過去のページ―自由法曹団通信:1206号        

<<目次へ 団通信1206号(7月11日)



藤木 邦顕 佐野第一交通解散解雇事件で全面勝訴判決
志田 なや子 非常勤職員の再任用拒否(解雇)について一部勝訴
―中野区保育園非常勤保育士解雇事件判決―
笹本 潤 世界平和フォーラムにおけるグローバル九条キャンペーン
田場 暁生 この企画いけてる! 〜九・二六「九条がんばれ
『第九』コンサート」にご参加・ご協力を〜
守川 幸男 国連の「立法ガイド」で、「共謀罪」以外の選択肢のあることが判明
─加えて、国内法の整備はノルウェーだけ




佐野第一交通解散解雇事件で全面勝訴判決

大阪支部  藤 木 邦 顕

 大阪地裁堺支部(上田昭典裁判長)は、五月三一日佐野第一交通の解散解雇事件について、組合側の請求をほぼ全面的に認める判決を言い渡しました。

 この事件は、二〇〇一年三月末に大阪府南部および和歌山県内にある旧南海電鉄系列のタクシー会社七社を北九州に本社のある第一交通産業が株式の買収をして子会社化し、存在する組合に猛烈な攻撃をかけてつぎつぎと解散に追い込んだ中で発生した事件です。佐野第一交通となった佐野南海交通には自交総連に属する二〇〇人以上の組合がありましたが、第一交通となってから脱退すれば一五万円の協力金を支払うとか、組合員に対する嫌がらせの長時間点呼や売り上げの少ない営業所への配転などの切り崩しの結果、五五名にまで減少していました。しかし、残った組合員は六〇件以上の仮処分や地労委、本訴をたたかい団結を保っていました。その状況をみて、第一交通産業は神戸から御影第一という子会社を泉南地域へ進出させて非組合員をそちらに移した上、二〇〇三年四月に佐野第一交通の解散を決定し、同年四月一五日付けで組合員らを全員解雇しました。組合員らは、地位保全の仮処分を提起し、勝訴決定を得た上で二〇〇四年に本訴を提起していたものです。

 判決の趣旨は、(1)御影第一に対して組合員の雇用を認め、第一交通本社に対しては、賃金相当額の損害賠償請求を認める。(2)第一交通本社、黒土始会長、田中亮一郎社長は連帯して不当労働行為に関して組合員個人と佐野南海労組、自交総連大阪地連に対して損害賠償を支払え。(3)佐野第一交通に対してすでに出ていた未払い給与、損害賠償の判決の金額を、第一交通本社に対しても支払うよう命ずるものです。

 判決は焦点の佐野第一交通の解散について、組合破壊のための偽装解散であるとして受け皿となった御影第一に組合員の雇用が承継されるとしました。この点は、仮処分について大阪高裁が保全抗告決定で判示していたことから予想されたことでしたが、雇用に加えて第一交通本社は不当労働行為という不法行為をしたのであるから、解雇された組合員が復職できるようになるまで給与相当額を損害賠償して支払えと命じたことは、今後偽装解散が行われた場合の支配資本の責任追及のために大きな武器となります。

 組合つぶしの偽装解散について法人格否認の法理を適用して、親会社の責任を追及する訴訟は過去からいろいろ闘われてきましたが、一九八四年三月の布施自動車教習所事件大阪高裁判決が子会社解散後の親会社への雇用を認めなかったことから、過去の未払い賃金の支払いはともかく雇用を認めた判決は少なくなっていました。本件では、本社から派遣された役員が組合員はルンペンになるなどの発言をし、組合つぶしの意図が明白であったこと、子会社をわざわざ神戸から進出させて受け皿をつくって非組合員を移した上で、組合員のみを残して解散解雇をしたということから、裁判所もとりわけ悪質とみたものと思われます。しかしながらこの事件をとおして、悪質な組合つぶしの会社解散については、雇用自体を承継企業に認めることとなるという実例ができたことと雇用は受け皿会社に対して認めるが、第一交通本社は不法行為の損害賠償という理由で賃金相当額を将来にわたっても支払わなければならないと命じられた点は大きな意義があります。

 さらに、数々の不法行為をした第一交通本社とその代表者個人に対しても組合つぶしについての慰謝料などとして総額三九〇〇万円の支払いを認めたこと、その中には佐野南海労組と大阪地連という組合組織に対する慰謝料などもふくまれたことも、組合つぶしと闘う全国の労働者を力づけるものです。

