動の成果にもかかっているのではないか。
しかし、基地を撤去されたアメリカはこれで終わらなかった。一九九九年に米軍訪問協定が米比間で結ばれた。日米地位協定のような行政協定の一種であるが、これにより、米軍はフィリピンに立ち寄り、フィリピン軍との軍事演習ができるようになった。
米軍基地が撤去されてもこのような軍事演習が可能なのは、フィリピンの場合、基地に関する協定と、集団的自衛権を定める軍事同盟条約が別個だからだ。日米安保条約の場合は、五条でアメリカの集団的自衛義務が定められ、六条で米軍基地の設置条項が定められており、一つの条約の中に両方の規定が定められているのとは異なる。
つい先日の二〇一〇年一〇月一三日には、米軍基地があったスービック周辺で米比の合同軍事演習が行われた。これには沖縄から米海兵隊も参加している。これは、フィリピンと中国の領土問題などに際し中国を意識したものであった。
米軍訪問協定ができてからは、基地があった時よりもかえって米軍人によるレイプ事件などが多くなっていると現地の人に聞いた。駐留だけだとすぐにアメリカに帰国できるからだ。
アジアにおいて軍事力を行使する米軍、住民に犯罪を犯す米軍。フィリピンでは、訪問協定に反対し、米軍を追い出す運動がまだ続いている。日本でも普天間基地撤去の運動はまだまだ続く。両者ともアジアから米軍を追い出していくという点で連帯してやっていけるはずだ。
福岡支部 安 部 千 春
仙谷氏との雑談
私は仙谷氏とは同期の二三期である。修習生時代私は道を探していた。青法協にも加入していたが、修習生べ平連にも所属していた。仙谷氏はもちろん参加していた。
ある時、仙谷氏が「ちょっと寄って行かないか」と自宅に誘った。私は何の話かなと思ったが付き合った。仙谷氏の部屋には法律書の他に多数の政治的な本があった。私はその当時中核派の学生が書いた「青春の墓標」やトロッキー伝等を読んでいた。いわゆる心情三派であった。仙谷氏との話は今では全く覚えていないようなたわいのない話だった。一時間ほど雑談して帰った。
昨日(一〇月二十四日)の朝日放送のニュースフロントラインでは仙谷氏は学生時代フロント≠セったと放映していた。その当時私は仙谷氏は第四インターと人から聞いていた。私は九州大学卒業で、九大には中核、革マル、などの三派全学連はいたが第四インターもフロントいなかったのでよくはわからない。私は仙谷氏が私を呼んだのはセクトへの誘いなのかと思ったが、そんな話は出なかった。単に私と雑談をしたかっただけなのかも知れない。
任官拒否闘争
二二期では二名の裁判官任官拒否者が出た。卒業が近くなると二三期でも任官拒否に対する反対運動が高まった。
修習生べ平連は任官拒否に反対してリボンをつけるという運動をした。私はもちろんつけた。そうすると研修所から「リボンをはずせ。はずさなければ処分する」という攻撃が加えられ、私たち修習生べ平連は集まった。べ平連の幹部が言った。
「俺たちは弁護士にならなければ何もはじまらない。ここは妥協してリボンをはずそう。」
私は文句をいった。
「私たちはいかなる弁護士をめざしているのか。人民のために闘う弁護士をめざしているのではないか。戦前国家権力と闘って弁護士資格を剥奪された人もいる。そもそもリボンをつけている人間が何人いるのか知らないが一〇人以上はいる。その人達全員を罷免出来るわけがない。処分をするというのは権力の脅しだ。ここで権力の脅しに屈服して闘う弁護士になれるわけがない。闘う弁護士になるのならここで闘え。」
