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渡邊  純 南相馬市生活保護停廃止審査請求で取消裁決 ―被災者の生活再建に向け、半歩前進―
川岸 卓哉 福島の農家の方々と共に立ち上がる闘いのはじまり
〜福島県郡山市における原発事故損害賠償相談会(一月二九日)についてのご報告〜
杉島 幸生 オリジナルTPP第一五章(紛争解決)を読んでみました。
渡辺 登代美 「第二回原発問題全国活動者会議」に参加しましょう! ―おばさんが福島に通うわけ―
柿沼 真利 【予告】「原発と人権」全国研究交流集会にご参加を!!
與那嶺 慧理 二月二日比例定数削減院内集会の報告とリーフ「課税府のノダ」活用のお願い
◆自由法曹団結成九〇周年記念出版



南相馬市生活保護停廃止審査請求で取消裁決 ―被災者の生活再建に向け、半歩前進―

福島支部  渡 邊   純

 東日本大震災とこれを契機とする原発事故により、浜通り地方を中心とする福島県民は、いまでも甚大な被害を被り続けている。浜通りでは、地震・津波の被害に加え、原発事故によって多くの住民が避難を余儀なくされ、仕事や住居、地域のつながりすら失ってしまった被災者が多数存在する。そのような中、被災者が、とりあえず生活再建の足がかりとして期待するのは、言うまでもなく義援金である。また、浜通り地域住民の多くは、政府の避難等指示により避難を余儀なくされたため、昨年五月ころ、東京電力による「仮払補償金」が支払われた。

 しかしながら、被災地の自治体では、生活保護受給世帯に対し、義援金や「仮払補償金」を収入認定し、生活保護を停廃止する事例が数多く報告された。中でも、福島県南相馬市では、震災前の保護受給世帯約四〇〇世帯のうち、七月までの間に、半数以上が停廃止処分を受けた。

 この問題については、震災後の昨年五月二日に厚生労働省が通知を出し、生活保護上の義援金の取扱いについて、「自立更生に充てられる部分を除いて収入認定する」というこれまでの原則に立ちつつも、自立更生計画の策定について一律機械的な取扱いをしないことや、個別に費目や金額を積み上げるのではなく包括計上が可能であることなど、従前の取扱いから見ればかなり柔軟な取扱いを指示していた。また、日弁連や福島県弁護士会も会長声明等を発して被災地の自治体に柔軟な取扱いを求め、福島県も出先機関である保健福祉事務所に対し、柔軟な取扱いを可能とする通知を発出していた。

 南相馬市では、原発事故により、当初は、市長が市民に対して避難指示をするなどしており、三〜四月は、混乱の極みであった(以前、この団通信にも書かせていただいたが、南相馬市は、警戒区域・緊急時避難準備区域・計画的避難区域・それ以外の区域が、一つの自治体の中に混在しており、しかも、それらの区域が、旧市町の区域とほぼ重なってしまったため、地震・津波の被害と相まって、行政の混乱、市民間の意見対立と反目が生じてしまった)。五月ころになって、警戒区域外の住民は、ようやく帰還を果たした。義援金や東電の「仮払補償金」の支払いがはじまったのは、五月半ばころである。にもかかわらず、南相馬市では、六月一日ころから、次々に生活保護停廃止処分を強行した。むろん、自立更生計画についての説明など十分にしているはずもない。多くは「地震で壊れた家財道具を書いてください」程度のものであり、中には、そうしたことすら聞かれなかった人も多い。

 この問題については、日弁連(貧困対策本部)と福島県弁護士会(貧困と人権に関する委員会)が七月下旬に現地調査を行い、その際に聞き取り調査に応じてくれた当事者のうち三名について、取り急ぎ弁護団を結成し、福島県に審査請求を行った(審査請求の期限が迫っていたため)。弁護団は、日弁連貧困対策本部委員有志と、福島会の会員有志で構成し、現地弁護団長には私(福島会貧困と人権委員会委員長)、現地事務局長には倉持惠団員(同副委員長)が就任した。弁護団の実働を担ったのは、団員か否か、委員会の委員か否かを問わず、県内の若手弁護士であり、積極的意欲的に活動した。