 NHKの特番でも紹介されましたが、タクシー労働者は規制緩和のなかで本当に低賃金に泣いています。このようなタクシー労動者の生活と道路交通の安全を守るためには、政策要求をかかげる自交総連のような労働組合が不可欠であり、その団結の基礎をくずす組合つぶしとは断固闘わなければなりません。第一交通側は、この判決に控訴をしていますが、弁護団は一層地連・単組と団結して争議の全面解決を求めて奮闘する決意です。



非常勤職員の再任用拒否(解雇)について一部勝訴

―中野区保育園非常勤保育士解雇事件判決―

東京支部  志 田 な や 子

一 事件の概要

 中野区は、区立保育園に長らく勤務してきた非常勤保育士二八名全員を二〇〇四年三月三一日をもって解雇した。非常勤保育士のうち四名がこれを争い、解雇無効による地位確認および賃金、損害賠償の支払いを求め東京地方裁判所に提訴した。原告のうち二名は一九九二年に一年任期で採用され再任用を一一回繰り返し、他の原告も、それぞれ一〇回、九回、再任用されてきた。

 中野区は、二〇〇三年一一月、区立保育園三二園のうち二園について指定管理者制度による民間委託をすることを決定し、同年一二月、区議会で保育所条例を改正し、二〇〇四年二月、中野区は委託先を社会福祉法人高峰福祉会およびコンビチャチャ株式会社(ベビーカーなどの製造販売会社)と定めた。指定管理者制度とは、株式会社など営利法人に地方自治体の施設を管理させることを可能にしたものであり、二〇〇三年九月施行の地方自治法「改正」により新設されたものである。原告らは、民間委託されたいずれの園にも勤務していない。なお、中野区の保育所担当部長は区議会区民委員会などで、非常勤保育士の職を廃止した理由として、一般職公務員と同じ職務を特別職非常勤職員に行わせてきたのは法的に疑義があるとの答弁を繰り返した。

 東京地裁民事一九部(中西茂裁判長、森富義明・本多幸嗣裁判官)は、本件について去る六月八日に判決を下し、地位確認と賃金請求を棄却したが、原告ら各四〇万円の損害賠償請求を認めた。

二 本件の背景

 非常勤保育士は、一九九二年に地方公務員に対する週休二日制の導入による人員不足を解消するために採用されたものである。その勤務時間は一日八時間、勤務日は原則として月、金、土曜日を中心とする月一四日(二〇〇一年までは月一五日)であった。当時はまだバブルの余韻が残っており、月十数万と低賃金であったことからなかなか人が集まらず、原告らは説明会などで「定年はない」「一日でも長く働いてください。辞めないでください」などと言われ、その後はほぼ自動更新され、常勤保育士と同様に保育を担ってきた。バブル崩壊後、自治体リストラの嵐が吹き荒れるなか、民間企業への公共サービスの丸投げを可能にする指定管理者制度が導入されるや否や、今度は手のひらをかえしたように、非常勤保育士全員を解雇した。公共一般労組の組合員を職場から排除するための不当労働行為でもある。

三 原被告の主張

 原告らは、(1)自ら意図的につくりだした特別職(非常勤職員)としての採用を理由に解雇するのは信義誠実の原則に反する、(2)民間委託しない保育園に勤務する非常勤保育士全員を一律に解雇するのは、解雇の必要性も合理性もない解雇権濫用である、(3)非常勤保育士二八名のうち一九名が加入する公共一般労組を嫌悪してなした不当労働行為であるとして、解雇無効による地位確認等の裁判を提訴した。

 中野区はこれを全面的に争い、非常勤職員は一年任期で任用され、任用が行政行為である以上、民間の雇用関係における解雇権濫用法理は適用されないと主張した。これまで地方自治体の非常勤職員の解雇をめぐる裁判では、こうした主張が裁判所によって認められ、非常勤職員は無法地帯に放置されてきた。

 これに対し、原告らは仮に任用という行政行為であったとしても、非常勤職員には地方公務員法が適用されず、労働基準法、労働組合法が全面適用されており、非常勤職員の労働条件を定めている「非常勤職員勤務条件要綱」は労基法上の就業規則にあたり、同要綱の解釈として再任用されるのが原則であり、正当な理由がないかぎり再任用拒否は認められないと主張した。

