<<目次へ 団通信1439号(1月1日)
篠原 義仁 | 明けましておめでとうございます。 |
田中 隆 | 疾風怒涛の四〇日・・・都知事選私記 |
鎌田 幸夫 | 津田電気計器・高年法継続雇用拒否事件、最高裁勝訴報告 |
青龍 美和子 | 東京都消費生活相談員ユニオンに対する団交拒否事件・勝訴判決の報告 |
石崎 和彦 | 国家公務員法違反二事件に最高裁判決 ―猿払大法廷判決は事実上覆された。―(後編) |
守川 幸男 | 得票率と議席占有率の乖離の一覧表(自民党のみ)を作りました ―小選挙区制の害悪の宣伝に活用を |
中村 雅人 | スモン・公害センター設立三〇周年記念のつどい |
上田 月子 | 給費制復活のために |
団 長 篠 原 義 仁
民主党のマニュフェストと乖離した政権運営に批判が高まり、そして内部崩壊の進行、政党の離合集散と乱立のなかで衆議院が解散されました。
安倍総裁にトップが交代した自民党は国防軍の創設と集団的自衛権の容認などを骨子とする憲法「改正」を正面から押し出し、合併した維新の会と太陽の党は「自主憲法制定」を選挙公約に掲げ、みんなの党など他党派をまき込んで憲法改悪の大合唱を開始しました。
一方、選挙戦のなかでは自民党等は憲法論争をやや後方に退け、景気対策や民主党の失政を前面に打ち出して選挙戦をたたかい、一二月一六日の総選挙の結果は自民党の圧勝、改憲勢力の躍進ということで、私たちに対し、かつてない厳しい局面が提起されるに至りました。中韓をはじめとする国際世論も、保守回帰、タカ派路線の安倍政権の誕生に警戒感を強めています。ともあれ、憲法と平和と民主主義を守り、発展させるうえで、逆風に抗しての一層の決意が求められるところとなっています。
自民党を中心とする改憲案は、二〇一二年総会議案書に要約されたように (1)国防軍の創設と恒久平和主義の放棄、(2)基本的人権の否定と国家権力の強化、(3)天皇制を中心とした国家主義や憲法改正要件の緩和を骨子とし、さらに、個人の尊厳と基本的人権の保障のために国家を縛る憲法から国民を縛る憲法へと、憲法の基本的性格を転換させようとしています。
五九・三二%という戦後最低の投票率のなかで、衆議院で絶対多数を握った安倍政権の成立にともなって、憲法改悪の動きがより声高となり、まず手始めにということで憲法九六条の改悪の論争が始まりそうです。
他方、集団的自衛権の行使をめぐる解釈改憲の動きも、尖閣諸島や竹島の領土問題とも関連して国家安全保障法の制定議論に関連して急浮上してくる可能性があります。
七月の参議院選挙を考えた場合、それが急速の展開となるのか、緩やかに動き始めるのか予測はしかねますが、いずれにしても、情勢は私たちの活動の強化を要求しています。
団も参加する憲法会議の活動や共同センターの取り組みが、五月三日の憲法記念日企画を軸として旺盛に展開される必要があり、同時に、全国各地で、職場で、七五〇〇を超えて組織されている「九条の会」運動への精力的参加は必然となっています。「九条を守り発展させよう」という国民の強い思いと国会の議席の乖離をどう実践的に克服していくのかが問われています。
今年一年を文字どおり「憲法の年」として位置づけ、私たちの活動も多面的に実践的に追求してゆく必要があります。
そのいみで、一月一九日に名古屋で開催される常任幹事会と翌二〇日の憲法討論集会の活発な討議、成功が期待されています。
ここでは、尖閣列島沖での中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突映像がインターネット上に流出した事件を契機に浮上してきた秘密保全法の課題についても討議が予定されています。民主党政権下で準備されていた法制定の動きは、タカ派的要素の強い安倍政権の下ではより緊迫した事態となることが想定されます。この秘密保全法制定の先取り的位置づけをもつ、共通番号制法案は、衆議院の解散により廃案となったものの、その再上程は必至であり、早急に反対運動を構築し、法案阻止に向けての斗いに取り組むことが必須となっています。
昨年一年、団が総力をあげて取り組んできた比例定数削減のたたかいは、民主党法案の成立を許さず、比例定数の大幅削減を阻止してきました。他方、一二・一六総選挙は、自民党の圧勝のなかで小選挙区制の弊害をまざまざと浮きぼりにしました。自民党は、比例選挙では前回並みの二七%の得票率、他方、小選挙区制では、四三%の得票率で、定数三〇〇議席の七九%に該る二三七議席を占めるところとなりました。今や、小選挙区制を廃止し、民意の反映する選挙制度の確立、衆参議院を通じての一票の格差是正の取り組みは喫緊の課題となっています。
