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井上 洋子 *ナショナルロイヤーズギルド特集*
ナショナルロイヤーズギルドで日本問題分科会をもちました
喜多 自然 NLG総会で日本の問題について連帯の機会を持ちました
川本 美保 NLG総会に参加して
尾崎 彰俊 フレンテ未払い賃金判決(下)
〜三角形の秘密はね♪〜
後藤 富士子 「お父さん、お金持って帰ってくるだけやないの」
――「婚姻費用分担」を考える
熏閨@ 暢 〈書評〉全ての人に人間らしい労働を



*ナショナルロイヤーズギルド特集*

ナショナルロイヤーズギルドで日本問題分科会をもちました

大阪支部 井 上 洋 子

 二〇一六年八月五日、ナショナルロイヤーズギルドのニューヨーク総会で、日本分科会をもちました。喜多自然団員(沖縄六一期)が沖縄の米軍基地問題、鈴木亜英団員(東京二〇期)が参議院選挙結果を含む安倍政権下の日本の概括的状況を報告し、司会進行を近藤ちとせ団員(神奈川五七期)、私(大阪四四期)が最初と最後の簡単な挨拶をしました。
 分科会には、予想を遙かに超えて、一六人ものNLGメンバーが参加をしてくれました。
 質疑も、日本本土の人は沖縄を支援しているのか、米軍基地のある他国の人と運動を連携しているのか、米軍基地の設立・維持費用をすべて日本が賄うことをどうして日本人は受け入れているのか、日米地位協定、基地の騒音の被害と国際法、環境法の問題、日本の憲法の改正は実行されるのか、右傾化していくのか、など活発にやりとりがなされました。
 また、主たる議題とは少しはずして、白人警官が職務質問の際に黒人を簡単に殺してしまうのが頻発する背景は何か、という日本からの質問や、日本は大統領選をどう見ているか、トランプを純粋なファシストと思うかクレイジーな人間と思うか、TPPを日本の国民はどう見ているのか、といったアメリカからの質問と意見交換がされました。
 会場はニューヨーク大学(NYU、私立大学)のロースクールの校舎で行われ、これから一年NYUでLGBTQをテーマに留学される加藤丈春団員(北海道五七期)、すでに一年NYUでアメリカ軍事法を勉強された松崎暁史団員(沖縄五八期)も合流され、杉本朗団員(神奈川四五期)、田井勝団員(神奈川六〇期)、川本美保団員(神奈川新六二期)と、英語力のある若い世代が、専従事務局の薄井優子さんとともに一行に参加しました。
 これまでも横田基地問題、えひめ丸事件、憲法九条、震災・原発問題などで、NLGの正式スケジュールに組み込まれて、分科会での発言や分科会単独主催の機会がありましたが、このような盛況は初めてでした。また、今回は、以前と違い、やりとりは通訳なしで自然に行われ、英語のよく分かる者はしっかりと、半分くらいしかわからない者(私ですが)もその骨格を理解して、双方向で、極めて活発な意見交換が行われました。若い団員の英語力と自らの課題に積極的に取り組み、かつ、発信していく姿勢はすばらしく、頼もしいものでした。菅野昭夫団員(北陸二〇期)が先鞭をつけられたアメリカの先進的弁護士との交流は、当初の爆発的な交流の後、菅野、鈴木の二〇期コンビの長い間の努力によって継続され、新しい世代に引き継がれた感がありました。
 NLGの総会に行ってなにがおもしろいの?何の役にたつの?と思われるかもしれませんが、NLGメンバーがいろいろな課題に取り組んでいる姿勢とその手法を見聞きするのは、きわめて刺激的です。私も、このたび、アメリカはやはり人権先進国だと実感し、アメリカ人に生まれたら弁護士となって人権活動をするのがもっとも誇らしい有意義な人生の過ごし方であると感じました。まだ、NLGに行かれたことのない団員は老若を問わず、ぜひ、一度ご参加下さい。そしてご自分の取り組む課題をアメリカに発信して下さい。私は、国際問題委員会の一員として、これからもその機会をつくるお手伝いをしたいと思います。


