<<目次へ 団通信1443号(2月11日)
愛知支部 中 谷 雄 二
一 名古屋常幹でも報告しましたが、関電ビル前での原発再稼働反対運動に対する弾圧事件で自由法曹団愛知支部の団員の機敏な動きにより不起訴を勝ち取ることができたので報告します。
二 経過
1 事件は、二〇一二年五月二五日、大飯原発再稼働に抗議する関西電力東海支社前の初めての行動が行われた際、抗議行動に先立って参加者の二名が関電ビル内に立ち入ったことを建造物侵入容疑であるとして、警察からの執拗な呼出から始まった。警察の呼出が始まったのは、一〇月二九日、実に事件から五か月後のことである。任意の出頭要請といいながら十数回にわたる電話と自宅まで四名の警察官が出向いて出頭要請がなされた。
出頭を要請された二人から相談を受けたが、問題とされている事件から五か月も経っての執拗な呼び出しであること、東京や大阪などで逮捕者がでていること、二人の内、一名は行動の呼びかけ人であることから、抗議行動に対する弾圧の可能性があると思われたため、直ちに警察への抗議文の提出と弁護団の編成を計画し、愛知支部の団員に対して、協力を要請した。
2 岐阜支部の団員一名を含む二五名が直ちに協力を申し出てくれたため、一一月二日、出頭要請を行っている愛知県警東警察署長宛に弁護士二五名の連名でFAXで抗議文を送付した。これによって、一週間、完全に警察の足が止まった。一一月八日、電話で警察から再度、出頭要請があったため、翌日、その間に集めた三〇名の弁護人選任届けを付して、弁護士六名で、任意というが実際に行われている出頭要請は、事実上の強制だと抗議し、このような状況が続けば国賠も考えると出頭拒否を通告した。同月一二日、弁護団と本人が司法記者クラブにおいて記者会見し、弾圧事件だと訴えたが、記者から警察署への問い合わせはあったようであるが、報道はされなかった。同月一六日、警察からは、翌週の平日午後一から午後五時までの都合の良い時間に出頭するよう警備課長名でハガキによる呼び出しがされた。これを受けて、出頭を拒否した場合に逮捕も予想されること、本人の意向を踏まえて、弁護人付きで、かつ、一時間に限ることを条件付に出頭に応じると弁護人から警備課長に連絡した。結局、警察段階では、一名は一日で取り調べが終わり、もう一名については、二日間で取り調べが終了した。途中、付き添っていった水野幹男団員は、取り調べ途中に一時間が経過したとして、取り調べ室から本人を連れ出し、休憩を取らせるということがあった。警察の取り調べが一二月六日に終了したが、一二月二〇日、公安係検事より弁護人を通じて出頭要請があったため、これにも弁護人が付き添って出頭し、一時間の条件付で取り調べに応じた。一二月二五日、弁護人連名による不起訴要請書を提出した。検察庁における取り調べでは監視ビデオの映像をみせながら、供述との食い違いが追及されたが、翌月一六日、不起訴処分(起訴猶予)となった。
三 不起訴の要因
私は、今回の事件の教訓を以下のように考えている。
(1)事態を軽視せず、早期に組織的な体制をとって臨んだことが、当初段階での警察の動きを封じた。
(2)弁護団会議を適宜、開催して、当事者と弁護士との意見のすりあわせをしながら対応したことが適切な対処につながった。
(3)警察への抗議申し入れ、記者会見には毎回六名以上の弁護士が参加し、単に名前だけでない多くの弁護士が関与していることを印象づけた。
(4)一週間で三〇名を超える(岐阜の美濃加茂を含む)弁護人選任届をとり、民事の代理人及び刑事弁護人が付いたことは、当方の体勢の強固さと覚悟をみせることとなった。場合によっては、国賠を考えているということは最初の段階から通告しており、相当なプレッシャーとなっていたものと思われる。
