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杉本  朗 九〇周年実行委員会からのお知らせ二題
坂井 興一 空襲被害提訴のお願い
戦争被害受忍論と立法不作為黙認突破のために
労働問題委員会 シンポジウム「首切り自由を許すな!!退職強要、解雇、雇止め、派遣切りとのたたかい」への参加のお願い
千葉 恵子 「坂本福子弁護士を偲び、お別れをする会」にご参加下さい。



九〇周年実行委員会からのお知らせ二題

神奈川支部  杉 本   朗

 九〇周年の記念行事から早くも一年あまりが経ち、自由法曹団は九二年目を迎えました。団員のみなさんは、日々活躍していることと存じます。さて、実行委員会から団員のみなさんへお知らせです。

○『映像で振り返る一〇年』ついにYouTubeで公開

 九〇周年のつどいで上映された『映像で振り返る一〇年』が、ついにYouTubeに公開されました。

 大山勇一団員がチーフとして作成したもので、この一〇年を振り返るとともに、ビデオレター形式で各界からの自由法曹団に対する期待・要望が寄せられています。自由法曹団結成時の写真など貴重な映像も含まれています。

 つどいで上映されたものは、そのまま公開するには問題があったため、若干編集を加える必要があり、公開に手間取っていましたが、ついに公開の運びとなりました。

 YouTubeのトップページで、「自由法曹団九〇周年」と検索すると、広告のすぐ下に『自由法曹団創立九〇周年記念映像』が出て来るので、このタイトルをクリックして下さい。

 また、自由法曹団のホームページからもリンクを張ってあります。自由法曹団のホームページの左側カラムの真ん中より下あたりに「自由法曹団創立九〇周年記念映像」というバナーがあるので、これをクリックして下さい。YouTubeへ飛びます。

 YouTubeでは、画像の再生回数が表示されていて、これがあまり少ないとかっこ悪いので、ぜひ多くの方々に再生をお願いしたいです。また、コメント欄もあるので、ご覧になったみなさん、ぜひコメントを書き込んで行って下さい。

 YouTubeのトップページ: https://www.youtube.com/

 自由法曹団のホームページ: http://www.jlaf.jp/

○『最新くらしの法律相談ハンドブック』のさらなる普及を

 旬報社に出張校正をさせたり、特別に製本して貰ったりして、なんとか九〇周年レセプション当日に間に合った『最新くらしの法律相談ハンドブック』です。多くの方にお買い求めいただきましたが、出版社的にはあと一息欲しいそうです。

 この法律相談ハンドブックは、各地の団員の体験を踏まえた内容となっており、きわめて実践的かつ実践的です。たとえば「終電車に乗り遅れ、徒歩で帰宅途中、警察官に呼び止められ、住所・氏名を尋ねられ、さらに身分を証明するものの提示を求められた。これに応じる義務があるか。」とか「私たち家族はそろって不法滞在である。子どもは中学生と高校生だが、私たちが在留資格を取るにはどのようにすればいいか。」など、類書にはない設問にあふれています。

 ぜひ事務所の新人弁護士や、お付き合いのある組合事務局などに勧めていただくと同時に、各地の団員ではない新人弁護士にも本書をお勧め下さい。周囲に相談できる先輩弁護士のいない新人弁護士にとって、本書は力強い武器になると思います。

 自由法曹団本部までFAXでご注文いただければ、二割引の四二〇〇円(税込)となります。

 九部までのご注文は七〇〇円程度の送料をご負担いただき代金引換便でお送りします。一〇部以上の場合は送料出版社負担で、代金は後日振込となります。なお、一〇部以上お求めいただいた場合の名入れサービスも継続しております。

