<<目次へ 団通信1423号(7月21日)
久 保 田 明 人 | 東京都港区議会本会議場への国旗掲揚に対する抗議 |
広 田 次 男 | いわきの現状 |
種 田 和 敏 | 陸自二三区展開訓練 要請行動と住民監査請求 |
安 部 千 春 | ホームページをつくる |
中 野 直 樹 | 宮崎五月集会プレ企画・支部代表者会議 ―人づくり |
平 井 哲 史 | 五月集会プレ企画・支部代表者会議報告(団の事務所の経営基盤づくり) |
自由法曹団女性部総会の出欠席回答のお願い&オプショナルツアーのご案内 |
東京支部 久 保 田 明 人
東京都港区議会では、昨年一二月の定例会に「港区議会の本会議場の国旗の掲揚を求める請願」(請願は一件のみ)が提出された。 本年六月一二日の議会運営委員会ではじめて実質審議が開始されたものの、反対意見があるにもかかわらず、何らの有効な議論もせずに審議を打ち切り、採決が強行され、賛成多数で可決された。
このままでは、同月二七日から開催される区議会定例会において国旗掲揚請願が可決され、本会議場に国旗掲揚が実施されるおそれが高かったため、東京合同法律事務所は、港区議会に対し、本会議場の国旗掲揚に反対する請願を提出し、抗議した(他、同趣旨の請願は、法律会計特許一般労働組合港区分会などから七件提出された。)。
国旗「日の丸」については、大日本帝国憲法下において天皇主権の象徴として用いられた歴史的経緯に照らし、現在においても国旗掲揚自体が自らの思想・良心の自由に抵触し、抵抗があると考える国民は少なからず存在し、こうした考え方も憲法第一九条の思想・良心に含まれるものとして憲法上の保障を受けるものである。本会議場に国旗を掲揚することは、港区議会が、このような「『日の丸』に抵抗があると考える港区民の思想良心の自由は尊重しません。」と意思表明することに等しい行為であり、憲法上望ましいことではない。
また、このように憲法上望ましくない本会議場への国旗掲揚の審議につき、複数の議員からの反対意見があるにもかかわらず、十分な審議をせずに多数の横暴で強行可決したことは民主主義を蹂躙するもので、民主主義の理念に基づき運営を行うべき議会においてあってはならない事態である。
このような観点から、東京合同法律事務所は、民主主義を蹂躙して決定された憲法上望ましくない本会議場への国旗掲揚をしないよう求め、あわせて、多様な区民の意見・考えを尊重する区議会運営がなされるよう請願を提出して抗議した。
本会議場への国旗掲揚に反対する請願は、六月二七日までに合計八件提出され、七月五日開催の運営委員会にて請願者らの趣旨説明がなされ審議した結果、同委員会では反対請願八件を否決せず、継続審査となった。本来であれば、国旗掲揚反対請願が継続審査になっているのであるから、国旗掲揚請願を本議会へ上程して採決を求めるべきではない。ところが、国旗掲揚請願は本議会へ上程され、七月六日の本議会で賛成多数で可決された。
私が議会運営委員会にて趣旨説明及び傍聴をし、本議会も傍聴したことで感じたのは、政治の場に、多様な意見を尊重せずに無視して、特定の意見・考えを強要する空気が蔓延していることである。議会運営委員会においても、本議会においても、国旗掲揚に反対する意見・請願が区民や議員から出たにもかかわらず、十分な議論のないまま多数決で少数意見が淡々と潰されていく様には恐ろしさすら感じた。
多様な意見を尊重せず特定の意見を押し付ける空気があるところに、自由な議論の場は生まれない。自由な議論の場がなければ、多様な意見を政治決定に関与させていくという民主主義の理念・基盤は成り立たない。
現在、全国の自治体議会会議場において国旗を掲揚する動きが進められているが、自由な議論の場を築いていくために、民主主義を守っていくために、特定の意見を押し付けようとする国旗掲揚の動きに抗っていかなければいけないと思う。
福島支部 広 田 次 男
一 原発事故の完全賠償をさせる会
七月五日夜の第一三回役員会で確認された会員数は一七〇五人である。
いわき市在住者を中心に、低線量被爆下での生活を余儀なくされる事による慰謝料請求を準備している。
七月一七日に東電本社に代表を送り、直接交渉を行い、決裂の場合には訴訟をも辞さない体制を固めている。
この会の怒りの原点は、東電から送られてきた八万円と請求金額が印刷された慰謝料請求書である。
東電は、原発事故によるいわき市民の慰謝料を成人一人あて総額八万円と決めて全市民に請求書を発送し、私も頂戴した。
八万円との印刷文字を見たときの気持ちを人々は交交に語る。
「なんで東電が俺の慰謝料を決定するんだ」「私の慰謝料額は私が決めます」「自分の慰謝料も決められない程に、自己決定権がないと思われているのか」等々。
