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大森 典子 「吉見事件」で東京高裁の不当判決
佐藤 真理 NHKを被告に放送法等遵守義務確認請求の集団訴訟を提起
早田 由布子 憲法的価値の危機に「やや日めくり憲法」で対抗する
山田 聡美 「女性の貧困・母子の貧困」学習会に参加して
鈴木 雅貴 東北ブロック総会・市民連合との交流企画の報告(上)
金 竜介 部落差別解消推進法案への取組みで自由法曹団がしなかったこと
後藤 富士子 「単独親権制」の正体(上)
永尾 廣久 お正月の正しい過ごしかた(上)
西田 穣 自由法曹団のホームページで、過去の資料の閲覧が可能となりました!
種田 和敏 第一回安倍「働き方改革」批判検討会が開催されました。



「吉見事件」で東京高裁の不当判決

東京支部 大 森 典 子

一 「吉見事件」とは
 「吉見事件」とは、日本軍「慰安婦」問題の歴史研究で高い評価を受けている中央大学教授の吉見義明教授が、元衆議院議員の桜内文城氏を名誉毀損で訴えた事件のことである。この事件は二〇一三年五月、当時の大阪市長橋下徹氏が、「慰安婦制度が必要であったことは誰でもわかる」と発言して、内外に衝撃を与えたことに発端がある。橋下氏はこの反響に対して弁明するべく日本外国特派員協会で記者会見を開いたが、そこに陪席した当時の日本維新の会の衆議院議員桜内文城氏が司会者の発言に対してコメントするとして下記の様に発言した。
 「一点だけ先ほどの、最初の司会者の紹介について少しコメントいたします。橋下市長を紹介するコメントの中で、彼は「SEX SLAVERY」という言葉を使われました。これは日本政府としては強制性がないということ、その証拠がないということを言っておりますので、そのような言葉を紹介の際に使われるのはややアンフェアではないかと考えております。
 それからヒストリーブックスということで吉見さんという方の本を引用されておりましたけれども、これはすでに捏造であるということが、いろんな証拠によって明らかとされております。この点も付け加えてコメントしておきます。」
 この記者会見の様子は国内外のメディアによって世界中に報道されただけでなくユーチューブで現在も放映され続けている。この後半の発言について、吉見教授は桜内氏に発言の撤回と謝罪を申し入れたが、同氏がこれを拒否したので、吉見教授が桜内氏を名誉毀損で訴えたのが「吉見事件」である。
二 裁判所の度重なる非常識な判決
 これに対して、東京地裁は昨年一月二〇日に原告の請求を棄却する判決を下した。理由は、この発言の二段落目の「これは」は「吉見さんという方の本」を指すが、ここでいう「捏造」は「誤りである」「不適当である」などの意味であって、この発言は論評である。そして論評としては許される範囲の発言であるから、原告の請求を棄却する、というものであった。もともと捏造という言葉には「事実でないことを事実であるかのように拵えていうこと。でっち上げること」という意味しかない。被告もそういう意味でこの言葉を使用して、原告は「慰安婦」が性奴隷でないことを知りつつ性奴隷だとでっち上げた、と口をきわめて非難してきた。従ってこの判決理由は原告はもとより、被告にとっても予想に反する内容であった。
 ところがこの控訴審である東京高裁は一二月一五日、ここで問題になっている二番目の「これは」が「吉見さんという方の本」を意味する発言とは認定できないから名誉毀損の事実は認定できない、として吉見教授の敗訴を言い渡した。
 「捏造は論評」だとした一審判決でさえ、さすがに二番目の「これは」は、直前の「吉見さんという方の本」を指す、と言うほかなかったところである。日本語の理解ができるものなら だれでも「これは」が指すものが何かははっきりわかる。これを高裁の三人の裁判官がこのような理由を述べて、吉見教授の敗訴を言い渡した、ということに弁護団も支援してきた多くの人々もショックを受けている。つまりこれほどばかばかしい理由を構えても原告敗訴にしなければならないと判断した地裁および高裁の真の意図は何なのか、ということである。
三 根拠なく他人の言論を「捏造」と批判する風潮とその背景
 一九九一年に、最初に名乗り出た「慰安婦」金学順さんのことを、朝日新聞で記事にした植村隆記者について、右翼から一方的に「捏造記者」とするバッシングが行われ、植村記者は朝日新聞を退社して就職する予定であった大学を追われ、家族の身辺さえも危険に晒されるという事態が近年起こっている。
 「捏造」という言葉は、人をだますために事実でないと知りながらある結論をまことしやかに述べる事として、発言者の反社会性や悪意を当然の前提とする言葉である。事実に対してもっとも謙虚であるべき研究者にとって研究成果が「捏造」であると言われることは、研究者生命にとって致命的な中傷である。また事実の報道を使命とするジャーナリストにとっても「捏造記者」との評価を受ければ、ジャーナリストとして生きていくことはできない。このような決定的な中傷を根拠なく相手に浴びせても、法的に何の制裁も受けない、ということは考えられないことである。
 桜内氏はこの裁判の最中も法廷内外で「原告・控訴人はその英訳本を通じて「二〇万人の性奴隷」という嘘と捏造を世界中に撒き散らすことによって、日本国民の名誉と尊厳を著しく貶めて来ました。」などと述べて、吉見教授が性奴隷説を捏造した、と繰り返してきた。もちろん桜内氏は、吉見教授が自己の研究成果に反することを知りつつこの結論を「捏造」した、との根拠は一切主張も立証できなかったにも関わらずである。
 このような無責任で、他人の人権を侵害する言論には当然のことながら、法的な制裁が課されるのが、「慰安婦」に絡まない他のテーマであれば通常のことである。ところが「慰安婦」が性奴隷であるとの研究成果を述べた吉見教授の書物に関して、裁判所がこのように常軌を逸した判断をしたについては、現在の日本の政治状況を考えないわけにはいかない、と私は思っている。安倍政権は二〇一五年の「日韓合意」後も、歴史的事実に反するにもかかわらず繰り返し「強制連行はなかった」「あれは性奴隷ではない」、との発言を国の内外に喧伝している。このような背景の下で、裁判所は、地道な史料研究から「慰安婦」は「性奴隷というほかない存在であった」との研究成果を世に問うた吉見教授の書物について、これを「捏造」とする言説に法的制裁を科すことを躊躇した、と考える他はない、と私は考えている。
四 無責任な言論に対して私たちのなすべきこと
 この事件では予想外の結果が眼前にあるが、戦後民主主義は表現の自由を最大の価値とするとともに、不当な言論について法的制裁を科すことによって表現活動を守ってきた。この枠組みは内容がいかなる分野の言論であっても守られなければならない。
 そして戦前の歴史を考えてみると、歴史研究者の学問的成果が社会で共有されない、あるいは政治権力が学問的真実を覆い隠す事態は、政治的な思惑で国民の認識が誤導され、無謀な戦争に突入していった時代につながっていることを改めて想起させられる。「慰安婦」問題にせよ、侵略戦争の様々な事実にせよ、学問の成果に依拠してこそこれからの時代が見通せるにも関わらず、政治は余りにも多くの「嘘」を宣伝に使っている。私たちはあきらめることなく、少しの「嘘」も見逃さずに真実が社会に共有されるまで闘っていく他はないと改めて心に誓っているところである。