この一年の斗いに確信をもって、消費税増税反対、震災復興、原発被害の完全賠償、脱原発、TPP参加反対、非正規労働の是正と労働者の権利擁護、貧困と格差の解消などの、民意をストレートに反映する選挙制度の実現をめざして奮斗してゆく必要性はいよいよ増しています。
憲法問題を中心に「新年のあいさつ」を述べてきましたが、前述した諸課題が喫緊な課題として私たちの眼前に提起されています。
新年早々、昨年にひき続き若い団員を団に大量に迎い入れ、団としてもリフレッシュして、そしてお互いに健康に留意して、またこの一年力を合わせて頑張りましょう。
東京支部 田 中 隆
宇都宮君はもう決めている
「法規対策をやってほしい。宇都宮君はもう出馬を決めている。選対本部長は元国立市長の上原公子さんだ」。一一月七日の澤藤統一郎さんの電話が、すべてのはじまりだった。澤藤さんは前日に声明を発表した四〇氏のひとり、宇都宮けんじさんと同期でもある。
話に出た上原さんは有事法制以来の友人であり、国立市から求償請求を受けた事件の依頼者でもある。その夜の弁護団会議では、「やることになったからよろしく」との「出陣表明」もされてしまった。
こうなっては、もうあとに引くわけにはいかない。
「惨憺たる石原都政の一三年半」ではじまる達意の文章に、心を動かされていたこともまた事実である。
かくして一四日の「キック・オフ集会」で報告し、一七日の「ボランティア・スタッフ学習会」でレクチャーをすることになった。一四日は野田佳彦首相が「あさって解散」を明言した日、一七日は自由法曹団常任幹事会が「宇都宮支援」を決定した日にあたる。
ちなみに、一七日は、弾圧学習会として準備にかかったが、「メディア同席、ウエブ上で公開」がわかって、急きょ「市民のための公職選挙法講座」に切り替えた。「警視庁にも公開」で、「抜け方やかわし方」をやるわけにはいかないからである。
「ウツケン・サンバ」をやりたいが
一一月二九日から一二月一五日まで、法規対策のために、団員弁護士が交代で、「ひとにやさしい東京をつくる会」(つくる会)の選挙事務所に常駐した。問い合わせへの対応やスタッフのサポートをするとともに、「事件」発生時には緊急対処にあたるためである。
問い合わせが殺到して思った以上に「盛況」、自主的に集まってくるスタッフの「熱」に触れたのも貴重だった。多かったのはビラ等の問い合わせ。Qを抽出するのでAは考えてみていただきたい。
*法定ビラに名前が書いていない。書き落としではないか。
*「候補者ビラ」をまきたい。とりに行くから渡してくれ。
*受け取った「候補者ビラ」をゼッケンにしていいか。
*法定ビラを店に貼っていいか。カウンターに積んでおくのは。
*「人にやさしい東京」「脱原発の都政」のパネルを出していいか。
*「宇都宮」と「けんじ」の別々のパネルを並べていいか。
市民感覚と「べからず公選法」の乖離を示す問い合わせである。
「極めつけ」は「ウツケン・サンバ」。大音量のアンプを使い、「都政を変えよう」との「合いの手」入りで「ウツケン・サンバ」を踊っているところに、候補者カーがやってきて街頭演説になだれこむ。この「勝手連」のアイデアを公選法との関係でどう解くか。
さしあたりの「解」はライブと街頭演説の二分。「サンバ愛好サークル」が主催したライブで市民が踊っている。候補者カーがきたら、ただちにライブを中止し、公職選挙法上の街頭演説になる。ライブ参加者が手を振ったり、踊ったりするのはそれぞれの勝手。
「警告ゼロ」が結果。選挙期間中も続いた「官邸前脱原発アクション」もあって、拡声機規制はほとんど「死文化」した。ウエブ上の表現活動とともに、前進面のひとつである。
私も弁護士だから・・それに、露出度が少ないし
一二月八日、三鷹市のUR団地で弾圧事件が発生した。法定ビラを三階住戸に投函した七〇歳の男性が、住居侵入容疑で逮捕された事件である。前日の堀越事件最高裁無罪判決に励まされたのが、ポスティングのきっかけだったとのことである。
逮捕されたのは民主勢力の活動家であり、武蔵野法律事務所の弁護団の弁護活動と国民救援会を中心とする救援活動が機敏に展開された。「つくる会」は、恣意的な選挙運動妨害に抗議して早期釈放を求める声明を発表するとともに、「つくる会」代表の中山武敏さんや選対本部長の上原さんらが記者会見を行った。
一二月一〇日、検察官は勾留を請求したが、翌一一日、裁判官は勾留請求を却下、検察官の準抗告がないまま釈放に至った。中山さんや澤藤さんを交えた慰労会が開かれ、宇都宮さんは携帯電話を通じて男性と会話をかわし、労苦をねぎらった。
驚いたのは、「自分が接見に行きたい」との宇都宮さんの選対会議での発言。釈放がなければそのとおり実現したもようである。
釈放の翌日、「申し訳ないと思った。自分も弁護士だから接見ができるし・・」と語った宇都宮さんは、こうもつけ加えた。「それに、ダブル選挙で露出度が少ないし」。どうやら、候補者カーを三鷹に乗り入れ、「大報道陣」を連れて三鷹署に赴くつもりだったようだ。