二 除染を廻る議論
以下に地元で交わされている議論を紹介するが、その趣旨は除染の重要性を否定するものではなく、また除染が多くの市民の願いであることを否定するものでは決してないことを冒頭に強調しておく。
(1)除染について中間処理施設ないし最終処分場の場所を何処にするかの点を最初に語らなければ、全ては絵空事でしかない。
岩手、宮城のガレキでさえ、県外での受け入れについて大問題になっている。
現時での除染作業の主流は表土の剥ぎ取りである。剥ぎ取った表土は何処に持って行くのか。
この議論が除染の出発点であり、この議論が浜通りの住民の分断と対立の原点であることも明白である。
七月七日付福島民友新聞は、「汚染土壌の仮置き場が予定の二割しか決定していないため、校庭・宅地の一角に留め置く現場管理が二五〇〇カ所確認されている」と報道する。仮置き場についてすら、この現状である。
この「出発の議論」の果てる目途は、まったく見当らない。
(2)放射能は福島県を中心とする広大な山野の草木に染みついている。
七月二日に開催された、「完全賠償させる会」の決起集会に於いてメインゲストの安斎育郎・立命館大学名誉教授は、「放射能を無害にするが如き特効薬は原理的にあり得ず、開発の可能性はない。」と語っておられた。
浜通り地方は広大な阿武隈山脈が海に迫り、その大半は山深い森林であり、住宅は疎らに点在する。
環境省の除染ガイドラインによれば、住宅地の近隣約二〇メートルの範囲での枯葉、枝葉の除去を示している。
「ガイドラインのやり方では、大金を投じても木枯らしの吹く頃には元の木阿弥」との疑問には誰も答えない。
(3)除染という言葉自体が怪しい。
現状は校庭の表土が校庭の隅に積み上げられブルーシートが被せてある。
「除」である訳がなく、かろうじて「移」染というべき状況である。
仮に、中間処理場が建設され、放射物質が集められるとしても、やはり移染でしかない。
最終処分場には放射線量が濃縮された物質が搬入されるだろうから、その危険性は高まる。
何処まで行っても移染でしかあり得ない。
(4)除染という怪しい言葉は、住民の強制移住と表裏の関係にある。
双葉郡広野町は、昨年一二月に除染効果を期して「帰町宣言」をしているが、帰郷した町民は一〇〇人から三〇〇人といわれている。
「帰らないのなら、帰るようにしよう」として打ち出されたのが、借り上げ住宅の補助金と慰謝料の打ち切りである。
広野町立広野中学、同小学校は本年九月からの再開を宣言した。
それと時期を同じくして、広野町の借り上げ住宅の補助金と町民一人月額一〇万円の慰謝料の支払いを打ち切るとしている。
慰謝料とは名目で実質は生活費である。
家賃と生活費を打ち切れば、嫌でも広野町に帰るしかないだろうという政策である。
「凄ッゲなぁ。よく暴動にならンよ。」と思う一方で「暴動にならン」理由を何か見落としているンではないかと首をヒネッている。
(5)従来の二〇キロ圏は、「帰宅困難」「居住困難」「避難指示解除準備区域」に再編される事になった。
居住可能区域への帰宅拒否者への賠償金支払がどうなるか不明だが、東電が気前よく、居住可能区域の財物、生活賠償に応じるとは思えない。
除染の進展による区域の再編は、東電の賠償責任の縮減の結果に繋るのは確実である。
(6)国直轄の除染特別地域での、試験的除染作業の総予算約二七〇〇億円の全てを東京の大手ゼネコンが随意契約で請け負った。
大独占である東電の利潤追求を原因とする原発事故の始末のために大独占であるゼネコンがボロ儲けをする。
木枯らしの吹く度に、除染は繰り返されるだろうから、ゼネコンが大きな金蔓を手にした事は明らかだ。
その元手は、電気料の値上げであり、税金である。
大衆的収奪の形が、極めて分かり易く展開する。
(7)その他、何故か大阪の事務所を経由する九州・四国からの労働者の移入、大仮設団地の建設による治安の悪化等々が指摘される。
三 廃炉の問題
(1)福島第一原発・五号、六号、福島第二原発・一号ないし四号の六基の原発は、爆発を免れた。
昨年の一〇月の福島県議会は選挙を目前にして「欠席五、反対〇」で福島原発の廃炉を決議し、知事もその旨を宣言したので、「流石に、フクシマの原発は止まったか」と世間も考え、特に廃炉を求める運動もなかった。
しかし本年初頭から、東電はこれら六基の整備を開始したとの情報が寄せられ、情報が正確であることが確認された。
(2)市民有志がいわき市議会に対して、福島の原発の廃炉を求める請願を行ったところ、市議会はこれを握り潰してしまった。
その後、更に二回(計三回の)請願を続けたところ、六月議会に於いて、自民系・連合系からなる市議会多数派はこれを廃案にしてしまった。
