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吉田 健一 改憲の先取り! 改憲案の批判に団意見書等の活用を
平井 哲史 道州制批判意見書を活用して道州制をくいとめよう
杉本  朗 裁判所による若手弁護士向けの研修について
川人  博 シンポ「原発輸出と住民の権利 ―ベトナムを中心として」のご案内
守川 幸男 九六条改悪阻止に向けて創意工夫を
岡田  尚 神奈川における「九条の会」運動の今



改憲の先取り! 改憲案の批判に団意見書等の活用を

東京支部  吉 田 健 一

 今年になって急増した憲法学習会の講師要請に応じて、自民党改憲案について話をする機会が増えている。寄せられる感想には、自民党の改憲案を検討してみると日本国憲法の大切さがいっそうわかったとか、理解が深まったというものが多い。講師を務める立場からも、そのことを自民党案と対比してあらためて考えされられる。

 また、とりわけ安倍政権のもとで改憲の先取りが進められているのではないかとの指摘も、質疑などの機会によく聞かれる。

 このことは、集団的自衛権の行使や秘密保全法など九条に関係する分野ではいうまでもないのであるが、団が最近発表した「ちょっと待った!安倍『教育再生』」、「住民の声とくらしを切り捨てる道州制を批判する」等の意見書を見ても、自民党改憲案の先取りが行われているように思う。前者についていえば、日の丸・君が代の尊重義務を定め、「教育が国の未来を切り開くうえで欠くことのできないもの」とする改憲案が先行して具体化されようとしている。後者は、「地方自治体は、基礎地方自治体及びこれを包括する広域地方自治体とすることを基本とする」という改憲案のそのものを立法によって実現しようとしているとも言える。これに対して、それぞれの意見書で問題提起している内容は、自民党の改憲案を批判するうえで、大いに有用であり、活用できそうである。

 ところが、それぞれの意見書では現行憲法に違反することが強調されているものの、改憲との関係は明確になっていないように思う。改憲案批判の意見書ではないことは承知の上でのことではあるが、いま、様々な分野で改憲問題を意識した検討、問題提起が必要ではないのだろうか。

 とまれ、せっかく団員の英知を結集して作成され発表された労作である。これを活用しない手はない。自民党の改憲案を批判し、改憲案を検討するうえで活用するようにしたいものである。

 そのほかにも、団のホームページに掲載されている意見書や声明は、改憲議論を深めることに役立つものが豊富である(執行部に成り代わってあえて)。ビラ配布事件や雇用・貧困問題、原発問題などなど。私たちが取り組んでいる様々な現場から改憲案を批判をしていこうという、使い古された問題提起かも知れないが、この際、様々な分野に広がっている団の課題について、それぞれの立場から改憲問題に焦点をあてて見直し、多角的な視点で批判していくことをも試みたらどうであろうか。


道州制批判意見書を活用して道州制をくいとめよう

東京支部  平 井 哲 史

一 道州制批判意見書出来

 財界からの強い要請を受けて、行政の広域化と効率化と称して、府県を廃止してより広域の道州にしようとする道州制は、大阪府を筆頭に推進しようとする動きが見られ、自民党・公明党がみんなの党や日本維新の会によびかけて今国会に「道州制推進基本法案」を提出しようとしています。

 一方、財政力の弱い市町村や大都市を抱えない府県からは、地方の切り捨てにつながるとして強い反対意見や慎重意見も出されていることは各地方紙でとりあげられているところです。このため、全国知事会でも道州制へ一路推進という取りまとめはできていない状況で、改憲は道州制のためなどとツイッターで書いていた大阪市長は、このままでは反対多数になると危機感を募らせています。

 しかし、経営トップが首相と相次ぎ会食を重ねた大手メディアは、道州制推進の旗を振り続けています。

 そういうなか、四月一五日に、自由法曹団意見書『住民の声とくらしを切り捨てる道州制を批判する』を発表しました。意見書は、道州制の導入により地方の住民の声が地方行政に反映されなくなり憲法の保障する住民自治の点から問題があること、同時に、自前の財政による運営を求めるため、財政の苦しい自治体ではますます財政がひっ迫し、住民サービスが後退するおそれが高く、憲法二五条がうたう生存権保障の観点からも問題があること、さらには地方公務員の大量解雇と地方経済への悪影響を指摘しています。(憲法との絡みはさらに吉田健一団員の投稿をご覧ください。)