NHKを被告に放送法等遵守義務確認請求の集団訴訟を提起

奈良支部 佐 藤 真 理

 NHKの最近のニュース報道番組においては、安倍首相を持ちあげ、安倍政権の政策をことさら強調し、NHKに求められている様々な角度から論点を明らかにし、事実を多角的に伝えるという報道の基本が蔑ろにされている。
 受信料不払いと有償双務契約に基づく抗弁
 A氏は、NHKの報道姿勢に疑問を抱いて、約四年前からNHK放送受信料の支払いを中断していたところ、NHKは、一昨年秋、約三年分の放送受信料四万余円の支払請求訴訟を提起してきた。被告弁護団は、「放送受信契約は、受信の対価として受信料を支払うという継続的な『有償双務契約』である。市民は受信料を支払う義務があるが、他方、NHKは、放送法を遵守した放送を提供する義務を負っている。NHKが放送法第四条等が規定している『政治的に公平であること』、『意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること』などの義務を履行しない場合には、市民は、受信料の支払いを拒み、または一時留保することができる」と主張した。
 昨年五月の第二回口頭弁論期日で、奈良地裁のM裁判官が、突然、「弁論終結」を宣言したため、大紛糾し、忌避申立てに至った経過は、団通信一五六六号(昨年七月)に既報の通りである。同年九月、M裁判官は「放送法四条一項に定める放送内容に関する義務は、NHKが個々の受信契約者との間の放送受信契約に基づき負担する義務ではなく、放送に際しての一般的抽象的義務に過ぎず、被告の放送受信料支払義務と牽連性はない」などと判示して、約四万余円の支払いを命じる不当判決を出したため、当然、A氏は控訴した。
 NHKを被告に訴訟を提起
 これに先立ち、A氏は、昨年七月、NHKを被告にして、「NHKはニュース報道番組において放送法第四条を遵守して放送する義務のあることを確認する。」との訴訟を奈良地裁に提起した。
 さらに、昨年暮れには、四五名の奈良県民(自らまたは家族が放送受信料を支払っている人)が、A氏と同様に、放送法第四条等の遵守義務確認請求訴訟を提起した。
 集団訴訟の請求原因
 請求原因の概要は、次のとおりである。
第一 NHKは放送法及び「国内番組基準」を遵守した放送を視聴者に対して放送する義務があること
一 放送法第六四条第一項は、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」と定め、契約締結自由の原則を制限している。
二 その制限の代わりに、放送法第八一条はNHKに対して同法第四条第一項の遵守義務を課しており、同条項は、「放送事業者は、国内放送等の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない。
1  公安及び善良な風俗を害しないこと。
2  政治的に公平であること。
3  報道は事実をまげないですること。
4  意見が対立している問題については、できるだけ多く
  の角度から論点を明らかにすること。」と定めている。
三 さらに、放送法第五条は、「放送事業者は、放送番組の種別(教養番組、教育番組、報道番組、娯楽番組等)及び放送の対象とするものに応じて放送番組の編集の基準(「番組基準」)を定め、これに従って放送番組の編集をしなければならない」と定めている。
 この規定を受けて、NHKが定めた「国内番組基準」において、「第一章 放送番組一般の基準」の「第四項 政治・経済」で「政治上の諸問題は、公正に取り扱う。」と定め、「第五項 論争・裁判」において、「意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱う。」と放送法第四条一項四号とほぼ同じ内容をNHKが自ら定めている。
第二 NHKのニュース報道は放送法第四条等に違反していること
一 籾井勝人氏がNHK会長に就任した際、「政府が右を向けという時に、NHKが左を向くというわけにはいかない」などと発言し、平成二八年四月にも熊本地震に際し籾井会長は「原発については、住民の不安をいたずらにかきたてないよう、公式発表をベースに伝えることを続けてほしい」等と発言することにより、報道現場に直接又は間接に委縮効果をもたらしている。
二 NHKは、戦前、「大本営発表」の道具にされ、戦争に加担した経緯がある。この苦い経験から、NHKは、一九五〇年、放送法の施行を受けて「公共放送」として発足したのであり、「もはやアベチャンネルである」とまで揶揄されている現状をこのまま放置すると、NHKのニュース報道番組においては、放送法第四条や国内番組基準が遵守されず、公正な放送をNHKから受信できない恐れがあり、再び戦争への道につながりかねない。
第三 NHKのニュース報道における放送法違反の実例
 一 第四六回衆議院議員選挙(二〇一二年一二月)の報道、二 安保関連法の報道、三 第二四回参議院選挙(二〇一六年七月)の報道、 四 安倍首相真珠湾訪問の報道、 五 APEC首脳会議での安倍首相発言の報道、 六 熊本地震と原発に関わる報道(以下、口頭弁論の都度、追加していく予定である。)
 全国各地で集団訴訟を提起しよう
奈良県では、一〇〇名以上の原告団を目指して、原告の拡大に取り組んでいるところである。
 全国各地で、同種の集団訴訟を提起し、「国民の知る権利」に奉仕する、国民主権にふさわしい公共放送を取り戻す運動に立ち上がろうではありませんか。

