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今村 幸次郎 五月集会・特別企画
「辺野古新基地建設阻止に向けて」への参加を呼びかけます
宮井 誉子 広島でお待ちしています!
〜五月集会法律事務所事務局への参加呼びかけ〜
改憲阻止対策本部 *改憲・戦争法制阻止特集*
戦争法制・緊急学習会を開催します!!
諸富  健 ニューヨークタイムズに意見広告を!
長尾 詩子 中学校教科書採択にむけて
〜四年前の育鵬社教科書採択の教訓
市川 守弘 積丹岳遭難救助失敗事件
馬奈木厳太郎 国・東電の反対尋問もなんのその!
〜「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟第一一期日の報告
結城  祐 三月一二日の弾圧学習会に参加しての感想



五月集会・特別企画
「辺野古新基地建設阻止に向けて」への参加を呼びかけます

幹事長 今 村 幸 次 郎

一.辺野古新基地ノーは、オール沖縄の民意です。にもかかわらず、安倍政権は、壊れたレコードのように「粛々と進める」と繰り返し、建設工事を強行しています。沖縄防衛局が岩礁破砕許可区域外に投入した巨大コンクリートブロックは、無法に海底のサンゴ礁を破壊しました。翁長知事は、海底の現状を調査するため、三月二三日、沖縄防衛局に対し、建設作業の一時停止を指示しました。これに対し、同防衛局は、農林水産大臣に、作業停止指示の取消を求める行政不服審査と執行停止の申し立てを行いつつ、知事の指示を無視して作業を続行しました。農水相も、同月三〇日、作業停止指示の効力を停止する不当な決定を行いました。強大な権限を行使して建設作業を強行している国が県の停止指示を阻止するために、国民の権利利益救済のための法律を使うことは許されません。ましてや、国の申立を受けた国自身が一方的に県知事の指示を無効にしてしまうなどということは、公平公正を著しく欠くものであって、民主主義と地方自治を根底から否定する暴挙です(団は、三月三一日、これに強く抗議する団長声明を発表しました。団HPをご参照ください)。
二.三月の団常幹では、この問題に関し、「もっと全国から翁長知事を支援する声をあげよう」「支部で寄せ書きをして知事に送った」「五月集会でもこの問題を取り上げるべきだ」等の発言が次々に出されました。
 そこで、団本部として、沖縄支部の協力を得て、五月集会において、下記のとおり、特別企画「辺野古新基地建設阻止に向けて」を行うことといたしました。
 辺野古新基地建設阻止の運動を大きく盛り上げるため、多数の参加を呼びかけます。
三.なお、本特別企画は、「広島・安芸五月集会」全体のスケジュールとの関係で、五月一七日(日)の午前九時三〇分開始とさせていただきました。遠方からのご参加には、前泊が必要となります。本特別企画へのご参加とあわせて、是非とも、五月一六日(土)のプレ企画(同日午後一時〜、(1)将来問題、(2)新人学習会〔「団員として取り組んだ原爆症認定訴訟・核兵器廃絶運動」広島支部佐々木猛也団員、「時代遅れのダンス営業規制に引導を」大阪支部西川研一団員〕、(3)法律事務所事務局員交流会)にもご参加ください。
四.本特別企画の討議テーマ(案)は次のとおりです。
(1) 新基地建設をめぐるたたかいの現状
(2) 翁長知事の作業停止指示・行政不服審査をめぐる法的問題
(3) 埋立承認の取消をめぐる法的問題
(4) 団としてどう取り組むか(沖縄のたたかいと安倍政権の戦争する国づくりを阻止するたたかいを結び付ける運動の構築等に向けて)
 日時は、五月一七日(日)午前九時三〇分〜一一時三〇分です。
 多数のご参加と活発な討議をお願いしたいと思います。