 団本部から、各政党と大手メディアのほか、今回は主だった地方紙にも意見書を郵送しています。が、この問題は切り捨てられようとする府県からの意見がもっとも効果があるかと思いますので、意見書を活用して地方議会への働きかけ等、取り組みをお願いします。

二 五月集会分科会のご案内

 すでに概要は団通信で発表されましたが、今年の五月集会分科会もパネルディスカッション形式でおこないます。コーディネーターは久保木亮介団員(予定)、パネリストは、関川村村長、国土交通労組役員、尾林芳匡団員です。

 本分科会は、最新の情勢の報告と団の取り組みを交流するだけでなく、道州制に立ち向かう自治体の方や労働組合のみなさんとのコラボ企画となっております。二日目は人が減りがちではありますが、どうぞお集まりください。

三 五月二四日院内集会のお知らせ

 五月集会が終わると、すぐに院内集会があります。このころには自民・公明・その他で道州制基本法案を提出して審議に入っている可能性がありますので、緊迫したなかで迎えます。詳細は別途、団通信または各MLでお知らせいたしますが、まずは手帳のご確認を!

 日 時:五月二四日(金)一三時三〇分〜

 場 所:議員会館(衆議院か参議院かは追ってお知らせ)


裁判所による若手弁護士向けの研修について

神奈川支部  杉 本   朗

 二〇一二年総会で配付された愛知支部の特別報告集で、名古屋地裁が新規登録弁護士に対する研修会を裁判官が講師となって実施することについての協力を愛知県弁護士会に求めてきた、ということを、森山文昭団員が報告していた(自由法曹団愛知支部二〇一二年特別報告集二頁)。

 実はどうもこれは、地裁単位のローカルな問題ではなく、全国的なトレンドのようである。大阪でも、右陪席が中心となった新人弁護士向けの学習会をやっているというし、横浜弁護士会でも、この三月から実施が始まった(対象は、登録一〇年未満の弁護士)。連続三回で、訴状・答弁書、準備書面・争点整理、事実認定・証人尋問をそれぞれテーマとし、部総括が講師となる。

 この話が、横浜地裁から横浜弁護士会に来たとき、所長がそういうことをやりたがっているんですか、と裁判所に尋ねてみた。神奈川県では、民事裁判懇談会というローカルな懇談会を年に数回やっている。裁判官、書記官、弁護士などが一〇〇人近く集まって、決められたテーマについて議論をするのである。そういったものの若手版をやってみたいのかなぁと思って尋ねたのである。

 すると裁判所の答は、所長レベルの意向ではなく、もっと上の方からそういったものを各地でやったらどうかなぁ、というような話があったようななかったような、というものだった。

 なんでも、最近の書面には目に余るものがあり、このまま放置しておいては円滑な訴訟進行に問題がある、と考えてのことのようである。目に余る例について、二、三聞いた限りでは、全く申し訳ありませんとしか言い様のないものであった。

 一般論として裁判官は勉強が出来るので、裁判実務のあり方について裁判官から弁護士が話を聞くというのも悪くはないだろうし、双方が協働してよりよいプラクティスを作り上げるのは、進められていいことだと思う。

 ただ気になるのは、弁護士の仕事について裁判所が理解した上で、新人弁護士に向けて話が出来るのか、という点である。法科大学院生の勉強でも、修習生の勉強でも、基本は裁判官の作業である。与えられた事案を、要件事実に照らしてパラフレーズし、権利の存否を決定する、という作業である。いくら最近は言い分方式とか、原告の主張、被告の主張をそれぞれ考えろ、とかいう風にやっているといっても、基本的な構成は変わらないと思う。弁護士の仕事はそうではなく、依頼者を背負って、その「言い分」を本人から聞き取って構成し、依頼者の利益の極大化を図ることである。

 法律相談を受けて「それは法律上(或いは判例上)認められません」という答は、試験では合格かもしれないけれど、法律相談としては及第点は貰えない。

 自分を振り返ってみても、弁護士になったころは、「判例上だめですね」的な回答をしていたような気がする。そうじゃないんだよ、と教えていくのは私たち先に弁護士となった者の仕事である。

 先日神奈川で行われた若手弁護士向けの研修会に、担当委員長という職権を濫用して(登録一〇年未満ではないにもかかわらず)出席してきた。講師は、研修所教官も務めたこともある部総括で、困った訴状・答弁書のアンケートを各部にとり、それに基づいて話をされて、なかなか充実した興味深いものであった。