(5)常に次の手を考えて準備していたことが事態の進行に遅れなかった要因である。弁護団は、令状係への逮捕状を出すなという要請書を準備していたし、裁判所周辺でのビラまき等も検討していた。国民救援会への協力要請など、関係団体による抗議要請行動も準備していた。迅速な組織的対応が、本格的な弾圧をくい止めた原因であると思う。
四 最後に
愛知支部でも最近は弾圧事件を経験していない。この事件を通じて、組織的な対応を中堅、若手弁護士が経験できたことがよかった。特に経験のある弁護士の活動振りは関係した若手・中堅弁護士に非常に印象強く残り、権力との対決の仕方を身をもってみせていただいた。そのことが愛知支部団員の成果となって残っている。
今後、反原発運動に対する一層の弾圧の広がりが予想されることから、団員に限らない幅広い、反原発運動応援弁護団を立ち上げようと構想している。
東京支部 神 田 高
三鷹九条の会は、二〇一二年六月三日に“核・原発開発の源流・・マンハッタン計画”の講演会を開催しました。“原発問題”は日本の国と国民にとって、将来にわたって重大な影響をもたらす焦眉の課題ですが、今回“そもそも、核開発がどのような人類史的な経緯のもとでなされたか”、その原点に立ち戻って、検討する契機として、『資料・マンハッタン計画』(大月書店)の出版に翻訳者として関与された三鷹在住の岡田良之助先生のお話のエッセンスを紹介します(浦田賢治・早稲田大学名誉教授からは「原子力と核兵器の二分法の克服」など貴重なご意見をいただきました。)
※ 『資料 マンハッタン計画』は、米国公文書館などから集めてきた大量の資料をさまざまな角度から分類・収録し、翻訳したものです。
一 私は、ニューヨークの株式大暴落をきっかけに「世界恐慌」が始まった一九二九年に生まれました。私が生きてきた八三年間には、さまざまな出来事がありました。まず日中戦争、それに続いて太平洋戦争、広島・長崎への原爆投下と敗戦、そして、敗戦にともない帝国憲法が廃棄されて国民主権の憲法が制定施行されました。人類史的に重要な事件の一つは、人間が原子力を使うようになったことです。それは「第二の火」と言われ、これまで人間が使ってきた火とは違います。太陽の熱をつくるのと同じエネルギーを地球上で手に入れたことになるのです。 それは禁断の火でした。 しかし、人類は、開けたらどうなるかを予見していました。そこが、パンドラが無自覚に箱を開けたのとは決定的に違う点です。
二 ところで、原爆開発はどのようにして始まったのでしょうか。 一九三九年にヨーロッパで、特にドイツで、ウランの中に核分裂反応を連鎖的に発生させることによって巨大なエネルギーを取り出すことができるという理論上の予測が出されました。そこで、レオ・シラードがアインシュタインに話を持ち込み、アインシュタインが、アレキザンダー・ザックス(ローズヴェルトと親しい銀行家)をつうじてローズヴェルトに働きかけました。その進言の趣旨は、ドイツは、同国が接収したチェコスロヴァキアのウラン鉱石を他国に販売することを停止したようだ、ドイツがもしそのウランを使って原爆を開発したら、ナチは躊躇することなく連合国側に対してそれを使用するであろうし、そうなったら一大事だ、したがって、連合国側も原爆開発を急ぐ必要がある、というものです。その時点では、原爆の開発・製造が可能かどうかははっきりしなかったのですが、理論的には、ある一定の条件のもとで大量のウランの中に核分裂反応を発生させることができるという見通しが立っていました。 そこで、遅かれ早かれ原爆の製造が可能になるから、連合国はドイツに先駆けて原爆を開発・製造する必要がある、というのです。そうした一念からレオ・シラードら、アメリカに亡命した物理学者たちは、なんとかして大統領に原爆開発の必要性を説得し、そのための予算を議会で承認してもらう必要があると考えたのです。