このあたりが、人を惹きつけてやまぬ宇都宮さんのやさしさでもあり、したたかさでもあるのだろう。
九六万票がいまの実力だ
一二月二三日、慰労会が開かれた。「大敗した陣営」の慰労会とは思えない活気に満ちた会合だった。
総選挙の結果は政権への否定の審判と投票拒否で、ある意味で「絶望の選択」。それに対して、宇都宮さんへの投票は「希望の選択」だ。最初に指名された筆者の発言の結びである。
「絶望の選択」とは、得票数減の自民の大勝、政権批判や離合集散批判による民主などの惨敗、一二〇〇万票・一二%の投票減といった総選挙解析の結論のひとつ。小選挙区制の廃止を求める自由法曹団意見書に組み込むことになるだろう。結びの一節は、都知事選の総括と総選挙の解析を同時並行で行った筆者の、偽らざる実感である。
発言の最後は、四〇氏声明を起稿したとされる岩波書店の岡本厚さん、「九六万票はいまの私たちの実力だ。ここからたたかいをはじめよう」と締めくくった。
これもまた、そのとおり事実として刻み込まねばならない。
新たな共同を模索して健闘し、多くの発見や「出会い」を生み出したとはいえ、都政をわがものとできる政治闘争の水準にはまだまだ到達していない。「ターゲット」が、「大国」に匹敵する財政と人口と権力を有する東京都であれば、なおさらである。
市民主体の確認団体と政党・労働組合等との「距離感」は縮まっておらず、活動家層の交流もほとんど行われなかった。組織を持たぬ「勝手連」を主力とし、ウエブ上の発信をほぼ唯一の連絡方法とするスタイルでは、情報や「熱」から疎外されたままの支持者や支持団体も多かったに違いない。
これらは、政党や労働組合等と密接な関係をもつ「基幹組織」のひとつでありながら、「市民ネットワーク」型選挙にも深くかかわった自由法曹団なればこそ、「見えてくる現実」である。
大きな課題を残しながら、その課題を乗り越えた先に生み出されるだろう、あらたな共同の可能性をかいま見せてくれたのが、都知事選の四〇日であった。
疾風怒濤のなかを駆け抜けた四〇日のことを、忘れることはないだろう。
(二〇一二年一二月二四日脱稿)
大阪支部 鎌 田 幸 夫
一 最高裁での勝訴判決
津田電気計器・継続雇用拒否事件において、最高裁第一小法廷(山浦善樹裁判長)は、会社側の上告受理申立を受理したうえで、平成二四年一一月二九日、上告を棄却し、原告の岡田茂さん側勝訴の判決を言い渡した。
高年齢者雇用安定法(高年法)による継続雇用制度(高年法九条一項二号)における選別基準(二〇一二年改正前の高年法九条二項)を悪用した継続雇用拒否に対して、労働者が地位確認と賃金支払いを求めて闘った事件において、初めての最高裁判決である。翌日の新聞報道で最高裁前で「勝訴確定」の垂れ幕をもってガッツポーズをとる岡田さんの写真が大きく掲載され、長い闘いがようやく報われたことを実感した。
二 本件事案の概要と闘いの背景
二〇〇六年改正高年法において六五歳までの雇用確保規定が従来の事業主の努力義務から法的義務とされた。これは年金支給開始年齢の引き上げに伴う定年と年金支給開始との間にすきまが生じることを防ぎ、高年齢者の雇用を保障する趣旨であった。ところが、同法で義務付けられた雇用確保措置の一つである継続雇用制度は、希望者全員雇用が原則であるにもかかわらず、現実には、同法九条二項で対象者選定制度が定められ、その選定基準や前提となる査定項目が抽象的・主観的であり、その運用(査定)が恣意的になされ、組合員の差別選別に悪用されるなど、不当な継続雇用拒否が相次ぎ、全国で次々と裁判が提起された。
本件は、その典型的な事案である。会社側が、継続雇用制度の選別基準を悪用して、長年にわたり、JMIU大阪地本傘下の労働組合の書記長職にあり、争議行為や活発な組合活動を展開してきた岡田さんを嫌悪して、恣意的な査定を行い、継続雇用を拒否したのである。岡田さんは、二〇〇九年三月、従業員としての地位確認及び継続雇用がなされるべき期間の賃金請求を求めて提訴し、二〇一〇年九月に大阪地裁で、二〇一一年三月に大阪高裁で、それぞれ地位確認と賃金支払いの勝訴判決が言い渡されたが、会社側が上告、上告受理申立をしていたものである。
三 本最高裁判決の意義
本最高裁判決の意義は、次の三点である
第一に、会社が、高年法九条一項二号所定の継続雇用制度で継続雇用基準を満たしている労働者に対して、継続雇用基準を満たしていないものとして継続雇用を拒否した場合には「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」とし、「嘱託契約の終了後も本件規程に基づき再雇用されたと同様の雇用関係が存続しているとみるのが相当」であるとして、解雇権濫用法理(労働契約法一六条)を類推適用して継続雇用の存続を認めたことである。本判決は、継続雇用制度を利用した差別選別を許さず、高年齢の雇用の保障を図るための闘いを大きく前進させるものである。