広島でお待ちしています!
〜五月集会法律事務所事務局への参加呼びかけ〜

広島法律事務所 事務局 宮 井 誉 子

 今回の五月集会が二二年ぶりに広島で行われる!ということを去年から聞いてびっくりしておりました。今年は被爆七〇周年、終戦七〇周年です。この節目の大事な年に、広島で五月集会が迎えられることを誇らしく感じています。しかしそういえば、ここ数年はずっと五月集会に参加していませんでした。うちの事務所も何年か前までは事務所旅行と合わせて、五月集会に参加していたんだけど…。私が初めて参加したのは、法律事務所に入所してまもなく、確か一九九八年大分で行われた五月集会だったと思います。その翌年には仙台での五月集会に参加。その頃は入所して間がないこともあって、あまり理解出来ていませんでしたが、たった一つ、自由法曹団に所属している弁護士の先生方は、誰かが言わなければならないことを、代弁者となって、闘ってきた人たちなんだ!と思ったことを思い出します。
 五月集会の企画として、毎年、事務局交流会を設けていただいています。自由法曹団の事務所として頑張る先生方の仕事を理解し、我々事務局が一人で悩みを抱えないで、共感し合い、よし、明日から頑張ろう!と前向きになれる場として、大変画期的な企画だと思います。
 実は、中国・四国地方だけで、一九七三年から独自に事務局交流会を開催しています。私たちの事務局の先輩方が四〇年もの長きに渡って、独自で交流会を継続して、今年も二月に広島(宮島)で、中四国事務局交流会(一泊二日)を開催して、中四国合わせて二〇名の事務局員が参加をしました。初日は広島法律事務所の池上弁護士から自由法曹団と憲法についての講義をしていただき、その後事務局座談会、夜は懇親会。二日目は宮島観光をしました。
 日頃会うこともない、県外の事務局の方、初めて会う人もたくさんいますが、なぜか会ってお話をすると、打ち解け合って、ざっくばらんに話をすることができます。
 話をしてみると、団事務所の事務局ならではの悩みを抱えていたり、それ以外でも共通の悩みを抱えていたりします。また、各地の取り組みを聞くと、こちらが取り組んでいないこともしているんだな、うちの事務所も取り入れたいな、と勉強になるし日々の業務のヒントになったりします。また、勤務年数によって悩みの内容も違っていて、普段は話せなくて悶々としていたことも、お互い共通の話から、共感したり、解決の糸口を見つけることもあります。
 全国事務局交流会も中四国事務局交流会も、県をまたいで交流ができるというところがすごいと思います。普通では、市内の事務所ですらそんなに交流できないのに、県を超えて交流するなんて、県外の方とは知り合う機会がないし、難しいことです。この交流会が成り立っているのは、先代の諸先輩方の絶え間ない努力+自由法曹団という団体に所属している事務所だからこそできることなのだと思います。
 また、自由法曹団の事務局としてどんなことが出来るか、求められているか、私たち事務局はまだまだ社会情勢の勉強をしたり、気づかなければならないことがたくさんあるんだなあという刺激ももらえます。何より、こんなにたくさん同じ仲間がいるんだと思うだけで、明日への意欲の糧になります。私は、皆さんとお会いできたことがとてもうれしかったし、なにより、お話してたくさんの元気をもらいました。
 私にとっても久しぶりの五月集会です。この広島の地でたくさんの事務局の方にお会いできるることを、今からすごく楽しみにしています。奮ってご参加下さい! 今回の五月集会が二二年ぶりに広島で行われる!ということを去年から聞いてびっくりしておりました。今年は被爆七〇周年、終戦七〇周年です。この節目の大事な年に、広島で五月集会が迎えられることを誇らしく感じています。しかしそういえば、ここ数年はずっと五月集会に参加していませんでした。うちの事務所も何年か前までは事務所旅行と合わせて、五月集会に参加していたんだけど…。私が初めて参加したのは、法律事務所に入所してまもなく、確か一九九八年大分で行われた五月集会だったと思います。その翌年には仙台での五月集会に参加。その頃は入所して間がないこともあって、あまり理解出来ていませんでしたが、たった一つ、自由法曹団に所属している弁護士の先生方は、誰かが言わなければならないことを、代弁者となって、闘ってきた人たちなんだ!と思ったことを思い出します。
 五月集会の企画として、毎年、事務局交流会を設けていただいています。自由法曹団の事務所として頑張る先生方の仕事を理解し、我々事務局が一人で悩みを抱えないで、共感し合い、よし、明日から頑張ろう!と前向きになれる場として、大変画期的な企画だと思います。
 実は、中国・四国地方だけで、一九七三年から独自に事務局交流会を開催しています。私たちの事務局の先輩方が四〇年もの長きに渡って、独自で交流会を継続して、今年も二月に広島(宮島)で、中四国事務局交流会(一泊二日)を開催して、中四国合わせて二〇名の事務局員が参加をしました。初日は広島法律事務所の池上弁護士から自由法曹団と憲法についての講義をしていただき、その後事務局座談会、夜は懇親会。二日目は宮島観光をしました。
 日頃会うこともない、県外の事務局の方、初めて会う人もたくさんいますが、なぜか会ってお話をすると、打ち解け合って、ざっくばらんに話をすることができます。
 話をしてみると、団事務所の事務局ならではの悩みを抱えていたり、それ以外でも共通の悩みを抱えていたりします。また、各地の取り組みを聞くと、こちらが取り組んでいないこともしているんだな、うちの事務所も取り入れたいな、と勉強になるし日々の業務のヒントになったりします。また、勤務年数によって悩みの内容も違っていて、普段は話せなくて悶々としていたことも、お互い共通の話から、共感したり、解決の糸口を見つけることもあります。
 全国事務局交流会も中四国事務局交流会も、県をまたいで交流ができるというところがすごいと思います。普通では、市内の事務所ですらそんなに交流できないのに、県を超えて交流するなんて、県外の方とは知り合う機会がないし、難しいことです。この交流会が成り立っているのは、先代の諸先輩方の絶え間ない努力+自由法曹団という団体に所属している事務所だからこそできることなのだと思います。
 また、自由法曹団の事務局としてどんなことが出来るか、求められているか、私たち事務局はまだまだ社会情勢の勉強をしたり、気づかなければならないことがたくさんあるんだなあという刺激ももらえます。何より、こんなにたくさん同じ仲間がいるんだと思うだけで、明日への意欲の糧になります。私は、皆さんとお会いできたことがとてもうれしかったし、なにより、お話してたくさんの元気をもらいました。
 私にとっても久しぶりの五月集会です。この広島の地でたくさんの事務局の方にお会いできるることを、今からすごく楽しみにしています。奮ってご参加下さい!