 審査請求の結果は、既に報道されているように、三名全員についての生活保護停廃止(ないし保護変更)処分を取り消すというものであった。福島県の裁決は、弁護団が強く主張していた義援金や「仮払補償金」の収入認定の可否については踏み込まなかったが、南相馬市の処分に至る手続のずさんさを厳しく指摘し、処分自体が生活保護法や行政手続法に違反する違法なものであったと認定している。

 この裁決を受け、南相馬市は、当事者三名についての処分を遡って取消し、謝罪をするとともに、処分後の保護費を支給した。また、同様の理由で廃止処分を受けた世帯についての再調査を行うことを表明した。

 今後、弁護団としては、南相馬の再調査が適正に行われるよう、市への申し入れ活動やホットラインなどを予定している。

 この問題の本質は、全国の市民から寄せられた善意の義援金や、避難費用や慰謝料の一部払いである「仮払補償金」を、被災者が手元において生活再建資金とすることを許さず、最低生活の維持に充てさせることがそもそも許されるか、というところにある。その意味では、「自立更生に充てられる部分を除いて収入認定する」という厚労省の取扱いそのものが問題であり、少なくとも、義援金については、全額収入認定しないという取扱いを生活保護行政の原則として確立しなければ、今後の大規模災害でも同じようなことが起こりかねない。その意味では、弁護団が勝ちとった裁決は、未だ端緒的な成果にとどまり、「半歩前進」というのが率直なところだが、今後も、被災者の生活再建支援を続けていきたい。

 また、生活保護関係の争訟では、弁護士の関与は訴訟提起段階に入ってからということが多いように思われるが、早期に弁護士が関与し、ケース記録の開示や当事者からの事情聴取により、処分の違法性を適切に主張立証すれば、審査請求の段階で解決できる案件は、結構あるのではないか。私自身、生活保護関係の審査請求について代理人となったのは、福島市における自動車処分の指導指示に従わなかったことを理由とする廃止処分に続いて二件目だが、いずれも処分取消裁決である。福島県生連の方に聞いたところでは「審査請求段階から弁護士が関与している例は、全国的に見ても珍しい」のだそうである。もちろん、事案によって、争点・弁護士に相談が来るタイミング・本人や支援団体の意向・弁護士が考える獲得目標などが違うので、安易に一般化はできないだろうが、参考にしていただければ幸いである。


福島の農家の方々と共に立ち上がる闘いのはじまり

〜福島県郡山市における原発事故損害賠償相談会(一月二九日)についてのご報告〜

神奈川支部  川 岸 卓 哉

一 福島県郡山市安積町商工会館において、原発事故損害賠償相談会

 「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発事故被害弁護団は、一月二九日、福島県郡山市安積町商工会館において、郡山市内で農産物直売所を運営している事業者と、同所で野菜や果物を販売している農家の方を対象とした原発事故損害賠償相談会を行いました。相談会は、直売所事業者の挨拶、農家の方々の情報交換会、全体説明、個別相談と進行しました。マスコミも朝日新聞、北海道新聞、AFP通信、しんぶん赤旗の四社が取材に来ており、福島の農家の方の動きに対する、関心の高さを伺えました。

二 農家の方々の相談内容

 相談会に参加した農家の方の多くは有機農業を営んでおり、米、野菜(白菜、大根、アスパラ、トマト、ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー)花(菊、アスター、トルコききょう)、果物(梨、りんご、さくらんぼ、モモ、ブドウ、柿)等を栽培していました。

 経済的損害については、出荷制限されていない種目も軒並み減少していました。特に、有機農産物は関東圏の個人得意先への直接取引が多いのですが、放射能への影響の不安から、キャンセルが相次ぎ、大きく減少している傾向が顕著でした。