第二に、本判決は、解雇権濫用法理を類推適用できる理論的根拠を高年法の趣旨と当事者の雇用継続の合理的期待に求めたことである。判決は、法九条一項二号所定の継続用制度は、高年齢者が希望するときは当該高年齢者を定年後も引き続いて雇用する制度であり、労働者が継続雇用基準を満たす場合には定年後も「雇用が継続されるものと期待することには合理的な理由がある」としたうえで東芝柳町事件、日立メディコ事件の最高裁判決を参照判例として引用している。
第三に、継続雇用後の労働条件(労働時間、賃金等)について、具体的に合意されていないという会社の主張に対し、継続雇用規程の内容と補充的意思解釈をもとに労働時間数や賃金額を確定したことである。判決は、継続雇用規程では「再雇用後の労働時間は週三〇時間以内とされるところ、被上告人について再雇用後の労働時間が週三〇時間未満となるとみるべき事情はうかがわれない」として「労働時間は週三〇時間となる」とし、労働時間数をもとに賃金額も確定した。
四 二〇一二年改正高年法における継続雇用制度の廃止と課題
厚労省によると二〇一二年時点で、全国で六万四〇〇〇社が継続雇用制度の選別基準を導入しており、再雇用を求めたが基準に満たないとして雇用されなかった者は一年間に六〇〇〇人いるという。実際は、もっと多くの労働者が恣意的に継続雇用拒否をされていると思われる。
また、二〇一二年九月の高年法改正で、同法九条二項の継続雇用制度が廃止されることになった(二〇一三年四月一日施行)。しかし、二〇二五(平成三七)年までに段階的に廃止するという長期間の経過措置がとられたため、その間は、継続雇用制度(選別制度)が存続することになる。さらに、厚生労働省の定めた指針によれば、改正法下でも、対象労働者が心身の故障や勤務状況の著しい不良など就業規則に定める解雇事由又は退職事由に該当する場合には継続雇用しないことを可能であるとしている。今後も、継続雇用拒否が繰り返されることが懸念される。
本判決が、企業による恣意的、安易な継続雇用拒否の歯止めとなり、また、不当な継続雇用を拒否された労働者が泣き寝入りすることなく、本判決を活用して闘いに立ち上がることを期待したい。
今後、企業側は、二〇一二年改正法により六五歳までの定年延長を導入する場合には定年前の労働条件切り下げる(例えば五五歳から六五歳を上限として一年間の有期契約に切り替え、賃金を大幅に切り下げる)など新たな人件費抑制策を導入してくることが予想される。労働側も、継続雇用のみならず、その労働条件の質を問う闘いも積極的に展開していくことが求められると思う。(なお、弁護団は、大阪支部の谷真介、中村里香、鎌田幸夫)
東京支部 青 龍 美 和 子
総選挙翌日の二〇一二年一二月一七日、東京地裁民事三六部(竹田光広裁判長)は、東京都に対して団体交渉応諾を命ずる中労委命令の取消を求める行政訴訟において、都の請求を棄却する判決を下しました。東京都により団体交渉を拒否されていた東京都公務公共一般労働組合の分会「東京都消費生活相談員ユニオン」の弁護団の一員として、この勝訴判決の内容及び意義について報告します。
一 これまでの経過
東京都には、東京都ウィメンズプラザ相談員など、都が直接雇用する専務的非常勤職員が二九八名在籍しており、その職員の人事給与等を規定する実質的な就業規則に当たるものとして、「専務的非常勤職員設置要綱」(以下、「要綱」という。)を定めています。従前、専務的非常勤職員は、一年の有期雇用ではあるが、希望者は全員六五歳まで雇用継続されてきました。しかし、東京都は、二〇〇七年に要綱の一部改訂により更新を四回まで(五年)に制限したのです。
二 相談員の業務内容、実態
東京都の消費者センターは、発足時の一九六八年とは違い、相談内容も悪徳商法や医療過誤等複雑多岐に亘ります(昔は主婦に対する家事の助言等が主だったそうです)。都のセンターはセンターオブセンターとしての情報発信、区市の相談のサポートという重要な役割を担っています。専門グループに分かれ、受けた相談の分析、事例検討、他団体との情報交換等を行っています。弁護士会で、弁護士を対象に講義をしている相談員もいます。このような都民・消費者の権利を実現するための多彩な活動は、長年消費者相談に携わり、事例の分析と研究、知識を積み重ねてきた経験のなせる業です。
しかし、東京都の消費生活相談員は、全員が専務的非常勤職員であり、五年雇止めを定めた新要綱が適用されます。組合員の中には二〇年以上相談員として働いてきた人もいますが、もともと昇給も退職金もありません。さらに、今回突然の五年雇止め制度導入により深刻な雇用不安を抱えています。
三 東京都による団交拒否、労働委員会・裁判所での経過