*改憲・戦争法制阻止特集*

戦争法制・緊急学習会を開催します!!

改憲阻止対策本部

 三月二〇日の与党合意・共同文書の公表(「安全保障法制整備の具体的な方向性について」)をうけて、昨年七月一日の閣議決定を具体化する安全保障法制(戦争法制)の法案が五月一五日にも国会に提出されるといわれています。
 中国の台頭、アメリカのアジア戦略の変化など、日本をめぐる安全保障環境の変化を奇貨とし、安倍政権は、日本を戦争する国にするため、安全保障戦略の全面再編を目論んでおり、その最終段階として安全保障法制(戦争法制)の今国会での成立を狙っています。
 他方、三月一七日付けの朝日新聞の世論調査では、「今の国会に提出される予定の安全保障関連法案について、集団的自衛権を使えるようにする法案に賛成ですか。反対ですか。」という問いに対し、〈賛成三二、反対四四〉という回答であり、「自衛隊の海外派遣の制限を緩めたり、アメリカ軍など他の国の軍隊への後方支援をしやすくしたりして、自衛隊の活動を拡大することに賛成ですか。反対ですか。」という問いに対し、〈賛成三三、反対五二〉という回答であり、いずれも反対が上回っています。国民世論は、日本を戦争する国にすることを望んでいません。
 アメリカが海外で行う戦争に自衛隊が参加し、殺し殺されることになる安全保障法制(戦争法制)の危険な問題点を国民に明らかにし、成立を阻止するたたかいを全国に広めるために、まず私たち自身が戦争法制をしっかりと理解する必要があります。
 ぜひとも、緊急学習会にふるってご参加下さい!

四・一七 緊急学習会
日 時 四月一七日(金) 一八時三〇分〜
場 所 全労連会館二階
テーマ 「戦争法制が生み出す国」
講 師 田中隆団員
主 催 憲法共同センター、自由法曹団


ニューヨークタイムズに意見広告を!

京都支部  諸 富   健

 戦後七〇年を迎えた今年、安倍政権は着々と「戦争する国」づくりへと歩みを進めています。こうした動きに反対する市民の意思を表明したいということで、意見広告の話が出てきました。そして、ただ一般紙に載せてもこれまでと代わり映えがないということで、憲法記念日の五月三日にニューヨークタイムズに意見広告を出そうということになりました。
 二度と戦争をしないと誓って誕生した日本国憲法の恒久平和主義は、国民に対する約束のみならず、アジアや世界に対する約束でもあります。その日本国憲法が今まさに危機的状況にあるということを世界にアピールする、ニューヨークタイムズへの掲載はそんな思いが込められています。そして、今年の五月三日は、ちょうどNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議がニューヨークで開催され、世界各国の代表が集まりますから、タイミングとしても絶好の機会と言えます。
 この意見広告運動は、特定秘密保護法が施行された昨年一二月一〇日、九条の会事務局長の小森陽一さんをお招きしたキックオフ集会でスタートしました。そして、本年三月八日には、意見広告のために「殺すな 殺されるな」と揮毫していただいた聖護院門跡門主の宮城泰年さんに記念講演をしていただいたダッシュ集会を開催しました。こうした取組みを通じて、画家、映画監督、元国会議員、大学教員、医師、弁護士などなど幅広い分野の個人・団体から賛同を得て、二五の都道府県に上ります。京都発の全国運動にしたいという思いが実現しつつあります。
 ゴールまで一か月を切りました。さらに賛同の輪を広げて、「異議あり!『戦争する国』づくり」の市民の声を世界に向けて力強く発信したいと考えています。趣旨にご賛同いただける方は、末尾の口座に賛同金を振り込んでいただきますようお願いします。個人は一口一〇〇〇円、団体は一口五〇〇〇円です。賛同いただいた方・団体の名前は、五月中に発行予定の印刷物に記録し、掲載紙とともにお手元にお届けします。
 郵便振替口座 〇一〇七〇―三―四四九三九
 京都障害児者の生活と権利を守る連絡会