彼らは、開発の最初の段階ではとりあえずしかるべき財界人に働きかけて資金を援助してもらい、また、政府に対しては、ウラン鉱石の早期確保に努力することを要望しました。実は、ウランは、ピッチブレンドという鉱石の中にラジウムと一緒に存在しています。ラジウムは、一八〇〇年代の終わりにキューリー夫人によって発見され、医療目的で利用されていました。ピッチブレンドを採掘すれば、それからウランを取り出すことができます。しかし、にわかに大量のピッチブレンドを確保しようとすると、その意図を疑われるので、「医療目的」を表向きの理由にしました。そして、原爆開発を緊急事と考えたレオ・シラードは、世界的に有名な物理学者であるアインシュタインをつうじて大統領に進言したのです。その結果、ウラン諮問委員会が設置され、ウランの連鎖反応によって放出される巨大なエネルギーが原爆開発に結びつくであろうという推論を確認するための調査が始まりました。
三 しかし、原爆実験が成功し、実際にそれが使用できることになると、使用すべきか使用すべきでないか、使用したらどうなるのか、使用しなかったらどうなるのか、ということが問題になりました。原爆を開発した科学者たち自身が不安になり始めました。使用するにせよ使用しないにせよ、科学者たちには、結果がどうなるか予測できていました。したがって、彼らは、戦中・戦後における原子力の国際管理をどうすべきか、原子力に関する情報を諸国に提供すべきかどうか、提供するとすればどの程度まで提供すべきか、といった問題に関心を向けざるをえませんでした。事実、広島と長崎に原爆が投下されるずっと前から、彼らは、このような問題を真剣に考え、関係当局に彼らの見解を進言していました。
これらの科学者やスチムソン陸軍長官が考えていたことをまとめて紹介しましょう。まず第一に、核爆弾は、従来の兵器では考えられないほど巨大な破壊力をもっている兵器であり、将来は、その何倍、何十倍もの爆発力をつくることさえ可能になる、したがって、それは戦後世界の国際政治に大きな影響を及ぼし、ひいては人類の未来に甚大な影響を与えるにちがいないと彼らは認識していました。
第二として、当時の時点では、核爆弾の開発においてアメリカと英国は優位に立っていましたが、それは絶対的なものではありませんでした。なぜなら、核爆弾製造の基礎となっている科学上の諸事実は、アメリカと英国だけが占有しているものではなく、他の国の科学者たちにもよく知られていたからです。したがって、彼らの考えによれば、遅かれ早かれ他の国が原爆を開発するのは必至であり、したがって、アメリカが持っている優位は永続的にアメリカの安全を保障するものではなく、それよりはむしろ、アメリカは優位にあるがゆえに、原爆の使用について道徳的な責任を格別に負っていることになる、というのです。
第三として、仮にアメリカが核爆弾を使用しなくても、保有しているということがわかれば、とたんに果てしない核兵器開発競争が始まるのは必至です。しかも、核爆弾には測り知れない威力がありますから、これを持てば、小国といえども、大国に脅威を与え、あるいは核爆弾による奇襲攻撃を加えることが可能であり、ひいては、そのことは、核兵器保有への誘惑を小国に与えることになります。北朝鮮のことが思い出されるではありませんか。
第四として、核兵器をめぐって秘密主義がはびこるならば、事実がどうなっているかを確かめることができません。ですから、原子力に関する科学上・技術上の自由な情報交換を可能にする仕組みをつくらなければなりません。