そこで、相談員たちは労働組合を結成し、東京都に対し団体交渉を申し入れました。しかし、東京都は、次年度の雇用関係がないから労組法上の「使用者とはいえない」だとか、更新は管理運営事項であるから「義務的団交事項にはあたらない」等の理由によって組合との団体交渉を拒否してきました。
一方で、都庁職職員団体とは事前に情報を提供し協議を行っており、組合をことさらに排除する扱いをしています。都はこれまでも正規職員団体だけを相手とし、組合に対し差別的扱いをしてきた歴史があります。このような都の対応は、非正規労働者が作る労働組合の要求実現及び労働組合の団体交渉権を否定するものです。
このような団体交渉拒否に対し、二〇〇八年、組合が都労委に不当労働行為救済命令申立。二〇一〇年六月、都労委が不当労働行為と認定し救済命令を発令。二〇一一年一一月、中労委が都労委の命令を支持し東京都の再審査申立を棄却。二〇一一年一二月、東京都が中労委命令を不服として、東京地裁に提訴。そして、二〇一二年一二月、東京地裁・東京都の請求を棄却する判決が下されました。
四 地裁判決の意義
今回の地裁判決は、都労委、中労委で組合側が主張立証し認められてきた相談員の業務内容や雇用実態をしっかりと事実認定し、都側の主張を全面的に退けました。
すなわち、要綱改訂により雇用の更新が四回までとなったとしても次年度に「再度任用される可能性は高い」から、「次年度も労働契約関係にある現実的かつ具体的な可能性がある者として労組法七条の使用者に該当する」と判断しました。
また、「更新に関する取扱いも原告との任用関係における専務的非常勤職員の待遇の一内容を構成する」として、「勤務条件の重要な変更に当たる」から、管理運営事項ではないと判断し、五年雇止や要綱改訂に関する議題が義務的団交事項にあたると認めました。
組合側からすればごく当たり前の判断ですが、団交にすら応じず不合理な主張に固執し続けている東京都を三度断罪したという点で重要な意義があります。
現場では、今年度で四回目の更新(五年目)となった相談員たちが全員公募となり、次年度に再度任用されるか不安でいっぱいにもかかわらず、業務量が増やされ、さらに団体交渉を拒否されたまま年度途中での一方的な賃下げという非道な扱いを受けています。それでも組合員たちは、粘り強く団体交渉を求め、権限のある総務局との団交は実現できていないものの、直近の上司との間では公募による採用につき相談員としての経験を考慮すると約束させるなど、少しずつ前進を勝ち取っています。
これから高裁、最高裁と続きそうですが、いずれは団体交渉を実現し、無期化・正規化を勝ち取って、全国の非正規労働者の権利向上につながるよう頑張っていきたいです。
東京支部 石 崎 和 彦
猿払判決が公務員の政治活動の権利に対する破壊的な抑圧法理であったのは、公務員の職種も権限も勤務時間の内外も問わず、政治活動が実質的に公務の遂行の政治的中立性を損うか否かも問わずに一律全面的に政治活動を禁止しても合憲であるとしたからである。
ところがこの判決は、「指揮命令や指導監督等を通じて他の職員の職務の遂行に一定の影響を及ぼしうる地位の有無、職務の内容や権限における裁量の有無、当該行為につき、勤務時間の内外、国乃至職場の施設の利用の有無、公務員の地位の利用の有無、公務員により組織される団体の活動としての性格の有無、公務員による行為と直接認識され得る態様の有無、行政の中立的運営と直接相反する目的や内容の有無が考慮の対象となる」として、これらの要素を考慮の上公務の遂行の中立性を損うおそれが実質的に認められる場合のみ禁止されているのだとしたのである。
公務員の政治活動の一律全面禁止をする国公法一〇二条一項人事院規則一四―七第六項を合憲だとした猿払判決に対し、本判決は人事院規則一四―七第六項各号の文言はどうであれ、公務の遂行の中立性を損うおそれが実質的に認められる場合のみを禁止しているとするのであるから、公務の遂行の中立性を損うおそれが実質的に認められない行為は犯罪ではないと宣言したこととなるのである。
見方によっては、「公務の遂行の中立性を損うおそれが実質的に認められ」ることが必要とすることは、中山判決で「(政治的行為によって、公務の中立性が損われることの)ある程度の危険性が想定されることが必要」としている以上に限定しているとも読める。
いずれにせよ、この判決によって指揮命令や指導監督等を通じて他の職員の職務の遂行に一定の影響を及ぼしうる地位でない、職務の内容や権限に裁量権がない国家公務員の勤務時間外の職場・職務と関係のない行為であり、公務員の組織する団体の活動ではない政治活動は、人事院規則の禁止する政治活動ではないことが明白になったのである。