 出来るだけ多くの人が本書を活用されることを願ってやみません。


空襲被害提訴のお願い

戦争被害受忍論と立法不作為黙認突破のために

東京支部  坂 井 興 一

(空襲勝訴の壁)昭和二〇年に日本の主要都市を焼き尽くした空襲の民間被害者は全く救済されず、これと云う慰霊もされていない。片や戦争に責任がないとは言えない軍人・軍属諸氏(とご遺族)には、一時金・年金・恩給等での補償は累積五三兆、今尚、年五・六千億円に達している。行為責任としては、低空からの囲い込み焼毀・焼殺を企図した三・一〇東京大空襲は、裁判所が知らぬ振りし、誰がどのように言い逃れしようと戦争犯罪であり、まともな右翼人ならそれを素直に肯定するでしょう。でなければ、アメリカを始めとする連合国に東京裁判の正義を言う資格などある筈もないからです。それが犯罪被害であるが故に、サ条約によって消滅したのが請求権か訴権のどちらにしても、日本政府の救済代行責任は免れない。それ以外の空襲は、哀しいかな襲来・被害とも予測可能だったが故に、専ら、その防止が不能であることを秘匿し、防空・消火義務で縛り続けた国の責任は軽視できない。歌人寺山修司体験の昭二〇年七・二八の青森空襲の死者は九〇六人、伝単(ビラ)予告で察知・避難した住民に配給止めを宣言して引き戻し、むざむざ被害を拡大している。防空を主要争点にした大阪空襲で、高裁は救済義務を否定したが、そんな議論が通るのか、と云ったことで出てくるのが頭記二つの論点です。(彼我の差)戦争犯罪に絡むものの裁判所判断は、ハーグ条約を始めそのような国際実定法はなく・慣習法の成立も認められない、代行責任以前の問題であるとするもので、では戦犯裁判はやはり、勝てば官軍・力は正義と云うことか、と言いたくなるのですが、取り敢えず措きます。以降の空襲についての国の無責任さと、片や全くのゼロの、とんでもない差別のことです。軍人・軍属に厚いのは、彼らの政治力を靖国・日の君をはじめとする右派シンボルの応援団にしたいがためです。子供の頃に見慣れた傷痍軍人さんのイメージがとうの昔に消えても、今尚、様々な理由を付けての手厚い援護が続き、他方で民間犠牲者の全くの放置のことを知って、私は絶句する思いでした。(不作為の言い訳)長年の自民党政府の無為は、政治的得失判断の結果でしょうが、弁護の目で眺めれば、見当も付かない財政負担と手続き対応の困難さ、それらの軟着陸への危惧であり、昭和六〇年前後の政府与党と、名古屋空襲についての終止符宣言とでも言うべき昭六二年六月最高裁判決の態度はそんなものだったようです。そのことを、民主党最高顧問で当時の渡部恒三厚相が平二三年の三・一〇古舘NS特集で告白していました。が、総力戦下と見なされ、銃後の非戦闘員の保護を奪われたもとで酷い目にあった民間人・孤児たちのことを思えば、そんな雑ぱくな判断と結論では納得できるものではありません。救済も、対象人員は約二三〇万人と言われる軍人軍属を遙かに下回り、一家全滅等の重篤の被害者に手が及ばない構造上、求める手当の規模も類似のシベリア特措法に倣って請求手続きによる援護救済措置です。そして哀しい哉、長年月の放置により、対象人員は年々少なくなる一方で、金額は彼らへの単年度分にも満たないと推測される一方で、名古屋空襲決着以降も格差は嵩じて更に二倍以上と継続拡大中で、時効・除斥も問題にならないのですが、今頃・どうしてと首を傾げる市民の方々は、こうした事情を知らされていないのです。渡部顧問に申し上げたいのは、「手が付けられない、ではなく、面倒なことに蓋しただけでしょ!」云うものであり、政府と最高裁については昭六二年決着のことも問題ですが、「あなた方が切り捨てにしてからだって、倍の二五兆以上ですよ!」となるのです。(二つの壁の突破)さて、大阪高裁の言う「著しく不合理・誰の目にも明らか・極めて例外」の場合とか、先行する平二四年四・二五東京高裁の、お気の毒ですが要件を論ずるまでもないかの態度は、空襲訴訟に限らず、立法不作為違法問題の殆どの場で国側擁護の似たような高裁クラスの宣言が揃っています。ならばならば果たしてそうかどうか。定数是正訴訟に学び、不公平・不合理である事実の認定と、めげない提訴で追及するしかありませんが、問題の核心は憲法一四条の「差別」にあり、ほかならぬ「あなた」が処遇差別放置の違法を確信できれば、艱難克服の見通しは立ったも同然です。幸いなことに二つの壁の構造は既判力が問題にならず、靖国やイラク裁判のようにほんの少し勇気がある裁判所にあたれば、勝ち逃げしたり、トータル判断・総合所見での見識・見解披露を得て、議員立法の援護材料を得るのが可能です。そして、逃げの口実に使われる戦争損害受忍論は、甚大な損害をみんなで我慢しているのだから、と云う意味なのですが、自分たち権力共同体だけが享受する一方、手が届くほどに縮まっている今尚、庶民を閉めだし切り捨ててるだけのことですから、それを大勢の方々に知って貰えれば勝ち、でしょう。(追加提訴のお願い)そのためにも、「庶民は黙っていません・我慢していません。」と、彼らに示す必要があります。現状は被害者が大人しくしてるのが逆手に取られ、「みなさん健気に耐えて、立派に日本国の復興と繁栄を築いて呉れました。震災以来の財政国難の今、不見識の一部の人が騒いでいるだけです。」と、押し付け我慢の受忍論を棄却の弁明材料に使っているのです。こうなると我慢は美徳でも何でもない、厚顔な体制人を増長させるだけ。彼らの憲法一四条認識は、責任のあるエライ人ほど厚く報われ、一銭五厘兵士と民間人は虫ケラ扱いで仕方ないとするものです。それを変えるための各(選良)地元での抵抗実例提示のお願いです。被害は約二〇〇都市、主要のものは広島・長崎を別格として、係属中の東京・大阪・沖縄以外に、一〇〇〇人を超える死者が、北から仙台・日立・横浜・甲府・長岡・静岡・浜松・名古屋・富山・福井・津・堺・和歌山・神戸・岡山・呉・徳島・福岡・佐世保・鹿児島があり、五〇〇人以上では、青森・釜石・郡山・宇都宮・前橋・千葉・豊橋・一宮・岐阜・四日市・西宮・姫路・今治・徳山・熊本、他にも北九州各市や山口各市などがあります。被害の状況については各自治体や地元に記録する会があって、事実の把握について国側の反論を許さない自信を持っています。また、提訴の方法ですが、従来の三訴訟は、成り行きと本心で公害等に倣う一律賠償請求だったかと思いますが、受忍論と立法不作為合法の二大口実打破が目的ですので、当事者は何人でも差し支えないし、訴訟費用で揉めるのがイヤなら不作為違法進行慰謝料なら気にもならない筈です。当事者はかっての生き残り孤児たちや援護素案の受給対象者に当てはまる人なら問題がないし、諸種の論点主張については、既発の原告・弁護団が喜んで資料提供して呉れる筈です。これで口実を打破すれば、もともと貰っている方々も後ろめたいと思い、ことに自公支持の方々は地域定着性が高く、一番の受益者でしょうから、政権党の方々の協力も、理念からのものだった従来の議員さんより実践的になるでしょう。さて(何のために)こんな苦労をするのか。私の場合、とある日に、両国の慰霊堂に迷い込んで受けたショックに始まったので、被災者の方々にチャンと成仏して頂くことに尽きるのですが、序でに、らしく言えば、まずもって戦後補償問題の国内版正常化・良識化であり、そして国外問題の決着です。災害学的には、これからの日本にとって必須の、大災害対応手順の納得できる合意形成です。平和の問題で言えば、従来の軍事・抑止力中心史観ではなく、必然の産物である民衆被害と、下から目線の「被害から考える国の歩み」論が当たり前となることが、天変地異の二一世紀を渡る肝要事と思うからです。戦災が他人事でなく感じられるキャリアの方々、予測される大災厄にたじろがない自分を作りたいと思われるこれからの方々のご協力をお願いします。裁判所の陋習と軽率を止めるため、空襲記念と、ふるさと大使を務める陸前高田の津波被害の三回忌を続けて迎えるにあたって、皆様の立ち上がりを衷心よりお願いする次第です。