四 判決

 判決は公法上の任用関係である以上、解雇に関する法理が類推される余地はないとして、従来の判例法理を踏襲した。しかし、損害賠償については、(1)任用・再任用の経過や非常勤保育士の職務内容について、原告らの主張を認めたうえ、(2)任期満了直前まで被告の正式な方針を伝えていなかったこと、(3)特別職・非常勤職員として任用して再任用を繰り返し一般職が担当すべき職務に従事させてきたのであり、このような事態を招いた原因は専ら被告にあるとして、再任用に対する期待権侵害を認めた。

 特に、原告らの職務内容について、判決は「『非常勤』の保育士といっても、その職務の必要性は一時的なものではなく、将来にも職務が不要となるとは考えられないこと、保育という職務は、専門性を有する上、乳幼児に対する保育に従事するものであって、職務の性質上、短期間の勤務ではなく、継続性が求められる」と認定した。中野区は裁判では保育補助であると争っていた。原告らは法廷で、乳児保育や障害児保育など保育士として熟練を要する仕事もまかされ、とくに土曜保育では、様々な家庭事情、様々な年齢の子どもの保育の中心をにない、長年にわたって保育に情熱をかたむけてきたことを切々と証言したのであり、これが裁判所の認めるところとなった。

五 おわりに

 これまで地方自治体は財政難を理由に正規職員の採用を減らし、非常勤職員・臨時職員を増やし、公共サービスを維持してきた。今、新自由主義路線の地方版が広く進められつつあり、「官から民へ」の掛け声のもとに、公共サービスの民間企業への丸投げが行われようとしており、最も立場の弱い非常勤・臨時職員が解雇の標的となっている。

 私のみるところ、小泉劇場は時代劇にしかみえない。小泉首相の靖国神社参拝は殿様の「心の問題」として不可侵なものとされる一方、教員などには「君が代・日の丸」が強制され、下々の「心の問題」は省みられることはない。「お上」に逆らうようなビラまきは厳しく取り締まられ、刑事裁判にかけられる。非常勤・臨時などの首は切り放題で、「切り捨て御免」と言わんばかりである。本判決は期待権侵害による損害賠償を認め、「切り捨て御免」ではないことを示したという意味では大きな意義があると思う。



世界平和フォーラムにおけるグローバル九条キャンペーン

東京支部  笹 本   潤

世界平和フォーラム開かれる

 六月二三日から二八日にかけてカナダのバンクーバーで世界平和フォーラムが開催された。バンクーバー市や世界市長会などの援助を経て初めて開かれた大会で、世界の平和運動にかかわる市民団体・NGOが約五〇〇〇人集まって、平和についての多数のワークショップ(分科会)が開かれた。

 私は他の五人の団員とともに日本国際法律家協会のメンバーとして同フォーラムに参加した。主な目的は非武装を体現した九条を世界的に広めて九条を守り発展させていく国際的世論を大きくすることだった(グローバル九条キャンペーン)。英語で作成したパンフレットやチラシを配布し、九条の条文が書かれたTシャツを着、九条のワークショップを開催するなどして、世界の平和活動家にある程度憲法九条の存在と九条が危機にあることを知らせることができたのではないかと思う。

 バンクーバーには日系の移民が多く、彼らを中心にして「バンクーバー九条の会」が結成されている。約一〇〇人の会員からなり、加藤周一氏を迎えての講演や、二〇〇〇以上の署名を集め、日本の「九条の会」経由で国会に署名を提出している。世界平和フォーラムの開催中も一日で三〇〇の署名を集めるなど活発な活動を展開していた。

 九条のワークショップには二〇〇名が参加した。内訳は日本人が一五〇人と多かったが、それでもブラジルの人が「ブラジルでも九条の会を!」と言ったり、様々な国籍の人の参加もあった。

グローバリゼーションの対抗概念としての憲法九条

 いくつかの国際的な会議や集会で、日本の憲法九条が受け入れられつつあるのは、現在の世界の情勢に見合った普遍性を有しているからではないかと思う。

(1)「暴力の連鎖」に対抗する理念としての九条

 暴力の連鎖は、暴力には暴力で、テロには予防的先制攻撃で(対テロ戦争)など、九・一一以降顕著になってきているアメリカの世界戦略を指す。それに対して、九条(特に二項)は、「自分が武器を捨てるから、相手も捨ててくれ」というメッセージが込められ、いわば「非暴力の連鎖」を国際社会に求めているのではないだろうか。暴力の連鎖に対する反発があり、それに答えられる理念として九条が役割を果たせないだろうか。九条二項の非現実性を問う声よりも、真正面から非武装の世界を実現しようという運動が受け入れられる素地があるのはこういう背景があるからではないだろうか。