直ちに、著名活動を開始し、全議員を対象とするアンケート調査に着手している。
(3)七月五日付朝日新聞は、「第二原発は平日、約二〇〇〇人の労働者が働き」「第一原発五・六号機と第二原発のために東電は年間九〇〇億円を投じている」それは、「廃炉すると東電が債務超過になるからだ」と報じている。
債務超過になるから「廃炉にするはず」の原発に毎年九〇〇億円を投ずるとの議論は納得できない。「廃炉にしないから」「何時の日かの再開を目指すから」と考えるのが素直である。
(4)国・東電は、現在に至るも、第二原発、第一原発五・六号機の廃炉宣言をしない。
七月七日午後一時三〇分から内閣府・原子力委員会主宰による、「廃炉に向けた御意見を聴く会」がいわき市のホテルで行われた。
切々と訴える住民に対し、委員長近藤某は答をはぐらかし、参加者の怒号を物ともせず、訳の分からない答弁を早口で繰り返した。
しかし、第二原発と第一原発五・六号機の「今後は未定です」という答だけはハッキリしていた。
賠償と同時に廃炉の課題も現実化してきた。
四 訴訟の現状
(1)七月一一日に石船裁判の第二回口頭弁論期日を迎える。
興味深い論点が浮上しつつあるが詳細は後に譲る。
(2)七月五日午後四時二〇分から五時まで、福島地裁本庁で合議体全員の裁判官が出席して自死事件(五月一八日提訴)の訴訟救助申立についての意見聴取(手続きの正式名は裁判所にも聞いたが分からなかった)が行われた。
裁判所は、「七月二〇日までに結論を出す」事を約束した。
自死事件については、二次原告、三次原告まで決まり準備を急いでいる。
五 人手がいくらあっても足らない。
多数の団員の参加を心から訴える。
二〇一二年七月七日記
東京支部 種 田 和 敏
一 はじめに
七月一六日夜から一七日朝にかけて、陸上自衛隊は、災害対処訓練と称し東京二三区の全域で徒歩等により部隊を展開する訓練を実施しました(以下「本件訓練」といいます。)。前号において、本件訓練は、そもそも災害訓練の衣を借りた「首都制圧訓練」であり、道路交通の安全等の観点からも、住民としては反対をせざるを得ない内容といえることを投稿させていただきましたが、今回は前号以降の動きについてご紹介させていただきます(本件訓練の概要等は、前号をご参照ください。)。
二 要請行動
以下では、一定の成果の上がった要請行動を紹介します。
(1)北区
七月三日、北区は、本件訓練について、練馬駐屯地から徒歩で北区役所に到着した二名の隊員を区役所敷地内で宿泊させることを受け入れた旨を区議会に対して報告をしました。これに対し、同日、北区の共産党区議団は、北区長に対し、本件訓練に際して区役所敷地内での自衛隊員の宿泊を拒否することを求める申し入れを行いました。また、七月六日の練馬駐屯地交渉に際し、区役所での宿泊が、訓練の一部ではなく、駐屯地等に帰還した上で翌朝に再度移動するのが面倒なための「便宜上の措置」であることを陸上自衛隊が明言したこと、同日朝刊の東京新聞(一面)に宿泊を拒否する区もあり、拒否された場合には駐屯地等に直ちに帰ることになっている現状が報道されたことを受けて、七月九日、北区の共産党区議団は、区長に対し、区役所での宿泊を拒否することを要請する二回目の申し入れを行いました。その結果、北区は住民から強い抗議が出ていることを自衛隊に伝え、それを受けた自衛隊は、七月九日、北区に対しては区役所での宿泊を求めない方針に変更しました。
(2)目黒区
七月五日、目黒区の共産党区議団を中心とした住民らは、目黒区長に対し、自衛隊が区役所内での宿泊をすることを拒否する旨の要請を行いました。翌六日には、引き続き練馬駐屯地での交渉を行い、上記でも紹介した区役所での宿泊は便宜上の措置であることを引き出しました。区議らの要請を受けて、目黒区は、七月一一日、自衛隊に対し、当初は区役所での宿泊を受け入れることを表明していたが、区民からの反対があり、自衛隊からの説明も不十分で、宿泊した場合の不測の事態にも対処できないので、宿泊受け入れを拒否することに変更したことを伝えました。
(3)防衛省
七月一〇日、日本平和委員会を中心に防衛省に要請行動を実施しました。その中で、少なくとも一〇名程度になる部隊については、誘導員を付けるなど安全対策を強化すべきだと申し入れたところ、大きな部隊にはそれぞれ隊列の前後に安全員を配置し、安全誘導棒と安全ベルトを装備することを明言させました。
(4)練馬区
七月一三日、練馬平和委員会は、環状八号線から豊島園通りに入る経路について、特に道幅が狭く、車両の通行も頻繁で、歩道がない部分もあるので、ルートを変更するように、練馬警察署及び陸上自衛隊に要請をしました。これに対し、当日は、歩道がない部分については迂回するという形で、要請内容の一部が訓練に反映され、住民や隊員の安全性が向上することに寄与しました。