(記)お問い合わせ先は

 〒一三一-〇〇四五 東京都墨田区押上一-三三-四 

                     中村ビル一〇二

 全国空襲被害者連絡協議会

   電話・FAX 〇三(五六三一)三九二二です。


シンポジウム「首切り自由を許すな!!退職強要、解雇、雇止め、派遣切りとのたたかい」への参加のお願い

労働問題委員会

一 シンポジウムの日程、場所

 自由法曹団は、二〇一三年三月二三日(土)午後一時から午後五時まで、全労連会館(東京都文京区湯島二-四-四 電話〇三-五八四二-五六一一)二階ホールで、シンポジウム「首切り自由を許すな!!退職強要、解雇、雇止め、派遣切りとのたたかい」を開催します。

二 シンポジウムの目的

 二〇〇八年のリーマンショック以降、いすゞ、ニッサン、ホンダなどの自動車業界を中心に、期間労働者や派遣労働者の雇止め、派遣切りが続いていました。二〇一三年の今、首切り自由の流れは、期間労働者や派遣労働者に止まらず、正規労働者にも及んでいます。日本航空の大量解雇、そして、日本IBMの退職強要・ロックアウト解雇、NEC、シャープ、ソニー、パナソニックなどの電機一三万人リストラなど、大量の正規労働者が退職強要、解雇の犠牲となっています。

 財界・大企業は、日本の社会を「首切り自由」な社会にしようとしています。最高裁判所をはじめ全国各地の裁判所は、大企業の違法行為を免罪し、労働者の首切りを認める不当判決を出し続けています。

 自由法曹団は、財界・大企業が進めている「首切り自由」な社会を許さないため、標記シンポジウムを開催することにしました。

三 シンポジウムの進行予定と内容

  開会のあいさつ

  連帯のあいさつ

  パネルディスカッション

(1)第一部 退職強要・解雇とのたたかい

①当事者の声

 第一部では、冒頭、日本IBMのロックアウト解雇された労働者、電機リストラで退職強要された労働者の報告を受ける予定です。

②パネラー

 i 高橋賢司(立正大学准教授)