中学校教科書採択にむけて
〜四年前の育鵬社教科書採択の教訓

東京支部  長 尾 詩 子

第一 はじめに
 二〇一一年、地元大田区では、中学校の歴史・公民の教科書で育鵬社版教科書が採択されました。
 そして、四年後の今年の夏、中学校教科書採択があります。
 安倍内閣が憲法改悪を強行しようとしている情勢下、自民党改憲草案に沿った教科書である育鵬社版教科書など「つくる会」教科書の採択にむけて、日本教育再生機構は一二万冊以上、一〇%を公言し、四年前以上に採択にむけて一層取組を強めています。
 今年夏までの採択阻止の団員のみなさんの活動の参考にとの思いで、四年前の採択の教訓をお伝えしたいと思います。
第二 四年前の採択を振り返って
 なぜ大田区で育鵬社の教科書が採択されたかについてですが、一言で言えば、憲法改悪を企む安倍内閣においてそれに沿った教科書を採択させる攻撃が強まっていることについての情勢が十分に把握できていなかったと思います。
 二〇一一年五月、育鵬社発刊記念シンポジウムにおいて、安倍は「安倍政権において六〇年ぶりに教育基本法を改正したことは私の誇りとするところ」「この教育基本法の趣旨をもっともふまえた教科書は育鵬社であると確認している」「現在シェアトップ、六〇%を超える東京書籍はとても教育基本法の趣旨を踏まえているとはいえない」「こうした『常識からかけ離れた教科書』が東京書籍のような大きなシェアを持つのはおかしいという『常識』を我々はこれから発信していこうではないか。みなさん、育鵬社が今夏の採択で大きな成功を収めるよう、一緒にがんばりましょう」という、力のこもった挨拶をしています。
 しかし、そのような情勢の分析よりも、教育委員に非常に信頼できる弁護士がいたということを重視して、「他区はともかく大田区では育鵬社版など「つくる会」の教科書が採択されることはない」という思いこみがありました。
 その思いこみ故に、状況の分析が甘くなり、PTA出身の教育委員が日本会議所属ということも当時は情報入手していませんでした。また、六月から七月にかけて行われる教科書展示会の市民のコメントでは育鵬社版教科書賛成が反対より上回っているなどとは思いもしませんでした。
 さらに、大田区で教科書採択運動の取り組んでいる活動家のみなさんは、「大田区では育鵬社版教科書は採択されない」との思いこみの下に前日まで他区のビラまきに参加していました。
 そして、八月の採択では、教育委員五名中、育鵬社版教科書に賛成四、反対一の多数決で、育鵬社版教科書が採用されることとなってしまったのです。
 新しい歴史教科書を作る会などは、今年の採択について「現在の状況は絶好のコンディション、国家に与えられた最後のチャンス」、「教育再生の成否は来年(注:この発言は二〇一四年に行われているので、今年を意味します)の採択結果にかかっている」などと主張しています。そして、上記のとおり日本教育再生機構は一〇%・一二万冊以上という目標設定をしているのです。
 この「つくる会」教科書推進派の方針からも、四年前の大田区の教訓からも、「四年前に採択されなかったから今年も育鵬社版教科書が採択されることはないだろう」という判断はやめて、今年の夏まで教科書採択取り組むことは極めて重要だと思います。
 特に、首長が教育再生首長会議に所属していることが判明している地域及び首長が日本会議に所属している地域は、危機意識を持ったほうがいいと思います。今年四月一日から教育委員会制度が変わり、首長が総合教育会議の場で教育委員と協議することができるようになった事などに鑑みても、首長の意向が教育委員会に影響する可能性が高いからです。
 また、日本会議所属の議員がいない区市町村はほとんどないと思いますが、同議員が一定数いる地域も危機意識を持ったほうがいいと思います。地方選挙では日本会議所属の新人候補が多く出るとも聞いています。今いない地域でも、選挙の結果は分析したほうがいいかもしれません。
 なお、大田区長は日本会議に所属してはいませんし、教育再生首長会議にも出てはいませんが、区議五〇名のうち日本会議所属区議は七名です。この七名のうちには待機児童問題に理解を示して運動に助言するような議員もいます。
第三 何をするのか
一 教科書採択にむけて大まかな流れは、