(5)小括
以上のとおり、関係各所への精力的な要請行動の結果、短期間しか準備期間がなかったにもかかわらず、区役所での宿泊拒否や安全対策の強化、経路の変更などを勝ち取ることができました。
三 住民監査請求
北区や目黒区と異なり、練馬区など六区は、宿泊を受け入れる方針を固持していました。そこで、七月一〇日、労働組合を中心に練馬区に対し要請活動を行いましたが、練馬区としての考えは変わりませんでした。
しかし、自衛隊の説明でも区役所での宿泊は訓練ではないので、区に断られれば駐屯地へ帰るということでしたし、前述のとおり、たとえば目黒区は一度受け入れたのに拒否していることからしても、宿泊は断っても何ら問題はなりません。そして、区役所での宿泊を拒否された場合には駐屯地に帰ることになりますが、練馬区の場合、練馬駐屯地がわずか二キロメートルの距離にありますので、駐屯地への帰還も何ら問題なく、そもそも区役所から徒歩数分の距離に自衛隊の連絡所もあります。他方、区役所に泊めるとなると、宿泊当日が祝日のそれも夜間であるため、職員を休日かつ夜間出勤させて対応する必要があります。もちろん、区は、職員に出勤した分の給料を支払いますし、隊員に対応するために光熱水費も支出します。そうだとすると、宿泊を拒否できるし、自衛隊施設が目と鼻の先にあるので宿泊を拒否すべきであるのに、わざわざ区が区民の血税を支出する点は不当としか言いようがありません。
また、本件訓練は、練馬区も認めていますが、自衛隊独自の訓練です。防衛省は、本件訓練の結果を区にフィードバックすることも考えていません。そうだとすると、上記給与、手当及び光熱水費は、「国が専らその用に供することを目的として行う調査に要する経費」又は「防衛省に係る費用」に該当することになり、地方自治体である練馬区がそれを支出することは地方財政法一〇条の四及び一二条に反し違法であることになります。
以上のとおり考え、七月一二日、練馬平和委員会の二名は、練馬区監査委員に対し、住民監査請求を行いました。この結果は八月中には出る予定ですが、事前に提出することによって、区が自衛隊の片棒を担がされることに対し、今後のことも含めて一定の歯止めをかけることができたと思います。
四 さいごに
以上のとおり、二三区にわたり要請行動等を行うことにより一定の成果を出すことができましたが、訓練自体は実施されました。私は、訓練を見ていて、六月のレンジャー訓練のときと同様、私たちが生活する街を「迷彩服」を着た本質的に軍隊である自衛隊が闊歩する光景に大変な違和感と嫌悪感を抱きました。この点、七月一〇日の防衛省交渉において、防衛省は、「災害訓練を迷彩服でやらなければならないということはない。」と発言しました。災害出動に関しては、本来の目的が戦闘用であり、目立たない迷彩服ではない服装にすることを求めていかなければならないと考えています。
また、今回の訓練は、「自衛隊統合防災演習」の一部で、同演習には総勢五〇〇〇人が参加し、米軍との連携も項目の一つにあります。埼玉や静岡でも本件訓練と同様の実動訓練が行われています。もはや東京だけの問題ではありません。日本中で、災害訓練を名目にして、自衛隊が「分をわきまえない」行動をとることが予想されます。たしかに災害対処において事実として自衛隊の力が必要ですが、自衛隊の本来の任務は災害対処ではありません。災害対処はそもそも消防・警察を含む自治体の役割であり、自治体で対応が不十分な場合に自衛隊が補充的に活動するのが法の建前です。災害を声高に叫んで自衛隊が幅を利かすのはお門違いで、本来的には自治体の災害対処能力を高めるのが最優先のはずです。災害の衣を借りた自衛隊の暴挙を許してはなりません。止められなくなってからでは遅すぎるので、これからも自衛隊に対する監視行動を継続したいと思います。
なお、この原稿を書いている段階では、訓練実施の全体像が見えないため、また筆をとらせていただきたいとは思っております。乱文にて失礼しました。
福岡支部 安 部 千 春
黒崎合同法律事務所のホームページをつくりました。黒崎合同法律事務所は北九州市八幡西区では地場大手(以前は唯一の法律事務所でしたが、黒崎合同から二人が独立し、私のビルの隣のビルには若者が開業した)なので、インターネットで検索しても、私がつくったホームページはすぐには出てきません。ドットコムやタウンページなど上位があって、当初は三ページ目でした。これでは誰も見ないので私と所員がせっせとクリックしました。また私が口コミや自由法曹団通信で宣伝しました。
ホームページは更新しなければリピーターは見ませんので上位になることはありません。