 各地で同様の取り組みがこれから行われると思う。団員のみなさんには、ぜひそのような企画に積極的に関わって自己研鑽に励むとともに(実際、裁判官の話を聞いていて、ほほう、と思うことは多々ある)、裁判所から見た「いい子ちゃん」弁護士の育成にならないよう、関心を持っていただきたい。また、経験豊富な団員が、ぜひ講師となって研修会を開き、若手弁護士向けの研修を実施していただきたい。


シンポ「原発輸出と住民の権利 ―ベトナムを中心として」のご案内

東京支部  川 人   博

 日本からの原発輸出が重要な国内問題・国際問題となっている。三・一一原発事故の教訓をふまえ、日本が海外に原発を輸出することについて、その是非を含め、どのように考えるべきかを現地住民の視点からもよく検討し、弁護士・弁護士会が果たすべき役割を検討すべく、「日本からの原発輸出と現地住民の権利−ベトナムを中心として」と題し、東弁が主催、日弁連・一弁・二弁が共催でシンポジウムを行います。

(私が、東弁人権擁護委員会国際人権部会長として実務を担当しています。)

 日 時 二〇一三年五月二三日(木)午後六時〜午後八時二〇分

 場 所 弁護士会館三階三〇一室

 パネリスト 伊藤正子氏(京都大学大学院準教授)

       伴 英幸氏(認定NPO法人原子力資料情報室共同代表)

       中野亜里氏(大東文化大学教授)

 三・一一福島原発事故は、日本及び世界の原子力発電政策の見直しを根本から提起した。日本では、国内の原発政策については三・一一以前と比して様々な見直しがすでに開始され、議論が継続している。しかしながら、日本の海外に対する原発輸出の是非に関しては、ほとんど国民的な議論がなされないまま三・一一後も従前の輸出政策が継続されている。ベトナムに関しては、三・一一前の輸出政策が現在も踏襲されている。こうした動きに対して、ベトナム現地では影響を受ける住民たちの意思が反映されず、また、有識者による原発政策の是非についてベトナム国内での表現の自由が制限されているとの指摘がなされている。

 伊藤正子氏は、これまで、ベトナムの原発立地予定地に足を運び、現地住民の視点から日本による原発輸出の実態について調査研究し、日本社会に対して問題提起を行っている。同氏の講演では、現地の写真等も含めてわかりやすく問題点を提起してもらう。

 討論の中で、伴英幸氏には日本の原子力政策全体の中での原発輸出の位置について、分析した報告をしてもらう。また、このテーマについて調査研究している中野亜里氏からの報告・意見を出してもらい、議論を深めていきたい。

 会場は一〇〇名以上入れます。多くの弁護士・市民の方々のご参加を期待しています。

 このシンポジウムに関する問い合わせは、

東京弁護士会人権課(〇三―三五八一―二二〇五)まで。


九六条改悪阻止に向けて創意工夫を

千葉支部  守 川 幸 男

一 情勢の見方について

 安倍内閣の改憲戦略は、解釈・立法改憲と明文改憲の二段階戦略であり、後者についても九六条先行論である。安倍内閣も、いま直ちに九条改悪を強行できる力関係にないことは自覚しており、私たちは国民の力に確信を持つ必要がある。あわせて言えば、国民の運動や要求によって三年前の民主党のマニフェストに国民の要求の多くを書き込ませた国民の力自体は確信にしてよい(その後の変節は財界、アメリカの圧力の結果であり、要するに、財界、アメリカの力と国民運動の力の対抗関係のもとで政策が決まっていくのである)。

二 千葉県弁護士会主催の憲法市民集会のご報告

 三月二三日(土)午後、千葉県弁護士会が主催した「平和憲法の危機を語る―主権者としてどう考え行動するか」と銘打った憲法市民集会は、三〇〇人強の会場に立ち見やあきらめて帰る人も出る大盛況であった。これは多くの国民の危機感の反映であった。これまで憲法市民集会は、第一級の講師をお呼びするのに、人が十分に集まらないことがかねてからの悩みだったのである。

 原発被害者・弁護団の訴えのあと、渡辺治さんが「安倍新政権の改憲の狙い、いかに立ち向かうか」と題して、予定を大幅に超える二時間近い力の入った講演をし、その後の質疑応答も熱のこもった四〇分間であった。