・五月には教育委員会に見本本が届き、同月から七月頃にかけて教科用図書選定審議会、採択地区協議会が開かれ、同時並行で教育委員会も開催される。
・六月から七月のどこかで、見本本を市民が見て意見が書ける教科書展示会が行われる(地域によって異なるので、各地で開催時期を確認することが必要)。
・八月三一日までに教育委員会で教科書採択。
 となります。
(詳細なスケジュールは、子どもと教科書全国ネット21が情報発信していますので、そちらを参考にしてください。)
二 私たち法律家に求められていることは、
(1)見本本を早くに入手し、育鵬社等「つくる会」教科書の問題点を分析すること(もっとも、「つくる会」教科書は昨年七月一日閣議決定等を踏まえより酷くなることはあっても改善はされないと思いますので、現在使用教科書を分析して、学習会などを行ったり、運動組織を立ち上げるなどして、八月にむけて運動を盛り上げていくことは重要だと思います)
(2)(1)をありとあらゆる手段を使って教育委員に伝えること
(3)(1)を地域のみなさんに伝えて、六月から七月にかけて行われる教科書展示会に足を運んで意見をあげること、教育委員会を傍聴することを中心に、世論を盛り上げることだと思います。
 これを中心としつつ、教科書採択にむけて現場の教員の意見を反映することや教科書展示会をより市民が意見をいいやすい場にすること等教科書採択制度にむけての改善要求をしていくことも行っていくべきだと思います。
 団の教育問題委員会では、教科書PTを立ち上げ、MLを作り、情報交換していますので、各支部から少なくとも一名参加していただき、情報入手し、運動が立ち遅れないようにすることは重要だと思います。
第四 最後に
 ぜひ、育鵬社版の歴史・公民の教科書を手にとり読んでみてください。日々憲法を護り活かす活動をしている団員にとって、特に公民の教科書は驚くような内容です。
 日本国憲法の章の扉のページの写真は、他社は投票や沖縄の写真ですが、育鵬社は天皇の写真です。
 日本国憲法の基本原則の節では、立憲主義については記載がなく、「社会の秩序を維持し、みんなの自由や安全を守るためには、ときとして各が少しづつ不自由をがまんする必要があります。」と記載されています。
 大日本帝国憲法については「アジアで初めての本格的な近代憲法として内外ともに高く評価されました」と高く評価し、大日本国憲法発布のイラストに添えられた女の子のイラストの吹き出しには「五箇条の御誓文の理念は日本国憲法にも生きているのかしら。」という意味不明なコメントが記載されています。
 そして、日本国憲法については、GHQがなぜ政府案を拒否したのかについて理由の説明がなく、まさに「押しつけ憲法」という印象を受ける記載をしています。
 国民主権と天皇の項目では、国民主権より天皇についての記載、写真が多く、国民主権が実感できない内容です。
 そして、平和主義では、当然のように迷彩服を着た自衛隊の写真があり、「多くの国民が自衛隊の存在を肯定的にとらえていることがわかります」というコメントがあり、昨年の閣議決定以前であるにもかかわらず集団的自衛権が憲法違反ではないという解釈が記載されています。憲法で国防の義務を課している国があることがわざわざ紹介されています。   
 そして、他社版教科書にはない大きな特徴として、「憲法改正」について一項目をつくっています。憲法改正は是か非かではなく、憲法改正を前提にした記載となっています。
 読む度に、育鵬社版教科書は、子ども達を自民党の憲法改正草案の理念を学ばせるための教科書なのだと思います。
 中学校の教科書採択が行われる八月までもう半年を切りました。一括法案反対、労働法制改悪反対などたくさんの課題を抱えていますが、子ども達が育鵬社等「つくる会」教科書で学んでいくことは、現行憲法を否定する理念の下に「不自由をがまんして」権利や自由を主張しない国民になっていくことであり、やはり重大な課題だと思います。憲法改悪反対と一体の問題として、「つくる会」教科書採択阻止運動を取組むことを提起します。 
 見本本入手するとか教育委員に接触するなどといった内容が日本会議側に知れて(もう予想はしているとは思うのですが)、見本本入手がしにくくなるとか、各地で教育委員への接触を禁止するなどといった「規制」につながってはいけないと思いますので、HPでの公開は避けていただきますようお願いします。