私は去年三月頃から小倉タイムスというローカル紙に“ひょうきん弁護士二”を書いていました。この新聞は一〇日に一回発行されます。そこでこの“ひょうきん弁護士二”をホームページに転載することにしました。この成果があって今では毎日一〇〇人ぐらいのクリックがあります。一〇日で一〇〇〇人ですから一〇〇〇人ぐらいの読者があるようです。
私のつたない文を毎回一〇〇〇人の人が読んでくれるのが嬉しい。
そもそもホームページを作ったのは最盛期、月一六〇件あった相談が昨年は九七件に減ったためでした。ホームページを作った後二月一〇一件、三月一一四件、四月一〇一件、五月九一件、六月一〇四件、月平均一〇二件でした。従って約五件増えました。それなりの効果はあるようです。
それではその一部を転載します。続きを読みたい人は黒崎合同法律事務所のホームページを検索して下さい。
行列のできる法律相談所
北村弁護士来る(1)
保険会社が交通事故で死んだ遺族に保険金を支払わない。私は訴状を書いて保険会社に送りつけた。そして言葉は丁寧だが、払わねば裁判をすると通告する。
昼食から戻ると事務員さんが言った。
「北村弁護士から電話がありました」
「北村、知らないな」
「先生、テレビで行列のできる法律相談所を見ていませんか。一番左に座って丸山弁護士と喧嘩をする弁護士ですよ」。
「ああ、あの弁護士」。
私は直ちに北村弁護士に電話をした。
「弁護士の安部です。何の用ですか」
「保険会社から依頼をうけました。直接お目にかかってお話しがしたいので、日程を合わせていただけませんか」。
「それには及びません。先生は忙しいでしょうからイエスかノーか答えていただければいいです」。
「いえ、直接お話ししたいので、日程を合わせてください」
「わざわざ東京から来られるのであればお会いしましょう」
それから二か月後、北村弁護士が私の事務所にやってきた。名刺の交換を終えると私は切り出した。
「優秀な弁護士は何より現場を見たいでしょうから、あなたがわざわざ北九州に来たのは現場を見るためでしょう」
「いえ、現場はもちろん見たかったですが、先生にもお会いしたかった」
テレビのあの仏頂面とは違って笑顔で答える。テレビのあの顔は明らかに演技で本物は私よりはるかに愛想がいい。
「先生の事務所には何人弁護士がいるのですか」と聞くと「八人です」私の事務所は四人なので負けたという顔をすると「ここの事務所は広くてきれいですね」とヨイショする。その後、北村弁護士は保険会社の言い分を話して帰った。
以下五回にわたって北村弁護士といかに闘って勝利したのか書いています。
神奈川支部 中 野 直 樹
〇九年以来の支部・県代表者会議
〇九年白樺湖五月集会プレ企画の主なテーマは、大量解雇・ワーキングプアーの社会情勢のもとでの支部・団員の活動の活性化、団員過疎・少数地域への事務所展開でした。
今回は、支部の独立・確立、新入団員の参加しやすい支部活動、事務所建設・財政基盤の確立のために、の三つのテーマで開催されました。二六支部から六〇名以上の参加でした。弁護士になって数年という若手の参加もありました。
支部活動の確立・新たな独立
団員が二〇三〇名を超え、地方にも少なからず新入団員が増えています。このような人的拡充を活かして支部活動の活性化に踏み出しているとの報告が多くなっています。すでに北陸の三県は集合支部を脱皮して三つの支部として独立しました。さらにご当地南九州支部(宮崎・鹿児島)も独立の準備をしています。
団員の事務所規模が膨らんだ
二名以上の団員のいる事務所は、本年三月時点で二八五を数えます。三〇名以上の東京法律、二五名以上の名古屋第一を頭に、二〇名以上が五、一五名以上が七、一〇名以上が二三となっています。
なお、二名以上の団員の事務所で法人化している事務所は二九あり、うち支店展開をしているところは約一〇事務所です。
特別報告集は一読の価値
今回の五月集会の特別報告集に、事務所建設をめぐるテーマで七本の報告が寄せられています。「団員増とこれからの事務所づくり」(中野直樹)、「過疎地での事務所支所建設の課題と困難」(萩原繁之)、「みのかも法律事務所の現状、工夫、これから」(林真由美)、「豊中総合法律事務所の現状と工夫」(菅野園子)、「地域から『構造改革』とたたかうーそごう撤退問題によせて」(尾林芳匡)、「地域に根ざした法律事務所をめざして『暮らし支える相談センター』の試みの現状と課題について」(長谷川一裕)、「法律事務所のマーケティングー団事務所の場合」(原章夫)です。
団に迎えた若い世代の未来を切り拓くために
入団者数は、五八期以降五〇名を超え、六〇・六一期に初めて一〇〇名を超えました。各期ごとの入団数は、その後六二・六三期が八〇名台で、六四期が約七〇名です。団員事務所も不況の波をかぶっていることが原因か漸減傾向ですが、絶対数はまだ多い。