NLG総会で日本の問題について連帯の機会を持ちました

沖縄支部 喜 多 自 然

 NLG総会では,分科会とインターナショナルレセプションで日本の問題をアピール・議論する場がありましたので、ご報告します。
 NLG総会ではいくつかの分科会が開催されますが、今回は日本の問題を議論する場を設定していただきました。私からは沖縄の米軍基地問題について、歴史的背景や沖縄に米軍基地が固定化している現状と様々な被害、また新基地建設や高江のヘリパッド建設とそれに反対する市民運動や政治的な動きなどについて報告しました。鈴木亜栄団員(東京)は、安倍政権下での憲法改正の動きなどについて報告しました。ディスカッションでは参加者から沖縄問題についても様々な質問をいただきました。新基地建設については、米国が一定の費用を支払うものと思っておられる方もいたようで、建設費用のほか、その後の基地の維持管理費用なども含めて、すべて日本が負担しているとお話しすると、それでもなぜ日本は米軍を受け入れるのか不思議であると至極真っ当なコメントをいただきました。日本での北朝鮮・中国脅威論や日米安保を支持する国民の声など、複雑な事情についてもある程度お話しができました。また、日本での米軍基地をめぐる爆音の状況を説明したところ、バーモント州でも戦闘機のF35を配備した結果騒音が悪化しているという問題についてもご指摘いただきました。先の沖縄での女性の強姦・殺人事件をご存じで、刑事手続がどのように進んでいるのかご質問される方もおり、沖縄の問題について関心をお持ちの方もいらっしゃることを実感しました。憲法改正についても、安倍政権下での政治状況や憲法改正の見通しなどに関心が集まりました。
 今回の分科会では、日本の問題に関心を持っておられる方が多くいらっしゃることを実感することができ、とてもよい機会となりました。
 インターナショナルレセプションは、NLGの国際委員会が主催して毎年開催されているもので、日本を含む各国の代表団があいさつをしたり意見交換をする場です。ハイチやキューバ、カナダなど各国の代表団が、各国の問題に言及しながらあいさつをされていました。日本からは、今回初めてNLG総会に参加した私にあいさつの機会を与えていただき、沖縄の運動についてお話ししました。参加者からは一緒に頑張りましょうという趣旨の声を掛けていただいたりして、とても有意義な会でした。
 今回NLGのいくつかのイベントに参加し、アメリカ国内でも、受刑者の人権やマイノリティ、とくに移民に対する人権侵害など深刻な問題があること、キューバ問題や中東問題など国際的な問題にも積極的に取り組んでいることを実感できました。団でも、団総会にNLG代表団に参加してもらって分科会を開くなどして、相互的な国際的な連帯を深めていくことができれば面白いのではないかと思います。