積丹岳遭難救助失敗事件

北海道支部  市 川 守 弘

一 事件の概要
 二〇〇九年一月三一日、Aさんはスノーボードをするために他の二名と共に積丹岳に登った。他の二名は途中で下山したがAさんだけは山頂に向かった。午後一時過ぎに天候が変わり、ホワイトアウトになったためAさんは山頂近くでビバークをした。ツェルトやスコップ、非常食などビバーク用品は持参していた。先に下山していた仲間は警察に通報し、下山途中に一人が遭難したとして救助を要請した。道警本部は山岳救助隊に指名されていた救助隊員五名を招集し現地本部が置かれた余市警察署に向かわせた。救助隊員らは午後八時頃麓に設けられた前線基地に到着し、民間協力者、消防組合員らと捜索の打ち合わせを行い、翌早朝雪上車で現場に向かうことにした。その際Aさんが知らせてきたビバーク地点のGPSデータ(日本測地系)を知ったが、日本測地系か世界測地系かの確認をすることなく、世界測地系での位置と考えていた(このため五〇〇メートルほどずれてしまった)。
 翌朝五時過ぎに救助隊員五名は雪上車で捜索に向かったが、途中雪上車での登攀をあきらめツボ足でデポ旗をたてつつ登り始めた。 一〇時前にGPSの位置に到着したもののAさんがおらず、周辺を捜索することにした。二時間後ビバークしている隆一を発見したが体力は消耗していた。
 そこで、救助隊員五名でAさんを抱えるように下山を始めたが、東に向かうべきところを南に進み、五〇メートル先にあった雪庇を踏み抜き二〇〇メートルほど滑落した(二次遭難)。その後、Aさんはさらに低体温症になり、ストレッチャーに収容し、隊員らが斜度四〇度の斜面を手でストレッチャーを持ちながら直登した。一時間で五〇メートルしか進まず、救助隊員の体力も消耗したため、ストレッチャーを持つ隊員を交代するため、Aさんを収容したストレッチャーを一本のハイマツにひもで結び、その場には誰も居なくなった。その直後、ひもが外れてストレッチャーが斜面を滑って行った。これを見た救助隊員は、救助をあきらめ、全員下山した。
二 判決
 原審は、救助隊員らが方向を九〇度間違えて進み雪庇を踏み抜いた点に過失を認め、約一二〇〇万円の賠償を認めた。北海道警察側はこれを不服として控訴し、こちらは付帯控訴した。控訴審は三月二六日判決があり、ストレッチャーをハイマツに結んだ点、その場を全員離れた点に過失を認め、さらに過失相殺の割合を変更して、一八〇〇万円の賠償を認めた。
三 問題点
 前記した事案の概要を見ると、救助隊員らは「決死の覚悟」で救助しており、過失は認められないのではないか?と思う方もいるかもしれない。そこでまず一般的な山岳救助について述べておく。 立山を抱える新潟県警、アルプスを控える長野県警などはそれなりに有名であるが、日本では基本的に専門家集団としての公的な山岳救助隊は存在しない。民間の救助隊は労山が有名である。本件で労山の救助隊が出動すれば、四〇人体制で、一次捜索隊の次に二次捜索隊を出動させ、テント、コッヘルなどのビバーク用品はもとより、多くのロープ、カナビナなどの器具を装備して万全の態勢で救助に向かったと思われる。道警救助隊は、山を知らず、まともな救助訓練も受けていなかった。それは最近の全国の救助方法に問題があり、とにかく発見してヘリを呼ぶ、というだけの救助で、要救助者を安全に下山させるという救助方法をとっていないからでもある。本件でGPSを読み間違えたり、進行方向を九〇度も間違えたり、ストレッチャーをロープと滑車で簡単に引き上げる方法を知らなかったり 、とにかく山の素人が見てもお粗末な救助だったのである。自ら二次遭難を引き起こしたのはその最たる例であろう。
四 本件での過失認定
 原審は、九〇度方向を間違えた点を過失とした。これは山の入門書でさえ、視界が悪いときの進行方法として、一人が後ろに止まって磁石を見ながら他の人が進む方向を確認し、見えなくなる寸前で他の人に止まっていてもらって追いつく、これを繰り返すことによって正しい方向に進めるとされている。しかし本件救助隊は、全員一緒に進んでしまったため、たとえ磁石を見ていても基点自体が動いてしまうのだから方向を間違うのは当然である。
 控訴審は、より直近過失として雪庇を滑落後の救助方法を問題とした。ハイマツはしなりやすいので、ロープを結ぶときは根元に結ばなければならないが、それをしなかった。しかも結ぶ方法が山で一般にとられている、引っ張れば引っ張るほど輪が締まる結び方ではなく、引っ張られても輪自体は締まらない方法で結んだ。そのためハイマツを容易に輪が抜けてしまう。また支点をもう一つスコップなどでとれば、ハイマツが外れてもストレッチャーは落ちなかった。さらに誰かひとりをストレッチャーにつけていれば、落ちそうになった時すぐ確保できたのに、全員その場を離れてしまった。これらの過失を高裁は認め、過失割合も変更したのである。
五 本件の意義
 遭難事故では、今までガイドや引率者の責任が問題であったが、はじめて警察救助隊の過失を問題にし、それを認定した事件である。
 前記のように、山岳救助隊のあり方が、安易なヘリ救出方法になっている現在、正しく救助する山岳救助隊を組織していく必要は高い。特に高齢者の登山が百名山ブームで激増している状況で、正しい山の理解と山岳技術を持った救助隊の設立が求められている。本件の判決は、このような現状に一石を投ずるものと考えている。