この五年ほどの経験をふまえ、私たちは、若手層の増大が事務所・支部の活性化・成長に結びついているかを検証する必要があります。この問題意識で、若い世代が参加している運動・活動、若い世代どうしの交流・団の活動との結びつけを設問にして、二名以上の団員の事務所にアンケートをお願いしました。八五事務所から回答がありました。
若手団員が参加している活動としては、予想されたことですが、団支部、青法協などの法律家団体の事務局、弁護士会の委員会が多い。加えて、社会状況を反映して、反貧困・非正規労働者支援の運動体への参加、福島原発被害者救済、脱原発裁判闘争・運動に全国で取り組んでいることがわかりました。
若手の活動ぶりについての意見として、積極的な評価が多いのですが、「若手は法律家団体に魅力をもてていないようである。」、「いろいろ誘っているのですが。」、「若手には労働事件に積極的に取り組める人材を養成すべく努力している。事務所会議で最近ようやく本音も話すようになったと思うが、それ迄かなり苦労している。」「若い層がなかなか外部の活動に参加しないのが悩み。」、「地域の組合に若手不足。」等の悩みも出されました。
プレ企画に参加された若手からは、「稼ぎ」が求められること、運動が弁護士としてのスキル向上に直ちに結びつかないことからジレンマを感じている、先輩から何も声がかからないため運動への参加と言われて何をしたらよいかわからない等の意見が出されました。
三つの細りを前にして
私は現状として三つの細りを自覚し、地域における自らの事務所づくりに危機感をもっています。
(1)経営基盤の細り
日本社会の人口構造・産業構造の大きな変化、「構造改革」による中間層の消滅・地域経済不況、弁護士人口の急増のなかで、団の事務所の経営基盤も大きな影響を受け、財政問題が顕在化。地方の事務所も競争関係の渦中に。
(2) 集団の軸層の細り
団員数は、四二期から五三期までの一〇年余り、各期の新入団員数が二〇名台に低迷、集団事務所に入所後に独立した団員も少なくない。
年齢層では、一九五七年生まれ(五四歳)以下からそれまでの「四〇名以上」から「以下」に落ち込み、再び「四〇名以上」を回復するのは一九七一年生まれ(四一歳)であり、やはり一〇年余りの間があく。事務所建設上の軸の層が薄い条件下で、自覚と力量ある継承者をうまくつくれないと集団事務所の求心力と活力低下の危険性。
(3) 地域とのつながりの細り
歴史的に地域事務所の基盤をささえてきた地域の労働組合や民主団体においては、活動を支えてきた活動家の高齢化・引退による軸の細り、構成員の減少はもっと著しく深刻。加えて、一〇年あまりの間の団員の空白ないし層の薄さも影響して、団体・地域の「有力者」「顔役」とのつながりが若手弁護士に継承されていないこと、若手弁護士と地域・団体の同世代とのつながりが形成されていない。
プレ企画では、このことは私の地域・事務所特有のことではなく、都市部・地方を問わない共通のことであることが確認できましたが、まだ自覚度には温度差がありますし、これに対する政策づくりへの意識が弱いように感じました。
東京支部 平 井 哲 史
この一〇年、団は「将来問題委員会」をつくり、次代を担う人の獲得、団員の事務所の維持・拡大について議論・実践をしてきました。その間に司法制度改革の一環として法曹養成制度が変わり、法曹人口の大増員がはかられ、ゼロ・ワン地域の解消はプラスの面でしたが、「就職難」「ノキ弁」「即独」「弁護士の貧困化」といったマイナス面が繰り返し報じられるようになってきました。法曹人口増以外にも、日本経済の低迷、法テラスや公設事務所の開設など諸要因が重なり団員の事務所でも苦しい台所事情となっているところが少なくありません。
こうした状況の変化により、別掲の中野団員の原稿にある「人づくり」の問題とは別に「経営基盤づくり」が非常に重要なテーマとして浮上してきました。このため今年の五月集会プレ企画では事前のアンケートで全国的な傾向をつかみ、どう団員の事務所の経営基盤をつくっていくのかを議論しました。
一 アンケートにあらわれたこの三年間の傾向
事前アンケートは団員が二人以上所属する二八五事務所に協力をお願いし、八五事務所から回答をいただきました(回答率約三〇%)。この三年間の受任事件の増減の傾向について、大都市部(札幌、東京、名古屋、大阪、京都、福岡)、地方都市(大都市以外の本庁所在地)、支部所在地に分け、さらに事務所の規模別に見てみた結果は次表のとおりでした。
3年前との比較 | 大きく減ってる | 少し減ってる | 横ばい | 伸びてる | |
大都市部 | 5人未満(3) |
1
|