さらに言えば、猿払判決が多用した「公務員の政治的中立性」という概念は、本判決では消えてなくなり「公務の遂行上の政治的中立性」のみとなっている。公務員個人としての政治的中立性などは問題ではなく、あくまで「公務遂行上の政治的中立性』を損うか否かだけが問題とされることになったのである。「公務員の中立性」という公務員個人の人格的な中立性を求めていると解され、公務員が政治的であること自体を否定する根拠とされてきた「公務員の中立性」という概念は、公務員の政治活動を禁止する根拠足りえなくなったのである。
このことは、公務員個人の人格的な中立性など要求すること自体が不可能を要求することで誤りであるという今村教授の猿払判決に対する批判に最高裁が答えたことになると同時に、地方公務員を含む公務員の職務・職場と関係のない個人としての政治活動禁止の動きに対する明確な批判ともなっている。
(3)宇治橋氏の有罪判決の意味
本判決は、本庁の大臣官房の筆頭課長補佐であるという事を以って、指揮命令や指導監督等を通じて他の多数の職員の職務の遂行に影響を及ぼすことのできる地位にあったとして、宇治橋眞一氏の政治活動は他の職員の職務の遂行の政治的中立性を損うおそれが実質的にあったとして有罪にした。
須藤裁判官の反対意見に言うように、「公務員の政治的行為よってその職務の遂行の政治的中立性が損われるおそれが生じるのは、公務員の政治的行為と職務の遂行との間で一定の結びつきがあるゆえであり、それが実質的に認められるには、公務員の政治的行為から窺がわれるその政治的傾向がその職務の遂行に反映する機序或いはその蓋然性について合理的に説明できる結びつきが認められる場合のみである。
時間外に職場外で行われる個人的な政治的活動は、公務との間に結びつきがない。公務員が職務の遂行に政治的傾向を持ち込むことは考えられず、また持ち込んでも公務員組織にそれを受け入れる土壌はない。」のであり、本庁の課長補佐であるからといって、職場の職員の職務の遂行に政治的な歪曲を及ぼすことは考えられない。
その意味で、本判決は不当なものである。
しかし、既述のように、この判決は他の職員に影響を及ぼすような権限地位にない公務員の、勤務時間外の職場・職務と関係のない行為であって、公務員の組織する団体の活動ではない政治活動は自由だとしたのである。
このことは決定的な意味を持っている。
これまで国家公務員法違反で起訴され有罪とされてきた公務員は、殆ど全てが他の職員に影響を及ぼすような権限地位にない公務員であった。通常は、他の職員の職務の遂行に影響を及ぼすような地位にある公務員はビラ配りなど行わない。
少なくともビラ配りについては、公務員であることを明示して行うようなビラ配りは例外として、一般の公務員が行う個人的なビラ配りは国公法違反で逮捕起訴することはできなくなったというべきである。
国公法一〇二条一項・一一〇条一項一九号人事院規則一四―七第六項による弾圧は事実上不可能となったのである。
宇治橋氏が本庁課長補佐であることを理由に有罪となった事は不当であり、本来管理職といえども政治活動に刑事罰が貸されることは正当化できないが、有罪となった影響はきわめて限定された場面に及ぶだけであり、一般の公務員が行う個人的なビラ配りを国公法違反で逮捕起訴することができなくなった重大な意味を減縮させるものではない。
三 猿払大法廷判決は、もはや先例とはなりえなくなった。
一九七四年の猿払大法廷判決は、この判決によって完全な死に態とされた。
本判決は、検察官の中山判決は猿払判決違反とする上告趣意に対する回答で、猿払事件は職員組合という公務員の団体としての活動であり、行為の態様からして猿払地区において公務員が特定の政党の候補者を総選挙において積極的に支援する行為を行っていることが一般人に容易に認識され得るようなものであり公務員の職務の遂行の政治的中立性を損うおそれが実質的にあった事案である、として、堀越明男の事件とは事案を異にしているので判例違反に当たらないとした。
猿払事件と殆ど同じ内容の事件でない限り、猿払判決は先例とはなり得ないとしたのである。
従って、猿払判決は公務員の政治活動について先例として機能することは事実上なくなったといってよい。
本判決は、明確な判例変更だとは言わないまま、事実上猿払判決が先例として機能する場合を殆ど猿払事件と同じ事案のみに限定し、構成要件の解釈として一般の公務員が私的に勤務時間外に職場と離れた場所で公務員の身分を隠して行う政治活動は禁止された行為ではないと判示したのであるから、一律全面的に公務員の政治活動禁止を合憲だとした猿払判決は、本判決を以って覆ったのである。
千葉支部 守 川 幸 男
今回の衆議院議員選挙(二〇一二年一二月一六日投票)の得票率と議席占有率の乖離は、報道を見ればわかり切ったことだが、周りに訴えるのには具体的な数字が重要である。同時に、あまり詳しすぎてもわかりにくい。