(二〇一七年一月七日)


憲法的価値の危機に「やや日めくり憲法」で対抗する

東京支部 早 田 由布子

一 「やや日めくり憲法」はじめました
 二〇一七年、あすわか(明日の自由を守る若手弁護士の会)は、元日からフルスピードで動いています。今年の新企画として、日付にちなんだ憲法の条文を一つずつ解説し、ブログとフェイスブックにあげていく、「やや日めくり憲法」を始めました。なんと元日から、一月一日は憲法一一条、一月二日は一二条…という形で、あすわか流に解説しています。執筆は、全国のあすわか会員(団員も多!)が分担して担当しています。
 また、あすわかがいつもお世話になっているイラストレーターの大島史子さんに、憲法条文ごとのイラストを描いていただきました。このイラストも大活躍しています(※条文イラストは、あすわか会員だけが使用できることになっています。条文イラストを使いたいと思った五一期以下のみなさん、ぜひあすわかへご入会ください!)。
 ブログ http://www.asuno-jiyuu.com/
 フェイスブック https://www.facebook.com/asunojiyuu/
 団員のみなさまには、この解説記事をシェアするなどして拡散していただくのはもちろん、憲法カフェのネタ探しにも使えますので、ぜひご活用ください。

二 「反ポリコレ」と憲法的価値
 アメリカ大統領選挙でトランプ氏が当選し、ヘイトスピーチやヘイトクライムが増えたと報じられました。これまでは内心思っていても口に出せなかったことを口に出していいのだと認識された、エリートによる上から目線の説教じみた話に反感を持つ層がトランプ氏に投票した、「反ポリコレ」現象などと言われています。
 女性蔑視、障害者差別、人種差別、そういった憲法的価値に反する言動はすべきでないという価値観が、「エリート意識」「上から目線」などという評価で崩されようとしています。ゴールデングローブ賞受賞式におけるメリル・ストリープ氏のスピーチも、その文脈で批判されることがあります。日本でも間違いなく、むしろトランプ氏に先駆けて、このような風潮があります。
 私は、現在の状況は明文改憲の危機などではなく、憲法的価値の危機なのだと感じています。これに対する私たちの方策は、まず第一に、憲法的価値を地道に伝え続けることだと考えています。プラス何をするかは当然考えなければなりませんが、ここを出発点にしなければ何も始まりません。そのためのキャンペーンの一つが、上記の「やや日めくり憲法」であり、普段の憲法カフェだと考えています。

三 五一期以下のみなさんはぜひあすわかへ
 あすわかは、自民党改憲草案のヤバさを伝えて立憲主義と民主主義の価値を守り広めることを唯一の一致点とする団体です。護憲団体ではありませんが、その分さまざまな方とつながり、憲法的価値を伝えていくことができます。会費はなく、メーリングリストに登録するだけです。入会希望の方は(1)氏名、(2)期、(3)弁護士会、(4)登録メールアドレスを記載のうえ、あすわか事務局 peaceloving.lawyer@gmail.com までご連絡ください!