修習生の分銅一臣がいきなり私に飛びかかってきて私を投げ倒し、馬乗りになった。殴ろうとしたがさすがに殴らなかったと思う。もう四〇年も前の話である。
私は怒った。
「言論には言論で対抗すべきだ。言論で負けると暴力で屈服させようとする。おかしいじゃないか。俺が敵か。敵を間違えている。闘うべき敵とは闘わない、日和見主義もいいとこだ。あんた達とこれ以上一緒にいることはできない。長い間お世話になりました。」
と私は席を立った。その時当然仙谷氏もいたはずだが多弁で論客の彼は私に反論しなかった。
それ以来私は彼らに会ったことはない。それから私は彼らとは別の道=自由法曹団の道を歩いた。
東京支部 吉 川 基 道
(今回、古希を迎えられた吉川団員が挨拶の一文を寄せられました。その全文は表彰記念文集に掲載されていますが、そのうち団通信にかかわる部分を、ご本人の了承を得てここに転載させていただきました。)
私は、自由法曹団の団員ではあるものの、団の会合、とりわけ総会の類は一度も顔を出したことがない。団員らしく活躍したということももちろんない。でも、送られてくる団通信などは、割合こまめに目を通している。団とのつながりはそれが唯一だから、ペーパードライバーならぬペーパー団員だと自分で思っている。・・・・ すでに述べたことだが、私の場合、団とのつながりは、ペーパーだけである。その代わりというほどのことはないが、団通信などはそれなりに目を通しているつもりだ。一度もお会いしたことはないが、広島の井上正信さん、埼玉の大久保賢一さんらの憲法・安保問題、朝鮮半島問題などの論攷ではいつも勉強させてもらっている。後藤富士子さんのも、時々消化不良を起こしながらもちゃんと読むことにしている。中野直樹さんの渓流釣りの話は、一陣の涼風が吹き渡るのを感じながら楽しんでいる。大森鋼三郎君(高校・大学のクラスと同じ途を歩んできた)が登場しなくなったのは、何ともさびしいが。
そうした団通信だが、とりわけ面白いと思うときがある。それは、一つのテーマを巡って団員間で論争が起きるときだ。弁護士は、仕事柄、対立当事者構造に身を置いているから、自分の主張が相手から反論されると、自らの弱点を克服して再反論を構築することにたけている。そうした弁護士の習性からすると、論争のあるテーマについては、結論を整序して提示するというだけではなく、異なる立場からの議論をできるだけ紹介してもらうと、議論の当事者だけではなく、読者の側もより深い理解が可能となってくる。たしか、司法改革進行時、弁護士増員問題や裁判員制度問題などで紙上論議が活発に交わされ、次号が待ち遠しかったという記憶がある。テーマにもよるのであろうが、今後とも弁護士集団としての特性を団通信にも活かしてほしいと思う。
東京支部 焉@橋 右 京
弁護士が中心になって運営している市民メディア「News for the People in Japan」(NPJ)、及びNPJが運営する同名のホームページ(http://www.news-pj.net/)は、二〇〇七年一一月にスタートして以来、間もなく三周年を迎えます。今回は、改めましてNPJについてご紹介するとともに、近時の活動をご報告したいと思います。
一 NPJとは?