NLG総会に参加して

神奈川支部 川 本 美 保

 様々な偶然が重なって、今回初めてNLG総会に参加してまいりました。NLG総会は、一言でいうと自由法曹団の総会のような集まりで、様々な課題について発表、議論が行われる集会です。現在アメリカで問題となっている人権課題を知る貴重な機会となりました。
 基調講演はエル・ハーンズさん、黒人のトランス・ジェンダー(MtF)で、黒人の人権擁護のための活動をしておられる方でした。アメリカでは未だ根深く人種問題が残っていますが、ハーンズさんは自分自身が困難な立場にありながら、非常にパワフルに、勇気あふれる活動を続けていらっしゃり、とても感銘を受けました。
 そのほかに、アーサー・キノイ賞を受賞されたアルバート・ウッドフォックスさん、キャロル・キング賞を受賞されたジャビエール・マルドナドさんの表彰式も行われました。ウッドフォックスさんは、刑務所内でブラック・パンサー党のメンバーとして政治活動をしていたために殺人事件の容疑者とされ、不当な有罪判決を受けてから四三年間、無実の罪で独房に閉じ込められてきた方です。洋の東西を問わず、やはり当事者の声には重みがあると思いました。また、マルドナドさんは、テキサス州で移民問題を扱っておられる弁護士ですが、主にメキシコとの国境で生じている問題について話をされました。私自身が一時期テキサス州に住んでいたこともあり、身近で感じていた問題をより深く理解することができました。
 そして、日本の分科会には予想外に多くの参加者があり、また次々に質問も出されて、もっと時間が欲しいと思うくらいの盛り上がりでした。その後のインターナショナル・レセプションでも、沖縄問題をご存知の方がそれなりにいらっしゃったことに驚きました。今後、国際的に連携しながら広い視野で問題解決に向けて取り組んでいくことで、また違ったアプローチができるのではないかと感じました。
 また何よりの収穫は、日本各地から参加した若手からベテランまでの団員と密度の濃い交流をし、意見交換ができたことです。空き時間を利用した観光も大変充実したものとなり、とても素晴らしい時間を過ごすことができました。ともすると、目先の事件に心を奪われがちになりますが、仕事のモチベーションを高めて、楽しくリフレッシュもできる夏休みの旅行として、まだ参加をしたことのない団員のみなさまには是非参加されることをお勧めいたします。


フレンテ未払い賃金判決(下)
〜三角形の秘密はね♪〜

京都支部  尾 崎 彰 俊

四 判決(続)
(1)地位確認について

 残念ながら、地位確認については、解雇の言い渡しはなかったとの認定がなされ、雇い止めについても客観的合理的な理由があるとされた。一方で、未払い賃金及び割増賃金については、ほぼ、原告の主張をそのまま認めるものであった。
(2)着替え時間等についての請求
 判決は、作業服への着替え、手洗いについては、食品を製造するという業務を遂行するための必須の準備行為として義務づけられていたことを認め、合計八分間を労働時間であると認定した。一方で、ラジオ体操及び朝礼は、その出席が奨励されていたことは認められるが、欠席による不利益が課せられることはなかったことを理由として、労働時間性を否定した。
(3)繰上終業した分の未払い賃金の請求
 判決は、始業一七時一〇分から終業二二時一〇分までとされていることについて、単に始業時刻および終業時刻を定めるにとどまらず、その間の五時間を労働時間とする趣旨も含む等として、本件労働契約では、労働時間を五時間とする内容で契約が締結されていると認めるのが相当であるとした。
 さらに、判決は、所定の終業時刻よりも早く終業し、原告が残時間の労務を提供しなかったことについては、被告の指示によるものと推認されることを理由に、民法五三六条二項により、残時間分について全額の賃金支払義務を免れないと言うべきであると判断した。
 私がこれまで行ってきた労働法の学習会等で、学習会に参加された学生に繰り上げ終業について質問すると、多くの学生が、繰り上げ終業を体験しており、賃金が支払われないことが当然だと感じていると回答している。そして、昨今、旅行などのレジャー費用ではなく、生活費のためにアルバイトをするという学生が急増している。生活費を得ることを目的としている学生アルバイトからすれば、五時間のアルバイト契約を結んだ場合は、五時間分の給与が支払われることを当然に期待している。これが、使用者側の事情で労働時間が短縮され、賃金が支払われなければ、アルバイトを生活の糧としている学生からすると生活に支障をきたすことになる。このようなアルバイト学生の現状において、判決の上記箇所は非常に意義のある判断である。
(4)深夜割増部分について
 判決は、原告の主張を全面的に採用し、「深夜割増部分は基本賃金に含む」との上記約定は、深夜労働時間を含む時間帯の時給がそうでない時間帯の時給と同額である以上、前者の基本賃金を後者の基本賃金よりも低額とすることを前提とするものであるが、そのように深夜時間帯の基本賃金の額をそれ以前の時間帯よりも低額にする合理的理由が存在しないことからすると、上記約定は、実質的に見れば、深夜割増賃金を支払わない旨の約定に等しいというべきであり、労働基準法三七条を潜脱するものであって、無効であると解するのが相当であると判断した。
 また、有給休暇の深夜割増賃金についても、労働基準法三九条七項本文を根拠に、深夜割増賃分を含めて支払う義務があることを認めた。
(5)付加金について
 判決は、未払い賃金が発生したのは、労働基準法三七条を潜脱する定めをしたことによることを理由として同額の付加金の支払いを命じた。
5 おわりに
 被告工場は、原告と同じ勤務形態の労働者だけでも一〇〇人近くおり、単純に計算しても約三〇〇〇万以上の未払い賃金が存在したことになる。子どものころにCMで聞いた「三角形の秘密はね♪」が、実は多額の未払い残業代だったのかという気持ちになる。
判決が、労働基準法三七条の潜脱であると認定するとおり、ブラックバイトは、アルバイトが労働基準法違反に気づくことができないように、様々な手段を講じて、アルバイトを著しい低賃金で働かせている。長時間労働のブラック企業だけでなく、低賃金で違法な働かせ方をするブラックバイトをなくすために、同判決を活かしていきたい。