五月集会では渡辺治さんの記念講演が予定されているが、前項はそのほんのエッセンスである。

三 創意工夫をこらした運動を

(1) ありとあらゆる行動を

 講演、学習会の講師、集会の企画、他の課題での集会や役員会などの際の短い訴え、若手の会などの組織化、アピール、声明、デモ、意見広告、新聞の声欄などへの投書、シール投票、紙芝居、詩、短歌、川柳、歌などなど。

 すべての人がすべてをやるわけにはいかない。それぞれができることをのびのびとやればよい。

(2) 訴える観点やアプローチの工夫

 原発反対に若者の参加多いのは、自分たちや子どもたちの健康と生活に直結するからであり、九条もそんな観点で訴える工夫をする。ダンス規制も憲法の観点から考えてみる。裁判も、憲法の観点から検討して憲法裁判として構成し、若手の弁護士にも参加を呼びかける。すでに行われてきた日の丸、君が代訴訟、一票の格差違憲訴訟、生活保護問題、ビラ入れ弾圧事件などだけでなく、最近いっせい提訴した原発訴訟、これまでも扱ってきた身近な民事裁判でも、憲法の(あわせて言えば、国際人権の)の観点からの討議による憲法訴訟化など。

 弁護士会活動の中でも、「九条を攻撃する政府は必ず二五条をないがしろにする」という立場で、憲法委員会が社会福祉委員会や貧困問題を扱っている若い弁護士たちに共同の取り組みを呼びかける。子どもの権利委員会は二六条、労働問題委員会は二七条、二八条、という具合である。さらに、現在の弁護士の経営難も、人口増の影響もさることながら、現在の社会、経済情勢の反映であって、多くの国民が格差と貧困にあえいでいるとき、弁護士がこれと無縁であるはずはない。

 これらは、この間の活動や弁護士会、事務所の中での討議で気づかされたことを含めてであるが、考え出したらたくさんあることに気づく。

 みんなで創意工夫をこらした運動を考えよう。

四 私のポエムに歌をつけてください(ちゃっかりお願い)

 次に「九六条変えたなら」というポエムを紹介する。渡辺治さんの講演一か月後を期して作った。私は作曲はしないが、作曲できる人はたくさんいるはずである。単純明快で歌いやすいフォーク調にしたらよいと思う。四番までつくり、四番目は一フレーズ多くした。歌詞を勝手に変えて歌ってもよい。どなたかこれに触発されて原発反対の歌を作ったらどうだろうか。

 勝たなければならないたたかい、勝つかも知れないたたかいである。できることはなんでもしよう!

  九六条変えたなら

一、九六条変えたなら
外堀内堀埋められて
本丸九条あぶないよ

戦争やればもうかるさ
親分アメリカくっついて
戦争する国おおこわい

二、九六条変えたなら
一〇〇ある憲法条文の
すべてが改定簡単に

単なる手続うそばかり
まずは解釈・立法で
改憲戦略見きわめて

三、九六条変えたなら
思想信条結社まで
公益おおやけ優先で

九条空気でなくなって
貧困若者軍隊へ
基地見学も取り締まり

四、九六条変えたなら
原発反対若者に
ねらい定めて取り締まり

だから貧困消費税
TPPと沖縄も
連帯国民連合を

主権者国民、政党を
育てる責任あるからね
市民と政党連帯を

 二〇一三年四月二三日
      もりかわうらゝ


神奈川における「九条の会」運動の今

神奈川支部  岡 田   尚

一 「九条かながわの会」の結成

 「九条の会」(二〇〇四年六月一〇日発足)のアピールに応えて、二〇〇五年二月二五日開かれた「『九条の会』をきく県民の集い」は、二つの会場に収容しきれないほどの五〇〇〇名を超える参加者で、大成功した。この熱気を受けて「県民の集い」実行委員会(事務局長は篠原義仁団長)の実務担当者の間でこの盛り上がりを一過性にとどめず、継続的な組織として、県段階の「九条の会」の結成を企図した。まずは「集い」の賛同人一三〇〇名の意見を聴くことから始めた。ところが、一部から「作るべきでない」との強力な反対意見が表明された。その趣旨とするところは、「『九条の会』の運動は個人が自身のまわりの個人と交流し、九条をまもる人の輪を深く無数にひろげる運動なのだから、地に足が付いた『九条の会』をつくり、広げるべきで、県なんて大きな宙に浮いた所に作るべきでない。」というものであった。「九条の会」運動が従来の護憲運動と決定的に異なっているのは、正に組織や団体が先にあるのではなく、個人が個人の立場で、住み、働いている地点で草の根的に繋ぎ合っていく運動であることは、誰にも異存のないところであった。重要な問題提起と受けとめ、結成を呼びかけた事務局サイドも「あせらず、急がず、幅広く」をスローガンに五回に渡る意見交換会(毎回六〇〜九〇名が参加)を経て、「県民の集い」から八ヵ月後の二〇〇五年一一月二日、その間の議論を踏まえ、「県段階の組織ではあるが、県内各地の九条の会に対し指令指揮するものではない」「カンパで賄う」「情報や活動の交流が主な目的である」「えばらず、命ぜず、押しつけず」を基本とすることを確認して、永六輔氏、小林直樹氏、ジェームス三木氏、森村誠一氏ら著名人一八人を呼びかけ人としてスタートした。