これまで多くの団員の皆さんにご協力をいただいておりますので、既にNPJについてよくご存じの方も多いかと思いますが、まだご存じない方のために、そもそもNPJとは何かについて、改めてご説明いたします。
私たち市民が得る情報の大部分は、新聞、テレビ等のマスメディアから得るものです。しかし、残念ながら日本のマスメディアから発信される情報は、政府・官庁からの情報をそのまま流すものや、コマーシャリズム(特に大企業)に影響されたもの、あるいは興味本位の犯罪報道などが大半を占め、権力や資本を持たない弱者、マイノリティの立場が広く伝えられることは極めて希です。このことは、日々、弱者の味方となって社会問題に取り組んでおられる団員の皆さんも、日々、強く実感されていることと思います。
私たちは、このような日本のメディアの状況に危惧感を抱き、マスメディアが必要な情報を伝えてくれないのであれば、自分達で発信しようと考え、誰もが手軽に世界に向けて情報を発信できるインターネットを利用して、憲法と人権を守る市民の側からの情報発信とコミュニケーションの場として、NPJを立ち上げました。
現在NPJの運営には、梓澤和幸団員(代表)、加藤幸団員(事務局長)、大山勇一団員、田場暁生団員、そして私などが携わっています。
二 ホームページ「NPJ」のご紹介
NPJでは、前記のような趣旨に基づき、以下のような記事を掲載しています。詳しくはホームページをご覧下さい(「NPJ」で検索すればヒットします。)。
(1)NPJ通信
報道のあり方、憲法問題等、様々なテーマで、ジャーナリストや学者、そして団員を含む弁護士などが執筆した、NPJオリジナルのコラムを掲載しています。
(2)弁護士の訟廷日誌
既に多くの団員の皆さんにご協力いただいている、NPJの目玉コーナーです。社会的に意義のある全国の裁判の情報(事件の内容はもちろん、次回期日と内容・法定・これまでの手続の経過、報告集会や関連集会のお知らせなど)について、当該訴訟の担当弁護士自身が執筆するコーナーです。
(3)動画ニュースの配信
また、NPJが最近積極的に取り組んでいるのが、著名人へのインタビューなどの動画ニュースの配信です。
三 勉強会の開催
またNPJでは、ホームページからの情報発信のみならず、年に数回、様々な社会問題を取り上げる勉強会を開催しています。
四 NPJを利用しよう!
以上、ご紹介してまいりましたNPJについて、まずはホームページをご覧いただきたいのですが、それにとどまらず、団員の皆様にも、ぜひNPJを活用して積極的に情報発信をしていただきたいと思います。
具体的には、社会的事件、訴訟に取り組んでおられる方は、是非、先にご紹介した「弁護士の訟廷日誌」に記事を投稿していただきたいと思います。「弁護士の訟廷日誌」を利用していただければ、弁護団などでホームページを作らずとも、手軽に事件について、インターネットを通じて社会にアピールすることができます。次回期日の日時、法廷なども掲載するので、傍聴人も増えます。
投稿をご希望の方は、気軽にスタッフの弁護士にお申し出下さい。
五 ご支援・ご協力のお願い
私たちNPJは、自主性・独立性の維持のため、一切広告収入には頼らず、賛助会費とカンパのみを収入源に活動しております。私たちの活動の趣旨にご賛同いただける方は、ぜひとも賛助会員になっていただき、私たちと一緒にNPJを支えていただけきたいと思います。
申込みご希望の方は、ゆうちょ銀行備え付けの「振込取扱票」に住所・氏名・電話番号・メールアドレスをご記入の上、一口二〇〇〇円以上を下記口座にお振り込みください。
【振込先口座】
(1)ゆうちょ銀行
記号:一〇一九〇 番号:二五九〇〇五二一
一般社団法人News for the People in Japan
(2)他の金融機関からの振込の場合
店番:〇一八 普通預金:二五九〇〇五二
一般社団法人News for the People in Japan
NPJは現在、正直に申しますと、財政的には余裕のない状態が続いております。今後も活動を継続していくためには、団員の皆さんのご支援がかかせません。何卒、私たちの趣旨にご賛同いただき、ご支援、ご協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。
東京支部 今 泉 義 竜