 また、経済的損害以外についても、不安、苦しみを訴えていました。「農業はほとんど屋外作業であるため、被爆の不安が常にある。現在独身であるが、放射能の生殖機能の影響を考えると、結婚したときの不安がある。」「私自身はもう七〇歳を超えているので放射能の影響はそこまで心配ではないが、孫たちが心配だ。孫たちに作っていた農作物をあげるという楽しみを奪われたことが本当につらい」「いずれ水俣病のようになって、将来にわたり家族で苦しむことになるのか不安だ」「小さい頃から跡継ぎとして、農家になることを前提に育ってきており、自分は有機農家として誇りを持ってやってきた。近所でも評判の梨であり、周囲の人に評価してもらったり、お客からお礼状をもらうのが嬉しかった。その誇り、生き甲斐を奪われてしまった」などです。また「周囲の人は、放射能が目に見えないことから、感覚が麻痺しはじめている。」との声もあり、実際に別の方から、事故直後は小さな子供を家の中にひきこもらせて遊ばせていたが、今では外で遊ばせているという話も聞きました。

 補償金や除染についても、「放射能の影響で信用が落ち、有機農業は個人販売も多く売れなくなっている。それにもかかわらず、わずかな補償額では農業を従来通り維持することはできるはずがない」「除染すればいいというが、農家にとって上土をとられるということは、何十年と作ってきた腐葉土を取られるということがわかっていない」との東電や国の不理解を訴えかけていました。

 放射能の影響で、福島の農家の方は農業環境、生活、生き甲斐、すべてが根こそぎ奪われているのを再確認する相談内容でした。

三 農産物直売所の運営事業者のお話

 また、農産物直売所の運営事業者の方からも被害状況についてお話を伺いました。二〇一一年夏ころから、放射能の影響を意識して地元の人も徐々に食べ物に敏感になってきて、地元で生産した野菜を食べないという状況が進んでいき、農産物直売所では来客数、売り上げが毎月減少している状況が続いているそうです。今後、明るい見通しは立っておらず、地元の野菜は売れそうにないので、直販所という形式での経営は厳しいとの話でした。

 ここで、運営事業者の方が訴えていたのが、運営事業者と農家の方の被害に対する温度差でした。直売所で農産物を販売していた農家の組合員は四〇人ほどであるのに対し、今回の相談会に参加した人はまだ決して多くはない。被害者が声をあげないと、加害者である国や東電が果たすべき責任を果たさずにいる、との危機感を訴えていました。同時に、自ら立ち上げた「福島再生会議IN郡山」を紹介し、声をあげる運動への参加を呼びかけていました。

四 弁護団の訴え

 弁護団の渡邊純団員、馬奈木厳太郎団員からも、参加者に対して共に立ち上がることを訴えかけていました。渡邊純団員は、「加害者東電は、被害を少なく見せようとしている。被害者が声を上げ、運動をしていかないといけない。弁護団としても、お金だけで済む問題ではなく、国の政策自体を変えていく必要があると考えており、そのための運動を支えていきたい。」と福島の弁護士という立場から共感を持って訴えかけていました。また、馬奈木団員も、「直売所の方が、最近元気がなくなってきており心配だ。今回の農家の方の参加もまだまだ多いとはいえない。しかし、過去の公害事件の例を見ても、だんだんと仲間を増やしていくものであり、みなさんも周りの仲間にぜひ声をかけてほしい。当事者自身が声をあげないといけないが、われわれ弁護団は他人事だとは思っていない。今日に限らず、長くお付き合いする覚悟であり、これから一緒に頑張っていきたい。」と参加者に訴えかけていました。

五 闘いのはじまり

 私は、弁護団に加入してから郡山は二度目ですが、中通りの農家の方々と直接お話して、みなさん優しく、我慢強く、人の良い方であると感じました。被害を訴えるときも、怒りを露わにすることは少なく、穏やかに話されています。そのような地域柄につけこんで、東電が自ら果たすべき責任を全うしないことを見逃すわけにはいきません。参加者の方には、弁護団の訴えに共感してもらうことができ、今回の相談会当日だけでも数件の委任を受けました。他の方々にも今後、継続して相談にあたり、共に闘う仲間としての信頼関係を築いていくことになります。

 今回の相談会には、私も含め新六四期の弁護士も八名参加しました。修習生の時に震災に遭遇し、共に被災地を幾度も訪れ、当事者の声を聞いてきた仲間たちです。私たちは、弁護士としての登録と同時に弁護団に加入しました。原発被害は、私たち新六四期の弁護士にとっても時代から課された宿命的な事件と感じており、おそらく弁護士人生を共に歩む長い闘いになります。