国・東電の反対尋問もなんのその!
〜「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟第一一期日の報告

東京支部  馬奈木厳太郎

一 多彩な顔ぶれが集まった事前集会
 三月二四日、「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の第一一回期日が、福島地方裁判所において開かれました。この日も、国と東電から書面が提出されました。
 国の書面は、原告が、平成三年の事故(配管から水が漏れ非常用ディーゼル発電機が浸水した)を受けて、津波による浸水など外部事象から電源設備を守る対策をとるべきであったにもかかわらず対策をとらなかったことをもって違法とする点について、平成三年の事故と今回の事故とはメカニズムも規模も違うものであり、内部からの浸水と外部浸水とは評価も対策もまったく異なるとし、シビアアクシデントについても、平成二四年の法改正に至るまでシビアアクシデント対策は法規制の対象となっていなかったので、そのような規制に基づいて対策をとるよう命令を発する規制権限を有していなかったとするものです(準備書面一〇)。
 また、原告本人尋問について尋問予定者が原告らの被害類型を代表しうるものなのか不明である、陳述書が出揃わないと尋問の要否について意見が言えないとしています(人証申出に対する意見書)。
 東電の書面は、原告本人尋問について、原告らに共通する被害を立証するためのものであるので一〇数名の尋問で足りるとし、尋問対象者は市町村などまとまりのある地方につき一名を選べばよいとし、自死遺族については個別性が強く共通被害の立証には不適当であるから尋問対象者から排除すべきだとするもの(原告本人尋問の申出に対する意見書)、専門家証人の証人尋問についてはすでに多数の文献などが書証で提出されていることから不要であるとするものです(人証申出に対する意見書)。
 期日当日は、三月下旬にもかかわらず三度と寒く風も強い一日となりましたが、あぶくま法律事務所前には約四〇〇名の原告団・支援者が集まりました。前回に引き続き、映画『あいときぼうのまち』の脚本を務めた井上淳一さん、ラジオ福島アナウンサーの大和田新さん、元NHKキャスターの堀潤さん、東京演劇アンサンブルの劇団員二四名が駆けつけたほか、「原発なくそう!九州玄海訴訟」弁護団から板井優団員、東島浩幸団員、椛島敏雅団員、原発事故被害救済千葉県弁護団から藤岡拓郎団員、福島原発被害首都圏弁護団から平松真二郎団員にも参加していただきました。さらには、岩波新書『原発と大津波 警告を葬った人々』の著者である添田孝史さん、おしどりマコ・ケンさん、かもがわ出版編集長の松竹伸幸さんも参加され、法廷に入りきれなかった方々が参加する講演会の講師である同志社大学教授の浜矩子さんも横断幕を持って行進に加わっていただきました。多彩なゲストによるリレースピーチが行われ、長く列の続く行進で裁判所へと向かいました。
二 二名の専門家に対する反対尋問と被害評価に関する試案の提示
 この日の期日では、二名の専門家証人に対する反対尋問が実施されました。
 中京大学教授で社会学が専門の成元哲証人は、前回期日において、高線量地域以外でも様々な被害が出ていることを、アンケート調査など各種の調査結果から明らかにしていました。国と東電は、アンケート調査の方法や評価、日常生活の変化についての評価などについて尋ね、「育児のストレスや子供の問題行動で母親が抑うつ的になっているのではないか」などと、放射線と健康被害との関連をもっぱら薄める質問に終始。放射線被害に正面から向き合わない国と東電の姿が露わになりました。
 元中央大学教授で核燃料化学が専門の舘野淳証人は、前回期日において、安全の要としての冷却システムの脆弱性や、わが国における安全を軽視した原子力発電推進の歴史をふまえ、今回の事故の発生とその原因、事故の回避可能性などについて述べていました。これに対し、国と東電は、「スリーマイル事故後、調査報告書をまとめたことを知っているか」など舘野証人の専門外の知見のなさを裏づようと“探索的”な質問を繰り返しました。舘野証人は、これまで研究者と交流してきた蓄積から幅広い知見をもとに的確に回答。予見可能性に基づく対策を怠ってきた国と東電の責任を浮き彫りにしました。さらに、裁判所は補充尋問の場面で、平成三年に起きた福島原発の非常用発電機の水没事故に言及。舘野証人に対し、「この事故から何を教訓とすべきだったのか」と質問するなど、私たちが主張している非常用電源の「独立性」について関心を示しました。
 反対尋問に続く弁論において、裁判所は、精神的損害を評価するための指標を提示しました。提示されたのは、年齢、性別、事故時の居住地、避難の有無、事故時の職業など約一〇項目。昨年提示された指標では書き込まれていた「放射線量」の項目は今回カットされ、裁判所は、原告と被告の双方に対して指標についての意見を求めました。
 さらに、この日、私たちが申請していた都司嘉宣・元東京大学地震研究所准教授(地震災害学)の証人採用が決定されました。
三 次回期日に向けて
 次回期日では、都司証人に対する主尋問が行われます。専門家証人もすでに四名が採用され、専門家証人に対する尋問も佳境を迎えつつあります。
 立証段階に入った生業訴訟に、引き続きご注目ください。