 近著「解雇の研究―規制緩和と解雇法理の批判的考察」(法律文化社)

 ii 生熊茂実(全労連副議長・JMIU委員長)

 iii 今村幸次郎(弁護士)

③討論(会場からの発言)

(2)第二部 雇止め・派遣切りとのたたかい

①当事者の声

 第二部では、冒頭、偽装請負で働いていた元教員の報告を受ける予定です。

②パネラー

 i 高橋賢司(立正大学准教授)

 ii 井上久(全労連事務局次長・労働法制中央連絡会事務局長)

 iii 鷲見賢一郎(弁護士)

③討論(会場からの発言)

  集会アピールと行動提起等

  閉会のあいさつ

四 会場までの地図

 全国から多数の団員・事務局の皆様の参加をお願いします。会場までの地図は、次頁のとおりです。


「坂本福子弁護士を偲び、お別れをする会」にご参加下さい。

東京支部  千 葉 恵 子

 坂本福子先生が二〇一三年一月一二日午前三時一八分永眠されました。

 坂本先生は、昨年七月に心筋梗塞で倒れ東京医大病院に入院しましたが、九月に退院して自宅で療養されていました。その後、「婦人通信」の連載原稿を執筆、年賀状に自筆で添え書きをされるところまで回復し、桜の咲く頃に復帰をと考えておられたようですが、本年一月六日、病状が急変し、この願いは叶いませんでした。倒れられてから所員もお会いすることが出来ず、一二月頃に電話でお話できたことが嬉しく、また、年賀状の先生の手書きの添え書きも嬉しく、復帰が近いのではと思ったので、訃報に信じられない思いでした。

 坂本先生は、渋谷共同法律事務所の所員であり、創設メンバーでもありました。一九六〇年に弁護士登録をし、主に女性の働く権利の獲得のための闘争の第一線で活躍してこられました。一九六〇年といえば、日本国憲法一四条で男女平等原則が謳われているにもかかわらず、女性は結婚し、家庭に入ることが常識とされ、特に労働の現場においては、定年、賃金、昇格、昇給等のあらゆる面で女性は男性と比べ、差別されていた時代でした。

 そんな時代から坂本先生は、当事者の方を初め、多くの皆様に支えられ、一つ一つの事件や運動に全力で取り組み、これまで多くの成果を獲得してきました。

 坂本先生がかかわった男女差別、母性保護法等事件は主な事件だけでも以下のような事件があります。愛育病院労組事件、東急機関工業地位保全仮処分申請時件、秋田相互銀行不当利得返還請求事件、鈴鹿市賃金請求事件、伊豆シャボテン公園地位保全仮処分申請事件、芝信用金庫賃金・昇格等請求事件、日立女性差別事件、ケンウッド移動命令無効確認請求事件、兼松賃金等請求事件、岡谷鋼機損害賠償等請求事件、中野区保育士解雇事件。

 現在も職場において男女差別が根絶されたと言えない状況ではありますが、坂本先生の活動は今日までの女性の権利の拡大に、大きく寄与したといえると思います。

 私は、事件をともに担当する中で、事件、依頼者の方への誠実さ、真摯な姿勢を学ばさせてもらいました。

 また、自由法曹団の中では、一九六八年に女性団体とともに運動をしていくためと少数である女性団員の交流を考え、女性部の設立に関わりました。

 坂本先生の御遺志でお通夜やご葬儀はごく近親者だけで執り行っております。

 しかし、坂本先生とのお別れの会を行いたいと当事務所の所員一同考え、ご遺族である坂本修先生とも話し合い、後記のとおり三月一四日に遺族の坂本修団員と当事務所で坂本先生を偲び、お別れをする会を開くことになりました。

 第一部で何人かの方に坂本先生の思いで等をお話ししていただき、第二部で参加者がそれぞれ坂本先生をしのび、思いを語るやり方で行いたいと今は考えております。

 多忙の折とは存じますが、参加いただけるようでしたら、ご参加下さい。


日 時 二〇一三年三月一四日(木)午後六時三〇分(受付開始午後六時)

会 場 セルリアンタワー東急ホテル(地下二階ボールルーム)

 なお、坂本福子弁護士の遺志により、ご香典、ご供花は固く拝辞させていただきますことをご了承ください。  なお、当日は平服でお出でください。

 案内状をお送りしておりますが、もれなどもあるかと思います。ご出席いただける方は、案内状に同封しました葉書若しくはFAX、電話等でお知らせくださいますようお願い申し上げます。

連絡先 渋谷共同法律事務所

担 当 弁護士 千葉恵子

    事務局 元井活明 

東京都渋谷区桜丘町四番二三号渋谷桜丘ビル八階

電 話 〇三(三四六三)四三五一

FAX 〇三(三四九六)四三四五