 三月にフランスを訪問した際に、フランスの弁護士から「武器を持たないという九条の呼びかけに外国の市民が答えていかないと非武装の世界は実現しない」と投げかけられ、改めて九条の先導的役割に気づいた。

(2)「新自由主義」に対抗する理念としての九条

 新自由主義を、規制を取り払って強者が自由に経済活動をできることとすれば、憲法九条にはそのような経済活動に対して一定の枠をはめることができる機能がある。「軍隊を持たない」のだから現実社会では軍事費を削減する機能を有する。以前「軍事費のGNP一%枠」というのがあったが、現在でもそれなりに軍事費の割合が大きくならないのは憲法九条のおかげである(もっとも経済規模では日本は世界第四位の軍事大国ではあるが)。

 今回のカナダ訪問でも、「カナダの軍事費がアフガン派兵以来増え続け、九条のような規定が必要」とのカナダ人の声を聞くことができたのは、このような九条の軍事費抑制機能に着目してのことだと思う。現在の世界の軍事費は冷戦時のピークに近づきつつあり、一方でアフリカ・アジアでは飢餓による死者が増大している。軍事費増大・飢餓の増大という人間の生命維持と逆行する世界的なお金の使われ方に対する、一つの歯止めとして九条が役割を果たせないだろうか。

カナダに自由法曹団HPのファンを発見!

 私たちの今度のバンクーバーの参加で現地の移動を助けていただいた方(女性)は、何と自由法曹団のホームページのファンであった。彼女(日本国籍)はバンクーバーで日本の法律を勉強中なのであるが、なぜ自由法曹団なのかと理由を聞くと、「へりくつを言わずに、筋が通っていることを言っているから」だと自信を持って言うのである。私はへりくつばかり言う日本の裁判例をたくさん勉強したからそう言うに違いない、と思いながら、「そういう予想外のこともあるんだな」と彼女を半ば呆然と見ていた。今度どこかに投稿してもらうことにしよう。



この企画いけてる!

〜九・二六「九条がんばれ!『第九』コンサート」にご参加・ご協力を〜

東京支部  田 場 暁 生

一 東京における弁護士「護憲」共同の取り組み

 昨年五月以降、東京では、法律家団体の代表や弁護士会で憲法問題に取り組んできた方々に呼びかけて、弁護士「護憲」共同のための会議が月一程度で持たれてきました。自由法曹団(を代表して吉田幹事長が参加されています)、国際法律家協会、社会文化法律センター、自由人権協会、青年法律家協会、日本民主法律家協会の理事や代表の方、東弁及び二弁の憲法委員会委員長などの方などにも加わって頂き、かなり幅の広い集まりになったと思っています(私がどういった立場で会議に参加しているのかはよくわかりません・・)。

 全国各地で弁護士九条の会などが発足して活発に活動をされています。しかし、東京は弁護士の人数の問題もあり、議論の結果、仮にその種の会などを作ったとしても弁護士の過半数を目指すことが現実的でないこと、今の段階で東京で弁護士九条の会などを作ろうとして結集が不十分となった場合のマイナス面をも考えるべきこと、より効果的な運動を目指すべきことなどの一致点が生まれました。そして、東京でできること・できないことは何か、東京でしかできないことは何か、弁護士に結集してもらう運動にするのか・それともより広い運動にするのか、などの議論も重ねられてきました。

 そのような議論の中、まず、昨年の一一月一八日、山内敏弘龍谷大教授を講師として、主に弁護士を対象に自民党の新憲法草案の学習会を弁護士会館で持ちました。まったくの有志で企画したものであるにもかかわらず、東京だけでなく、岐阜、仙台などの弁護士も含めて、一〇〇名近くの参加者があり、成功に終わりました。

二 九・二六「九条がんばれ!『第九』コンサート」にご協力を!

