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長澤  彰 二〇一四年 福井・あわら総会 特集
福井・あわら総会でお会いしましょう
―二〇一四年団総会へのお誘い―
海道 宏実 二〇一四福井・あわら総会へ是非ご参加を!
―ご当地紹介
吉川 健司 半日旅行へのお誘い
吉川 健司 一泊旅行へのお誘い
横山  雅 (一〇月一八日(土)プレ企画) 新人・若手学習会
【第一部】
大衆運動における弁護士の役割
〜弾圧事件の弁護活動を考える(仮題)
吉川 健司 (一〇月一八日(土)プレ企画) 新人・若手学習会
【第二部】
二〇一四年五月二一日に言い渡された大飯原発三、四号機運転差止訴訟の福井地裁判決について



二〇一四年 福井・あわら総会 特集

福井・あわら総会でお会いしましょう
―二〇一四年団総会へのお誘い―

幹事長  長 澤   彰

 今年の団総会は、一〇月一八日(土)(プレ企画)〜一〇月二〇日(月)、福井県あわら温泉の「清風荘」で開催します。福井県での開催は、一九九七年五月集会・芦原温泉、以来となります。

 団総会では、この一年間の団活動を総括し、あらたな方針について分散会で討論を行います。この一年間の特徴は、一三年一二月の秘密保護強行採決、国家安全保障戦略、防衛大綱と中期防の見直し、武器輸出三原則撤廃、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を行ない、今後、日米ガイドライン見直し、辺野古新基地建設も進められています。安倍政権は、「戦争する国家」つくりを着々と進めています。
 安倍政権は、経済政策では、アベノミクスと消費税増税を実施しました。その結果、一四年四月〜六月のGDPは、年率六・八%減と大幅に低下し、三月までの駆け込み需要を一気に下回りました。 要因は、個人消費が過去最大のマイナスになったことが大きく影響しています。実質賃金は、前年同月比で三%以上下落し、賃金上昇が物価上昇に追いついていません。
 以上の情勢をもとに、団総会の各分散会での討議のテーマは、次の通りです。
 憲法問題では、集団的自衛権行使容認、新ガイドライン制定、武力行使関連法案制定、辺野古新基地建設阻止、オスプレイ問題、選挙制度改正問題などについて、討議します。
 労働問題では、安倍政権は、労働者派遣法の大改悪、労働時間制の大改悪で「残業代ゼロ」を実現し、限定正社員制度、解雇の自由化、解雇の金銭解決制度の導入をはかろうとしています。労働問題の現状と課題について、討議します。
 警察・弾圧問題では、盗聴法拡大と司法取引制度導入が問題となっています。法制審議会の「新時代の刑事司法制度特別部会」は、「答申案」を決定しました。問題点は、盗聴法の範囲を従来四種類からさらに詐欺、窃盗など九種類を拡大します。通信傍受のやり方も、第三者の立ち合いは不要とし、電話会社に行かなくとも検察・警察でも聞くことを認めるものです。さらに、司法取引と刑事免責制度の導入を認めています。共犯者の誤った自白、証言が、数多くの冤罪事件を生み出してきたことから、到底認める訳にはいきません。盗聴法拡大と司法取引の問題点について討議します。
 原発問題では、安倍政権は「エネルギー基本計画」を閣議決定し、原発を「重要なベースロード電顕」と規定し、原発の再稼働をはかろうとしています。原子力規制委員会は、九州電力川内原発一号機・二号機について、「原発の親規制基準に適合している」として、事実上、審査合格のお墨付きを与えました。福島第一原発の現状は、新しい汚染水除去装置の故障が相次ぎ、地下トンネルの凍結止水作業では、凍結しない問題が続いています。福井地裁は、一四年五月、大飯原発三・四号機の運転差し止めを認める画期的な判決を下しました。原発問題の現状と課題について討議します。
 教育問題では、一四年六月、教育委員会制度を改悪し教育の政治介入を進めました。教科書検定基準「改正」を定め、教科書に政府見解を取り上げることなどを決めました。今後は、道徳の教科化、六・三・三・四の学制の見直しなどを進めます。教育問題について、討議します。
 TPP交渉参加問題では、一三年上半期から一四年上半期にかけて、参加一二か国の閣僚会合、首脳交渉による会合が、ブルネイ、シンガポールなどで開かれ、日米間での二国間実務者交渉もなされてきました。一部報道によると、農産物のうち、牛肉・豚肉・砂糖の関税がほぼ撤廃に近いレベルまで合意に至っており、その他の事項でも既に合意済とのことです。TPP交渉阻止について討議します。
 他にも、貧困問題、国家戦略特区問題、カジノ問題、給費制復活問題などについて、分散会で討議を行います。