第五として、核兵器を有効に管理するには、権威ある国際機関の構築が必要であり、そのためには、現在、優位を占めているアメリカこそが、他の諸国に先駆けてそのような提案をおこなうべきである。なぜなら、核爆弾を使用したあとでそのような提案をしても、それは説得力のないものになるであろう。科学者たちは、以上のようなことを当時すでに言っているのです。 スチムソン陸軍長官は、「将来は小国、小集団でさえ、〔核兵器を〕製造できるようになる」と言っています(配付資料一四一)。 六七年も前にスチムソンは、「技術の発展に比べて後れをとっている道徳的進歩の現状から考えると、世界は、究極的にこのような兵器に振り回されることになろう」と述べています。残念ながら、その予言は的中していることを認めざるをえません。そんなことはわかっていても、人間は、戦争に勝つためとか、経済効率を高めるためとかといろいろな理由をつけて安易に原子力を使いたがります。核の拡散も福島原発の大事故も、六七年前に科学者たちが恐れていたことにほかなりません。ですから、先ほど申し上げたように、パンドラは無邪気に箱を開けたのですが、人間はそうではなく、結果を予見したうえで開けたのです。いったん開けてしまうと、元にはなかなか戻れないものです。
ついでながら、そのことは、戦争についても同じです。戦争は、始めるのは簡単です。人間は、集団になると勇ましい。戦争を始めてしまうと、「やめよう」と言いだすのは容易ではありません。 原子力がもたらす利便性も、いったん手に入れてしまうと、それを手放すことは容易ではありません。スリーマイル島原発事故、チェルノブイリ原発事故に続いて福島原発の大事故があっても、原発を再稼働したがる人が少なくありません。
※なお、全文は団東京支部ニュース(四六九号)に掲載されています。
東京支部 笹 山 尚 人
一 東京法律事務所は、本年二月一日、事務所の主催で、「改正労働契約法をどう活用するか 有期契約労働者の権利前進のために」と題するシンポジウムを、四ッ谷にある主婦会館にて開催した。
平日の日中という時間帯であるにもかかわらず、労働組合の専従活動家や争議担当者、そしてわざわざ有給を取得してまで参加をしてくれた人など、事務所外から一一八名の参加を得た。内容的にも非常に高いレベルの議論になったと自負している。以上のとおり、シンポジウムを成功させることができた。
二 事務所がシンポを開催した問題意識は次のとおりであった。
二〇一二年、有期契約労働者の権利に関わる重要な法改正が行われた。労働契約法の「改正」で、有期契約の無期契約への転換権(一八条)、雇止法理の法文化(一九条)、有期であることを理由とする不合理な労働条件の禁止(二〇条)という重要な法規が創設された。
現在、全労働者の三五・二%(二〇一一年度)は非正規雇用であり、そのほとんどが有期契約で働いている。今回の新設を、具体的な権利前進にどう結びつけていくか、労働現場の実態に照らした議論が求められている。
しかしながら、今回の「改正」は、未だ多くの労働者・労働組合に知られておらず、十分な議論もされていない状況と思われる。
そこで、労働者、労働組合の抱える現場の問題と、労働契約法の改正をいかに活用するか、今後さらなる法改正に向け展望すべきことは何か、などをシンポジストそれぞれの立場から明らかにするシンポジウムを行うこととした。
三 シンポジストとしては、事務所のつながりのある労働組合で、かつ有期契約労働者の組織化、取り組みを進めているから依頼した。生協労連中央執行委員長の北口明代氏、東京自治労連組織拡大専任者で東京公務公共一般労働組合の副委員長の白神薫氏である。
当事務所からも法律家からの見解を述べようということで、今泉義竜団員を当初予定していたが、今泉さんがインフルエンザに倒れてしまったため、急遽小林譲二団員にピンチヒッターをお願いした(皆さん、インフルエンザには気をつけましょう!)。そして、シンポ全体のコーディネーターは、私が担当した。
四 シンポジウムは、まず小林団員から改正法の内容と問題点を説明した。その後、首都圏青年ユニオンのベローチェ争議の当事者から有期労働者の実態告発を特別報告としてお願いした。その後パネルディスカッション方式で議論を行うこととし、北口氏、白神氏からそれぞれの労働組合の取り組み、労働契約法に関する受け止め、評価、現場で起こりつつある問題についてそれぞれ報告してもらいました。そして、小林団員から労働契約法の活用について提案を行いました。その中でも提起されましたが、やはり法を生かすも殺すも労働組合の活動次第である、ということで労働組合の団結、組織化をどのようにはかっていくかという観点で、北口さん、白神さんそれぞれから組織化の経験とこれからの取り組みの課題などを発言してもらった。