一 きたる一二月一一日(土)、午後一時から、東京は四ツ谷駅から徒歩一分、主婦会館プラザエフにて、新六四期司法修習生を対象とした、自由法曹団、青法協、日民協、労働弁護団の四団体合同事務所説明会が開催されます。
新六四期は、今年一一月下旬から一年間の司法修習を行い、来年一二月登録予定の期です。ご存じのとおり、この期の方々は、司法修習費用の給費制の存続を求めるビギナーズ・ネットの活動を中心的に担っており、修習前に世論・政治を動かす運動を展開しているエネルギッシュな若者達です。そのような彼らと、一つでも多くの団事務所が出会える場になればと思います。
全国の団員所属の事務所におかれましては、新六四期採用について全く検討する余地がないということでない限り、極力ご参加いただくようお願い申し上げます。
なお、団総会にて、「わざわざ東京まで行けない」という意見も頂きました。そこで、参加できない遠方の事務所で、活動的な新人、将来地域の団活動を担う人をとりたいという要望をお持ちの事務所につきましては、メールまたはFAXにて、詳しい募集要項(事務所名、採用担当者、連絡先、採用予定人数、勤務条件、事務所の特色等)を私宛まで送付下さい。当日参加した修習生に責任を持って紹介・勧誘致します。
また、今年三月に別途東京で開催しました地方事務所限定の事務所説明会ですが、来年の開催は予定しておりません。というのも、今般の修習生は、都市部での就職難を反映して、都市部か地方かにこだわらない人が多くなっており、あえて地方事務所限定の説明会を別途開催する必要がなく、一度にまとめて開催するのが合理的ではないかという判断からです。この点につきまして、是非地方向けの事務所説明会も別途東京で開催して欲しいというご意見がありましたら、検討の余地がありますので、メールまたはFAXにてお寄せ頂きたく、よろしくお願いします。
二 参加要領
開 場 一二時半〜
開 始 一三時〜 学習会(講師:大山団員)
新六四期司法修習生を対象にした学習会で、日産派遣切り訴訟について行う予定です。この時点では、事務所側は参加していただかなくて結構です。
一四時〜 事務所説明会開始
↑この時間までにお越しください。
一七時半〜 懇親会
場 所 主婦会館(プラザエフ)
弁護士おひとりにつき説明会の参加費用として一万円を頂戴いたします。そして、懇親会には別途五千円をいただきます。
三 質問・参加受付
参加される事務所は、一二月一〇日までに、事務所名、参加者名をご記入の上、下記宛先までFAXまたはメールで御連絡下さい。 また、当日は、事務所を紹介するパンフレットなどの宣伝物を、五〇部程度ご用意下さい。
東京法律事務所・今泉義竜まで
電 話 〇三―三三五五―〇六一一
FAX 〇三―三三五七―五七四二
東京支部 神 田 高
その二・反核
「鮪に鰯」
鮪の刺身を食いたくなったと
人間みたいなことを女房が言った
言われてみるとついぼくも人間めいて
鮪の刺身を夢みかけるのだが
死んでもよければ勝手に食えと
ぼくは腹だちまぎれに言ったのだ
女房はぷいと横にむいてしまったのだが
亭主も女房も互いに鮪なのであって
地球の上はみんな鮪なのだ
鮪は原爆を憎み
水爆にはまた脅やかされて
腹立ちまぎれに現代を生きているのだ
ある日ぼくは食膳をのぞいて
ビキニの灰をかぶっていると言った
女房は箸を逆さに持ちかえると
焦げた鰯のその頭をこづいて
火鉢の灰だとつぶやいたのだ
※評釈 最後の三行が秀逸である。
因みに、三鷹九条の会では、沖縄県知事選投票日の翌週一二月四日(土)に、沖縄反戦地主会事務局長の池原秀明さんを招いて、講演会「一度は聞きたい 沖縄の真実」(仮題)を開くが、当日、貘さんの愛娘の山之口泉さん(東京在住)に父のオキナワ≠お話いただくことになっている。
東京支部 坂 本 福 子
団通信一〇月二一日号で、新刊の「第三版『Q&A 女性と労働』―働く女性の権利を守るために―」(職場の女性問題研究会・編。民事法研究会)の紹介をいたしました。
その中で、本の定価を間違えました。
「定価一八〇〇円」とありますが、「定価二一〇〇円(税込)」の誤りです。訂正させて頂きます。
なお渋谷共同法律事務所に申し込めば一割引というのは間違っておりませんので、ぜひふるってご注文をお願いいたします。
【注文先・渋谷共同法律事務所】
電 話 〇三―三四六三―四三五一
FAX 〇三―三四九六―四三四五