 一〇月一八日のプレ企画として、「新人・若手学習会」を行います。例年、新人学習会は五月集会のプレ企画として行なっていましたが、今年は、団総会のプレ企画で行います。本部企画として、「大衆運動における弁護士の役割」、福井支部企画として「大飯原発訴訟について」(仮案)を予定しています。新人のみでなく、若手も含め多数ご参加ください。

 団総会では、古稀団員の表彰も行います。今年は、三三名の団員が古稀を迎えます。
 半日旅行と一泊旅行も、行います。
 福井・あわら温泉で是非お会いしましょう。


二〇一四福井・あわら総会へ是非ご参加を!
―ご当地紹介

福井県支部  海 道 宏 実

 「うらら、ごっつお よういしてるで ぎょうさんきなさるの まってるわ まだなら はよしねま」(福井弁)
 標準語になおすと、「私たち、ごちそうを用意しているので、多くの方の参加を待っています。まだの方は早くしてください」。福井は、県内でも方言が異なる(敦賀以西の嶺南地方は関西弁)独特の言語圏で、韓国語に似たイントネーション(語尾があがる)が特徴です。劇団民藝の創設者の一人である宇野重吉(寺尾聰の父)も、無アクセントの訛りを直すのには大変な苦労をしたそうで、彼を頼って民藝に応募した福井の若者に対して、「福井弁を直すのは大変だ。辞めなさい」と断ったという逸話もあるくらいです。

 幸福度ランキング一位の秘密を探せ!
 二〇一四年一月に発表された「全四七都道府県幸福度ランキング」(寺島実郎監修、日本総合研究所編)によると、今年もなんと三二年連続で福井県が「幸福度ランキング」で総合一位になりました。子どもの運動能力・社会教育費・待機児童率等で一位、平均寿命・自殺死亡率・学力等で二位と確かによい指標もあるのですが、地元民としてはいまいちピンと来ない点も多く、民主主義の度合いとしてはあの稲田朋美(百人斬り裁判の原告代理人、映画靖国の検閲を言い出し、今夏も閣僚として靖国参拝等)が圧倒的得票をとるような保守王国としてランキング最下位ではないでしょうか。

 源泉掛け流しの露天風呂とカニ、魚、日本酒
 総会会場は、芦原(あわら)温泉の清風荘です。北陸本線芦原温泉駅から車で一〇分の距離で、小松空港からも車で四〇分程度でアクセス可能です。芦原温泉は明治一六年に一人の農民が灌漑用水を求めて水田に井戸を掘ったところ約八〇度の温泉が湧出した比較的新しい温泉で、清風荘のおすすめは、北陸最大級の源泉(ナトリウムカリウム塩化物温泉)掛け流し庭園露天風呂と信楽焼の陶器風呂です。夕食では解禁前のカニが各自一杯出される予定?でカニむきの仕方を事前に調べて試してみてください。宇野重吉が富山の友人と飲んでいたとき「富山の魚はおいしい」と友人が言い張るので「その魚は福井から泳いで行った魚じゃ」と言った(富山の魚も負けず劣らずおいしいです)というくらい新鮮な海の幸も堪能いただけるはずです。そして何より自信を持っておすすめできるのが、米・水・空気の三拍子そろった(加えて人もいい)日本酒です。「梵」(「日本の翼」は政府専用機の機内酒です)や「黒龍」は全国の品評会で何度もトップ賞をとっていますし、最近では三つ星シェフのアランデュカスが「食材本来の味の邪魔せず引き立てる力がある。一歩引いて料理の脇を固める酒」と評価した毛利酒造の「毛利」も注目されています。懇親会では、このような福井をはじめ北陸の日本酒をご用意しています。