1
|
0
|
1
|
10人以下(8) |
2
|
3
|
1
|
2
|
|
10人超 (11) |
5
|
5
|
1
|
0
|
|
小計 (22) |
8
|
9
|
2
|
3
|
|
地方都市部 | 5人未満(24) |
13
|
9
|
2
|
0
|
10人以下 (12) |
3
|
5
|
4
|
0
|
|
10人超 (3) |
0
|
1
|
1
|
1
|
|
小計 (39) |
16
|
15
|
7
|
1
|
|
支部所在地 | 5人未満 (17) |
3
|
10
|
2
|
2
|
10人以下 (6) |
1
|
1
|
2
|
2
|
|
10人超 (1) |
0
|
1
|
0
|
0
|
|
小計 (24) |
4
|
12
|
4
|
4
|
|
合計 |
28
|
36
|
13
|
8
|
アンケート結果を見ると次のような特徴がありました。
(1)新設(過去五年以内に設立)の事務所は財政的に上り調子。これは所員拡充の効果であり、力のある団員が新天地に出たことで掘り起こしにつながっていると見ることができます。
(2)新設のところと一部例外を除き全体的に売上が減少傾向で、大都市部、地方都市部の事務所が「大きく減った」とする割合が高く出ていました。中でも、地方都市部では規模が小さい事務所ほど「きつい」傾向が出ています。大都市部の事務所では、規模別の傾向は出てこず、事務所によって異なるという印象でした。ベテラン弁護士の稼ぎが落ちてきて、若手の稼ぎがそれに追いついていないというのは全国的な傾向と思われますが、ベテラン弁護士の役割が重い事務所ほど「売上減」の印象が強いのかもしれません。
(3)債務整理の激減と事件単価の下落が主要な要因としてあげられていますが、弁護士数の大幅増の影響については回答自体からは有為的な数字は出てきませんでした。「人口増→件数減少」を推測していたのですが、それをうかがわせる回答は小規模単位会の本庁管内のいくつかの事務所にとどまりました。いわゆる'民主勢力'の後退の影響も明示的な回答がほとんどなかったため不明でした。
二 売り上げ減への対応
(1)売上減少への対応について、業務対策チームを「作っていない」とする回答がほとんどでしたが、これは事務所の規模から特段チームを組織することなく、通常の事務所会議で議論しているというところが多いことによると思われます。
(2)収入・分配のしくみは「変えていない」が過半で、これだけだと変化があまりみられません。もっとも、経費分担制であれば、売上減=弁護士の持ち帰り減となってあらわれ、とくにシステムを変えることはしないでしょうから、この回答だけからは実態は見えてきません。
変えたところは弁護士の持ち帰りを減らしたのがほとんどでしたので、いまのところ弁護士の持ち帰りを減らすことで対応している状況と推測されます。また、売上比例の要素を強める方向で検討を進めているところが複数みられました。中には事務局の賃下げに言及するところもあり、今後事務所内での率直な議論が必要不可欠となるかと思います。
三 基盤強化の取り組み
(1)財政基盤強化のための取り組みについては、所内研修、ニュース発行、市民講座はたいていの事務所はやっていました。
(2)取り組みとしては、HP立ち上げ、夜間・土曜相談など相談枠の拡大が目立ちました。ただし、その効果の検証はまだされていないようです。
(3)民主団体と結びつきをもつところでは、民主団体の強化と兼ねて相談の増加を狙った懇談の開催→相談枠の増加という回答や地域の運動への積極的な参加という回答もけっこうありました。
財政基盤強化の方向性としては企業法務に乗り出す、中小企業の顧問を積極的に獲得するというのもありうるところですが、回答では、従前の民主団体との結びつきを強化し、運動を強化することと財政基盤の開拓をセットで追求する傾向が強く出ていました。
(4)比較的地方都市部に見られたのですが、行政とのタイアップ、役所の掲示板や郵便局の封筒・電柱・タウン誌への広告というのも複数見られました。地域に根をはる事務所では当然ありうる選択肢であると言えるでしょう。
(5)珍しいところでは地域の新しい運動を支援して、そうした運動を通じてウイングを広げて財政維持にもつなげているところもありました。いずれも東京の多摩地域で、国民各層と結びついて基本的人権の尊重される社会づくりを目指すことと財政基盤作りとを両立する一つの方向性を示すものといえます。
四 ふりかえって
今回、各事務所の事情が割りとよく出てきました。財政問題は地域や事務所の実情に応じて異なりうるところではありますが、分析をするにはまだ基礎データは足りません。今回は、まず議論の土台をつくるためにおこないましたが、各事務所の工夫はまだこれから結果が出てくるという感じです。今後の各事務所の経験をまた集めて議論すればより豊かなものとなると期待しています。