北口氏や白神氏からは、「使用者は常に法の悪用を考える。そうしたときに一人で立ち向かうのは限界がある。組合があるかないかでだいぶん違う。有期契約の労働者は女性が多いので、わかりやすく、親しみやすく、話し込んで組合への加入を訴えていきたい。」「勝手に労働契約の更新回数について限度を設けることはおかしい。問題がない限り更新するべきではないか。労働組合は雇用を守ることこそ第一の課題。これまでも雇用を守るということを訴えて組織化してきた。労働組合に組織されていない労働者が無期転換を申し出るなんてことも基本的に無理である。まだまだ知られていない労働者に知らせていく努力が必要である。」といった発言がなされた。
会場からも二度会場発言を募り、この問題に関する受け止め、取り組みを様々な労働組合から発言してもらった。
例えば、「法律をどう活用するのか、悪用をどう防止するのか。一番活用できるのは二〇条だが、当組合では、秋闘から要求を始め是正の成果をあげている。非正規については、それぞれの職場で差別がある。労働条件や就業規則の点検をして、差別をなくしていく取り組みが必要だ。」「労働組合の役割は、当事者の団結体をどうつくるかだ。既存の労働組合があるところでは、法にないなら、自分たちが「入り口規制」を作ればいい。」「非正規の組織化で、当該職場に正規で組織される組合があるとき、これからはその職場の組合に組織化と連携を訴えていきたい。正規の執行部の意識変革が大切。」といった活発な意見が交換された。
五 感想文やフェイスブック、所員に寄せられた感想などには次のような声が寄せられた。
「アップトゥデートな企画で良かった。有期契約の問題は女性労働者の問題なので、自分たちの組合でも女性部などで同様の企画を考えたい。」
「労働契約法を使用者に悪用させないためにも、労働者が有効に活用していくためにも、労組の役割が大きいことが再認識できました。印象的なのは、やはりベローチェの方の発言。こうした若い方にしわ寄せがくるケースも多いと思います。また、生協労連の皆様のように労働契約法の内容を意識した統一要求を作成していることも勉強になりました。」
「シンポでの討論をつうじて、労働組合の果たす役割が大切だということが共有できたことがよかった。」
六 このシンポの企画を提起し、内容を練ったのは私である。企画立案遂行した立場で成功させることができてホッとしている。
もちろん成功させるためには事務所一丸となって取り組んだので、事務所の所員の尽力に感謝したい。
労働組合に適切な問題提起をできたこと、また、普段なかなか業界が違うと連携協力しあう機会が意外と少ない労働組合間の交流になったことでよかったと受け止めている。
問題は、今後である。このシンポの成功を受けて、更に労働者の権利前進及び労働組合の活動の発展に寄与できるよう、新しい提起を考えていきたい。
東京支部 早 田 由 布 子
一 昨年五月二八日、ある自民党国会議員のツイート(発言)に、twitter上の法律家たちは騒然となりました。自民党改憲草案の起草委員であるその議員は、自らのtwitterでこう述べたのです。
「時々、憲法改正草案に対して、『立憲主義』を理解していないという意味不明の批判を頂きます。(中略)昔からある学説なのでしょうか。」
二 自民党の改憲草案は、この発言からも明らかなように前提としての憲法学の知識もないまま、九条だけにとどまらず、立憲主義及び民主主義を否定しかねない大変危険な内容です。自民党がこのような認識で改憲草案を公表し、そして衆議院選挙に圧勝して政権に復帰したことに、私は身震いするほどの恐怖と怒りを感じています。