 福島の農家の方々にとっても、私たちにとっても、闘いは始まったばかりです。


オリジナルTPP第一五章(紛争解決)を読んでみました。

大阪支部  杉 島 幸 生

一 はじめに

 本章は、TPP加盟国間においてTPPルールの適用に関して紛争が生じた場合の解決のための手続を定めたものです。同章は、国民主権、国民の裁判を受ける権利という観点から見過ごすことのできない問題を含んでいます。

二 予測の不可能な適用対象

 同章は、TPP協定の適用・解釈に関わる全ての紛争に適用されるだけではありません。ある加盟国のとる国内措置がTPPルールに直接違反していなくても、ある加盟国が「合理的に予期した利益」が侵害されたと考えるときにも適用できます(二条一項、付属文書A)。ですから加盟国は、いつ、どんなことで、訴えられるのかも分かりません。

三 いやおうなしに協議が強制される

 加盟国は、TPPルール上の問題があると考える相手国に対して各章に定める協議機関(フォーラム)での協議を要請できます(三条)。要請を受けた加盟国は、七日以内に協議参加を表明し、原則三〇日以内に協議を開始しなければなりません(四条)。協議を拒否すれば、次の手続(仲裁裁判所)に進むだけですから、協議に入ることが事実上強制されます。外交力の弱い国ならこの段階で相手国の要求に応ざるをえません。

四 TPPルールのみが規範となる仲裁裁判所への申立

 協議開始の要請後原則四五日たっても紛争の解決に至らない場合、加盟国は仲裁裁判所にその解決を求めることができます(六条)。この手続には申立国以外の第三国も参加し意見を述べることができます(付属文書Bの八、九条)。仲裁裁判所は三名の仲裁人で構成され、申立国、被申立国の推薦により各々一名、両国の合意で議長役の一名が選任されます。二名の仲裁人決定後三〇日以内に議長役が決まらないときは、WTO事務局長が議長を選任します(七条)。彼らの役割は、TPP協定に基づく権利と義務に関する加盟国間の紛争解決です(一条)。従って、被申立国の国民福祉や国民生活の安定は、そもそも視野に入ってはきません。仲裁裁判所は、裁判体の構成後原則九〇日以内に第一次報告書を提出し(第一一条一項)、紛争参加国の意見を踏まえ三〇日以内に最終報告書を提出しなければなりません(一二条一項)。仲裁裁判所の審理は、書面と原則非公開の聴聞会においてなされ、紛争参加国が要請すれば書面や提出物の内容も非公開とされます(付属文書B二二、二八条)。つまり私たちの生活に密接に関連する事項が、私たちのまったくあずかり知らないところで、TPPルールだけを基準にあっという間決定されてしまてしまうのです。

五 不服申立もできない最終報告

 仲裁裁判所の最終報告は、加盟国を法的に拘束し、上訴することもできません(一三条一項)。そして、加盟国は仲裁裁判所の決定を「合理的な期間」内に履行しなければなりません(同二、三項)。この「合理的な期間」は、紛争当事者国の協議で決められますが、最終報告書提出後四五日以内に決まらなければ仲裁裁判所が決定します(同四項)。「合理的な期間」内に是正措置がとられない場合、申立国は被申立国にそれに替わる補償のための交渉に入ることを求めることができます(一五条一、二項)。また「合理的な期間」の経過後三〇日すぎてもまだ最終報告の履行がない場合、申立国は是正措置がとられるか補償がなされるまでの間、被申立国に対して同様の損失を与える制裁措置をとることができます(一五条三、四項)。これにより加盟国は最終報告の履行を事実上強制されます。

六 TPPルールには日本の裁判所も拘束される?