自由法曹団女性部員 各位
2012年7月
自由法曹団女性部部長 弁護士 千 葉 一 美
同 弁護士 藤 原 真由美
同事務局長(兼会計) 弁護士 岸 松 江
同事務局長 弁護士 千 葉 恵 子
部員の皆様におかれましては,益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
先月「自由法曹団女性部総会のご案内」をお送りさせていただきましたが,その後,多くの部員の方々からご回答をいただきました。
出席をご検討されているという方で回答がまだという方がいらっしゃいましたら,7月末までにご連絡いただくようお願い申し上げます。なお,今回はいわき市内への団体旅行者対象の助成制度を申請し,そのために皆様には例年より早く総会の出欠席のご回答をお願いしておりました。しかし,残念ながら審査の結果,助成制度の利用が認められませんでした。大変申し訳ありませんが,参加費用につきましては,下記の金額の範囲で決定し,ご出席予定の方に改めてご連絡させていただきます。また,先月にお送りした総会のご案内で,講師の菅波団員のお名前に誤りがありました(「管波」団員と記載しておりましたが,正しくは「菅波」団員です。)。訂正いたしますとともに,深くお詫び申し上げます。
さて,今回の総会は被災地の福島で開催されることから「是非被災地の方のお話を伺いたい。」「復興の状況をこの目で確認したい。」という声があがっております。そこで,総会後(2日目の午後)に下記のオプショナルツアーの開催を予定しております。
これから総会の出欠席のご回答をされる方,オプショナルツアーへの参加をご希望の方は,7月末までに下記の回答用紙にご記入の上,ご回答いただくようお願い申し上げます(既に出欠席のご回答をいただいている方につきましては,お名前とオプショナルツアー参加の有無のみご記入いただければ結構です。)。
なお,ご不明な点等ございましたら,事務担当牧戸(渋谷共同法律事務所 TEL 03-3463-4351 E-MAIL shibuya-maki06@tea.odn.ne.jp)までご連絡ください。
<総会の概要>
【日 時】 2012年9月7日13時〜同9月8日12時まで
【日程・内容】 9月7日 (1)原発問題・被災地復興支援 講師 菅波香織団員(福島支部)
(2) TPP問題 講師 農民連婦人部の方を予定
9月8日 (1)今期の活動,来期の活動,人事について
【宿泊場所及び会議場所】 いわき湯本温泉「ホテルハワイアンズ」
〒972-8326 福島県いわき市常磐藤原町蕨平50 TEL 0246-43-3191(代表)
【参加費用(概算)】 和室(4〜5人利用) 15,000〜16,000円
和室(2人利用) 18,000円
洋室(シングル) 15,000円
※なお,62〜64期及び修習生については,1万円を目途に検討中です。
※子ども料金は,(1)3歳〜未就学児(5,775円),(2)小学生(8,085円)となります。
<オプショナルツアー概要>
【日 時】 2012年9月8日総会終了後〜16:00頃
【内 容】 (1)いわき市観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」
(http://www.lalamew.jp/index.php)
→被災地の方のお話を聞きながら昼食,その後,買い物
(2)アクアマリンふくしま(http://www.marine.fks.ed.jp/)
※上記は,いずれも津波の被害を受けた小名浜港のそばにあり,いわき市の代表的な観光スポットです。
【費 用】 参加人数によりますが,約6,000〜9,000円を予定しております。
なお,参加費用には,(1)宿泊場所から現地までの交通費(貸切バス又はタクシーで移動),(2)昼食代,(3)アクアマリンふくしま入場料,(4)現地からJR常磐線泉駅までの交通費(貸切バス又はタクシーで移動)が含まれています。
***自由法曹団女性部総会&オプショナルツアー出欠席回答用紙***
弁護士 牧戸美佳 行(FAX03−3496−4345)
支 部 ( )支部
事 務 所 ( )法律事務所
お 名 前 ( )
期 ( )期
お電話番号 ( )
メールアドレス ( @ )
総会の出欠席 出 席 ( 宿泊する ・ 宿泊しない )
欠 席
オプショナルツアー 参 加 ・ 不参加
宿泊・参加に際してのご要望(1人部屋希望・会議中の保育の希望等)
一言(皆さんにお伝えしたいので近況をお知らせ下さい)