「女性の貧困・母子の貧困」学習会に参加して

東京支部 山 田 聡 美

 二〇一六年一二月一六日、私の弁護士としての初勤務日に、「女性の貧困・母子の貧困」学習会に参加させていただきました。
 講師のみわよしこさんは、企業内研究者を経て、二〇〇〇年よりフリーランスとなり、当初は科学・技術を中心に活動されていました。その後二〇〇五年に運動障害が発生したことをきかっけに、社会保障の分野に関心を向けはじめました。著書には書籍『生活保護リアル』(日本評論社、二〇一三年)があり、二〇一四年四月から立命館大学先端総合学術研究科に編入し、生活保護制度の研究を行っています。なお、現在も仕事の四〇%程度は科学・技術関連のものだそうです。

 みわさんからは、ご自身の経歴、経験のお話、現在の女性の貧困を「サバルタン」というキーワードから考えるお話がありました。
 みわさんによると、「サバルタン」とは「阻害された人々」を指し、「パイの分け前を取り合う競争の場にそもそも存在できない」「声を上げることができない」など「複合した疎外」を受けている人々のことだそうです。正社員女性で性別から差別されている人はサバルタンとはいわないが、派遣の女性労働者はサバルタンに当たるといっていいのではないかとのことでした。
 また、サバルタンは制度的に作られているというお話もありました。社会保障制度の面では、たとえば婚姻歴のある離別母子家庭の場合は寡婦控除の適用があるが、非婚母子家庭ではその適用がないので、非課税となる所得ラインが離別母子家庭よりも下がってしまうこと、就学援助や給付型奨学金など数多くの支援の対象となりにくくなることなどのお話がありました。婚姻歴があるか否かで、このような制度の違いがあるのは、特に合理的理由は見当たらず、「意味のない差別」をひとつずつなくしていかないといけないというお話でした。
 婚姻歴のあるなしは、特に子どもにはどうすることもできない事情であり、そのことによって、育つ家庭の経済的条件が左右されうるという制度は、素朴におかしいと感じました。

 私の友人で、「日本にはもう男女差別はないんじゃないか」と言う人がいました。彼の母親が大学教授をしていたこともあり、女性にも等しくチャンスがあって努力次第では成功できる、というような考えからの言葉だったのでしょう。
 たしかに、どんな仕事をするのか、ということは、個人の努力や自由意思で決められる要素も大きいのだから、仕事に恵まれず貧困に陥ってしまうのは、その人の責任だという考えになるのもある意味自然なことかもしれません。
 しかし、育った家庭の状況や、高い学費、社会保障制度の不備、時々の社会の経済状況など、本人にはいかんともしがたい条件によって、満足に衣食住が整わず教育も不十分となるケースがよく聞かれます。また女性の半分以上が非正規雇用で働いており、正社員でも男性より平均賃金が一〇〇万円以上低い状況では、すべてを自己責任として女性の貧困問題を片づけることはできないはずです。
 雇用条件や社会保障制度などでのわかりづらい間接的な差別によって、女性の貧困というのはなかなか理解されづらい面を持っているのかもしれませんが、性別を問わず、どんな人でも普通に働けば普通に暮らせる社会を作るため、様々な場面での活動が重要であると改めて感じました。


東北ブロック総会・市民連合との交流企画の報告(上)

福島支部 鈴 木 雅 貴

一 はじめに
 第三四回東北ブロック総会が、二〇一七年一月七日、飯坂温泉ホテル聚楽(福島市)にて開催された。本総会には、東北の団員三八名と団本部から加藤健次幹事長が出席し、この一年の各支部活動報告等がなされた。
 例年、ブロック総会後は、外部講師を招いての講演会を開催していたが、本年は東北六県の市民連合関係者を招き、市民連合との交流企画を実施した。本交流企画実施の経緯、内容等について報告させていただく。

二 経緯
 当支部は、昨年一月と八月に支部合宿を実施した。いずれの合宿にもふくしま県市民連合において中心的に活動している方を招き、当支部と県内市民連合との協力について討議をした。
 昨年一月の支部合宿においては、「安保法制に反対する大学研究者の会」メンバーと「九条の会」メンバーに参加いただいた。
 参議院選福島選挙区は一人区となり、昨年一月時点では、与党は現職法務大臣が立候補する予定であり、野党が共闘しなければ、与党勝利が目に見えるが、野党間は共闘の経験が乏しいことから、話し合いが進まないという危機的状況であった。当時、ふくしま県市民連合は構想段階であったが、この危機的状況を打破するためには、市民から政党に共闘を求めるしかなく、早期に市民連合を設立する必要性が確認された。
 その後、昨年二月に「ふくしま県市民連合」が設立され、県民公開討論会、県市民連合が司会を務める「三党協議」を経て、昨年五月六日に野党共闘が成立し、増子輝彦氏(民進党公認)が統一候補となり、共産党は選挙区候補熊谷智氏を比例区候補とした。
 昨年七月の参議院選福島選挙区では、野党統一候補が、与党の現職法務大臣に約三万票の差をつけて勝利をはたした。
 野党統一候補の勝利は、東日本大震災、原発事故から五年半がたってもなおその被害に直面する福島県民の安倍政権NOの明確な意思表示である。
 参議院選では東北六県中五県で野党統一候補が勝利した。「東北野党統一候補/自民を圧倒」と報じられ、東北の市民連合の取り組みは全国を励ますものとなった。他方で、参議院選全体としてみると、改憲勢力が衆参合わせて三分の二を超え、憲法改悪の危険性はこれまで以上に具体的・現実的なものとなった。
 昨年八月の支部合宿においては、福島県内各地から一一名の市民連合関係者を招き、市民連合の活動を地域に根差したものにすること、衆院選に向けた野党共闘・統一候補の実現に向けた取り組みの必要性が確認された。その際、市民連合の側から、東北地区の市民連合との交流を図り、各県の活動から学び実践に活かしたいという提案があった。
 そこで、当支部は、東北六県の団員が集まるブロック総会において、各県市民連合の到達点とその課題を知ることや団員としてどのような協力ができるのかを検討することは、団員にとっても市民連合にとっても非常に有益であると考え、ブロック総会において、市民連合と自由法曹団の交流企画「市民の力で未来を拓く!〜市民連合の到達点と課題について」を実施することとした。