 あわら温泉でお会いしましょう!
 我が福井県支部は、富山・石川・福井の北陸支部から二年前にそれぞれ独立して結成されたばかりの若い支部です。団員は弁護士会会員九九名のうち一二名です。これまで弁護士会活動や北陸・県内の重要事件の弁護団の中心的な役割を担ってきましたが、支部結成後は、憲法・秘密保護法問題の講師・宣伝活動の先頭にたって県内の運動をリードしたり、五月二一日の大飯原発差し止め判決(五月集会での総会歓迎挨拶での勝訴予想発言が妄言にならなくて一安心でした)に代表される原発運動、労働・貧困問題での幅広いネットワーク構築の取り組み等、積極的な活動に踏み出しつつあるところです。福井県支部一同、総会に参加して皆さんと一緒に学びたいと考えています。是非一人でも多くの皆さんが総会に参加されますよう、「おもてなし」の心でお待ちしています。


半日旅行へのお誘い

福井県支部  吉 川 健 司

 福井・あわら総会の半日旅行は、福井の名勝東尋坊と、永平寺を巡る旅を企画しています。
 東尋坊は、柱状節理という五、六角形の柱状の割れ目がある珍しい奇岩で著名なところです。その高さは、水面から約二五メートルにもなり、柱状節理がこの規模で存在する場所は、東尋坊を含めて世界に三箇所しかないといわれています。二五メートルの高さから見下ろす岩壁は絶景で、そのすばらしさを楽しんでいただけるのではないかと思います。
 さらに、自由法曹団の半日旅行ですから、単なる観光では終わりません。東尋坊で自殺防止活動に取り組むNPO法人心に響く文集・編集局の代表をされている茂幸雄さんのお話を聞くことも予定しています。私も何度か茂さんのお話しを聞いたことがありますが、何度聞いても、新鮮な思いで、自殺防止のためにできることをしよう、という気持ちになります。HPもありますので、興味のある方は、事前にご覧になってはいかがでしょうか。
 東尋坊の後は、曹洞宗大本山の永平寺を見学する予定です。
 永平寺は、一二四四年に道元が建立した禅寺であり、昔から現在まで、多数の修行僧(雲水)が修行をしています。現在も約一五〇名の雲水が修行をしているそうです。また、山門・仏殿・法堂・僧堂・大庫院・浴室・東司のいわゆる「七堂伽藍」は、それぞれ歴史を感じさせる建物であり、一見の価値があります。約七五〇年もの間、修行僧が途絶えず、道元の教えが、今なお、多数の人を惹きつける理由の一端を、永平寺の見学を通じて感じとることができるのではないかと思います。
 多数の団員の半日旅行への参加をお願いいたします。