ただ、乖離という場合、得票率をもとにしたものと絶対得票率をもとにしたものの二種類があって整理が必要である。そこで、創造的活動ではなく単に数字を並べただけであるが、自民党に限って作成してみた。単純明解な一覧表の方がわかりやすいし、他党も含めた詳細なものだとかえってわかりにくく、そこまでの作業をするためのデーターも余裕もなかったからである。活用してほしい。
いずれ、団本部の担当委員会やもちろん渡辺治さんが、他党や棄権者も含め、また過去との比較や政策別に政党を分類した一覧表を作った上で分析をされると思うので、それに期待している。私の投稿はその呼び水である。
なお、参議院議員四八〇議席をすべて比例票配分した場合の各党別想定議席数は、しんぶん赤旗日刊紙の二〇一二年一二月二四日付の三面を参照されたい。
(表)自民党の得票率と議席占有率の乖離(単位%)
得票率 | 絶対得票率 (有権者全体比) |
議席占有率 | |
小選挙区 | 四三・〇 | 二四・六七 | 七九・〇 |
比例区 | 二七・六 | 一五・九九 | 三一・六 |
東京支部 中 村 雅 人
新宿御苑を借景にた運動の拠点
四季折々の自然美が楽しめる新宿御苑。これを見下ろすマンションの一〇階に、公害・薬害の被害者・支援者や弁護士が出入りする空間がある。
名を「スモン・公害センター」という。
一九八一年、薬害スモン訴訟が全面解決をみて、原告らが得た賠償金から購入された物件である。国民的支援のなかで勝ち取った成果を社会還元しようと、スモン東京原告団と弁護団(団長斎藤一好)の総意で決まった。
以来、水俣病、ヤコブ、イレッサ、東京大気、有明等の訴訟の準備に弁護団らが利用した。被害者らには、集まって会議をする場所がない。新宿御苑駅からほど近いこの場所は、裁判所や厚労省・環境省へ行くにも便利だ。九州などの戦いでも、東京での行動の拠点事務所が必要になることがある。そういう時にこの場所が役に立っている。
六月の環境週間に毎年全国の公害被害者が東京に結集して行われる公害総行動の実行委員会事務局もここに置かれている。
こうして利用され続けて三〇年の歴史を重ねた。
三〇周年記念のつどい
二〇一二年一〇月二八日JR四ツ谷駅前に一三〇人をこえる公害・薬害被害者・支援者や弁護士らが集まった。
鈴木堯博(スモン・公害センター理事長)が、懐かしい映像をパワーポイント七六枚で振りかえりながら基調講演をおこなった。
シンポジウムでは、被害者、豊田誠弁護士、スモン研究に一貫して携わってこられた片平洌彦先生、支援の労働者をパネリストに迎え、スモンの戦いを総括した。
会場からも、水俣、大気、イレッサ、ヤコブ、高尾山の原告や弁護団、公害総行動に関わった人たちから、スモン公害センターを利用して活動が広がった話が相次いだ。
三・一一以降の新たな厳しい環境にあっても、スモン・公害センターを活用して粘り強く展開されてきた運動の教訓を活かし、難局を突破することをみんなで確認し合った。
そのあとは、懐かしい顔ぶれが全国から参加した中で懇親会が行われた。
皆様の活用を期待しています
スモン・公害センターは、一般社団法人として登録され、現在理事長は鈴木堯博(元日弁連公害環境委員長)、理事には篠原義仁(自由法曹団長)らがいる。会議室を利用するには、一定の使用料を負担することになるが、大いに活用してほしい。
事務局次長 上 田 月 子
一 ご協力のお礼
(1)「質問状のFAX」
先月は選挙直前でお忙しい中、埼玉、福岡、富山、沖縄、山形、和歌山の各支部の皆様には、衆議院議員候補者に質問状をFAXし、またその回答を団本部にFAXしていただきまして、誠にありがとうございました。
結果を簡単にご報告します。給費制に否定的な者や興味の無い者はそもそも回答していないと考えられるので、当然の結果とも言えますが、「給費制を復活すべき」という意見が多数でした。政党別の回答内訳は以下のとおりです。
自民党議員が多いですが、それでも、給費制に関心があり、協力したいとの意見が多く、今後の議員要請などの運動に活かせると思います。
(1)埼玉 共産党一三人、自民党五人、民主党二人、公明党二人
内当選した方は自民党五人。
中根一幸氏(自民党)の意見
「修習生に対する経済的支援は必要」「給費制は復活させるべき」自由記載「選挙が終了したら、さらにご指導宜しくお願いします」
柴山昌彦氏(自民党)の意見
「修習生に対する経済的支援は必要」「給費制についてはより詳細な検討が必要」
大塚拓氏(自民党)の意見
「修習生に対する経済的支援の必要性についてはわからない・検討中」
山口泰明氏(自民党)の意見
「修習生に対する経済的支援は必要」「給費制は復活させるべき」自由記載「修習終了時に一〇〇〇万円もの借金を抱えるようでは修習の意味がない。必要な生活資金は給費とすべきである。」