二 これまでの「九条かながわの会」の活動

 これまで、県内の「憲法九条を守る運動の交流会」は二八回、毎月一回の事務局(拡大)会議も七七回を数える。

 宣伝行動は、毎年五月三日、八月一五日に、横浜駅高島屋前でビラ配布中心に行い、学習会も「六月九条学校」「八月九条学校」と銘打って開催している。また、年一回の大イベントとして、講演会、分科会(原発・TPP・教科書採択・定数削減等)、フィールドワーク(基地巡り)、戸外での「九条まつり」等一〇〇〇名〜四〇〇〇名参加の催しを開いてきた。

 開催地も、二〇一〇年には横須賀市で「やっぱ九条inヨコスカ…基地の街から平和を考える」、二〇一二年には座間市で「輝け憲法、今こそ九条inざま…基地の街から平和をアピール」と横浜を離れ、地元の「九条の会」が横につながり、主体となって創意工夫ある多彩な企画の立案から実行まで担う拡がりをみせている。二〇一〇年には「かながわ女性九条の会」が中心となって、「愛Love九条 かながわ女性九条のつどい」に沢田研二さんをお呼びすることに成功した。チケットに希望者が殺到し、主催者は嬉しい悲鳴をあげていた。

三 運動の進展

 「九条かながわの会」出発当初の前記議論は、今や運動の進展のなかで克服され、各地各界の「九条の会」と連携しながら、県段階のネットワークの基地として(指揮指令はしないものの)、情報のみならず運動の方向性についても発信するという役割を果たしてきた。

 「九条かながわの会」の呼びかけで始まった前記横須賀・座間のイベントは、全て現地実行委員会の手で企画・実行された。座間では、座間のみならず相模原・厚木・大和・海老名・伊勢原等周辺の「九条の会」が合同で実行委員会を結成して、初めて連携をとり合った。また、「横須賀市民九条の会」が定期的にとり組んでいる地元選出国会議員への要請行動のバスツアーに「えびな九条の会」が参加するなど、各「九条の会」相互で連絡をとり合っての共同行動が展開されている。

 神奈川県内の「九条の会」運動は、開店休業のところが全くないわけではないが、大半は自分たちで何らかの活動を続け、鎌倉・相模原・横須賀・大和・藤沢・茅ヶ崎等は大きなイベントを独自で成功させている。

 発足当時の「集まり、学ぶ」から「繋がり、広く」、そして今この改憲を巡る急激かつ具体的動きに抗すべく「深く、根を張り」かつ「行動する」へと運動のステージは移ってきている。

四 参院選までの行動

 自民・日本維新・みんなの結託による九六条「改正」が焦眉の課題となっている今、「九条かながわの会」や団神奈川支部に、学習会、講演会の講師依頼が殺到している。これらの学習会等の開催の他、県内ではもっと広く連携を求める動きが具体化してきた。「九条かながわの会」は、県レベルの護憲団体である「憲法会議(事務局は団)」「憲法フォーラム(事務局は日教組神奈川高教組)」「憲法を守るかながわの会(事務局は社民党神奈川)」に呼びかけ、

(1)「九条かながわの会」が毎年五月三日の憲法記念日の午前中にやっている横浜駅西口高島屋前宣伝行動に、前記団体からの参加を得てリレートーク、ビラ配布を例年より盛大にやる。午後はそれぞれが主催する集会に参加する

(2)「九条かながわの会」主催六月一一日の「六月九条学校」にもパネルディスカッションのパネラーとして各団体から参加してもらう

(3)反原発デモ的な、自由参加のデモないしパレードを共同でやる

 等を企画している。

 第一次安倍政権の改憲の動きをつぶす中心となった「九条の会」運動が、再び今の危険な動きをつぶすため、その中核となる心意気で盛り上がりつつある。