「お父さん、お金持って帰ってくるだけやないの」
――「婚姻費用分担」を考える

東京支部  後 藤 富 士 子

一 朝日新聞八月二日「折々のことば」(鷲田清一)から。シンクロナイズド・スイミングの指導者井村雅代さんは、小学生のとき、家のことは母任せで仕事に没頭する父への不満を、「お父さん、お金持って帰ってくるだけやないの」と言って母に向けた。いきなり張り倒されたのだが、そのときの母の「怒りに満ちた形相」は今も忘れられないという。「家族を支えること」と「金を稼ぐこと」とは根本的に違うことを、母は娘にたたき込もうとした。
  私は、「すごくまともなお母さん」と思うけれど、小学生の娘を「張り倒す」なんて、昨今なら「虐待」として通報されかねない(倒錯している!)。
二 婚姻費用分担事件では、収入だけで考案された簡易算定表により金額が決まり、その結果、夫が生活保護水準以下の生活を強いられることになっても、裁判官は何の疑問ももたないようである。私など、理屈よりも現実に目が行くので、どうやって生活していくのだろうと思う。
 例えば、妻が子どもを連れ去れば、年収五〇〇〜六〇〇万円の夫が負担すべき婚姻費用は相当の金額になり、どんなに倹約しても自分一人の生活費を満足に確保できないのが実情である。私は、自己破産申立事件で作成する「家計全体の状況」(一月分の収入と支出の内訳明細表)の書式を使って別居後の家計状況を把握するようにしているが、妻子が出て行ったからといって、家賃やローン返済に変化があるわけではないから、算定表の金額を支払うことは計算上不可能であることが分かる。
三 ところで、民法七六〇条は、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と規定している。すなわち、収入だけで決まるものではない。妻に結婚前の預金があれば、それを婚姻費用に充てないでよいはずがない。妻の実家が裕福で、孫への教育資金贈与がされるなら、それも考慮されるはずである。つまり、民法七六〇条は、婚姻共同生活維持費用を定める夫婦財産制としての法定財産制である。
 しかるに、現実に婚姻費用分担義務が法的問題として登場するのは、夫婦が別居している場合である。しかも、かつては離婚を請求する夫に対して別居中の妻が婚姻費用を請求するという事例が典型で多数であった。
 ところが、私が経験したここ一〇年余の事例は、妻が子どもを連れ去り、夫に対して離婚と婚姻費用分担請求するのが殆どである。妻の主張は、離婚については、破綻時期は別居時であり、夫に破綻させた責任があるとして慰謝料を請求する。これでは、破綻主義ではなく、無制限の有責主義というほかない。また、婚姻費用を分担しないで温存した結婚前の預金を「特有財産」として財産分与の対象外とする。さらに、父子引き離しを敢行して単独親権者指定を確保し、養育費の支払いを求める。そして、重大なのは、家裁が妻の主張を容認することである。あるいは、家裁が容認するから、主張が蔓延するということかもしれない。
四 このような実情は、夫から子どもと財産を強奪することを裁判所が後押ししていることにほかならず、これ以上の不正義はないであろう。一方、強奪した妻にしても、幸福になるのだろうか?
  憲法一三条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と定めている。また、憲法二四条は、家族生活における個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して法律が定められるべきことを謳っている。
 こうしてみると、結局、法を運用する実務法曹に問題があることに行きつく。すなわち、日本の法曹は、演繹的に「事実を法規に当て嵌める」のであり、「事実に法規を当て嵌める」という帰納法的法運用ができないのである。そのうえ、法解釈適用にあたって独立の人格をもたないから、当事者には「ありえない」と思われる裁判が横行し、人々を苦しめている。