三 東北各県市民連合への呼びかけ
 東北各県市民連合への呼びかけは、当支部にも市民連合にもツテもアテもなかったことから、各県の団員を頼ることとした。
 まずは各県の団連絡事務所に通知を出し、企画の趣旨を説明し、市民連合の候補者を募集した。岩手の佐々木良博団員、宮城の草場裕之団員より、両県の候補者の推薦をいただいた。
 トンネルじん肺東北ブロック会議の際、青森の横山慶一団員、葛西聡団員と相談し、『法と民主主義』(No.五一一)特集「市民と野党の共闘」に青森県の野党共闘を執筆している方がいることを知り、その方に招待状を送り、青森の参加者を確保した。
 さらに、同会議の際、秋田の虻川高範団員に秋田の候補者推薦を依頼したところ、快く引き受けてくださり、秋田の候補者も確保することができた。
 昨年十月、ちょうど良いタイミングで、山形県医労連から新人職員向けの憲法学習会の依頼があり、山形の候補者を紹介いただくことを条件に講師役を引き受けたところ、すぐに候補者を紹介していただいた。なお、条件が成就したことから、昨年十二月に山形県天童市内のホテルで講演を行ったが、温泉に入り、懇親会で酒を飲むこともできたので、私ばかり得をしてしまったように思った。
 東北六県から市民連合の参加者が集まり、交流企画の市民連合関係者は総勢二一名となった。各県団員の協力なしには、本交流企画が成立することはなかった。厚く御礼申し上げます。

四 内容
 交流企画は、(1)各県市民連合の活動報告(各県一〇分)、(2)質疑応答(二〇分)、(3)各県市民連合の今後の目標等(各県五分)、(4)意見交換(二〇分)と予定していたが、(4)は時間の都合上、懇親会で行うこととした。
 交流企画には、団員三九名、市民連合二一名の六〇名が参加した。
 (1)では、市民連合の成立までの歩み、野党共闘・統一候補合意までの道のりや苦労した点、各県の参院選の総括を発表してもらった。
 (3)では、課題として、参院選後の活動及び目標を報告してもらった。
 交流企画実施に当たり留意した点は、本交流企画は東北六県で共通目標を立てるとか何かを決議する場ではなく、各県市民連合の実情をまず知ること、知った上で交流を深め、参加者に自分たちに何ができるのかを考えてもらう機会を提供しようということであった。この留意点により、企画の自由度と面白味が増したのは事実である。
 各県の発表者には、事前にレジュメの準備をお願いし、レジュメは内容の充実と進行の円滑に寄与した。
 各県市民連合の報告は、いずれも充実したものであった。
 特筆すべきは秋田の報告である。秋田では、「あきた立憲ネット」が、野党共闘・統一候補実現に中心的役割を果たした。政策協議の過程において、安保法制廃止、立憲主義回復以外も、沖縄問題、原発問題、消費税問題が議論され、市民の側が問題を提起し、政策に一定反映させることができた。政党ではできない一般市民との共同の集会など選挙活動を主権者として進めることができた。これらの点は、市民連合が野党共闘の接着剤としての役割を果たすだけでなく、市民に身近な政治を実現する重要な役割を果たしていると言える。
 秋田は、参議院選で惜しくも野党統一候補が敗北したが、秋田の市民連合は本気の野党共闘をどう作っていくか、野党統一候補の大義は何かということを、どの県よりも深く真剣に考えていた。(続く)