この憲法の危機に際し、私たち若手弁護士は、昨年四月に発表された自民党改憲草案に反対し、このような恐ろしい改憲を阻止するため、まさに総選挙の翌朝から立ち上げ準備をはじめ、「明日の自由を守る若手弁護士の会」を結成しました。
三 しかし、この改憲案の内容は、国民一般に広く知られているとは到底言えない状況にあります。そしてその「国民一般」が改憲案の内容と怖さを知ってくれないことには、改憲の阻止は極めて難しいのです。
そこで、私たちは、まずとにかく七月の参議院選挙までに「自民党が何を考えているのかを知ってもらう」ことを目標に行動することにしました。そして、これまで護憲運動に携わってきた人たちはもちろんのことですが、そうでない人たちとも「この改憲案は許されない」という一点で幅広く連携し、一致団結して自民党改憲案を許さない活動を進めていかなければならないと考えています。
私たちは今、そのような幅広い仲間と共に、あらゆる世代・あらゆる地域への効果的な活動をしようと知恵を絞り合っている最中です。現時点で、弁護士登録後二〜四年目の弁護士ら約二〇名が全国から結集し、これから活動の幅と規模を広げようとしているところです。
声明文への賛同等、ご協力いただきたい諸活動については順次発表する予定ですので、どうぞよろしくお願いします。
四 さて、最後になりましたが、私たちは、パンフレット、HP、ブログ、ツイッター、学者著名人等による共同アピール等、あらゆるツールを利用して自民党改憲案の内容を広め、問題意識を高めていきたいと思っておりますが、その資金は、志ある皆様のカンパに頼らざるを得ない状況です。
大変心苦しいお願いではありますが、より大きな運動をつくり、明日の自由を守るためにカンパにご協力くださいますよう、お願いいたします。
〈振込先口座〉 りそな銀行赤坂支店 普通 一七七九五九二
〈名 義〉 明日の自由を守る若手弁護士の会(アスノジユウヲマモルワカテベンゴシノカイ)
〈連 絡 先〉 明日の自由を守る若手弁護士の会
事務局長 早田由布子(旬報法律事務所)
電 話: 〇三-三五八〇-五三一一
FAX: 〇三-三五九二-一二〇七
カンパにつき、領収書送付先等のご要望がございましたら、早田宛てにご連絡ください。
〈Facebookも稼働中!〉「いいね!」を押して広めてくださると幸いです。
http://www.facebook.com/asunojiyuu
是非ご参加下さい。
いま、二〇〇八年のリーマンショックの時のいすゞ、ニッサン、ホンダなどの非正規切りに続いて、日本航空の大量解雇、日本IBMの退職強要・ロックアウト解雇、NEC、シャープ、ソニー、パナソニックなどの電機一三万人リストラなど、正規労働者の職場でも首切りの嵐がふきあれています。財界・大企業は、雇用の流動化と非正規化を進めるため、「首切り自由社会」への流れを強めています。最高裁判所をはじめ全国各地の裁判所は、大企業の違法行為を免罪し、労働者の首切りを認める不当判決を出し続けています。
自由法曹団は、「首切り自由社会」を許さないため、三月二三日、シンポジウム「首切り自由を許すな!退職強要、解雇、雇止め、派遣切りとのたたかい」を計画しました。
シンポジウムでは、退職強要、解雇などの生々しい実態の報告を受け、労働組合、争議団、守る会、労働法研究者、弁護士など、一体となって討論し、たたかいの勝利の展望を切り開きたいと思います。また、「改正派遣法・労働契約法の活用方法と抜本的再改正の取組」についても、討論する予定です。
○日時:三月二三日(土)午後一時〜五時(開場:午後〇時三〇分)
○場所:全労連会館二階ホール(地図は次頁をご参照下さい)
(東京都文京区湯島二-四-四 電話:〇三-五八四二-五六一〇)
○内容(概要)
・高橋賢司立正大学准教授の報告
・退職強要、解雇などの実態報告
・裁判闘争の現状等の報告
・会場からの発言
○主催:自由法曹団