土屋品子氏(自民党)の意見
「修習生に対する経済的支援は必要」「給費制についてはより詳細な検討が必要」
(2)福岡 共産党一一人、民主党五人、自民党二人、維新二人、無所 属一人
内当選した方は自民党二人、無所属一人。
藤丸敏氏(自民党)の意見
「修習生に対する経済的支援は必要」「給費制は復活させるべき」自由記載「有望な若手弁護士が、貸与制になったおかげで大変苦しんでいる実情を聞いております。いい芽を摘みかねない制度変更だったのではと危惧しております。」
宮内秀樹(自民党)氏の意見
「修習生に対する経済的支援は必要」「給費制については一部給費制の導入を検討すべき」
自由記載「全額給費制の復活は無理があると考えるが、経済的困窮により断念せざるを得ない状況は改善される必要があると考えます。」
鳩山邦夫氏(無所属)の意見
「修習生に対する経済的支援は必要」「給費制は復活させるべき」自由記載「法曹界の質向上のため司法修習生の全ての面で支援体制を高める必要がある。」
(3)富山 共産党二人、自民党一人、社民党一人
内当選した方は自民党一人。
橘慶一郎氏(自民党)の意見
「修習生に対する経済的支援は必要」「給費制は復活させる必要はない(貸与制のままでよい)」
自由記載「大切なことは、司法試験に不幸にして合格できなかった大学院生の将来設計であり、皆様には幅広い視点での活動をお願いしたい。」
(4)沖縄 共産党三人、民主党二人、自民党一人、社民党一人、国民 新党一人、無所属一人
内当選した方は共産党一人、自民党一人、社民党一人。
赤嶺政賢氏(共産党)の意見
「修習生に対する経済的支援は必要」「給費制は復活させるべき」自由記載「経済的な理由で法曹への道が閉ざされることがあってはなりません。給費制の復活に向けて、ともにがんばりましょう。」
國場幸之助氏(自民党)の意見
「修習生に対する経済的支援は必要」「給費制は復活させるべき」
照屋寛徳氏(社民党)の意見
「修習生に対する経済的支援は必要」「給費制は復活させるべき」自由記載「「貸与制」はスタートラインで「借金」を抱えるもの。親の経済状況で法曹への道をためらわせ、夢を諦めさせるようなことがあってはいけない。法曹三者の「質」の確保、法曹需要の拡大状況等を踏まえながら法曹養成制度を見直していくべきだ。給付制の復活と合わせて法科大学院における奨学金制度の強化も検討すべき。」
(5)山形 共産党三人、民主党一人、社民党一人
内当選した方はなし。
(6)和歌山 共産党四人、社民党一人
内当選した方は共産党一人。
宮本岳志氏(共産党)の意見
「修習生に対する経済的支援は必要」「給費制は復活させるべき」自由記載「給費制の廃止は、国民の権利擁護に尽力すべき弁護士の活動が、借金返済のためにゆがめられたり、資力にめぐまれた人しか法曹の道にすすめない事態がつくられかねません。これまでもビギナーズネットのみなさんとともに給費制復活をもとめ、院内集会等に参加してきました。今後も、法科大学院生・修習生への経済的援助をもとめ、ともに奮闘する決意です。」
(2)「東京集会への参加」
先月二一日、クレオで行われた東京集会「周防監督が問う法律家の育て方」にご参加いただいた方、ご協力誠にありがとうございました。簡単にご報告をさせていただきます。
八〇〇円の交通費を出すことを躊躇する修習生の実態を話された新六五期の野口さんのお話は、インパクトがありました。
そして、周防監督とのトークセッションでは、周防監督から、「給費を、受かったことによる当たり前のお金と思わないで欲しい。」「修習生が貧乏だから給費をというのではなく、法曹の性質上給費が原則であるという点を述べていくべき。」「司法がどういうものか、こうあるべきだということを、いつでも発信していくことが大事。」などの、鋭い有益なご発言の数々をいただきました。インタビュアーの新六四期の児島さんや、新六五期の小竹くんの発言も上手いと思いました。
二 情勢について
(1)ビギナーズアンケート
ビギナーズ・ネットでは、政党アンケートを取り、四党につき公表できる状態とのことです。今後、当選した議員へのアンケートを検討中です。
(2)給費制違憲訴訟について
当初、昨年一二月二〇日提訴予定でしたが、法曹養成検討会議で今月二三日と三〇日に給費制の問題が取り上げられることを踏まえ、その結論が不十分であった時には提訴に踏み切ることにし、早くても今月三一日提訴予定となりました。
三 この先の団の取り組み
(1)一月二七日(日)京都で市民集会があるので、参加できる方はご参加ください。
(2)ビギナーズ・ネットが当選議員へのアンケートを行うことを検討しているので、行いましたら、ご活用ください。
(3)日程が未定ながら、日弁連が街頭宣伝を予定しているので、日程が決まりましたら、ご参加ください。