部落差別解消推進法案への取組みで自由法曹団がしなかったこと

東京支部 金  竜 介

一 廃案のための運動で差別根絶の活動をしている団体への広い呼びかけをしなかった自由法曹団
 二〇一五年に野党が共同で提出した「人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案」(以下「人種差別撤廃推進法案」)の成立に向けて多くの団体が結集し、差別根絶のための行動を精力的に行いました。結果として与党提出の「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(以下「ヘイトスピーチ対策法」)が成立しました。二〇一六年の成立に至るまでに、人種等を理由とする差別をはじめ、それぞれの分野で反差別の活動をしてきた団体が自組織の枠を超えて共闘し、今日の結果をもたらしたのです。
 自由法曹団は、部落差別解消推進法案に反対する理由として「差別の固定化」を強調しています。しかし、廃案の取組みの中で部落差別以外の分野で活動している団体への呼びかけを広く行うことはしませんでした。全国地域人権運動総連合(人権連)に呼びかけて共闘したといいますが、同団体は、部落差別に限らず差別解消のための法律を制定することには消極的な意見を有しており(「障害者差別解消法」「へイトスピーチ対策法」にも肯定的な評価をしてはいないようです)、自由法曹団の呼びかけがなくとも法律の制定に反対することは明白でした。自由法曹団にとってそれほど苦慮しない呼びかけ先であったといえます。
 廃案の取組みの中で、自由法曹団が、差別根絶の活動をしている団体へ広い呼びかけをする必要を感じなかったのはなぜか、ということをまず指摘しておきます。
二 人種差別撤廃推進法案への団の姿勢
 ヘイトスピーチ対策法制定のきっかけは、野党提出の人種差別撤廃推進法案でしたが、同法案について、自由法曹団は、態度を明らかにはしませんでした。ヘイトスピーチ対策法の成立とともに同法案は廃案となりましたが、法案に書かれている内容は、今後も政府に求めていくべきものだと考えられます。しかし、今のところ、自由法曹団は、そのような活動を積極的に行う意思を示してはいません。
 なぜこの点についての団の姿勢を問題とするのか。部落差別解消推進法の廃止の共闘の呼び掛けに際し、人種差別撤廃推進法案についての自由法曹団の見解を問われたときにそれに答えることができるのかは大切な問題だと考えるからです。
 同法案では「相談体制等の整備」「人種等を理由とする差別の防止に関する啓発活動等」「人権教育の充実等」「インターネットを通じて行われる人種等を理由とする差別の防止のための自主的な取組の支援」「民間の団体等の支援」などが提案されていました。これらの推進のための部落差別を含めた広範囲な差別撤廃の法制化に団体として賛成するのかと問われても今の自由法曹団は自団体の見解を示すことはできません。そのような姿勢の団体から〈差別の固定化をなくすための取り組み〉を共闘しようといわれても積極的になる団体は少ないのではないでしょうか。
三 自由法曹団がする議論
 法の成立後、部落差別とは直接の関係はない、差別根絶を求める集会の中で部落差別解消推進法が肯定的に引用されていることは同法の廃止に取り組んでいる団員の多くが認識していることと思われます。しかし、同法に反対するという自由法曹団の弁護士が、そのような場に足を運んで、同法を肯定することは誤りだと述べて反対しつつ、人種等を理由とする差別根絶のための共闘を呼び掛けるという姿を私は見たことがありません。「ヒューマンライツナウ」「コリアNGOセンター」「外国人人権法連絡会」「のりこえねっと」「なくそう戸籍と婚外子差別・交流会」「全国在日ブラジル人ネットワーク」「移住労働者と連帯する全国フォーラム」など広い分野で差別根絶のために闘っている団体は多くあります。自由法曹団はそのような団体への共闘の呼び掛けを検討しているのでしょうか。
 いったん成立した法を廃止させることは相当に難しいことです。法案の段階で共闘を呼び掛けたのと変わらない運動を続けても結果は見えています。取組の総括と今後の取組について自由法曹団が議論すべきことは少なくありません。


「単独親権制」の正体(上)

東京支部 後 藤 富士子

一 民法で強制される「単独親権制」
 民法八一八条一項は「成年に達しない子は、父母の親権に服する。」と規定し、同条三項は「親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。」と規定している。これに対し、離婚後は「父母のどちらか一方」を親権者と定めることが強制され(同法八一九条一項二項五項)、父母の協議で共同親権とすることはできないのである。このような絶対的単独親権制は、家族生活における個人の尊重と両性の本質的平等を規定した憲法二四条に違反する。このことは、親権を失う側からすれば、当然の論理であろう。
 ところが、現在の単独親権制は、むしろ憲法二四条が規定する「個人の尊重と両性の本質的平等」に適うものとして、戦後の民法改正によって生まれたのである。すなわち、戦前の民法では、離婚後も「家ニ在ル父」が親権を行使するとされていて家父長的性格が濃厚であったところ、それが憲法二四条に反するというので、「父母のどちらか一方」の単独親権とすることで男女同権が貫徹されたという。ここでは、父母のどちらか一方が親権を失うことについて、「個人の尊重」や「両性の本質的平等」に反するとは考えられていない。
二 「選択的夫婦別姓」論との比較
 「単独親権制」をめぐる憲法論の論理構造は、既視感がある。そう、「選択的夫婦別姓」論である。こちらは、離婚ではなく婚姻の場面の問題で、婚姻の際に「夫または妻の氏を称する」(民法七五〇条)という「夫婦同氏強制」が「個人の尊重」や「両性の本質的平等」に反すると主張されている。すなわち、同氏強制により旧姓を失う側からする人権の主張である。しかし、これも、戦前は「家長」の氏であったのを、「夫婦のどちらか一方」の氏に、憲法二四条を根拠に改正されている。
 ところで、婚姻の場合は、法律婚でなくても、「準婚理論」で保護される事実婚もある。重婚的事実婚の場合ですら、非嫡出子差別は許されないし、重婚的内妻についても遺言や贈与により財産譲渡が可能である。遺族年金に至っては、「生計を同一にしていた」との要件で、正妻ではなく内妻に給付される。すなわち、「事実婚」は、「夫婦別姓」論者がいうほど「不利益」を被らないのである。何よりも、「子どもの姓」を、子どもが生まれる都度、父母で決めることができる。かように、「同氏強制」を避けるためなら、「事実婚」を選択できる。
 これに対し、法律婚を解消する離婚の場合、単独親権を回避する方途はない。しかも、昨今の離婚紛争では、夫婦のいずれも子を手離したくないから、子の親権・監護権をめぐって熾烈な争いになり、裁判所に事件と当事者の怨念が充満している。そして、破綻主義離婚では、子をめぐる熾烈な法的紛争の推移とともに破綻するから、これまた離婚判決により離婚が強制される。このような目に遇った当事者は、なぜ自分が裁判所からこれほどの苦難を強いられるのか、到底納得できないであろう。(続く)


お正月の正しい過ごしかた(上)