三月一二日の弾圧学習会に参加しての感想

東京支部  結 城   祐

 この原稿を執筆しているのは、統一地方選を目前に控えた、桜咲き舞う時期である。
 さらに遡ること三月一二日、「自分の事務所の先輩達がよく弾圧って言っているけれども、そもそも弾圧って何?」な、期の若い弁護士(特に六七期)等を主な対象者とする、弾圧学習会が開催された。かなり内容の濃いものであり、充実していた。その概略と感想を記したい。
一 国公法弾圧堀越事件の公安警察の盗撮ビデオの上映
 まず、会場では、堀越さんが集合住宅等のエントランスからエントランスへと、ビラを配布するために移動するのを公安警察が追いかけ盗撮した時の映像が流された。
 堀越さんがビラを配布しようとするまさにその時、目の前を歩行者が通過した時など、警察官が「早く行けよ!行け!」などと言っている様子が流され、そのあまりに理不尽で恥ずかしい言動に会場で映像を観ていた者の多くが失笑を禁じ得ないものであった。と同時に、権力側の恣意的な権力行使により、いともたやすく市民の権利が侵害されるのだと知り、本当に恐ろしく身震いした。
二 講演「公職選挙法と市民ができる選挙運動・政治活動」
 講演者田中隆団員

 このように、権力側の恣意的な権力行使によりいとも簡単に市民の権利は侵害されるのであるが、それが特に先鋭化するのが、選挙期間中ではないか。公職選挙法の規定が不明確であるため、警察官の裁量が広くなり、その恣意的運用により反対勢力ほど狙われやすくなる、即ちある政党には許されることが、他の政党には許されないということが平気で行われるとのことであった。
 田中団員は、公職選挙法を学ぶ意義として、(1)禁止条項を厳格に解釈させ活動の自由を守り広げること、(2)弾圧・干渉や政治的攻撃から選挙運動や組織を守ること、の二つの側面を挙げた。昔は(2)が中心であったが、最近では(1)が重要になってきているとのことであった。また、公選法が多様な見方ができる以上、実際に相談を受けたときには、文言を一つずつチェックし、少しでも出来ると思わせることが、反対勢力の選挙への意欲を増幅させるとのことであった。
 とはいえ、我々新人としては文言を一つずつチェックしていったとしても、具体的に公選法上どの行為が禁止されるのかついてなかなかイメージが湧かないものであるが、具体例を多く挙げて解説して頂き、各自判別能力が学習会以前よりも上がったのは確実である。
 そして、本来選挙運動や政治活動は自由になされるべきであることを視座に置き、弁護士として法を最大限活かし駆使する必要性を痛感した。
三 講演「近時の弾圧・干渉の状況について」
 講演者加藤健次団員

 加藤団員からは、元会員が生活保護の不正受給を受けたことに端を発して、全国生活と健康を守る会連合会と全大阪生活と健康を守る会連合会までもが不正受給の共犯として捜査の対象となり捜索を受けたが、たとえ会員が不正受給していたとしても守る会自体は関係なく、まさしく目的が弾圧であるということを説明して頂いた。かかる説明を受けて、権力側は常に弾圧を行う機会を窺っており、その権力行使に対して常に目を光らせておく必要があると感じた。
 そして、弾圧への対抗に際して、いきなり法律論をかざすのではなく、ビラを撒いた方が悪いのか、撒いた方を逮捕した方が悪いのか、本質を探れ、とのお話も頂いた。本質が反対勢力への弾圧である場合に、弁護士としては法律を盾に論戦を張り、自由を獲得していく必要がある。
四 まとめ
 公選法は司法試験の勉強等で一度目をすることはあっても、その内容については殆ど知らない者が多いはずである。今回この学習会に参加してみて、自分の知識不足を恥じるとともに、しっかり勉強をして準備をし、いざとなった時にすぐに動ける体勢を作っておく必要があること強く意識するようになった
 非常に有意義な学習会でした。ありがとうございました。