 現在アメリカ政府は、オリジナルTPPに付属文書として設けられた「労働協約に関する了解覚書」を独立した「章」に格上げすることを求めています。そうなれば日本の労働法制がTPPルールに適合しているのかが問われ、仮に仲裁裁判所が解雇の金銭解決制度の導入を求めたとすると日本政府はそれに法的に拘束されます。TPPは加盟国政府を義務づけるものですから、仲裁裁判所の報告が日本の裁判所を当然に拘束するわけではありません。しかし、解雇の効力が争われる裁判において、解雇の合理性判断のなかでTPPルールや仲裁裁判所の決定が考慮されることは充分にありそうなことです。TPP加盟で私たちの権利闘争そのものが拘束されることになりかねません。

七 さらに危険な毒素条項

 現在、紛争解決制度を利用できるのは、加盟国政府に限られています。ですから外交上の配慮により紛争解決手続の利用を回避するということもありえます。ところがアメリカ政府は、加盟国の企業や投資家が私人として紛争解決手続を利用できるようにすることを求めています(毒素条項)。そうなれば加盟国政府は、誰から、いつ、どんなことで訴えられるかもしれないという極めて不安定な立場に立たされます。そうした危険を回避するには、ひたすらTPPルールに従った国内法体系を構築していかなくてはなりません。毒素条項は、ただ存在するだけで加盟国にTPPルールを強制するという効果を持つのです。

八 TPP参加は絶対に避けなければならない

 TPPに参加すれば、自分たちの生活に密接に関連する事項について、自分たちのあずかり知らないところで、いつのまにか決定されてしまいます。私たちは不服申立もできず、国内での裁判でもTPPルールに拘束されることになりかねません。こんな危険なTPPへの参加は絶対に阻止しなければなりません。


「第二回原発問題全国活動者会議」に参加しましょう! ―おばさんが福島に通うわけ―

神奈川支部  渡 辺 登 代 美

一 かられる。一言で言うと、こうなる。

 原発事故が起きたとき、行かなければ、と思った。極端に言えば、私はこのために弁護士になっていたんだ、とさえ考えた。

 自宅から片道三時間。

 もし、この事故が福島でなく、福井や北海道、九州で起きていたら。想いはあっても、とても通えない。通える距離にいる人間が行かなければ。それが、遠くにいる人たちに対する義務のような気さえした。

 震災後、まず考えたこと。地震や津波による被害は、いつか、必ず復興する。そうして世の中が復興ムードになったとき、原発はきっと忘れ去られる。そうならないように、そうさせないようにしなければ。

 しかし、私のこの予想は完全に外れた。あまりにも被害が深刻で、大きすぎた。このため世の中は、一挙に脱原発モードに入った。これならば、無理して私なんかがしゃしゃりでなくても良かったのかもしれない。でも、もう止められない。

二 というわけで、次のとおり、第二回原発問題全国活動者会議を開催します。

 日 時 二〇一二年二月一九日(日) 午後一時から午後五時(終了後、懇親会もあります。)

 場 所 福井弁護士会館(JR福井駅から徒歩一五分)

 五四基の原発のうち、残るは三基。それも、福井・高浜三号基は二月、新潟・柏崎刈u六号基は三月、北海道・泊三号基は四月下旬にそれぞれ定期検査に入る予定です。そうなると、すべての原発が停止してしまいます。

 そこで、そうなる前に必死になっているのが、停止している原発の再稼働。今、一番の焦点になっているのが福井・大飯三、四号基です。すでに経済産業省原子力安全保安院は、関西電力が提出したストレステストを「妥当」とし、国際原子力機関(IAEA)も日本の安全評価(ストレステスト)の審査手法を妥当とする報告書をまとめました。政府としては、二月下旬に開催予定の県議会で了承を取り、一挙に西川一誠知事の同意に結びつけたいところです。

 会議には、佐藤正雄福井県会議員が参加して、福井の状況を報告してくれます。それを受け、再稼働阻止のために団員として何ができるのか、意見交換したいと考えています。

 併せて、各地の原発停止・廃炉に向けた運動・訴訟についての報告と意見交換も行ないます。

三 翌日二月二〇日午前には、佐藤県議とともに、県庁へ申入れに 行きます。

 午後は、山本富士夫福井大学名誉教授の案内で、「もんじゅエムシースクエア」(PR用展示館)の見学をする予定です。

 この寒いのに、何で日曜日にわざわざ福井まで・・・と思っていた皆さん、ここまで読んだら泊りで出かける気になったでしょう?次長の森さんが、ML上で全国からの交通案内もしてくれています。至れり尽くせりの企画です。全国から福井に集い、何としても原発の再稼働を阻止し、廃炉に向けた運動を推進していきましょう。


【予告】「原発と人権」全国研究交流集会にご参加を!!