福岡支部 永 尾 廣 久

 「正しい」正月の過ごしかた、なんてあるはずがありません。これは、読んでもらうために、あえて目にとまりやすい大見出しをつけてみただけなので、お許しください。
 お正月三ヶ日はポカポカ陽気でしたので、毎日、庭いじりに精を出しました。いまは、黄色いローバイの花がかぐわしい香りとともに咲いています。可愛いジョウビタキがすぐ近くまでやってきて、「何、してんの?」と見つめてくれます。
 伸びすぎたナツメの木を剪定し、庭の一角にパンジーやビオラを植えつけました。今年こそ種ジャガイモの植え付けに挑戦するつもりです。
 年賀状を眺め、全国の事務所ニュースを読んだあとは、庭に出て鍬をふるって身体を動かすのが私にとって正月の「正しい」過ごしかたです。
カラフルな表紙
 いかにも正月らしい雰囲気いっぱいなのが神戸あじさいです。記事のレイアウトも配色も素晴らしい出来あがりで、ほれぼれします。色づかいは難しいものですが、すばらしいです。記事のバックに下手に色をつかうと読みづらくなりますが、ここは、そんなことはありません。すっきりしています。
 いわき総合のニュースもカラフルです。「春告島」と題字にあり、表紙の写真は奈良のお寺の正門かと思わせますが、なんとJR金沢駅とのこと。目をチラチラさせないほどの豊かな配色なので、心がほっこりします。
 正月らしい華やかさといえば、渡辺和恵団員の描いた花の絵を表紙とするきづかわ共同のニュースも目を奪います。
 代々木総合は、いわさきちひろの可愛いらしい女の子を描いた絵です。いつみても心惹かれます。記事もカラフルで配色もよく、読ませます。

国鉄が分割・民営化された結果・・・
 北海道合同の石田明義団員が、北海道内の鉄路が次々に廃線危機に瀕していることを告発しています。駅や線路は地域の文化を下から支えてきました。それがなくなったら、地域は分断され、ますます孤立化していきます。
 あべの総合の森野俊彦団員は稚内から宗谷本線の特急サロベツ号で旭川に行くつもりだったところ、運休の貼り紙を見てびっくり仰天。タクシー会社と交渉して、二五〇キロを四時間もかけて旭川に向かったとのこと。宗谷本線まで廃線の噂があるというので、驚き、かつ呆れてしまいました。
 実は、わが九州でも廃線そして廃駅、無人駅化がすすんでいます。九州新幹線のホームはすでに新玉名駅で無人化され、近く新大牟田駅も無人化される予定です。
 ホームの無人化なんて、とんでもありません。JR九州は黒字経営のようで、先日、上場化もしましたが、居酒屋でもうけ、ホテルでもうかっています。東京に進出し、海外へも展開するようです。地元の利用者の利便や安全性を無視して、営利本位に狂奔するJR各社の姿は、国鉄分割・民営化の本質そのものです。
 ついでに言うと、郵政民営化もひどいものです。私のすむ町には集配センターが二つあったのが一つになりました。窓口の人は愛想はいいのですが、明らかに技能未熟です。人減らし、非正規雇用がすすんでいるようです。郵政が民営化されて、利用者にとって何ひとついいことはありません。

中小企業支援法務部など
 三〇人の弁護士を擁する名古屋第一には、中小企業支援法務部や建築法務部があるとのこと(ほかにもあるのでしょうか?)。船井総研の主催する訪問団が名古屋第一を視察したそうです。「幅広い世代による構成をタテ軸、豊かな個性と多様な活動分野をヨコ軸とし、そのまじわりを無限に備えた法律事務所は全国的にも珍しい」としています。
 名古屋第一は、いわゆるトップダウン型組織ではなく三〇名の弁護士全員が対等な立場で事務所を経営し、さらに弁護士補助者である事務局員を事務所運営の協働者として位置づけているとのことです。その具体的な実情をぜひとも団の五月集会などで紹介してほしいものです。
 また、建築法務部は、発足して五年の実績があり、建築紛争の特設サイトを見ての相談も多いといいます。これからの法律事務所は専門特化した分野をいくつかもつことも大切ではないかと私も考えています。ながく債務整理を専門としてきた私の事務所ですが、それに代わるものとして成年後見の仕事になりつつあります。
 前に、名古屋北の長谷川一裕団員から、自由法曹団事務所の経営問題についての意欲的な報告を聞いて大変参考になったことを思い出しました。愛知県の団事務所は、この分野でも全国のトップランナーとしてがんばっていますね。

派遣村、女性のための相談デー
 城北の大山勇一団員は池袋派遣村、なんでも相談会を引き続き開催していると報告しています。日比谷公園での「年越し派遣村」は大変なクリーンヒットだったと思いますが、いつのまにか官側に巻き返され、派遣村の必要性についてのマスコミの報道が弱くなっていると思います。生活保護を受けたほうがいいのに申請しない、申請しても受理されないというケースは依然として多いのに、「中の下」意識の弱者が足をひっぱり、強者が高笑いしているのが現実です。
 ところで、派遣村の相談会に、公園を貸さないと豊島区が言い出したとのことです。とんでもないことですが、相談会の公共性の高さを理解してもらって区に認めさせたそうです。公共の公園の使用まで制約があるなんて、信じられません。
 城北では「女性弁護士による女性のための相談デー」というのを開設しています。いま必要な取りくみだと思いました。