 その後、前記企画の成功をうけ、時間をかけて議論をした結果、日弁連の有力な方も含めた幅広い弁護士が参加可能なものにするためには、次は単なる集会ではなく文化的な催しを企画しよう、弁護士も主体的に参加できるものにしよう、ということで、「九条がんばれ!弁護士と市民がつどう『第九』コンサート」という企画を行うことになりました。

 東弁・二弁ではチラシを全会員発送物に入れて頂いたため、すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、(1)外山雄三さんや池辺晋一郎さんという著名な方に指揮やピアノをご担当頂くと共に、日本フィルの全面的なバックアップを得て「第九」合唱はフルオーケストラで行うこと、(2)演目も、「第九」の他、カザルスの「鳥の歌」、エルガーの「愛のあいさつ」、「イマジン」など親しみやすい曲が揃ったこと、「茶色の朝」を池辺晋一郎さんの即興の伴奏に合わせて日色ともゑさんに朗読して頂くこと、(3)弁護士も「第九」合唱団に参加可能なこと(二〇〇六年七月頭の時点で二〇名以上の弁護士・事務局などが練習に参加しています。合唱団は全二〇〇名で弁護士以外は「第九」合唱経験者の方に参加して頂きますので合唱のクオリティは確保できています。ご心配なく〈笑〉)、(4)呼びかけ人には日弁連及び東京三会元会長の方に合計二一名お名前を連ねて頂いたこと、(5)大きな渉外事務所の弁護士の方もチケット申込先に名を連ねるなど多彩な方が結集したこと等、今までの弁護士「界」の取り組みには類のない「おもしろく」「イケてる」「幅広い」企画になったと思っています。

 「絶対にこの企画はこけるわけにはいかない!」との決意で、実行委員会事務局は私の両親になってもらい、合唱団の申込先・責任者は私の連れ合いの猿田佐世弁護士が務めるなど、家族も一丸となって(楽しく)取り組んでいます。

 団員の皆様にお願いです!時期も九月二六日と、共謀罪・教育基本法・国民投票法案など、九条改憲の下地作りとなる悪法審議目白押しの秋の国会を見据えたかのようなドンピシャなこの企画!下記の日程及び要綱で行いますので、東京近辺の方はぜひぜひご参加ください(合唱団にもぜひ)。また、財政的にかなり厳しいので、カンパにもご協力頂けると幸いです。

 日時:二〇〇六年九月二六日(火) 午後六時半開場 七時開演

 会場:文京シビック大ホール(一八〇〇名収容)

 カンパ振込先 口座名  法律家平和運動

        口座番号 郵便振替口座 00130 - 9 - 296644

 お問い合わせ・チケット申込先 03-3991-6660

   (実行委員会事務局田場)HP http://www.9jou-con.com/



国連の「立法ガイド」で、「共謀罪」以外の選択肢のあることが判明

─加えて、国内法の整備はノルウェーだけ

千葉支部  守 川 幸 男

一 はじめに

 政府が治安立法などを出すとき、国際的なテロ防止とか、国連などによる各国に対する義務付けを理由とすることが多い。

 加えてあれこれ重要な事実を隠す。共謀罪もその一つだ。

二 国連作成の「立法ガイド」の内容

 ところが、最近、各国の事情に応じた国内法整備の指針であり、昨年刊行された国連の国際組織犯罪防止条約の担当部署作成の「立法ガイド」が明らかになった。英語版で五三〇ページだが、日本語訳がなくあまり知られていなかった。その内容は、「適切な法的概念を持たない国では、共謀罪または結社罪という名の制度を導入することなしに、組織犯罪に対して効果的な措置を講ずるという選択肢は許容されている。」というものだという。民主党は六月一二日、国内法整備の必要性を再検討するよう杉浦正健法相に申し入れた。

(以上、週刊法律新聞六月九日号および六月一六日号に詳しい)

三 共謀罪、日本以外の国内法整備はノルウェー一国だけ

 社民党の保坂展人氏から資料提供を受けた六月二六日のブログによれば、国連国際組織犯罪防止条約批准国の国内法整備に関する質問主意書に対する外務省の答弁は、「たとえば、ノルウェーがあると承知している」というものであった。ノルウェーで国内法が整備されたことは前記の国連「立法ガイド」にも記されているとのことだ。

四 外務省の対応

 外務省は相変わらず、条約上の義務を強調するのみであったが、これらの動きに対応して、国連薬物犯罪事務所に問い合わせて、「共謀罪」と「参加罪」の双方とも必要でないことを意味するものではない、と反論しているとのことである。(週刊法律新聞六月三〇日号)。

五 広く知らせよう

 以上の情報の一部は、団本部やその他に送付したが、まだあまり知られていないので、とり急ぎ紹介した。法案は自民党と民主党の妥協が成立せず継続審議となったが、その間に重大な事実が明らかになったので、広く知らせていく必要がある。