東京支部  柿 沼 真 利

 二〇一一年三月一一日の東日本大震災、大津波、そして、東京電力福島第一原子力発電所の爆発・放射性物質漏れ事故から、まもなく一年になります。

 今回の原発事故で、我々は、原子力発電というものが、人々がよりよく生きていくために極めて危険な存在であり、「『原発と人権』は、両立しえない」ということを再認識させられました。

 先日、形ばかりで、説得力のない「事故収束宣言」が政府から出されましたが、この原子力発電に関する諸問題(被害者の方々に対する被害回復・救済、東電に対する損害賠償請求、今後発生する恐れのある放射線による健康被害への対応、放射線による環境汚染への対応、新たな原発による被害者を生まないための脱原発の動きなど)は、今後さらなる取組が必要になります。

 我々、自由法曹団、そして各団員は、今後、原発事故被害者の方々の救済、人権回復のため、また、二度とこのような原発被害者を生まないため、これらの問題に取り組み、そして、その活動を充実させるためにも、多様な分野の方々と交流を持ち、人脈を作り、そして、認識を深めていくことが求められます。

 そこで、本年四月七日(土)から八日(日)にかけて開催される、「原発と人権」全国研究交流集会をご紹介します。この集会は、法律家諸団体(自由法曹団、青年法律家協会弁護士学者合同部会、日本国際法律家協会、日本反核法律家協会、日本民主法律家協会)、東電に対する損害賠償請求、脱原発などの原発問題に取り組んでいる弁護団(脱原発弁護団、福島原発被害弁護団)などの法律家だけでなく、日本科学者会議、日本ジャーナリスト会議の方々にもご参加いただき(二〇一二年一月段階)、多様な交流、見識の深化を図ります。

「原発と人権」全国交流集会

日  時:二〇一二年四月七日(土)、八日(日)の二日間。

      七日は、一三時三〇分〜一八時〇〇分。八日は、 九時三〇分〜一一時三〇分、一三時〇〇分〜一五時〇〇分

場  所:福島大学(福島県福島市金谷川一番地)JR東北本線金谷川駅から徒歩五分

    (なお、金谷川駅は、東北新幹線福島駅から東北本線で二駅約一〇分。)

スケジュール:(七日)

    (1)基調講演:海渡雄一弁護士(予定)

    (2)被害報告:原発事故被害者の方々、地元地方自治体首長の方々からの報告など

    (3)講  演:福島大学副学長清水修二先生(予定)

       (八日)分科会

          第一分科会:「放射能の影響を考える」(仮)

          第二分科会:「被害の回復に向けて」(仮)

          第三分科会:「完全賠償を求めて」(仮)

          第四分科会:「脱原発を求めて」(仮)

          第五分科会:「原発と報道・情報公開」(仮)

 この研究交流集会は、今後の原発問題への取組に極めて有意義なものと思われます。是非是非ご参加下さい。

 また、今後、企画内容の詳細などが、具体的に決まり次第、第二弾、第三弾で、告知させていただきますので、よろしくお願いいたします。


二月二日比例定数削減院内集会の報告とリーフ「課税府のノダ」活用のお願い

事務局次長  與 那 嶺 慧 理

『二・二集会、二二〇名参加で大成功!!』

 去る二月二日午後、衆議院第一大会議室において、一一団体主催の比例定数削減反対院内集会が行われました。参加者は、全体で二二〇名、会場をほぼ埋め尽くしました。

 集会は、全労連議長のあいさつに始まり、日本共産党穀田衆議院議員の国会情勢報告、主催の各団体から、それぞれの課題と比例定数削減反対に取り組む決意や報告が行われました。