一泊旅行へのお誘い

福井県支部  吉 川 健 司

 福井・あわら総会の一泊旅行は、前半は半日旅行と同じく東尋坊と永平寺ですが、後半は、大飯原発を巡る旅を企画しています。
 前半の内容については、半日旅行へのお誘いをご覧ください。
 後半は、まず、永平寺の見学の後、若狭地方の名勝三方五湖の湖畔にある虹岳島(こがしま)温泉に宿泊します。虹岳島温泉は、福井県において唯一の「日本秘湯を守る会」の宿です。源泉かけ流しのラドン温泉と、温泉や部屋に面した水月湖の美しい風景を楽しめます。また、おいしい地酒と海の幸も十分に味わって頂けます。
 翌日午前中は、明通寺(みょうつうじ)に行き、中嶌哲演ご住職のお話を聞きながら、明通寺の案内をしていただく予定です。中嶌ご住職は、長年、反原発の住民運動に関わってこられた方で、二〇〇三年一月二七日のもんじゅ設置許可処分無効確認訴訟の控訴審勝訴判決、二〇一四年五月二一日の福井地裁大飯原発運転差止訴訟の原告にもなっている方です。どうして反原発運動に取り組むようになったのかというお話しを通じて、福井における反原発運動の歴史を知っていただければと思っています。なお、一〇月一八日のプレ企画においても、中嶌ご住職から、大飯原発運転差止訴訟に関するお話しをして頂く予定ですので、こちらにも参加して頂ければ、より深く反原発の住民運動について知ることができるでしょう。
 さらに、明通寺自体も、若狭地方で唯一の国宝に指定されている本堂と三重塔があるすばらしいお寺であり、その歴史的な建物は一見の価値があります。
 午後は、蘇洞門(そとも)に行く遊覧船に乗船して、その途中において、海側から大飯原発を見ていただく予定です。本来であれば、大飯原発自体を見学したいのですが、残念ながら、現在、関西電力は、大飯原発の見学を認めておらず、さらに、大飯原発のPR館である「エル・パーク・おおい」も休館中のため、海側から見ることぐらいしかできません。ただ、大飯原発が、小浜市から極めて近いところにあることは実感していただけることでしょう。
 もちろん、遊覧船の目的地である蘇洞門も、若狭湾における代表的な名勝であり、様々な奇岩、洞穴を楽しむことができます。
 一泊旅行を通じて、観光はもちろんのこと、自殺防止活動や反原発運動など、福井の住民の方々の社会問題への取り組みも知って頂きたいと考えております。
 多数の団員の一泊旅行への参加をお願いいたします。


(一〇月一八日(土)プレ企画) 新人・若手学習会

【第一部】
大衆運動における弁護士の役割
〜弾圧事件の弁護活動を考える(仮題)

事務局次長  横 山   雅

 歴史的に、時の政府の政策に反対する大衆運動は弾圧を繰り返されてきました。日本でも、過去には松川事件など多数の重大弾圧事件が発生してきました。
 民主運動団体(大生連や倉敷民商等)に対する弾圧事件が昨年から今年にかけて発生しており、大衆運動に対する弾圧は残念ながら現在も発生し続けています。
 民主運動団体と連携し悪法反対運動等の活動を行う自由法曹団員にとって、大衆運動を守り発展させていくために、弾圧事件の弁護の知識と技術は必要不可欠です。
 自由法曹団員は、これまで弾圧事件の弁護活動の中心を担ってきましたが、弾圧事件の弁護の知識と技術が若手の団員に十分に継承されていないのではないかという意見も出ています。
 そこで、本年度のプレ企画は、弾圧事件の弁護活動について、国公法弾圧堀越事件等弾圧事件の弁護活動の経験が豊富な石崎和彦団員に弾圧事件の弁護活動の心構えを講演いただき、会場にお越し頂いた皆様と設問を討論する形式で、弾圧事件の弁護活動を学べる機会にしたいと現在企画中です。どうぞ皆様奮ってご参加下さい。


(一〇月一八日(土)プレ企画) 新人・若手学習会

【第二部】
二〇一四年五月二一日に言い渡された大飯原発三、四号機運転差止訴訟の福井地裁判決について

福井県支部  吉 川 健 司

 まず、同訴訟の原告である明通寺(みょうつうじ)の中嶌哲演ご住職から、原告となった経緯や、訴訟における原告団の取り組みについてお話し頂き、その後、弁護団から福井地裁判決の意義について、簡単にお話しする予定です。
 中嶌哲演ご住職は、福井において長年反原発の住民運動に取り組んでこられた方で、二〇〇三年一月二七日言渡の控訴審判決で勝訴した高速増殖炉もんじゅ設置許可処分無効確認訴訟の原告でもあった方です。原発銀座とも呼ばれ、一五基もの原発が集中する若狭地方において、反原発運動に粘り強く取り組んできた経緯を知ることを通じて、住民運動と弁護団との協同のあり方を学ぶことができるのではないかと思います。
 多数の団員のプレ企画へのご参加をお願いいたします。