(二〇一六年八月五日)


〈書評〉全ての人に人間らしい労働を

北海道支部 焉@崎   暢

「健康・安全で働き甲斐のある職場をつくる」
岸―金堂玲子・森岡孝二編著 ミネルヴァ書房 定価三四〇〇円+税

 本書は、二〇一一年四月、日本学術会議「労働雇用環境と働く人の生活・健康・安全委員会」が提言した「労働・雇用と安全衛生に関わるシステムの再構築を」について、その提言を、二五名の第一人者によって、わかりやすく解説したものである。
 本書は、第I部は、今、雇用の場で何が起こっているのか?−働く人の実態、第II部は、職場の環境安全問題とリスク管理・マネジメント、第III部は、労働と関係する病気の予防と働く人の健康増進、第IV部は、これからの職域保険サービスのあり方―重要な専門職の役割、第V部は、新しい取り組みの強化―世界の潮流をふまえてどのような改革と改善を進めるか?の五部構成となっている。その構成のもとで、表題からもわかるように、それぞれの章で、国の政策や行政への展望、当事者である経営者・労働者と産業医など職業保健サービスを担う専門職の役割が述べられている。
 本書は、わかりやすさだけではなく、類書にはみられない、多様でかつ深い視点からの示唆に富む情報や専門的な解説がちりばめられており一読に値する。それだけでなく資料的な価値も見逃せない。
 一方で、労働政策決定の場から労働者の声を遠ざける動きが目につく。安倍首相は、改造内閣の「最大のチャレンジ」は、「働き方改革」だとして、加藤勝信一億総活躍担当相を「働き方改革担当相」に任命し、長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現をあげ、「非正規」という言葉をこの国から一掃すると述べた(八月三日の記者会見)。この「働き方改革」は、本来であれば、厚生労働省の所管である。この「厚労省はずし」のねらいは、厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会(公益、経営、労働の三者同数で構成)の形骸化である。今政府が国会に提出している「残業代ゼロ」法案がその典型である。
 本書は、その動きに直接警告を出すものではないが、先に述べたように、当事者である経営者・労働者と産業医など職業保健サービスを担う専門職の役割の重要性を指摘し、提言でも、課題解決のために「労使は社会的パートナーである」ことが強調されていることからみて、最近の動きに対するアンチテーゼを提供していることは明らかである。
 そこで、本書を多くの方々に読んでいただき、労働雇用問題について、国の基本政策として「ディーセントワーク」を位置づけさせる活動や運動を広げてほしい。 
 長年わたり過労死・過労自殺などに関わってきた者として、すべての人が人間らしい労働を通じて生活の質の向上を実感できるような社会の構築が急がなければならないことを、改めて実感させられた。