 穀田議員は、選挙制度改革について、昨年から八回の協議で民意を反映する選挙制度を作る方向で話し合ってきたにも関わらず民主党が比例定数八〇削減を打ち出したことへの批判、自民党や公明党も比例定数八〇削減は民主主義に反すると述べていることに触れ、民主党以外の政党は民意の反映を第一に考えるべきと言わざるを得ない情勢がある、一二年前に衆議院の比例定数を二〇議席削減した時にも「身を切る」と言っていた。また同じ手で、民意を削らせないことが大切。比例定数削減反対、民意を反映する選挙制度を作ろうという問題で何度も集会を成功させていることに確信を持って、一緒にがんばっていきましょうとあいさつしました。

 各団体からは、新婦人、東京地表、憲法会議、全商連、農民連、民青同盟から報告があり、各団体の課題と結びつけて、比例定数削減の問題に取り組んでいく決意が語られました。私の印象に残ったのは、新婦人からの報告でした。放射能汚染から子どもたちを守ろうとする福島の親がつながり、動けば政治を変えられることが確信になってきていること、福島を中心に、被災地からの声を国会に届ける運動として、比例定数削減反対運動をがんばっているとの報告で、自分の要求を政治に反映させる大切さを実感しながら、比例定数削減反対運動に取り組んでいる点で、各地での運動をつくる参考になると思いました。

 自由法曹団からは、小部幹事長が、一一団体を代表して、比例定数削減をめぐる情勢と学習・署名・宣伝活動や議員・マスコミへの要請など行動提起を行い、田中団員が、今後国会で争点となり得る小選挙区比例連用制について、制度の説明と小選挙区制度が基本である以上民意を反映する制度とはなり得ないこと、見せかけの少数政党の議席増加に惑わされてはいけないことなどを分かり易く説明しました。また、大阪支部の西団員、千葉支部の守川団員が、それぞれ地域での集会や議員・マスコミ要請などの取り組みについて報告を行いました。

 集会後は、約七〇名が参加して、衆議院の全議員に、衆議院比例定数削減への反対と選挙制度の抜本改革の要請行動を行いました。

『一一団体作成リーフ「課税府のノダ」をご活用ください』

 この二・二集会で、一一団体で作成した新しいリーフレットもお披露目しました。昨年二月に自由法曹団で作成したのと同じA4四つ折りサイズです。表紙は、昨年大ヒットしたテレビドラマ「家政婦のミタ」をもじって「課税府のノダ」と題して、多くの人の興味を引く工夫がしてあります。ノダの顔が怖いとも言われていますが、話題にしやすいよねという好意的な評価もいただいています。内容は、すでに不況に震災に苦しんでいるのに消費税増税なんてとんでもない!!けど、野田首相が身を切る=比例定数削減するなら増税もやむを得ないかも、と思っている国民に、本当にあきらめていいの?そもそも比例定数削減は身を切ることにはならないよと、小選挙区制の弊害や民意を反映した選挙制度の必要性をイラストと図表入りでコンパクトに説明したものです。日本の国会議員数が世界一少ないことについて、議員ひとりあたり一七万人の声を聞かなければならないことを示して、これ以上減らして私たちの声が届く政治ができるの?という視点で迫ったのも目新しいかと思います。

 団では、すでに、昨年一一月二五日の活動者会議において、今国会で比例定数削減問題が焦点となる可能性を踏まえて、この二月三月には、団を挙げて、大量宣伝、議員要請活動を行うことを提起しました。この要請に応えて、二・二集会で報告いただいた大阪支部、千葉支部をはじめ、京都、埼玉、静岡、北海道、神奈川等全国各支部において、学習会や議員要請を開始していただいているところです。さらに、このリーフを、街頭宣伝に、ミニ学習会に活用していただいて、比例定数削減を許さない、小選挙区制を廃止して民意を反映する選挙制度を実現する声をさらに拡げてください。

 リーフは、署名用紙一枚とセットで、一部七円、一〇〇〇枚以上ご購入いただける場合には一部六円とさせていただきます。なお、いずれの場合にも送料は、ご負担下さい。

 申込書はすでにFAXニュースで送付させていただいたところです。野田政権が存続している間しか使えません。お早めに、どしどし、ご応募ください。

 お申し込みは団本部(FAX〇三―三八一四―二六二三)まで。


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