自転車事故に要注意
 私の事務所では、銀行や郵便局などへ行くときには自転車を使っています。自動車にぶつけられて事務員が転倒・負傷させられたこともあります。歩行者をケガさせる恐れもありますので、自転車の傷害総合保険には以前から加入しています。
 城北の津田二郎団員は、子どもが自転車で走行中にケガさせたときの補償について解説しています。いわき総合の稗田隆史団員は、自転車に関する罰則が厳しくなったことを紹介していますが、私は知りませんでした。
 道路交通法の改正で自転車の危険行為があったとき、違反切符だけでなく自転車運転者講習の受講(三時間、五七〇〇円)が義務づけられ、講習しないときには五万円以下の罰金に処せられます。
 また、大阪府では、昨年七月から、自転車条例で自転車保険の加入が義務づけられたそうです。「維新」府政下ではありますが、自転車事故もときに重大な結果をもたらすことがありますので、保険加入の義務づけもやむなしでしょうね・・・。
 ちなみに、こちらは自動車の運転ですが、飲酒運転とは別に、飲酒運転をごまかそうとする行為自体が犯罪として処罰(一二年以下の懲役)されることになったとのこと。小倉南のニュース「一口法律知識」で初めて知りました。飲酒運転で人身事故を起こした人が、警察から呼気検査を受ける前に、意識的に酒を飲んだりして飲酒運転していたことをごまかそうとする行為が許されなくなったのです
(続く)


自由法曹団のホームページで、過去の資料の閲覧が可能となりました!

事務局長 西 田   穣

旧事務所に残っていた過去の資料をPDFファイル化した上で、自由法曹団ホームページにて公開しました。参考資料として、懐かしき思い出の記録として、閲覧ください。
今般、公開した資料は左記のとおりです。
(1) 五月集会特別報告集 一九八五年〜二〇〇五年まで
(2) 総会議案書 一九六三年〜二〇〇五年まで
(3) 団通信第一号(一九七三年三月二一日号)〜第九七〇号(一九九九年一二月二一日号)
※第九七一号以降は、同じくホームページのトップページから閲覧可能です
(4) 団報No一(一九五九年)〜No一七六(二〇〇六年)まで
(5) 人権のためにNo一(一九五九年)〜No一九(一九七六年)まで
(6) 物故団員名簿・団員名簿(一九五七年作成)→「その他の資料」にて閲覧可能
【閲覧方法】

http://www.jlaf.jp/

(1) 上記HPのトップページ上部にある「団員ページ」をクリックいただき、ユーザー名とパスワードを入力して下さい(※ユーザー名、パスワードが不明の方は、団本部までご連絡下さい)。
(2) 「過去の資料はこちら」をクリックいただくと、「五月集会特別報告集」「総会議案書」「団通信」「団報」「人権のために」「意見書(※但し、準備中)「その他の資料」に分類されておりますので、目的部分をクリックの上、参照下さい。

 なお、意見書は、現在整理・準備中ですので、今しばらくお待ちください。


第一回安倍「働き方改革」批判検討会が開催されました。

事務局次長 種 田 和 敏

 二〇一七年一月一六日一八時三〇分〜二〇時四五分、全労連会館三階会議室において、全労連・自由法曹団・労働法制中央連絡会の共催で、第一回安倍「働き方改革」批判検討会が開催され、団員や労働組合のメンバーなど四九名が参加しました。
 まず、冒頭に鷲見賢一郎団員から開会あいさつがあり、次に、全労連雇用・労働法制局長の伊藤圭一氏から「安倍「働き方改革」をめぐる情勢と課題」、中村和雄団員から「真の「同一労働同一賃金」の確立のために」、並木陽介団員から「政府の「同一労働同一賃金ガイドライン案」の批判的検討」、青龍美和子団員から「政府の「同一労働同一賃金ガイドライン案」と労働契約法二〇条裁判」というタイトルで、それぞれ報告がありました。
 その後、出席した労働組合のメンバーを中心に、職場での現実を踏まえた意見や、安倍「働き方改革」に対する批判、抜本的な改革の必要性についての活発な質疑、意見交換がなされました。
 最後に、今後の活動について、安倍「働き方改革」批判検討会の第二回目・第三回目、加えて、まとめ集会として「安倍政権の労働法制大改悪に反対し、働くルールの確立を求める四・二六学習決起集会」が以下の日程で予定されていることの告知がありました。
 今後の活動については、新人弁護士もお誘いあわせの上、多くの団員の参加を求めます。

●第二回 安倍「働き方改革」批判検討会
日時:二〇一七年二月一五日(水)一八時三〇分〜二〇時四五分
場所:全労連会館三階会議室
内容:労働時間法制
    (1)時間外労働の上限規制についての政府状況
    (2)安倍政権による労働時間政策の問題点
    (3)質疑と意見交換、今後の活動について
●第三回 安倍「働き方改革」批判検討会
日時:二〇一七年三月二二日(水)一八時三〇分〜二〇時四五分
場所:全労連会館三階会議室
内容:女性の活躍推進、高齢者雇用、「雇用されない働き方」などの課題を検討中
●安倍政権の労働法制大改悪に反対し、働くルールの確立を求める四・二六学習決起集会
日時:二〇一七年四月二六日(水)一八時三〇分〜二〇時四五分
場所:全労連会館二階ホール